私と同じく緋弾のアリアが、キンちゃんが好きな方が多くて凄く嬉しいです(。 >艸<)
当初は自分が読むために始めた小説ですが、皆さんも楽しんで頂けるよう今後も頑張っていきます!
体育倉庫に戻るとアリアの姿が見えない。
中を見渡すと俺たちが突っ込んでいたとび箱からピンクブロンドの髪の毛がはみ出していた。
そこから顔を出し、俺と目が合うとぎろ!っと睨んでくる。
そのまま再び顔を引っ込めると、
「あ、あんたに助けて貰わなくても私一人で何とか出来たわ。これは本当よ。」
そう言ってきた。だが何故か一向に出てこない。
跳び箱の中でずっと蠢く。
(服の乱れを直しているのかな…?)
ああ、そう言えばホックが壊れていたな。
俺はベルトを、シュルッと外すと、跳び箱の中に投げ入れてやる。
しばらくごそごそしていたが、乱れを直し終えひょこりと顔を出す。アリアは跳び箱に足をかけ、スカートを抑えながらもヒラリと出てきた。
着地すると俺が渡していた制服を投げ返してくる。
ふわりと俺がキャッチすると同時に制服からクチナシのようなアリアの香りが漂ってきた。その制服に少し顔を引きつらせながらも制服を着なおす。
「一応…礼は言っておくわ。あ、ありがとう。」
アリアは言い慣れていないのか顔を赤らめ、小さな声でそう言ってきた。
「お互い様さ。アリアも俺を助けてくれただろう?気にしなくていい」
そう言うとフンッとそっぽを向きながらも目を向けてくる。
ちゃんと、伝わってるみたいだ。
ふっと笑っていると、再びアリアが思い出したかのように怒り始めた。
「だ、だけど!それとこれとは別っ!あんた跳び箱の中で私に何しようとしてたの!」
ああ、そのことか。
「…アリア、安心していい。俺は何もしていないさ。」
そう安心させるのようにニコリと微笑みかける。
アリアはぼふっと顔を赤らめる。おお、耳まで真っ赤だ。
だが、それも俺の次の一言で一変した。
「それに冷静に考えてみよう。俺は今年で高校二年生。アリアが魅力的な女の子だからって中学生に何かしようとは思わないさ」
ビシッ!と言葉が似合うように空気が凍った。
アリアを見てみると、わぁあー!と言う口になって両手を振り上げた。
言葉が出ないのは絶句しているからのようだ。
そして、わわ、わわわ。ローズピンクの唇を震わせから、がいん!と床を踏みつけた。
「
と地獄の底から聞こえてくるような底冷えする声で叫んできた。
し、しまった…!どうやら説得に失敗しちまったようだ。
アリアは手をぱし、と左右の太ももにつく。
するとガチャガチャッと恐ろしいくらいのスピードでホルスターからガバメントを二丁ドロウしーー。
ばぎゅきゅん!と威嚇射撃を足元に打ち込んできた。
俺がこの状況に顔を青ざめていると、さらに至近距離から銃口を向けてきた。
これはーー。
部が悪いと判断し、至近距離で突き出してくるガバメントをそれぞれ片手で反らす。
そのままその細腕を両脇に抱え込んで後ろに突き出させた。
バリバリバリッ!ガキンガキンッ!
アリアは反射的に引き金を引き、背後の床が着弾した音をあげる。
音で弾切れになったことがわかり、何とか傷つけずに捕縛しようと手を伸ばすとーー。
「ーーんっ!ーーやぁっ!」
くるっ!身体を捻ったかと思うとアリアは柔道でいう跳ね腰みたいな技で、俺を投げ飛ばそうとしてくる。
このままだと投げ飛ばされるな。が、そこはヒステリアモードの俺。そう簡単に投げられるほど柔な鍛え方はしていない。俺は瞬時に身体を落とし、重心をずらす。
投げ技は重心の位置がかなり重要である。押す、引く、捻ると言った細やかな技術を使い、力がないものでもただ重心を崩してやるだけで投げ飛ばし、相手を無力化できる。有段者レベルになれば数倍の体重差ももろともしない。が、重心さえずらして仕舞えば簡単に投げられられることはない。
まあ、馬鹿みたいな力を持つ者は力づくで投げ飛ばせるから例外だけどな。ただ無効化した反動でアリアの関節に負荷がかかり怪我をしてしまう可能性がある。怪我をしないように力は橘花で無効化しておこう。
(って想像以上に力があるね。どこにそんな力があるのかな…)
アリアの予想以上の力に驚いた。技量で投げていると思っていたが力も相当あるな。その証拠に足元を見れば小さくズレた形跡が残る。
「え、あ、あれ?」
投げ飛ばすことが出来かった事が不思議なのか、そんな声を上げた。
気に食わないのか顔を真っ赤にし、何度も投げようと試みてくる。俺はその度に技を無効化していった。
当人は必死なのだが、側から見れば小さな子供がただ引っ張っているようにしか見えない。
「ッー!あったまきたッ!もう許さないわよッ!」
そう叫ぶと共に距離を取り、片手のみガバメントの銃口を向けてくる。
もう片方の手はわしゃわしゃとスカートの内側を弄った。
恐らく先程弾切れになった拳銃に再装填する、
だがその
「お探しの物はこれかい?」
そう言いながら距離を取られた際にスカートから掏り取っておいた
「ーーあ!」
アリアはそう声を上げる。遠くの茂みに落ちていくそれを目で追いかける。それが見えなくなると同時にぎぎん!と此方を睨んできた。
い、いかん。火に油を注いちまった…!
「へぇ…!いい度胸してるじゃないの…!」
アリアはどうやら挑発行為ととったようだ。ギリギリギリィと歯を歯軋りし、無用の長物となった拳銃を上下にブンブン振り回している。
どうやらあの動作はやったな!やったな!という怒りの動作らしい。
「私をここまで怒らせたのはあんたが初めてよッ!覚悟しないッ!」
拳銃をスカートの中のホルスターに荒々しくぶち込みながらそう叫ぶ。
するとセーラー服の背中に手を突っ込みーーじゃきじゃき!
げっ!日本刀じゃねーか!
二本の隠していた日本刀を、抜き構えながらだんっ!と突っ込んでくる。
一目で分かるようにそれは業物だ。日本刀は古くから日本で伝わり、日本固有の鍛治製法で作られている。「折れず、曲がらず、良く斬れる」の三要素を非常に高次元なレベルで実現されるため、海外の武偵から大人気の武装。わざわざ日本に来てオーダーメイドして貰う人もいる。
(流石にあれを振り回されるのはやめて欲しいかな)
アリアの瞬発力は人間離れしており、かなりの速度でこちらに踏み込んでくる。俺の間合いに入ると同時に両肩へ流星みたいにと突き出した。
だがーー当たらない。俺にはその刀がスローモーションで見えるのだ。
ヒステリアモードが見せるスローモーションの中で俺は冷静に対処していた。突き出され刀を軽く身体を傾けながらよけ、突っ込んでくるアリアもするりと躱す。
すれ違いざまにアリアへと手を伸ばし、遠山家の技である『
気がつくと握りしめていた二本の刀が俺の手の中にあったため、アリアは何が起こったの?というような不思議そうな顔で俺と自身の手を交互に見ている。
だが驚きよりも怒りの気持ちの方がデカイらしい。ビキビキッ!と額に怒りのマークをつけ、再び飛びかからんとしている。
(流石にこれ以上は付き合ってられないかな)
アリアから逃げるために俺は『
朧とは、知覚される存在感を曖昧にする遠山家の技だ。戦後の世では武士が入り乱れる戦場の中、周りに気付かれず敵の大将に忍びより討ち取るために開発された。
これまでのやり取りで分かったが、アリアは勘が人一倍鋭い。
かかるかどうかは微妙だったが、何とか技に引っかかってくれたようだ。
(この隙に逃げさせて貰うよ)
途中で
「ごめんね。」
そう言いながら体育倉庫から脱出した。アリアは目の前から俺が一瞬で消えたように見えたため、驚きで固まっている。
だが去り際にかけた言葉で俺が逃げたということに気がつくと、コンクリートをゲシゲシと踏み締める。
ーーービシッ!ビシッ!
と踏みしめる毎にコンクリートにヒビが入っていく。
いったいどんな脚力してんだ。
「出て来なさい!この卑怯者!ーーでっかい風穴あけてやるんだからぁ!」
ーーーガウンガウン。
と、そんな捨てゼリフと銃声が体育倉庫から聞こえる。
俺はそんな彼女の叫び声を背に、校舎に向けて歩みを進めるのであった。
朧はオリジナルの技名になります!
遠山家の歩法は存在していましたが、技名が分からず存在感を消すという点から朧と命名しました!
名前がわかる方がいましたら教えてくださると嬉しいです。