無事に学校説明会の時間に間に合い。
本日二度目のステージを三人で観ている。
「このまま残っていたら二人は質問攻めにあうけど、どうする?」
「もうちょっとゆっくりしたいけど、それは少し勘弁願いたいわね」
「凛はどっか見て回りたいにゃ」
「なら、ここの案内でもしようか」
「彼女たちと一緒にいなくていいの?」
「連絡入れときゃ大丈夫大丈夫」
ってことでAqoursのグループに連絡を一つ入れ、二人を連れてちょっとした観光に。
「それで、優はどの子が気になるのかしら?」
「優くん、好きな子が出来たのかにゃ!?」
「急にどうした……」
なんて思っていたら、少し心臓に悪い話題が。
「私たちといた時より楽しそうなのは後で問い詰めるとして、そんな気配を感じたというか……女の勘?」
「物騒なことが聞こえた気がしたんだけど」
「で、どうなの?」
素直に答えるわけにもいかないため、笑いながら否定する。
「彼女のカの字も無いよ」
「そう」
なんだかあまり信じていないような返事だったが、それ以上聞いてくることはなかった。
「何かあったら相談しなさいよ。私たちはたくさん助けてもらったんだから」
「よく分かんないけど、凛も力になるよ?」
「十分、今回助けてもらったよ。……でも、ありがと。また何か困ったら頼らせてもらうよ」
そのあとはスマホの通知が大変なことになっていたが、気にせず観光を楽しみ、二人を見送った。
翌日、僕は縛られて部室のイスに座らされていた。
「優さん。私たちに何か言うことはございませんの?」
「ライブ成功、おめでとう。予備予選も一位通過だったし、勢いに乗ってるね?」
「ち、が、い、ま、す、わ!」
流石に昨日の今日なので、僕も分かっている。
絵里と凛の二人とゆっくりお話。というなの質問攻めをしたかったのだろう。
「でも、良かったじゃないか。二人に二回もライブを見てもらえて」
「そ、そう言われてみればそうずらっ!?」
「わ、私たち、μ'sのお二人に見てもらったのですわね!?」
「な、何か言ってた!?」
「すごく良かったって」
喜んでいるうちにと縄を解こうとしたのだが。
「でも優、学校説明会のライブは途中で抜け出して二人とデートしてたのよね?」
背後に立ったヨハネに両肩へ手を置かれる。
幸いなことに見てもらった喜びで全員が聞こえていたわけでは無かったらしいが、近くにいた曜と梨子が僕へと振り向く。
「やっぱり、あっちの方がいいの?」
「私たちじゃダメなのかしら?」
「いや、何を勘違いしてるか分からないけど、ただここを案内しただけだよ?」
「その言葉、信じていいの?」
言葉に重みのようなものを感じたが、嘘を言っているわけではないので首を縦に振る。
多少変な空気が残ったが、許されたのか縛られていた縄を解かれた。
「浮かれているみなさんに話があります」
空気を無理やり変えるため、少し声を張り上げる。
どうしたのかと僕を見るが、その空気はまだ緩い。
「先日、二つのライブを成功させるために奮発したため、活動費の残金が五円しかありません!」
「そうなんですの。残り五円……、五円!?」
「千歌ちゃん!」
「う、うん!」
お金の入っている箱を開け、ひっくり返せば。
五円玉が一枚出てきてテーブルの上を転がっていく。
「五円ずら」
花丸が目の前に転がってきたそれを掴み、掲げてみせる。
「フリマやるから、そこに出店したら?」
慌てるみんなに案を一つだせば、一斉にこちらを向いてそれだっ! と。
残念なことに、僕はしばらく個人的な用事で参加できないのだが。
「今度は何企んでるの?」
「いつも企んでなんかいないよ。学校が少し忙しくなるだけだから、すぐ戻ってくるって」
本当は違うのだけど。
地区大会を勝ち抜いた後も入学希望者の伸びが悪かった場合の保険を作っておくことにした。
今はまだAqoursの日常しかないが、学校の、内浦のをこれから撮っていくのだ。
そのための協力はマリーさんにだけ頼んである。
カメラの存在を知っちゃうと日常じゃ無くなるからね。
いまある材料だけで編集を始めて三日目。
『少し、相談したいことがあります』
ダイヤさん個人から連絡が来た。