ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

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志村さんが新型コロナによって亡くなってしまい、ショックを受けて一時期執筆が止まってしまった。…惜しい人が亡くなってしまった。

それとあるアンケートを実施します。アンケート次第でタグが変わります。


19話目です


一触即発と亜人国フェアベルゲン

 

 

俺達はこの国の亜人族であろう虎人族に包囲されていた。この時に俺は、密かに技能の“念話”でハジメにどうするかと相談していた。

 

 

(……どうするハジメ?連中はかなり殺気立っている様だが、これはかなり()()()()()()になりそうだ)

 

(だな。…取りあえずだ、俺がドンナーであのリーダー格の虎人族の横にある近くの木にぶっ放して威嚇する。雷電はその後のことを考えて何かしらのアクションを起こしてくれ)

 

(無茶難題だな。どの道、荒事は避けられないか…)

 

 

そうしてハジメとの念話を終えて、俺は相手が行動を起こすまで待った。その時にシアを含むハウリア達は虎人族に見つかってしまったことに戸惑いを隠せなかった。すると虎人族のリーダー格がシアを見た瞬間、より一層に殺意が増した。

 

 

「白髪の兎人族の女…貴様らが報告にあったハウリア族か!亜人族の面汚し共め!長年、同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとは!反逆罪だ!もはや弁明など聞く必要もない!全員この場で処刑する!」

 

 

そう虎人族が言った瞬間、俺はある一つの感情が沸き上がる。その感情とは、“怒り”だった。確かに、シアは他の亜人族と違って魔力を操れる者だ。…ただそれだけ、それだけなのだ。それに対して虎人族のリーダー格は、彼らハウリア達の弁明を聞かず一方的に反逆者と決めつけ、あろう事かこの場で処刑すると宣言して来たのだ。この時に俺は既に我慢の限界だった。そして俺が取った行動は……

 

 

「総員かッ……うぉ…がぁっ!?」

 

「「「…!?」」」

 

 

その虎人族のリーダー格に“フォース・グリップ”でその者の首を締め上げた。この異様な光景に虎人族だけではなくハウリア族やハジメ達も驚いていた。この時にハジメは俺が先に行動した事について声をかける。

 

 

「!?…おいっ雷電!お前…いきなり何を?」

 

「すまない、ハジメ。流石の俺でも、俺の中のグツグツと煮え滾る怒りの感情を抑えられそうにない。学校もそうだが…人としての生活が長かったから、より感情的になりやすくなっているな…

 

「ぐっ!?……きさ…ま、何…を……!?」

 

 

するとフォース・グリップを受けている虎人族のリーダー格が、苦しみながらもなんとか声を出して俺に問い出して来たがそんな事はどうでもいい。俺は虎人族に告げた。

 

 

「ハウリア族がこの国に取ってお尋ね人であることは彼らから聞いた。だが、俺達の目の前で()()()()()()()()だと?……これは余り言いたくはないが、せめてこれだけは言わせろ」

 

 

 

図に乗るな、ネコ風情が……

 

 

 

俺は抑えきれない感情に流されるがまま、虎人族に向けて怒りと殺意を言葉に乗せて言い放った。そしてハジメは俺に落ち着かせる様に説得してきた。

 

 

「落ち着け、雷電。お前の怒りは最もだが、お前が更に面倒ごとを起こしては本末転倒だろ?俺達の本来の目的を忘れるな」

 

「ハジメ……」

 

 

ハジメの言葉を聞いて俺は、血が上っていた頭を冷やし、徐々に冷静さを取り戻してフォース・グリップを受けている虎人族のリーダー格を解放する。

 

 

「がはっ…ごほっ…!ぐっ!おのれ……!人間がよくも……ッ!?」

 

 

解放された虎人族のリーダー格が俺に敵意を向けるが、その時にハジメがドンナーで“ドパンッ!!”と弾丸を放つ。銃声と共に一条の閃光が彼の頬を掠めて背後の樹を抉り飛ばし樹海の奥へと消えていった。聞いたことのない炸裂音と反応を許さない超速の攻撃に誰もが硬直している。理解不能な攻撃に凍りつく虎人族。しかし、そんな事はどうでもいいかの様にハジメが虎人族に威圧し、警告する。

 

 

「…一応言っておくが。俺は雷電の様に優しくはないし、こいつらを殺るというのなら容赦はしない。約束が果たされるまで、こいつらの命は俺が保障しているからな。ただの一人でも生き残れると思うなよ」

 

 

そういってハジメは威圧感の他に殺意を放ち始める。そしてデルタ分隊も虎人族に向けてDC-17mを構えながらいつでも撃てる様にする。あまりに濃厚なそれを真正面から叩きつけられている虎の亜人は冷や汗を大量に流しながら、ヘタをすれば恐慌に陥って意味もなく喚いてしまいそうな自分を必死に押さえ込んでいた。……無理もない。この世界では銃という概念が存在しない為、この世界の住人に取っては未知の武器とも言えるのだ。

 

 

「だが、この場を引くというのなら追いもしない。敵でないなら殺す理由もないからな。さぁ、選べ。敵対して無意味に全滅するか、大人しく家に帰るか」

 

「ハジメ……自分が先にやっておいて何だが、その台詞…完全にこっちが悪役みたいだぞ?」

 

 

そうハジメと遣り取りしている最中、虎人族のリーダー格が俺達に何をしに来たのか問い出して来た。

 

 

「……その前に、一つ聞きたい。貴様ら…何が目的だ?」

 

「目的か?俺達の目的は、七大迷宮の攻略だ。その為にも、樹海の深部、大樹ウーア・アルトの下へ行きたい」

 

「大樹の下へ……だと?…何故そこに向かう必要がある?」

 

「そこに、本当の大迷宮への入口があるかもしれないからだ。俺達は七大迷宮の攻略を目指して旅をしている。ハウリアは案内のために雇ったんだ」

 

 

真の大迷宮のことを虎人族に話したが、まるで話が噛み合っていないかの様に若干困惑していた。

 

 

「本当の迷宮?…何を言っている?この樹海そのものが七大迷宮の一つであるはずだ。一度踏み込んだら最後、亜人以外には決して進むことも帰る事も叶わない天然の迷宮だ「いや、それはおかしい」…なんだと?」

 

「大迷宮ってのは“解放者”たちが残した“試練”なんだよ。亜人族は簡単に深部へ行けるんだろ?それじゃあ試練になっていない」

 

「あぁ。……それ以前にだ、ここの樹海の魔物が弱過ぎる。真の大迷宮にいる魔物よりもはるかに下だった。俺達が強過ぎるということもあるが、この樹海が迷宮そのものとは到底思えない。だから俺達は、大樹の下にあるかもしれない真の大迷宮への入り口に向かっている。それが俺達がここに来た目的だ」

 

 

一応この樹海に入ってから樹海の魔物と遭遇しては撃退し、ハウリア族たちを護衛しながらも何とかこの場所まで辿り着いたのだ。しかし、先ほど言った様にここの魔物はオルクス大迷宮の奈落にいる魔物と比較してかなり弱すぎるのだ。

 

 

 

話が別の方に飛んでしまった為、本題に戻ろう。

 

 

 

虎人族は困惑を隠せなかった。俺達の言っていることが分からないからだ。樹海の魔物を弱いと断じることも、“オルクス大迷宮”の奈落というのも、解放者とやらも、迷宮の試練とやらも……聞き覚えのないことばかりだ。普段なら、“戯言”と切って捨てていただろう。

 

 

 

だがしかし、今、この場において、俺達が適当なことを言う意味はないのだ。圧倒的に優位に立っているのは俺達の方であり、言い訳など必要ないのだから。しかも、妙に確信に満ちていて言葉に力がある。本当に亜人やフェアベルゲンには興味がなく大樹自体が目的なら、部下の命を無意味に散らすより、さっさと目的を果たさせて立ち去ってもらうほうがいいと虎人族のリーダー格が判断するのだった。

 

 

「…つまり、国や同胞に危害を加えるつもりはないのだな」

 

「あぁ。そっちが殺るつもりで来るのなら話が別だがな」

 

「…であれば、大樹へ向かうのは構わないと私は判断する」

 

「!?隊長!その様な異例は──」

 

「…だが、これは部下の命を考えた私の独断。本国からの指示を仰ぎたい。お前の話も長老方なら知っておられるかもしれん。伝令が行くまで私とこの場で待機しろ」

 

 

…どうやらこの状況で中々理性的で冷静に判断ができる亜人と判断した俺は少しばかり感心した。そして、今、この場で彼等を殲滅して突き進むメリットと、フェアベルゲンに完全包囲される危険を犯しても彼等の許可を得るメリットを天秤に掛けて……後者を選択した。大樹が大迷宮の入口でない場合、更に探索をしなければならない。そうすると、フェアベルゲンの許可があった方が都合がいい。もちろん、結局敵対する可能性は大きいが、しなくて済む道があるならそれに越したことはない。

 

 

「……懸命な判断だ。より良き隊長の様だな」

 

「…それはそうと、俺の言った通りに曲解せず、ちゃんと伝えろよ?」

 

 

何とか大きないざこざを起こさずに済みそうと思った俺は、少しばかり安堵したのだった。

 

 

雷電Side out

 

 

 

しばらくの間、重苦しい雰囲気が周囲を満たしていたが、そんな雰囲気に終わりを告げる様に霧の奥からは数人の新たな亜人達が現れた。彼等の中央にいる初老の男が特に目を引く。流れる美しい金髪に深い知性を備える碧眼、その身は細く、吹けば飛んで行きそうな軽さを感じさせる。威厳に満ちた容貌は、幾分シワが刻まれているものの、逆にそれがアクセントとなって美しさを引き上げていた。何より特徴的なのが、その尖った長耳だ。彼は、森人族(いわゆるエルフ)なのだろう。

 

 

 

その時に俺と雷電は、瞬時に彼が“長老”と呼ばれる存在なのだろうと推測した。その推測は、どうやら当たりのようだ。

 

 

「ふむ、お前さんらが問題の人間族かね?名は何という?」

 

「ハジメ。南雲ハジメだ」

 

「雷電。藤原雷電だ。そして、俺の隣にいる兵士兼戦友たち、デルタ分隊だ」

 

「私はアルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。さて、お前さんの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。“解放者”という言葉、何処で知った?」

 

 

どうやらアルフレリックという長老は俺達が解放者という言葉を何処で知ったのか気になる様だ。論より証拠と言わんばかりに、俺は宝物庫からオスカー・オルクスの指輪を取り出した。

 

 

「オルクス大迷宮の奈落の底、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家だ。その証拠に、これを見てくれ。オスカー・オルクスの指輪だ」

 

 

そう言って俺はアルフレリックにオルクスの指輪を渡し、確認させた。アルフレリックは、その指輪に刻まれた紋章を見て目を見開いた。

 

 

「こ、これは…!この紋章はまさしく…。なるほど……信じ難いが、オスカー・オルクスの隠れ家に辿り着いている様だ。…よかろう。取り敢えずフェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな」

 

「何?…ちょっと待て。俺達は大樹に用があるだけでフェアベルゲンに興味はない。問題ないならこのまま向かわせて「待て、ハジメ」…雷電?」

 

 

俺が言っている時に雷電が割って入って来た。何かを確認しようとしたのか、雷電はアルフレリックにある確認を取った。

 

 

「少し確認したいことがある。アンタがフェアベルゲンに滞在する許可を出すということは、今は大樹に向かうべきではないと取るが……その辺はどうなんだ?」

 

「…お前さんの言う通り、今から大樹に向かおうとしても無理だ。大樹の周囲は特に霧が濃くて、亜人族でも方角を見失う。一定周期で訪れる霧が弱まった時でなければならん。…亜人族なら誰でも知っているはずだが…」

 

 

俺は聞かされた事実にポカンとした。雷電はなるほどと納得をしていた。その時に雷電はカムの方を見た。そのカムはと言えば……

 

 

「あっ」

 

 

まさに、今思い出したという表情をしていた。流石の俺でも額に青筋が浮かんだ。

 

 

「…おいカム、どういうことだ?」

 

「落ち着けよハジメ、彼らと初めて会ったときは魔物に襲われて切羽詰まっていたんだぞ?それだと忘れてしまうのも無理もない」

 

「あはは……その、何といいますか……ほら、色々ありましたから、つい忘れていたとうか…その…」

 

 

雷電のフォローがありながらも、しどろもどろになって必死に言い訳するカムだったが、俺とユエのジト目に耐えられなくなったのか逆ギレしだした。

 

 

「ええい、シア、それにお前達も!なぜ、途中で教えてくれなかったのだ!お前達も周期のことは知っているだろ!」

 

「な…父様、逆ギレですかっ!?私は、父様が自信たっぷりに請け負うから、てっきりちょうど周期だったのかと…」

 

「そうですよ!僕たちもおかしいなとは思っていたけど族長が……」

 

「お前たちそれでも家族か!?これはそう…連帯責任だ!!」

 

「父様汚い!」

 

「あんたそれでも族長か!!」

 

 

逆ギレするカムに、シアが更に逆ギレし、他の兎人族達も目を逸らしながら、さり気なく責任を擦り付ける。亜人族の中でも情の深さは随一の種族といわれる兎人族。彼等は、ぎゃあぎゃあと騒ぎながら互いに責任を擦り付け合っていた。情の深さは何処に行ったのか……流石、シアの家族である。総じて、残念なウサギばかりだった。

 

 

 

こうしている間にも青筋が浮き上がる者がいた。俺もそうだが、その青筋を浮かべていたのは雷電だった。

 

 

「ハジメ、少し待っててくれ。すぐ彼らを沈ませる」

 

「お…応、ほどほどにな……?」

 

 

そう言って雷電は、フォースを使ってハウリア族を2〜3m浮かび上がらせた後にハウリア族を逆さにして、そのままフォースを解いて自然落下で地面に落とした。その結果、ハウリア族の頭部に拳一つ分のたん瘤が出来上がった。その後に雷電の説教を受けるハウリア族だった。

 

 

ハジメSide out

 

 

 

ハウリア族達を静まらせた後に俺達は、このまま亜人達の国である“フェアベルゲン”に向かうのであった。シア達は未だに出来たたん瘤に痛がっていた。

 

 

「うぇ〜…父様、私たちまで巻き込まないでくださいよぉ〜」

 

「わっはっは、我らハウリア族はどんな時も一緒だ!」

 

「…全く、自分のミスを相手に押し付けるんじゃない。そこは素直に謝れば良かったものを……」

 

 

俺はシア達のあの責任の擦り付け合いに呆れを覚えながらも若干不安を覚えるのだった。その頃ハジメはアルフレリックと大樹の霧について話し合っていた。

 

 

「それで…霧が弱まるまで本当に十日もかかるのか?」

 

「こればかりは我々でもどうしようもないな」

 

 

そうこうしている内に、眼前に巨大な門が見えてきた。太い樹と樹が絡み合ってアーチを作っており、其処に木製の十メートルはある両開きの扉が鎮座していた。天然の樹で作られた防壁は高さが最低でも三十メートルはありそうだ。亜人の“国”というに相応しい威容を感じる。

 

 

「さぁ着いたぞ。我々の故郷“フェアベルゲン”だ」

 

「ここが亜人達の国フェアベルゲンか…」

 

「綺麗…」

 

「初めて来たのはいいが、思ったよりいい歓迎ムードじゃなさそうだな?」

 

「無理もないだろう、今回俺達という存在が彼らに取っては異例なんだ。警戒されてもおかしくはない」

 

 

こういうのはジェダイの頃でもなれていたが、また何か荒事が起きそうでいやな予感でしかない。

 

 

 

俺達は現在、長老の家でアルフレリックと向かい合って話し合っていた。内容は、俺とハジメがオスカー・オルクスに聞いた〝解放者〟のことや神代魔法のこと、自分たちが異世界の人間であり七大迷宮を攻略すれば故郷へ帰るための神代魔法が手に入るかもしれないこと等だ。

 

 

「…なるほど。この世界は神の遊戯の盤であったと…」

 

「…驚かないんだな」

 

「この世界は亜人族(われわれ)に優しくはない。今更だ」

 

 

その後にハジメはアルフレリックに解放者について知っているのかどうかを聞いてみると、答えはNOだった。アルフレリック曰く、古くから伝わる長老の座についた者への言い伝えだそうだ。

 

 

「七大迷宮は“解放者”という者たちによって作られた。曰く、“迷宮の紋章を持つ者には敵対しないこと”。“その者を気に入ったのなら望む場所へ連れて行くこと”。お前さんたちの持っていた指輪はその紋章の一つだった。故に敵対せず、案内をしたのだが──」

 

「全ての亜人族がそれを知っている訳ではない。…ということか」

 

「その様だな。それとハジメ、面倒なことに知っていてもそれを守らない者もいる様だ」

 

 

そう言った時に扉を蹴破る音が部屋に響いた。その正体は、熊の亜人がこの部屋に押し入って来たのだ。

 

 

「アルフレリック!!貴様…どういうつもりだ。人間と忌み子を招き入れるなど…!」

 

「なに、口伝に従ったまでだ。お前も長老の座に在るなら事情は理解できるはず」

 

「こんな人間族の小僧共が資格を持つというのか!敵対してはならない強者だと!」

 

 

この熊の亜人が長老の座についているとなると、逆に俺は頭が痛くなりそうだった。熊の亜人の長老は、どうやら地球の言葉でいう“井の中の蛙大海を知らず”という言葉に当て嵌まるようだ。

 

 

「…なぁハジメ、俺たちは今、井の中の蛙大海を知らずと言葉に当て嵌まる亜人に少しばかり頭痛を抱えそうなんだが……」

 

「そう言ってやるな。只でさえ、こいつの視野の狭さに俺だって頭を抱えているんだからよ……」

 

「何だと…!巫山戯るな!ならばこの場で試してやる!!」

 

 

そう言って熊の亜人は殺意を持って俺に向けて拳を振るおうとする。だが、俺はフォースの未来予知でこの程度の攻撃を簡単に左腕に掴み止める。

 

 

「俺は荒事や面倒事は出来るだけ避けたいんだ。だが、殺意を持って攻撃してくる、もしくはしてきたのなら話は別だ。…高くつくぞ」

 

 

俺は掴んでいた熊の亜人の腕を離した瞬間、フォースの力を借りた身体能力強化でそのまま熊の亜人の無防備な腹部に叩き込む。

 

 

「がはっ…!?」

 

 

更に追撃としてフォース・プッシュを叩き込み、熊の亜人をこの部屋か外へと吹き飛ばす。その後に俺はアルフレリックや他の亜人たちにある確認を取った。

 

 

「…一応聞くが、もし俺たちに敵対するというのなら、国が滅びる事を覚悟してもらう事になる。俺としてはその様な事は取りたくない」

 

「俺も雷電と同じだ。それとだ、俺たちは大樹の下へ行きたいだけで、邪魔しなければ敵対することもないんだが……()()()としての意思を統一してくれないと、いざって時、何処までやっていいかわからないのは不味いだろう?あんた達的に。殺し合いの最中、敵味方の区別に配慮する程、俺は雷電と違ってお人好しじゃないぞ」

 

 

ハジメの言葉に、身を強ばらせる長老衆。言外に、亜人族全体との戦争も辞さないという意志が込められていることに気がついたのだろう。

 

 

「こちらの仲間を再起不能にしておいて、第一声がそれか……それで友好的になれるとでも?」

 

「は?何言ってるんだ?先に殺意を向けてきたのは、あの熊野郎だろ?雷電は返り討ちにしただけだ。再起不能になったのは自業自得ってやつだよ」

 

「き、貴様!ジンはな!ジンは、いつも国のことを思って!」

 

「それが、初対面の相手を問答無用に殺していい理由になるとでも?」

 

「そ、それは!…しかし!」

 

「勘違いするなよ?雷電が被害者で、あの熊野郎が加害者。長老ってのは罪科の判断も下すんだろ?なら、そこのところ、長老のあんたがはき違えるなよ?」

 

 

どうやら俺が吹き飛ばした熊の亜人ことジンと土人族ことドワーフのグゼは仲がよいことが見て分かる。その為、頭ではハジメの言う通りだと分かっていても心が納得しないのだろう。だが、そんな心情を汲み取ってやるほど、ハジメはお人好しではない。

 

 

「グゼ、気持ちはわかるが、そのくらいにしておけ。彼の言い分は正論だ」

 

 

アルフレリックの諌めの言葉に、立ち上がりかけたグゼは表情を歪めてドスンッと音を立てながら座り込んだ。そのまま、むっつりと黙り込む。

 

 

「ん〜確かに、この少年たちは紋章の一つを所持しているし、その実力も大迷宮を突破したと言うだけのことはあるね。僕は、彼を口伝の資格者と認めるよ」

 

 

そう言ったのは狐人族の長老ルアだ。糸のように細めた目で俺たちを見た後、他の長老はどうするのかと周囲を見渡す。しかし、虎人族のゼルは認める様子はなかった。

 

 

「はん、俺は認めんぞ。口伝には気に入った相手を案内するとあるんだろう?…だが俺はこいつが気に入らん。大樹の下への案内は拒否させてもらう。ハウリア族に案内してもらえると思わないことだな。そいつらは忌み子を匿った罪人たち、すでに長老会議で処刑が決まっている。これによって大樹に行く方法が無くなった訳だが…どうする?運良く辿り着く可能性に賭けてみるか?」

 

 

そうゼルが勝ち誇った様に言い、シアは何とか自分以外の一族を助けてもらう様に説得しようとする。そして俺はというと、更に怒りが増すどころか、逆に呆れる他になかった。

 

 

「はぁ…馬鹿を通り越して呆れる他にないな」

 

「本当にそれな。お前アホだろ?」

 

「なんだと!?」

 

 

俺はシアの元に行き、シアの頭に手を置いてそのまま話を続ける。

 

 

「言い方はアレかもしれないが、俺たちはこの国の事情なんて関係無い。もしこのまま彼らを処刑しようと言うのなら、俺たちと()()()()()()に対して敵対するという事だ」

 

「なに……軍団…だと?」

 

「ここで召喚するのも容易だが、俺たちは飽くまでも七大迷宮の攻略だけだ。俺たちと敵対するというのなら、それ相応の覚悟を決めてもらう」

 

 

そう言って俺はライトセーバーを手に、スイッチを入れずに警告する様にライトセーバーを前に出す。すると黙っていたアルフレリックが口を開いた。

 

 

「……本気かね」

 

「本気だ。それと、フェアベルゲンから案内を出そうとしてもそれは無理だ。既に案内人はハウリア族と契約を交わしている」

 

「何故そこまでこだわる?大樹に行きたいだけなら案内は誰でも良いはず。案内人を変えるだけで我々と争わずに済むのだ。問題なかろう」

 

「問題大ありだ。案内するまで助けると約束したからな。途中でいい条件が出てきたからって鞍替えなんて、俺にとって有り得ない事だからな。それと……シアは俺にとって最初の弟子であって、掛け替えの無い仲間だからな」

 

 

そう俺が宣言した際、アルフレリックは何も言っても無駄である事を悟った。

 

 

「……どうやら何を言っても無駄の様だな…。ならばお前さんたちの奴隷ということにでもしておこう。この国の掟では奴隷として捕まり、樹海の外へ出て行った者は死んだ者として扱っている。樹海の外では魔法を使う相手に勝機はほぼ無い。無闇に後を追って被害が拡大しない為の掟だ。よって、掟によりハウリア族は死亡したものとする。すでに死亡したものは処刑できん」

 

 

そう決定された決断にハウリア族は戸惑いを隠せないでいた。そしてゼルもまたその決断に異を唱えるのだった。

 

 

「アルフレリック!屁理屈にもほどが─」

 

「ゼル、分かっているだろう。この少年たちが引くことはない。ハウリア族を処刑すれば確実に敵対する。彼の言う軍団がどれ程の規模なのか分からぬが、どれだけの犠牲が出るか想像できぬわけではなかろう?」

 

「ぐっ…」

 

「──というわけだ。口伝の資格者を歓迎できぬのは心苦しいが……」

 

「気にしないでくれ。全部譲れない事だが、そうとう無茶言っている自覚があるんだ。それと、アンタらが言う魔法を使う相手にほぼ勝機が無いと言ったが、それは違うと言わせてもらう」

 

 

そう告げた後に俺はハジメたちのところに戻って行った。シア達ハウリア族は、未だに自分たちが助かった事に認識するのが出来ずにぽかんとしていた。

 

 

「行くぞシア。俺たちが向かうべき場所に向かうぞ」

 

「雷電があぁ言ってんだ。いつまでも呆けてないで行くぞ」

 

「…ライデンはあなたたちを救った。素直に喜べばいい」

 

 

そうして呆けていたシアは、理解したと同時に目から涙が流れていた。

 

 

「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」

 

「当然だ。お前は俺にとって大事な弟子だ。師たるもの、弟子の成長を見届けずして師とは言えないからな」

 

 

そう聞いたシアは、胸の内に一度高鳴った心臓が再び跳ねた気がした。顔が熱を持ち、居ても立ってもいられない正体不明の衝動が込み上げてくる。それは家族が生き残った事への喜びか、それとも……

 

 

 

そしてシアは、溜まっていた感情を爆発させ、素直に喜んで今の気持ちを衝動に任せて全力で表してみることにした。すなわち、ライデンに全力で抱きつく!

 

 

「ライデンさ~ん!ありがどうございまずぅ~!」

 

「んなっ!?お…おい!急に抱きつくな!?」

 

「嫌ですぅ〜!絶対に放しません!!」

 

 

泣きべそを掻きながらヒシッとしがみつき顔をグリグリと俺の肩に押し付けるシア。その表情は緩みに緩んでいて、頬はバラ色に染め上げられている。その時にハジメ達やデルタ分隊は今の俺の状況に対して暖かい目で見守っていた。…いや、見守っている暇があるのならこっちを助けてもらいたいのだが……

 

 

シア以外にもヒロインを追加しようと思います。考えとしては八重樫と恵里を入れようと考えています。皆様は如何でしょうか?

  • 入れるべき
  • そのままでいい
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