ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

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またストックが溜まったので投稿します。


10話目です。


ユエの過去とお花畑

 

 

サソリの魔物を討伐した俺たちはハジメの錬成でセーフティー・ルームを作り、その中で倒したサソリの魔物の肉を剥ぎ取りながらも甲殻と一緒に剥ぎ取っていた。その頃のデルタ分隊は生き残ったクローン達を率いて下層へと続く道を探していた。その時にハジメはユエのことであることを思い出した。

 

 

「…確か、前に歴史の本で調べてみたが、吸血鬼族って300年前の戦争で滅んだ筈だ」

 

「300年前……」

 

「てことは、ユエは少なくとも300歳以上な訳…か……っ!?」

 

 

はじめに歳のことを聞かれたのユエの顔は非難を込めたジト目になっていた。…ハジメ、いくらなんでもデリカシーが欠けているぞ。

 

 

「…マナー違反」

 

「ハジメ、女性相手に年齢は禁句だぞ。こっちは800歳以上生きたジェダイ・マスターを知っているからあまり驚きはしないが……」

 

「あぁ…そういえば雷電は前世の頃はあっち側だったな?すっかり忘れてた。…それとすまない、流石にデリカシーがなかった」

 

 

そうユエに謝罪するハジメ。その後にハジメは吸血鬼についてユエから聞き出すのだった。

 

 

「……それにしても吸血鬼って、みんなユエみたいなのか?」

 

「ううん、私は特別。自動再生で年を取らない…十二歳の頃に“先祖返り”で力に目覚めて……その時からずっとこの姿」

 

 

そこからユエが解放される前に言ってた通り、ユエが二十三歳のある日にユエの叔父は突然王位に就くことになり、ユエは吸血姫でありながら化け物として処刑されることになったが、彼女自身の再生の力によって死ぬことすら許されず、最後にはここオルクス大迷宮にて封印されることになったそうだ。

 

 

「なるほどな。…ところで、ユエはここがどの辺りか分かるか?雷電は数えていたんだが、ここは彼奴が言うに大体五十階層あたりだって言ってたが……」

 

「分からない。…でも、この迷宮は“反逆者”の一人が作ったと言われている」

 

「……反逆者?」

 

 

ユエから俺たちが知らない言葉が出て来た。ユエが言うには反逆者とは、神代に神に挑んだ神の眷属のことであり、世界を滅ぼそうとしたと世間ではそう伝わっているそうだ。…だが、その反逆者の目論見は神によって見破られ、その反逆者達は世界の果てに逃走したそうだ。その果てがオルクス大迷宮を含む七大迷宮と呼ばれる場所だった。その大迷宮の最深部には反逆者の住処があるとことだ。もしかすると、その最深部に地上への道があるとのことだ。

 

 

「なるほどな……だったら俺たちが目指す場所は決まったな。神代の魔法使いなら、転移系の魔法で地上へのルートを作っていてもおかしくないな」

 

「あぁ……それに、さっきの魔物の甲殻を調べてみたら思わぬ素材を見つけた訳だしな」

 

 

そうハジメが取り出したのはサソリの魔物の甲殻を調べてみたらその甲殻は鉱石でできていたのだった。その鉱石は俺が持っているエレクトロ・ロングバトンの素材となったシュタル鉱石だったのだ。ハジメはその鉱石を使って二つの武器を作っていた。俺とユエはハジメの作業に興味を持ち、ハジメに何を作っているのか聞き出してみた。

 

 

「何作っているの、ハジメ?」

 

「俺も今思ったところだ。ハジメ、お前は一体何を作っているんだ?」

 

「これか?ひとつは俺専用の対物ライフルのレールガンVer.(バージョン)だ。俺の銃、ドンナーは見ただろ?要するに、あれの強力な奴……弾丸も特性だ。ドンナーの威力を上げるのに、丁度良い素材が手に入ったんだ」

 

 

さっきのサソリの魔物の様な固い魔物と戦う時に使うハジメ専用の対物ライフルのレールガンVer.を作っていた様だ。そしてそれは完成して、その武器をハジメは“シュラーゲン”と名付けた。

 

 

「そしてもう一つは雷電、お前専用だ」

 

「俺専用……?」

 

 

そう言ってハジメは作っていたもう一つの武器こと俺用にオーダーメイドした専用武器を渡した。その武器はシュタル鉱石で出来た処刑人の剣(エクセキューショナーズソード)だった。

 

 

「ちょ…おまっ……ハジメ、いくら俺が剣を使えるからってこの剣は無いだろ?確かに使いやすいかもしれないが……」

 

「しょうがねぇだろ?俺も剣について色々と考えたんだが、一番お前が使いやすい剣と言えばこれしか思いつかなかったんだぞ?」

 

 

だからといって嘗てジェダイだった俺に処刑人の剣とかは無いだろう?……確かに斬撃系の武器は丁度必要だなと思っていたのだが、これは流石に無いだろう?一応大事なことなので二回思ったが……。その時にユエは俺たちがどうしてこの大迷宮の奈落にいるのか聞いて来た。

 

 

「……ハジメ達はどうしてここにいる?」

 

「へっ?」

 

「どうしてハジメは魔力、直接操れる?」

 

「あーっ…それはな……」

 

「どうしてハジメ達は魔物食べられる?そもそも二人は人間?それとハジメ、左腕は?」

 

「ちょ…ちょっと待て!順番に説明するから待て!」

 

 

流石のハジメでもユエの質問攻めには参った様だ。その時に俺はユエに自分の過去を明かしても良いだろうと思った。

 

 

「……さて、何処から話を始めようか」

 

「そうだな。……それとだハジメ、ユエには俺の過去を話しても良いだろう?」

 

「?……良いのか?」

 

「良いも悪いも……彼女の過去を聞いた時にある事を思ったんだ。まるで自分に似ているってな」

 

「私が、ライデンと似ている?」

 

「あぁ……裏切られたって言う意味でな。俺からも話すよ、俺の秘密であろう過去……いや、前世の頃の自分を」

 

 

そうして俺たちはユエに俺たちがこの世界に呼ばれた理由や、俺たちがオルクス大迷宮の奈落の底に落ちた理由を話した。そして、俺の過去……前世の自分がこの世界の人間でもハジメと同じ地球の人間ではないことを、俺がまだジェダイだった頃の話を。

 

 

雷電Side out

 

 

 

俺たちが何故この世界にやって来たのか、そして雷電の前世であろうジェダイとしての記憶をユエに話した。一応雷電はユエに誤解されないよう嘗て仲間であり、戦友だったクローンについてはこう説明した。クローン達は敵の陰謀によって自分の意志とは無関係に操られ、雷電や他のジェダイ達が次々に殺されたことを説明する。裏切ったアナキンの話を除いて……。そんな感じでユエに俺たちの過去の事を話し終えるのであった。

 

 

「とまぁ、こんなところだな。正直、今生きているのが自分でも不思議なくらいだ。雷電とクローン達がいたおかげでもあるけどな……」

 

「まぁ……奈落に落ちた後はこっちも大変だったけどな。左眼が失明しておきながらもこの迷宮の脱出路…つまり、この奈落の百階層目に向かわなきゃいけないんだがらな」

 

 

確かにと俺がそう呟く中、ユエは何故か泣いていた。

 

 

「……いきなりどうした?」

 

「……ハジメやライデン、辛い…可哀想……」

 

 

どうやら俺や雷電が語った事に関して可哀想と思ってくれたそうだ。

 

 

「気にするなよ。別に俺はクラスメイトのことは如何でもいいんだ。復讐する事も無いしな。そんな事より、生きる術を磨いて故郷に帰る方法を探すこと。それに全力で取り組まないとな」

 

「…帰る?」

 

「そりゃあ帰るさ。まぁ…色々と変わっちまったけど……故郷に、家に帰りたい」

 

「俺も帰りたいと言えば帰りたいが、今の俺の故郷は地球だ。前世で生きた世界に帰りたいとは思っても無いよ」

 

「そう……私にはもう…帰る場所、ない……」

 

 

俺たちは帰りたい故郷があったが、ユエはその故郷に裏切られてもう故郷ではなくなり、帰る場所すら存在しなかった。流石に盲点だった俺は少し考えた結果……。

 

 

「……なら、ユエも来るか?」

 

「……え?」

 

「いやだからさ、俺たちの故郷にだよ。まっ……魔法の無い人間の世界だから窮屈かもしれないけど、どうとでもなると思うし……」

 

「まぁ……戸籍などは元の世界に戻れる様になった時に考えればハジメの言う通りどうとでもなるかもしれないな。それも、ユエが望むのなら……だろ?ハジメ」

 

 

まぁなと雷電に答えた後、ユエはその様なことを言われる事を想定していなかった様で唖然としていた。

 

 

「……良いの?」

 

「俺は構わないが、言い出しっぺのハジメはどうなんだ?」

 

「お前なら、俺の性格を知ってるんだろう?」

 

 

ユエに俺たちの故郷に勧誘したら、ユエは嬉しそうな笑みをした。その後にクローン・コマンドーのデルタ分隊と八名のクローン兵が戻って来た。残りの四名はどうやら魔物にやられてしまった様だ。その戻って来たデルタ分隊からの情報によると下へと続く階層を発見し、周囲偵察に五名のクローンを派遣させたのだが、生きて帰って来たのはたった一人だけであった。俺たちは偵察で死亡したクローン達に心の内で合掌をし、その持ち帰って来た情報を頼りに更なる下層へ向かうのであった。因みに余談ではあるが、ユエの衣装を雷電の技能である共和国軍武器・防具召喚でジェダイが使うローブと服一式を召喚してユエがそれを着用することでユエの衣装に関する問題は一時的に解決したのであった。

 

 

ハジメSide out

 

 

 

このオルクス大迷宮の脱出路を探し始めてから一ヶ月と数十日。俺たちは今、大迷宮の六十階層目にいて……

 

 

「だぁー、ちくしょぉおおー!」

 

「……ハジメ、ファイト……」

 

「お前は気楽だな!」

 

「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」

 

 

この階層に存在する二百体近くの魔物に追われていた。この時に俺やハジメ達が乗っているのは共和国軍が使用していたウォーカーである“全地形対応索敵トランスポート”……通称AT-RTである。それを俺自身の技能である共和国軍兵器召喚で人数分に召喚し、乗り込んだ俺たちは二百体近くの魔物から逃げていた。

 

 

「おいおい……嘘だろ嘘だろ嘘だろ!?何で原生生物がこんなに寄って集って来ているんだ!?」

 

「黙れスコーチ、喰われたくなければ黙って機体を走らせろ!」

 

「やれやれ……獲物を狩る筈の獣が、逆に獲物となって獣に追われるとはな」

 

「無駄口を叩くなデルタ、今はこいつ等から撒くのが先決だ!」

 

「そう言う事だ、だから今は全力で逃げるぞ!!」

 

 

今の俺から言えるのはこれしか無かった。事の顛末はこの六十階層についた時にユエの実力を余り見ていなかったデルタ分隊に確認してもらうのと、戦いにおいて役立つのかの検証だった。その際にこの階層に辿り着いた時にはクローン兵の人数は既に二人しかいなかった。俺たちは下へと続く道を探していると、そこには地球の歴史の本で見た事のある生物とそっくりな魔物の姿があった。それは恐竜だった。この時に俺は恐竜型の魔物もいるんだなと思った。その魔物の頭に花が咲いている事を除いて。ユエは自身の実力を見せるべくその恐竜の魔物に“緋槍”と呼ばれる魔法でその魔物を倒す。これにはデルタ分隊やハジメも満足だった。彼女は攻撃魔法に特化しており、回復魔法とかは持ち合わせていなかった。回復はハジメが持つ神水で何とか補うとして、俺たちは更に奥に進む。

 

 

 

奥にはまた頭に花が咲かせている恐竜型の魔物がいた。ハジメは一応検証の為に花だけを狙い撃つ。花が消し飛んだ途端その魔物は倒れ、数十秒後には目を覚まして辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。……一体花に何の恨みがあるのか俺たち自身分かりたくもなかった。そしてようやくなのかその魔物は俺たちの存在に気付いた。もはや“何時の間にっ!?”と言わんばかりの表情であった。ハジメは容赦なくその魔物をドンナーで倒す。そして再び奥に向かおうとしたその時にクローン兵の悲鳴が上がった。その悲鳴の方角に向けると、その光景はどこぞの甦った恐竜を使ってテーマパークの名前が出てきそうなパニック映画のワンシーンの如く、クローン兵が他の恐竜型の魔物に喰われて補食された。その一部始終を見てしまった最後のクローン兵が発狂して、武器を捨てて逃げ出してしまう。その時にラプトル型の魔物に襲われて巣に持ち帰られてしまう。流石に形勢的に不利な状況だったので俺たちは数体を倒した後にAT-RTを今いる人数分召喚して乗り込み、魔物の群れから逃げるのであった。因みにユエはハジメにしがみつくことにした為、一体は取り残されたのは内緒である。

 

 

 

そして今現在に至り、俺たちは恐竜型の魔物達から全力で逃げていたのであった。

 

 

「…本当に何なんだよ彼奴等は!?殺しても殺しても、次々に現れやがって!」

 

「それには同意だ!それと奴ら、どんどん数が増えていやがるぞ!」

 

「本当にそれな!おかしいだろ!?…それになんだ、あの頭の花は!?」

 

「……ちょっと可愛い」

 

「可愛くねぇよ!さっきだって彼奴等の一匹が……!」

 

 

途中でハジメは途中で言葉を止め、何かの謎が解けた様だった。俺もハジメと同じ様に魔物達の頭に生えている花について閃いた。

 

 

「なぁハジメ、あの魔物の頭に生えている花は恐らく……」

 

「……寄生」

 

「あぁ…ユエと雷電もそう思ったか?となると、本体がいる筈だ!あの花を取り付けている奴を殺さない限り、俺たちはこの階層の全ての魔物と相手することになる!」

 

「将軍、前方に縦割れの洞窟。あそこなら……」

 

 

デルタ分隊のボスが前方に縦割れの洞窟があるのを発見する。その縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだった。彼所ならあの魔物達もそう簡単に入って来ないだろう。その時に追ってくる魔物達の動きが激しさを増した。

 

 

「……どうやら、彼所が本体がいる場所の様だな」

 

「だったら、好都合だな……突っ込むぞ!」

 

 

そうハジメの言葉を皮切りに俺たちはAT-RTをその場で乗り捨ててその縦割れに入り込み、その奥へと進む。その時に俺は先にハジメ達を入らせた後に迫り来る魔物の群れに対してフォース・プッシュで迫ってくる魔物の群れを吹き飛ばす。そして安全を確保した所で俺は縦割れの洞窟に入り込む。その後ろではフォース・プッシュで吹き飛ばされた魔物の群れが起き上がって再び俺たちに襲いかかろうとする。しかし、縦割れの幅が狭すぎた為に入りきれず、魔物の群れが次々と壁に激突するばかりであった。そして全員が洞窟内に入った際にハジメは錬成でその縦割れの入り口を塞ぐ。

 

 

「ふう……全員無事か?」

 

「デルタ分隊、全員無事です」

 

「これで、とりあえず大丈夫だろう」

 

「お疲れ様、ハジメ」

 

 

一応俺は辺りを確認して見るが、そこには何も無かった。だが、フォースは何かしらとざわめきが収まらなかった。何かといやな予感した為にデルタ分隊はここで待機してもらい、ハジメにはデルタ分隊を守る様に錬成で壁を作るよう頼んだ。そうして俺とハジメ、ユエの三人は辺りの捜索を始めるのであった。

 

 

「今のところ、気配感知には何も反応がないが……」

 

「ん…?ハジメ、何か緑の玉が飛んで来ているぞ」

 

「何っ?……!」

 

 

俺はこの場所にて緑の玉が浮遊しているのを発見し、当たらない様に避ける。そしてハジメは錬成で壁を作り、緑の玉がこれ以上入って来ない様にする。

 

 

「ユエ、恐らく本体の攻撃だ。何処にいるか分かるか?」

 

 

ハジメはユエにそう聞き出すが、ユエは一向に言葉を返して来なかった。

 

 

「…ユエ?」

 

「ユエ?どうした……!?」

 

 

俺はこの時にフォースによって導かれた嫌な予感が的中してしまった事を理解した。

 

 

「あーっ…ハジメ、問題発生だ」

 

「逃げて…二人とも!」

 

 

するとユエはまるで自分の意志とは無関係にユエの手に風が集束する。そしてそれを俺たちに向けて風の刃を放つ。俺たちは咄嗟に回避した為ダメージを受ける事は無かった。するとユエの頭からさっきの魔物と同じ花が咲いた。どうやらここに逃げる前に緑の玉が彼女の身体の何処かに当たってしまい、今は操られている状況に陥った様だ。

 

 

「くっ!さっきの緑の玉か…!」

 

「どうやらその様だな。…とりあえず彼女の攻撃を除けながら本体を探すぞ!」

 

「あぁ、分かってる!」

 

 

そう言って俺たちは左右に分かれてユエの攻撃を分散しながら本体を探す事にした。しかし、走りながらユエの攻撃や緑の玉に気をつけると言うのはあまりにも難しい事だった。

 

 

「ちぃっ、かなりマズいな……ぐぁっ!?」

 

「雷電?!…ぐっ!?しまった……!」

 

 

走っているうちに俺やハジメは緑の玉に直撃してしまう。するとユエの背後からアルラウネやドリアード等という人間の女と植物が融合したような魔物がその姿を現す。…最も、化け物並に気持ち悪い顔付きであったが。そのアルラウネ擬きの魔物はユエを盾にしながら俺たち……特にハジメのドンナーに警戒しつつも前進した。

 

 

「ちっ……やってくれるじゃねぇか……!」

 

「下手に近づけばユエ自身を自らの魔法の的にすると警告している様だ。…本当に面倒な敵だな」

 

「二人とも……ごめんなさい!」

 

 

アルラウネ擬きはユエを操りながらも風の刃を飛ばす。俺はハジメの作った処刑人の剣を使い、その風の刃を後ろへと流した。しかし、その時に再び緑の玉が俺たちの身体に直撃してしまい、俺たちの頭に花が咲いてしまう。アルラウネ擬きは“勝った”と思ったがそれは思い違いだった。その咲いた花はすぐに枯れ果ててしまい、俺たちを操る事が出来なかったようだ。

 

 

「……どうやら、向こうも思わぬ誤算があった様だな、ハジメ?」

 

「その様だな……こちとら魔物を喰らったおかげで耐性が色々ついたから効かねえみたいだな!」

 

 

アルラウネ擬きは俺やハジメを手駒に出来ないと判断してユエを操って攻撃を仕掛けた。俺は操られているユエの風の刃を受け流しつつも反撃の為の策を考える。

 

 

「クソっ…!あの魔物……ユエを盾にしながらこっちを嬲り殺しにするつもりだ」

 

「チィッ…!クソが……!」

 

「ハジメ…ライデン。私は良いから、撃って!」

 

「ユエ……!」

 

 

防戦一方になっていく中、アルラウネ擬きは調子に乗りながらもユエを盾にしつつも操って攻撃を続けた。俺はその攻撃を後ろへ受け流す様に去なす。ユエは涙を流しながらも俺たちに撃つ様に頼む。

 

 

「お願い……撃って!」

 

「え……いいのか?」

 

「いやっ本当は駄目だろう。しかし……この状況だ。ユエ、目を閉じてろ。そして……」

 

 

「「マジで助かるわ(本当にすまない)!」」

 

 

その言葉を皮切りにハジメはドンナーでユエの頭に咲いている花とアルラウネ擬きの左腕を狙い撃つ。アルラウネ擬きはまさかハジメが人質がいるのにも関わらず躊躇わず撃って来た事に戸惑いながらも失った左腕の痛みに悶え苦しんでいた。その痛みをこらえながらもアルラウネ擬きはハジメの方を見た時にある違和感を覚えた。そう、俺こと雷電の姿が見当たらなかったのだ。その俺はというと、ハジメがドンナーをアルラウネ擬きに撃ち込んだと同時にフォースによる身体能力強化で飛び上がる様に跳躍し、アルラウネ擬きの背後を取った。アルラウネ擬きはそれに気付いて背後を確認した時には既に遅く、俺は処刑人の剣でその魔物の胴体を横一閃で真っ二つにし、絶命させた。一方のユエはハジメがまさか躊躇わずに撃ってくるとは思っておらず、未だに唖然としていた。

 

 

「…何とか倒せたか……ユエ、大丈夫か?」

 

「ユエ、無事か?違和感とか無いか?」

 

「……撃った」

 

「えっ?撃って良いって言うから……」

 

「躊躇わなかった……」

 

 

流石のユエでも躊躇わずに撃ったハジメに対して少しだけ脅えていた。

 

 

「そりゃあ、最終的には撃つ気だったし。狙い撃つ自信はあったけど……」

 

「けど…?」

 

「流石に問答無用で撃ったらユエがヘソ曲げそうだし、配慮したんだぞ?」

 

 

それを配慮と言えるのか?と思った俺は心の片隅にしまっておくのであった。

 

 

「……ちょっと頭皮、削れた……かも……」

 

「まぁ、それくらいすぐ再生するだろ?問題なし」

 

「いやっ問題ありまくりだろう?幾ら俺でも流石に引くぞ?」

 

「うぅ~……」

 

 

流石に俺ですら引いてしまうくらいにハジメの躊躇いの無さに少しばかり危機感を覚える俺だった。そしてユエも“確かにその通りなんだけど!”と言いたげな顔でハジメの腹をポカポカ叩くのであった。

 

 

 

その後に安全を確保した後にデルタ分隊と合流してそこに新たなセーフティー・ルームをハジメが作り、そこで消費したドンナーの弾薬の製作をしつつも狩ってきた魔物肉を食べるのであった。ハジメはユエに食べないか聞いてみた。

 

 

「ユエも食うか?」

 

「いらない」

 

「まぁ、三百年も封印されて生きていたんだからな。飢餓感はないのか?」

 

「ある……けど、もう大丈夫」

 

「大丈夫って……何か食ったのか?」

 

 

そうハジメがユエに聞き出すとユエはハジメに指を指した。その時に俺はユエが吸血鬼族であることを思い出した。

 

 

「…そういえば、ユエは吸血鬼族だったな?」

 

「あぁそっか……てことは、血を飲めば食事は不要ってことか」

 

「食事でも栄養は取れる。でも、血の方が効率的」

 

「なるほどなぁ……は?」

 

 

すると何かを察したのかハジメの顔が青ざめる。デルタ分隊もハジメが青ざめた理由が察してしまったのか少しだけ引いてしまう。そしてユエは少しずつハジメに迫り寄る。

 

 

「ハジメは……美味。熟成の味…」

 

「お……おい、何言ってんだ?」

 

「ハジメの血…何種類の野菜と肉をじっくりコトコト煮込んだスープ…」

 

「いや、魔物の肉を食べ過ぎて不味そうだが……?ら、雷電!何とかしてくれねぇか?!」

 

 

ハジメはかなりの危機感を抱いていた。俺は助け舟を出そうと思ったが、先ほどのアルラウネ擬き戦においてユエに対して躊躇い無く撃ったこともあったのでこれで相子にしようと考える。

 

 

「ハジメ、俺も人のことを言えないかもしれないが……もういっそのことユエに食われたら?」

 

「ちょ……おまっ?!雷電っ!?」

 

「ライデンから許しが出た……!」

 

 

俺から許しを得たユエはそのままハジメを押し倒す。

 

 

「ちょ…待て、ユエ!お、俺の話を……おわぁっ!?」

 

「逃がさない……いただきます」

 

 

そんな形でハジメはユエの餌食?になった。そう俺が安堵したとたんにユエが“ライデンの血ってどんな味だろう…?”とユエが呟いた瞬間、俺の背筋が凍り付いた様な感覚が襲った後にユエはハジメ後を吸い終わった後に次は俺へと標的を変えてきた。俺はデルタに助けを求めようとしたが、これも貴重なの体験だろうと頭の中で言い聞かせながらも諦めて彼女に血を吸われるのであった。この時に俺が思った言葉は“解せぬ…”という言葉だけであった。因みにユエ曰く、俺の血の味は不思議な味でハジメの次に美味な味わいだそうだ。それってフォースと何か関係しているのではないのかと考えたが、流石に考え過ぎと思い俺は考えるのを止めた。

 

 

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