ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

12 / 85
とうとうあの剣が登場します。


12話目です。


決意と光の剣

 

 

あの大型の魔物が放つ極光が収まった後に俺たち辺りを見渡した。そこにはユエを庇って極光をまともに受け、地面には融解したシュラーゲンの残骸が転がっていて、仁王立ちしたまま全身から煙を吹き上げているハジメの姿と極光の余波で吹き飛ばされて倒れ込んでいる将軍とユエの姿があった。そしてハジメは、そのままグラリと揺れると前のめりに倒れこんだ。うつ伏せに倒れこむハジメの下からジワッと血が流れ出してくる。ハジメの“金剛”を突き抜けダメージを与えたのだろう。

 

 

「今の状況ではこちらが不利だ。将軍達を回収した後、一旦あのクリスタルに隠れるぞ!それと40、待機しているARCトルーパーに援護要請!」

 

 

デルタ分隊に指示を出した後に俺ことデルタ38は将軍達を遮蔽に隠す為に行動する。スコーチはハジメを、セヴは将軍を、フィクサーはユエを担ぎ、俺は大型の魔物の注意を引きつける為にDC-17mを撃ちながら撹乱を行う。何とか将軍達を遮蔽に隠す事が出来た後に俺も遮蔽に隠れる。そしてフィクサーの援護要請に答え、この場に駆けつけたARCトルーパーはデルタ分隊を援護しつつもヒュドラに攻撃していた。

 

 

「…三人の容態は?」

 

「ユエはあの魔物の攻撃の余波に吹き飛ばされたとはいえ、軽傷です。ですが……将軍とハジメのバイタルが不安定です」

 

 

三人の容態をフィクサーが答える。ユエはハジメが庇ったおかげで軽傷だが、ハジメや将軍は重傷だ。将軍の場合は暴走していたとはいえ、ユエの魔法をもろに食らったために目を覚まさないくらいに気を失っている。ハジメに至っては容態が酷いものだった。指、肩、脇腹が焼き爛ただれ一部骨が露出している。顔も右半分が焼けており右目から血を流していた。角度的に足への影響が少なかったのは不幸中の幸いだろう。

 

 

「フィールドバクタを使え。特にハジメの止血が最優先だ」

 

 

そう俺が指示を出し、スコーチとセヴはフィールドバクタ*1を取り出してハジメや将軍に向けてフィールドバクタを使用する。そのおかげでハジメの右目の出血を止血し、将軍がユエの魔法によるダメージの回復に成功する。そして、先に目を覚ましたのはハジメだった。

 

 

「…っ!……ぐっ!」

 

「ハジメ、目を覚ましたか」

 

「デルタ…か?俺は……どうなって…っ!」

 

 

ハジメはもう右目が見えない状況の中、ハジメは懐から神水を取り出してそれを飲む。神水の効果でハジメの焼き爛れた傷が完全に治ったが、右目だけは治らなかった。

 

 

「…クソッ!さっきの攻撃で右目が完全にやられたか……!」

 

「無理をするなハジメ。いくら神水で回復したとはいえ、疲労は別だ。ここで回復するのを待て」

 

「冗談っ!ここで大人しく待ってくれる程、敵は優しくはない!」

 

 

ハジメはドンナーを取り出し、利き目をやられているのにも関わらずドンナーをヒュドラに向けて発砲する。しかし、今ハジメは復活したばかりで殆どの魔力は神水の効果で回復したとはいえ、魔力が完全に回復してはいなかった。それでも纏雷によって電磁加速され、発砲出来ただけでもそれなりの威力がある。だが、その弾丸ですらヒュドラの鱗に掠り傷を付ける程度だった。

 

 

「チィッ!やっぱ完全に回復してねえからこれぐらいが限界か!」

 

「……っ。ハジメ?」

 

「っ!?……ユエ!」

 

 

その時にユエが目を覚まして、辺りを見渡して状況を把握する。その時にハジメの痛ましい姿を見た。

 

 

「…ハジメ!?その右眼……」

 

「……気にするな、片眼はまだ生きてる。今は彼奴をどうやって殺すかだ」

 

「でも……っ!そういえば、ライデンは?」

 

「将軍はフィールドバクタで治療したが未だに目を覚まさない。今の状況はかなり不利だ、打開策を見つけない限り……」

 

『デルタ分隊、こちらARCトルーパー部隊!敵の激しい攻撃で負傷者多数、被害が甚大だ!至急応援を求む!』

 

 

ハジメと話している時にARCトルーパーから応援の要請が入る。ヒュドラの方を見ると、ARCトルーパー達がかなり苦戦しており、負傷者が多数存在した。

 

 

「クッソ!彼奴の鱗は俺たちのブラスターですら受け付けないのかよ!」

 

「いやっ……案外そうでもなさそうだ。見ろ、奴の鱗の傷を。少なくとも奴には微小だがダメージは与えられる様だ」

 

 

スコーチはヒュドラの高い防御力に悪態を吐くが、セヴがよくヒュドラを観察したところ鱗にはARCトルーパー達から受けたブラスターの銃痕が残っていた。

 

 

「その様だ。ハジメ、ユエ。本来なら負傷しているところ無理をさせたくはないが……いけるか?」

 

「あぁ……もとよりそのつもりだ!」

 

「…ん!私も、ハジメと同じ……!」

 

「……その意気だ。だが、出来る限り無理はするな。無茶と無理は違うからな。デルタ、将軍を安全な場所に移動させた後、ARCトルーパー達の援護に向かうぞ!」

 

 

そう指示を出した後に俺は将軍を担ぎ、クリスタルの柱に将軍を隠れさせた後にハジメと共にARCトルーパー達の援護に向かうのであった。

 

 

ボスSide out

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は……どうなったんだ?

 

 

 

俺はあのヒュドラの幻覚に惑わされて幻覚であるスカイウォーカーと殺し合っていた筈だった。だが、そのスカイウォーカーの姿すら見当たらず、俺は今何もない真っ暗な暗黒空間にいた。どういうことだと考えている時に何も無いところから声が響いた。

 

 

 

“フッフッフ……良いぞ、その怒りと闘争心が素晴らしい……!”

 

 

 

その声に俺は聞き覚えがあった。その声は嘗て銀河共和国の元老院最高評議会議長であり、シスの暗黒卿であるシーヴ・パルパティーンことダース・シディアスの声だった。

 

 

「ダース…シディアス……!」

 

 

 

“お主は我が弟子ダース・ヴェイダーに対し、激しい怒りと憎しみを持っている。師や友を殺され、そして自分自身に怒りを覚えている”

 

 

 

「黙れ……と言いたいところだが、確かに俺はアナキン・スカイウォーカーのことを激しく憎んでいる。あいつは愛する妻の為に俺たちジェダイを裏切った。俺のマスターを殺し、挙げ句の果てに他のジェダイやパダワン見習いのイニシエイト達を……子供達を殺した彼奴を許せない。だが……その現実に恐怖し、俺は他のジェダイたちよりも先に逃げ出してしまった。そんな自分が許せない!」

 

 

 

そうだ。あの時……俺は自分のことで精一杯で自分だけ助かろうと必死だった。その時に俺はジェダイとしての道を踏み外したのかもしれない。フォースの暗黒面に堕ちる前にだ……。

 

 

 

“そうだ……それこそジェダイの弱点でもあり、弱さなのだ。ドゥークーがジェダイ・オーダーから脱退した際、ジェダイ・マスターや他のジェダイ達は自分たちの見ていないところでドゥークーがどうなっていようが、ドゥークーがジェダイであったという過去が彼らにとっての全てだった。……これがどういう意味か分かるか?”

 

 

 

「…ジェダイは特に保守的な存在でありながら、僅かな変化を恐れていた……と言うべきか?」

 

 

 

“然様……フォースにより未来を見据えているのにもかかわらず、未来のことばかり危険視しておきながら現実のことは全く何も見ていないのだ。全く以って下らない。吐き気を催すほどの無頓着さだ。どの道、あのクローン戦争で力を示し過ぎたことで最早ジェダイは平和の守護者などではなく、暴力装置として成り下がったのだ。その結果はお主の地球人の友から聞かされたのであろう?遅かれ早かれジェダイ・オーダーでは平和を維持するのには限界だった。だから滅びた……フォースはバランスを保つ為にジェダイではなく世界を選んだのだ。その胸の中の()()()()という錘さえ無ければ、お主の本性は我らシスと何ら変わるところはない。クローン戦争で暴力装置と化したジェダイは最早戦いから逃れられぬ存在になり、時代がジェダイを拒絶したのだ”

 

 

 

シディアスが言う様に、ジェダイ・オーダーは本来の役割から逸脱した存在に成ってしまったことで限界が来てしまったことやスカイウォーカーが愛する妻を守りたかっただけなのはハジメから聞かされている。改めて思うと、自分自身はどうなんだ?あの世界で死した後に地球で転生して何事もなく過ごしていた。自分はただ、あの世界で体験した悪夢から逃げる様に忘れたかっただけなのかもしれない。だけど……これだけは確信していることがある!

 

 

「確かに……俺たちジェダイは、本来の役割から逸脱した存在として堕ちてしまった。クローン戦争で力を示し過ぎたことで戦場でしか戦うことでしか許されない戦士に成り果ててしまい、時代から拒絶されてしまった。だが……それでも俺は、フォースのライトサイドとダークサイドの戦いの中にも光を見続けたいのだ!勝ち残るのは正義なのではなく……()()が勝つのだ!!

 

 

 

“フッハッハッハ……!それも良かろう。だが、ジェダイとシスとの永きに渡る因縁の戦いの中からしかその言葉を導き出せなかったこと……よく覚えておくが良い。そして……お主がフォースのダークサイドの力を完全に我が物にした暁には余の弟子として迎え入れよう。何、余は辛抱強くてな。待つには自信があるのでな……”

 

 

 

その言葉を皮切りにシディアスの声が完全に聞こえなくなった。その代わり、己自身の闇であろう死したジェダイ達が俺の前に姿を現した。

 

 

 

何故ここにもどって来た?態々我々に殺されに来たのか?

 

 

 

やはり俺は過去に対して恐れを抱いているからこそ今の状況にいると改めて思わされる。…だが、俺は己自身の闇……即ち過去という悪夢から逃げず、向き合う為に俺は死したジェダイ達の前に立つ。

 

 

「違う……俺はあなた方ジェダイと己自身の悪夢から逃げずに向き合うと決めました」

 

 

 

武器も無しにここに来たお前がか?

 

 

 

するとジェダイ達がライトセーバーと取り出し、起動させてプラズマ刃を展開する。それに対して俺はジェダイと名乗るのは痴がましいことを理解しつつも俺はエレクトロ・ロングバトンを取り出す。

 

 

「俺は最早ジェダイではなく、地球に住む人間の一人。……だけど、フォースは常に俺たちと共にあることをマスター達から教わりました。それに……ジェダイとは平和の守護者であり、ライトセーバーやフォースが使えるからといって、それがジェダイの証ではありません。これは己自身が導き出した答えでもあり、俺自身の闇と向き合う為の試煉です」

 

 

そう言って俺はエレクトロ・ロングバトンを地面に置き、膝をついて無抵抗になる。そして無数のジェダイ達が俺に近づいてそのままライトセーバーを俺に目掛けて振り……落とされることがなかった。ライトセーバーが俺に当たる寸前に止め、ジェダイ達は俺から離れる。そしてライトセーバーを出力を切らず俺を中心に円陣を作る。そして一人のジェダイ・マスターが近づき、俺に声をかける。その声は先ほどの怒りと憎しみが混じった声ではなく。清々しく清らかな女性の声であった。その女性のジェダイは嘗て前世の俺の師であった“フィリア・メンデル”であった。

 

 

 

評議会に与えられた権利とフォースの意思により、ライ=スパーク……いや、地球で生きる藤原 雷電よ。其方がジェダイの騎士として名乗ることを許す…立ちなさい

 

 

 

「マスター……」

 

 

 

我々ジェダイは平和の守護者でありながらもクローン戦争で力を示し過ぎた結果、本来ジェダイとしての本質を見誤った。フォースとの絆は汚され、今やジェダイは共和国……いえ、世界に対する暴力装置へと成り下がった。最早ジェダイは世界の秩序と平和をもたらす存在では無くなってしまった。たとえ、我々が共和国最高議長であるシスを倒したとしてもジェダイと共和国内での内乱は避けられないものだった。そう……既に我々ジェダイはシスの手のひらに踊らされながらも本来の役割から逸脱した存在に成り下がってしまったのだ。…だが、まだ希望が消えたわけではない。雷電、其方は地球に生きる最初で最後のジェダイとして義務を果たしなさい。たとえそれが苦難の道だとしても。其方にフォースと共にあらんことを……

 

 

 

それを皮切りに死したジェダイ達は元のあるべき場所に戻るかの様に消えて行った。マスター・フィリアもまた然りだ。そして俺の意識は現実世界へと戻って来た。俺は地球人で最初で最後のジェダイとして生き延び、ハジメや他の皆と共にもとの世界に必ず帰る決意をするのであった。その時に俺の懐からステータスプレートが勝手に動き出し俺の目の前で止まった。俺は今一度ステータスを確認してみた。

 

 

 

===============================

藤原 雷電 17歳 男 レベル77

天職:ジェダイの騎士

筋力:1930《+3000》

体力:2010《+3000》

耐性:1930《+3000》

敏捷:3000《+3000》

魔力:6500《+3000》

魔耐:1690《+3000》

技能:フォース感知者・フォース光明面・フォース暗黒面・剣術・ライトセーバーの型[シャイ=チョー][ソレス][ニマン][ジャーカイ]・クローン軍団召喚[+共和国軍兵器召喚][+共和国軍武器・防具召喚]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・フォース操作[+フォース身体強化][+フォーススキル]・全属性適性・全属性耐性・物理耐性・風爪・胃酸強化・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・夜目・遠目・気配感知・魔力感知・熱源探知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解

===============================

 

 

 

ステータスプレートに伏せられていた天職がジェダイの騎士と表示されていた。どうやらフォースと一体化したジェダイ達に認められた様だ。更にジェダイになった事でステータスもジェダイとしての本来の力が反映された。そして俺は意識が覚醒して周りを確認する。するとハジメ達はヒュドラの七本目の頭と戦っているのを確認した。

 

 

「ハジメ達は無事だったんだな。だったら……俺は余り寝ている訳には…いかないな……っ?」

 

 

身体を起こしてハジメ達のところに向かおうとしたその時に、俺は強いフォースを感じ取った。そのフォースが感じる場所はヒュドラの背後にある扉からであった。それが何なのか分からなかったが、俺はそのフォースに呼ばれている気がした。

 

 

「あの扉の向こうから俺を呼んでいる?感じる……」

 

 

そして俺は意識を集中させ、そのフォースの元を辿り、それを引き寄せる様に意識を集中させた。

 

 

雷電Side out

 

 

 

ヒュドラと交戦しているARCトルーパー達の援護の為に到着した俺たちはドンナーやブラスターなのでヒュドラの注意を引きつけながらも弱点を探していた。

 

 

「チィ……!相変わらずあの鱗が固ぇな、あの鱗の固さを凌駕する威力をぶつければ何とかなるが、シュラーゲンはもうぶっ壊れたから使えねえ……!」

 

「こちらも対装甲アタッチメントの残弾はあの六本首の時に全部使い果たした。ARCトルーパーも残っている武器はDC-15やZ-6ロータリー・ブラスター・キャノンしかない。他にあるとするならサーマル・デトネーターが数個しか無い」

 

 

ARCトルーパー達が所持していたロケット・ランチャーやミサイル・ランチャーは既に弾切れで雷電の技能が無ければ弾の補充がままならない。

 

 

「でも…ライデンがいない今、私たちだけでもやらなくちゃ……!今度は私たちが、ライデンを助ける……!」

 

「あぁ、元よりそのつもりだ。あいつには色々な借りがある訳だしな!」

 

「俺たちはただ将軍が与えられた任務は完遂させる。その為にも今はあの魔物を排除するぞ、デルタ!」

 

 

ユエとボスもヒュドラに対する闘争心が折れていなかった。それはARCトルーパー達も同じだった。俺たちは再び武器を持ち直してヒュドラに挑もうとしたその時、ヒュドラの背後の扉が勝手に開いた。俺らやヒュドラもこれには無視出来ず、その開いた扉の方を見た。

 

 

「……何だ?」

 

 

そう俺が口にしたその時、その扉から金属の柄の様な物体が俺たちの方……いや、()()()()()()()()()引き寄せられる様に飛んできた。その物体は俺たちを通過して雷電の手に渡った。

 

 

「「ライデン(将軍)っ!?」」

 

「雷電!?…お前、目を覚ましたのか?」

 

「……あぁ、少しばかり寝過ごしてしまったがもう大丈夫だ。俺はまだ……戦える!」

 

 

すると雷電は飛んできた柄を剣の様に構え、そして何かしらのスイッチを起動させるとその筒から青白いのプラズマ刃が独特な音を唸らせて出現した。それは宛らジェダイが使うライトセーバーそのものだった。

 

 

「おまっ……!?雷電、それって!?」

 

「分からん。だが、今言えるのは一刻も早くこの状況を打開することだ。デルタ、残存する最大火力は?」

 

「デトネーターだけです将軍。何か策でも?」

 

「いや、策ともいえない賭けだ。ハジメ、ユエ、まだ動けるか?」

 

 

雷電が俺とユエにそう確認した時に俺たちは無言で首を縦に振った。

 

 

「よしっ……ARCトルーパー達にデルタ分隊、出来るだけヒュドラの注意がハジメ達に向かわないように攻撃を継続、ユエは魔力が残っているなら蒼天は使えるか?」

 

「使える。…でも残った魔力じゃ1回しか使えない」

 

「1回使えるのなら十分だ。ハジメ、一応聞くが手榴弾はまだ残っているか?」

 

「まだ残っているぜ。…だが、そいつをどう使うんだ?」

 

「何、簡単なことさ……」

 

 

そう言って雷電はヒュドラの上、つまりはこの部屋の天井を指で示していた。その時に俺はライデンが考えていることを理解した。

 

 

「!……そう言うことか、だったら俺の技能の空力で……!」

 

「頼んだぞ、ハジメ。この賭けはお前の成否に掛かっている」

 

 

雷電は俺の行動に託し、ライトセーバーを手に持ってヒュドラの前にたった。……あぁ、俺は……俺たちは絶対にこの迷宮から脱出して、俺たちの故郷に帰ってみせる!

 

 

ハジメSide out

 

 

 

俺はハジメ達に一か八かの賭けの内容を説明した後に俺はこの世界に存在しない筈のライトセーバーを構え直してヒュドラの前に立つ。するとヒュドラは俺たちのことを危険視したのか切断されたドラゴン達の頭と、非ぬ方向に首が曲がっている白いドラゴンの頭が消滅し、残った一本の銀入りの頭に魔力が集束されていた。魔力感知もそうだが、フォースを通して奴は俺たちに対して本気で倒しに掛かる様だ。…だが、それはこっちも同じだ。

 

 

「いくぞ……フォースと共にあらんことを!」

 

 

その言葉を皮切りに全トルーパーとハジメ達は行動を開始して俺もヒュドラに対してライトセーバーで攻撃するのであった。デルタ分隊やARCトルーパーはヒュドラがハジメに攻撃されないようブラスターによる援護射撃、ハジメは天歩の派生技能である空力を使い、空中を蹴りながらもドンナーで天井を撃ち、手榴弾を填める窪みを作って手榴弾を嵌め込む。そして俺はライトセーバーでヒュドラが放ってくる無数の光弾を弾きながらもヒュドラの注意を引いていた。

 

 

「雷電、こっちはOKだ!」

 

「そうか、ならハジメは離れてろ。起爆させる」

 

 

そうハジメに指示を出す。ハジメはすぐにその場から離れる様に空力で距離を取る。それを確認した俺は無数の光弾の内数発をハジメが仕掛けた手榴弾に向けて弾き返す。そして手榴弾に直撃した途端天井が爆発し、崩壊した天井の瓦礫がヒュドラを襲いかかる。無論これで倒したとは思ってもいなかった。

 

 

「念には念だ……錬成!」

 

 

その時にハジメはヒュドラが万が一に瓦礫から脱出されない様により瓦礫を錬成して穴を塞ぎ、より脱出しにくい形にした。

 

 

「……ユエ、今だ!」

 

「…ん!……“蒼天”!

 

 

そこにユエの魔法による追撃でヒュドラは更なるダメージを受ける。更に追い打ちと言わんばかりにデルタ分隊が行動に出る。

 

 

「今だ、デトネーターを投げ込め!」

 

 

それを合図にデルタ分隊やARCトルーパーが持っているサーマル・デトネーターをヒュドラの銀色の頭に向けて投げ込む。しかし、ヒュドラの頭の高さには届かないのは分かっている為に俺はフォースを使って全てのデトネーターをヒュドラの頭のところまで移動させる。

 

 

「……ハジメェ!」

 

「あぁ……!雷電を弄ぼうとした礼だ、存分に食らいな!!」

 

 

俺はハジメの名を叫んだ時にハジメはドンナーを構え、フォースの力で移動中のデトネーターを狙い、引き金を引いた。放たれた弾丸はそのままデトネーターの方へ飛んで行き、直撃した瞬間に大爆発を起こした。しかし……その大爆発を至近距離で受けたヒュドラはまだ生きていた。…だが、それは想定内だ!俺はフォースによる身体能力強化と技能の一つである空力で一気にヒュドラとの距離を積めた後にライトセーバーで一閃。

 

 

 

……ヒュドラの最後の頭の首を切り落とした。

 

 

 

無事に何とかこの迷宮の最下層の魔物であるヒュドラを倒したのだった。

 

 

「……何とか倒せたな。つっても、最後の最後で美味しいところを雷電に持っていかれたけどな。けどまぁ……おかげで助かった。こっちは流石に…もう限界……だな………」

 

「ハジメ……?ハジメッ!」

 

 

ハジメは復活したばかりのツケが今になって回り、その場で倒れ込んだ。その場にいたデルタ分隊や生き残ったARCトルーパー達がハジメの元に向かい、そして俺もハジメの容態を確認すべく向かうのであった。

 

 

*1
コマンドーが所持するSW版の救急スプレー兼AEDである




今回登場した剣ことライトセーバーです→
【挿絵表示】


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。