Re:緋弾のアリア   作:Sinku

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初投稿ですが、よろしくお願いします!
楽しんで頂けると嬉しいです!


プロローグ

————-兄さんが死んだ。

 

 

 

その知らせを聞いた時、頭が真っ白になった。

 

(兄さんが死んだだと…?)

 

なぜ?死んだ?兄さんが?どうして?何があった?どこで?…様々な考えが頭の中を過ぎる。

兄さんが死んだ、そんなことはあり得る筈がない。

あの兄さんだぞ、俺が憧れる最強の武偵だ。その兄さんが死ぬはずなんてないんだ———

だがそんな考えを否定するように目の前の役人は淡々と説明していく。

 

「遠山キンイチ武偵は亡くなられました。」

 

その言葉を聞いてから何も考えられなくなった。

 

 

 

 

 

 

流されるままに葬式が執り行われ、俺は兄さんの遺影を抱いたまま呆然としていた。

兄さんの同僚であろう武偵たちが涙を流し、哀しんでいる姿が俺の目に入ってくる。

彼らはしきりに爺ちゃんとばあちゃん、俺に謝っていた。

辞めてくれ謝らないでくれ、兄さんは死んでいない、きっと生きているはずなんだ。

 

 

「止めてくれっ!!!!!!!!」

 

 

気づけば俺の口から叫び声が上がっていた。

俺の姿を叫び声を聞いた者は、より悲痛そうな顔を浮かべる。

目の前にいた彼らは、皆一度深く頭を下げこの場から離れて行く。

彼らの謝罪を受け入れてしまうと兄さんが死んだ夢が現実になってしまう。嫌だ、認めたくない、だがそれを裏切るように目から一筋の涙が零れおちる。

そんな俺を見て爺ちゃんと婆ちゃんは俺を抱き締めた。

その行動が嫌でも俺に現実を押し付ける。

 

(ああ、そうか、兄さんは死んだんだ——————)

 

いつも力弱き人々のためにほとんど無償で戦い、どんな悪人にも負けなかった兄さん。

あの頼もしかった背中は、もう見れない。俺の憧れであり目標であった兄さんはもういない。もう二度と兄さんと会うことはできない。飯を食べることもできない。そんな想いが止まらない。

 

認めてしまったら、その感情が止まらなくなった。

 

気が付けば俺の目からは涙が溢れる。抑えようとしても止まらない。

俺の気持ちを代弁するように、表すかのように。

それを見た爺ちゃんと婆ちゃんが何も言わずに俺を強く抱き締める。

 

堰き止めていたものが崩壊するように、抑えていた涙が溢れだしていく。鳴く様に、泣いた。嗚咽を混じりに、喉を震わせ、慟哭をあげた。

 

 

「アアァァァアアアアアアアぁぁあああああアアアア!!」

 

 

 

 

涙が枯れ、喉が乾く。感情を剥き出しにしてしまった代償として俺は深い後悔を抱く。

 

(俺は今まで何をしてきたんだろうな…)

 

目標を失いこれから何の為に生きていけばいいのかが分からない。

だがふと冷静になり、周囲の変化に気づいた。

先程まで葬儀場内にいた武偵たちがだれもいない。武偵は誰一人おらず、この場にいるのは俺と抱き締め続けてくれた爺ちゃんと婆ちゃんだけだ。

 

その時葬式場の入り口で怒鳴り声が聞こえた。

 

 

「帰ってくれ!!!!」

 

 

そんな怒鳴り声が何度も聞こえる。

それと同時に耳障りなカメラのシャッター音や男性女性、様々な年齢層の声があがる。

 

 

「おい!今だ!撮れとれとれ!」「遠山キンイチ武偵がなくなったことについて何か一言ください!」「一目でいいのでご家族にあわせてください!」「ご家族の方から何かコメントを!」「事前に防ぐ事が出来なかったんですか!?」「事故が起こる前から武偵側が情報を掴んでいたとう疑惑が上がっておりますが事実でしょうか!?」

 

 

なんだこれは、なにが起こっている、なんだあいつらは

うるさい、だまれ、そんな言葉が頭に浮かぶ。

そんな時信じられないような言葉が耳に入ってきた。

 

 

「無能な遠山キンイチ武偵との声があがっています!!被害会社と被害者に謝罪の言葉はないんですか!?」

 

 

その言葉を聞いたとき彼らが何を言っているのかがわからなくなった。

無能?誰が?兄さんが?謝罪?だれに?会社?被害者?なぜ?

その瞬間、俺を抑えるかのようにより強く抱き締めてくる爺ちゃんと婆ちゃんを振り払い、入り口へ走り出していた。

それに気づいた何人かの武偵が止めようとしてくるがもう遅い。

 

 

「黙れ!!!!!!」

 

 

俺の口から信じられないほどの声量で怒号が上がる。それと同時に一般人でもある彼らに殺気を叩きつけていた。

殺気を浴びた事がないのか、彼らは一同に動きを停止する。

カメラを落とす人、尻餅をつく人、転ぶ人、逃げようとする人、多くの人がそのような状態になった。

だがそれでも彼らはプロである。ネタになる情報があるならばどんな手を使ってでも手に入れ、自分たちの都合のいいように報道する。

その彼らが一般人を恫喝した俺を放って置く訳がない。

無事であった何人かが特大のネタを見つけたぞというような薄気味悪い笑みを浮かべる。

一人が俺が遺族であるという事に気付いたようで、それが周りに広がっていく。それに呼応するかのようにパニックだった人達も冷静さを取り戻す。

何人かの武偵がこの状況はマズイと思ったのか、この場から俺を離そうと行動し始める。だが、彼らがそれを黙って見ているはずがない。

即座に円を作りこちらの逃げ場を無くすように詰め寄る。それと同時に口々に口を開く。

 

 

「おい!あの武偵の遺族だぞ!早くカメラ用意しろ!」「一言お願いします!」「兄の責任をどう取るつもりですか!?」「先程我々を恫喝したかに思えましたが、その行動はどういうつもりでしょうか!?」「会社や被害者への賠償は!?」

 

 

口を開けば先程と同じような聴くに堪えない言葉ばかり、

頭に血が上り懐の拳銃に手を伸ばしかけるが何とか踏み止まる。

 

(ッダメだッ!アイツらに乗るな!)

 

耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ!歯を食いしばり今にでも彼らに殴りかかり殺してしまいそうな気持ちを抑え込む。強く握り締めた拳からは血が垂れ、地面に滲みを作っていた。

 

 

「無能な兄を持って残念だったね」

 

 

そんな言葉が遠くから聞こえた。ーーバキッ!

瞬間的に食い縛り、歯が砕けた音が音がする。

無能な兄だと?また兄さんを侮辱したのか。駄目だ、トメレナイ。

俺が何とか抑えていた殺意が溢れ出る。

 

 

今すぐコロス

 

 

懐から拳銃を取り出し、兄を侮辱した奴らを全員撃ち殺そうと考えたその時、

 

ピピッー!

笛の音がいくつも聞こえた。数十人単位の足音が響き、音の方向を見ると多くの警官が駆け付けていた。一番先頭には兄の同僚であったであろう武偵が警官たちを先導していた。

 

(マスコミを排除するために呼んだのか…)

 

一般人でもある彼らを武偵が追い払うのは後々問題になりかねない。そのため警官を読んだのだろう。

ただ俺にとって今はそれがありがたかった。

 

 

 

 

 

 

口々に文句を言うマスコミを警官が蜘蛛の子を散らすように追い払っていく。何人かは不法侵入として事情聴取されている。

それを横目に俺はそのまま座り込んだ。それと同時に握り締め続けていた拳を地面に叩きつける。

ビシッッッッ!コンクリートで固められた地面にヒビがはいり、手から血が流れでる。

痛みに反応したのか張り詰めていた糸が切れるように身体が脱力していった。

 

ーー兄さんは立派な武偵だった。

沈没するアンベリール号から乗員乗客を全員避難させ命を救ったんだ。

それが何だ、なぜこんな罵詈雑言を浴びさせられなくてはならない。

ふと遠くで音が聞こえる。

ワンセグテレビを誰か持ってきたのか、特集で組まれたニュースの音が耳にはいる。

そこでは、クルージングのイベント会社や参加していた乗客らしい人達が一斉に兄を非難していた。

『船に乗り合わせていながら事故を未然に防げなかった、無能な武偵』

先程と同じ様に聴くに堪えない罵詈雑言の数々。

 

(兄さんはこんな奴らを助けて死んだのか…)

 

————兄さんは何故、人を助け、自分が死んだ?

————何故スケープゴートにさせられなくてはならない?

 

ああ。武偵なんかやっていたからだ。結局、武偵なんて、正義の味方なんて世間は求めていない。戦って、戦って、傷付いた挙げ句、死体にまで石を投げられる。ロクでもない、損な役回りなんだ……。

俺の中で何かが折れた音がした。

 

 

 

 

 

 

葬式が終わり俺と爺ちゃんと婆ちゃんは巣鴨にある家に帰宅した。

居間に入り仏壇に置いてある父の遺影の横に兄の遺影を置く。

その光景が俺を何とも言えない気持ちを抱かせる。三人で手を合わせた後、居間には爺ちゃんと俺だけが残った。

 

(爺ちゃんには言わなきゃな……)

 

俺は先程決意したことを爺ちゃんに話そうと決めた。

 

「…爺ちゃん、俺武偵を辞めるよ。」

 

憧れの存在である兄さんを失い、武偵に失望し、目標も何もなくなった俺にはもう武偵として正義の味方としてい続けることはできない。これは俺が遠山家の男として正義の味方として付けるべきケジメだ。

 

「ええ、ええ…キンジが決めたことなら、それでええんじゃよ」

 

爺ちゃんは優しい笑顔を浮かべながらそう言った。

なんで、なんでそんな優しい笑顔が出来るんだ、俺は遠山の義を正義の味方としての役割を放棄しようとしてるのにーーそう考える俺に優しく爺ちゃんは語りかける。

 

「遠山の者は皆、戦ってきた。多くの者が義のため、国のため、人のため、愛する人のため、我が身を犠牲に戦い戦場で散っていった…。

時代がいくら変わろうとそれが遠山の常じゃった。

ワシの父もワシを守る為に命を落とした。金又も人を守り亡くなったと聞いておる。キンイチもそうじゃ。沈みゆく船から大勢の人を助け亡くなった。

キンジよ、お前がその選択をしたのならワシは何も言わん。お前の代で遠山の義を終わらしてもええ。

遠山の者として、これは間違っているんじゃろうな…。だがワシはもうたった一人の孫を失いたくないんじゃよ…。」

 

そう言いながら爺ちゃんは目に涙を浮かべていた。

 

「爺、ちゃん…」

 

その言葉を聞いて、俺は何も言うことができなかった。

うちの家系・遠山家は代々、正義の味方をやってきた。時代によりその職業は違っていたが、HSSという特殊な遺伝子の力で…力弱き人々を守る為、何百年も戦い続けてきた。

 

(だが、それでも俺は——武偵を辞めるんだ)

 

本当に?

 

(これからは普通の人間になる)

 

それでいいのか?

 

(生きて、無責任な事を言うだけ言って、平凡な日々をのうのうと送る側になる)

 

それで満足か?

 

(そう、決めた、決めたはずなんだッッッ!)

 

——————違う。

 

俺は誰に憧れた?兄さんに。

 

兄さんは何をしていた?正義の味方を。

 

兄さんは何で死んだ?人を助けたから。

 

ならそれは間違っていたのか?——-違う、違う、違う!

 

間違っていない、間違ってはいけない、間違うはずがない、例え世間に認められなくても兄さんが間違ってることなんて、何一つない!

 

兄さんは人を助けて死んだ、だがそれは間違いじゃない。

 

人を助け、遠山の義を自身の正義を貫き、力弱き人々を守る為に戦ったんだ。

 

俺がここで武偵を辞めたら兄さんを、いや、父さんや爺ちゃん、今まで戦ってきた遠山家の全てを否定することになる。

 

 

(そんな事あってたまるか)

 

 

俺の憧れた兄さんを父さんや爺ちゃん、歴代の遠山一族を。否定してなるものか。世間がなんだ。何をうじうじしてるんだ。遠山家の男なら義を正義を貫き通せ。

 

そのためには今のままじゃいけない。今の俺じゃ力が足りない。

ならばどうする。強くなるしかない。

 

俺の中で何かが変わった音がした。

 

「…爺ちゃん、ごめん。さっきの言葉は撤回するよ。」

 

爺ちゃんは突然の俺の変わりように驚いたようだが、俺の目を見てこういった。

 

「そうか…。いや、ええ目になったのう」

 

その言葉を聞き、俺は1度目を閉じて大きく息を吸った。

自分の覚悟を伝えるために、遠山の義を兄さんの正義を貫くために。

 

「爺ちゃん、俺を鍛えてくれ。」

 

 

 

 

 

 

——ここから遠山キンジの新しい物語が始まる




しっかり書ききれました!
ちょっと違和感があるところはありますが、後々修正していけたらいいかなと思います!
今後もよろしくお願いします。
誤字脱字があれば教えてください!
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