君が好き   作:不思議ちゃん

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思いつかないよー

 空いている教室を貸してもらい、放課後まで寝て過ごし、そのまま練習へと参加できたのは良かったんだが。

 

 目の前には作詞が進んでおらず、パラパラ漫画を描いていた千歌が正座していた。

 

「梨子、どうしょっぴく?」

「取り敢えず重しかしら」

「二人とも酷くない!?」

「安心して。半分冗談だ」

「残りの半分は!? ねえ!?」

 

 騒いでいる千歌は置いておき、実際に負担は大きい。

 

「そもそも予備予選がどうしてこの時期にあるの!」

「まあ、それはそういうもんだと諦めるしかない」

「予備予選と説明会の曲、一緒じゃダメなの?」

「ラブライブに参加するには未発表の曲じゃなきゃいけないから」

「説明会にやる曲をすでにあるやつにしたら?」

「人を増やすチャンスだから、それは少し勿体無い」

「そっか」

 

 既存の曲も有りにするととんでもない数が参加してくるからなぁ……。

 そうでなくてもそこそこのグループが参加しているのだし。

 そう考えたらみんな作詞作曲できるのすごいと思う。

 

「千歌さん、梨子さん、曜さんの負担は確かに大きいですわね」

「作詞、久しぶりに果南やってみる?」

「それを言うならマリーやダイヤだってできるじゃん」

「裁縫ならルビィちゃんが得意ずらよ」

「作曲は……私だけ、かな?」

「優くんは何か出来ないの?!」

 

 そう言えばそうだと言わんばかりにみんなの視線が僕へと突き刺さる。

 

「いやー、僕はダンスの振り付けとか、指導でいっぱいいっぱいだから……」

「確か、μ'sの記事にマネージャーが作った曲も多数ある、みたいな事が書いてあったような?」

「……へー、多数、ねぇ?」

 

 マリーさんの発言を聞き、みんながジトッとした目に変わる。

 

「コホン。取り敢えず優さんの事は一度置いておきましょう」

「そうね。後で聞きたい事山ほどあるし」

「二手に分かれて曲を作ることにしましょう」

 

 ってことで、一、三年生組と二年生組に分かれて曲を作ることになった。

 僕も二年生組のチームなのだが、一、三年生組が作った作詞に曲をつけることになっている。

 

 曲が無ければ練習も基礎しかできないため、今日は早めに終わって曲を作ることに。

 

 僕たちは千歌の家でやる事にしたが、あっちのチームはマリーさんの家でやると言っていた。

 知っているから不安しかないが、まあどうにかなるだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「うー、思いつかないよー」

「諦めが早いっ」

「あたっ」

 

 開始五分でペンを投げ、テーブルへと上体をあずける。

 梨子はため息を一つつき、紙を丸めて千歌の頭を軽く叩く。

 

「そういえば、優くんはどうやって歌詞や曲を作ってたの?」

「んー?」

「そうだよ! 何かアドバイス頂戴!」

 

 曜の発言に千歌はガバッと体を起こし、キラキラと期待した目で見てくる。

 

「やっぱり、素直な思いで作るのがいいと思うよ」

「どゆこと?」

「いままで自分で作った歌詞を思い返してごらんよ。その時その時の気持ちを書いてるでしょ?」

「それじゃ、優くんが作ってた時も?」

「まあ、そうだったりそうじゃなかったり」

 

 三人は首を傾げているが、なんとも言えない上、今の千歌にこれ以上余計な情報はいらない。

 

「むー、これじゃあ先にいい歌詞を作られちゃうよ」

「あまり焦る必要はないよ。僕は千歌の作る歌詞、すごく好きだから」

「へ? え、えへへ……なんか照れちゃうね」

 

 僕としてはそこまで意識したつもりはなかったのだが、こうも照れているところを見ると僕も少し恥ずかしくなってくる。

 かと思えば曜と梨子が勢いよくこちらに振り向き。

 

「曲は!?」

「服は!?」

「えっ、あ、うん……もちろん、曲がいいから歌詞と相まって完成度が高くなっているし、そのイメージに合った服も毎回素晴らしいものだよ……?」

 

 思っていたことを素直に伝えると、二人も嬉しそうに頰を緩ませていた。

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