ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強 作:コレクトマン
29話目です。
ユエたちに対して気持ち悪い息を上げながらブタ男はユエに触れようとする。彼の中では既にユエは自分のものになっているようだ。だが、そんなことは許さんと言わんばかりにデルタ分隊がそのブタ男にDC-17mを向ける。ブタ男は“ひぃ!?”と情けない悲鳴を上げると尻餅をついて後退る。一応ブタ男はデルタが持つブラスターをクロスボウの一種と誤認識している為か迂闊にこちらに近づけないでいた。
「よせっデルタ、この街中でブラスターを向けるな。こっちから騒ぎを起こしたら倫理的に敵わない状況になる」
俺はデルタに注意しつつも銃を下ろす様にハンドサインで指示を出す。デルタ達はそれに従ってブラスターを下ろす。その後に俺はブタ男に近づき、フォース・マインドで下がらせようと思った。
しかし、そうする前にハジメがそのブタ男に対して殺意を飛ばしていた。その殺気を受けたブタ男は“ひぃ!?”と情けない悲鳴を上げるとその場で股間を濡らし始めた。どうやらある程度手加減はしている様だ。そうでなければ今頃あのブタ男は意識を保てずに気を失う筈だ。
「…チッ、場所を変えよう」
「おいおいハジメ、いいのか?街中であんなに殺気をピンポイントとは言え俺がフォースで…」
「いいんだ、周りの視線も鬱陶しかったからな。それに…こいつごときにフォースを使う程でもねえよ」
「ま…待てクソガキ共ッ!!」
それでいいのか?と思いつつもこの場を去ろうとする俺たちをブタ男は何とかハジメの殺気に対する恐怖を怒りで誤摩化す様に堪えながら俺たちを睨む。そしてブタ男は護衛であろう大男にユエたちを除くハジメたちを殺す様に命令する。
「レ…レガニド!!あいつらを殺せ!私を殺そうとしたのだ!」
「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」
「い、いいからやれぇ!お、女は傷つけるな!私のだぁ!」
「ったく、報酬は弾んでくださいよ」
そういってレガニドと呼ばれる大男は俺たちの進路を塞ぐような位置取りに移動し、仁王立ちした。
「おう、坊主共に鎧の兄ちゃん達。わりぃな?俺の金のためにちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、嬢ちゃん達の方は……諦めてくれ」
レガニドはそう言うと、拳を構えた。長剣の方は、流石に場所が場所だけに使わないようだ。そしてデルタ分隊もDC-17mをレガニドに向けていつでも撃てる様に構える。周囲がレガニドの名を聞いてざわめく。
「お、おい…聞き間違いじゃなければあいつ…“黒”のレガニドじゃないか?」
「マジかよ!?“暴風”のレガニド!?金次第であんな奴の護衛もするのか…」
「金払じゃないか?結局の所、“金好き”のレガニドだろ?」
周囲のヒソヒソ声で大体目の前の男の素性を察した。ブルックの町でキャサリンから聞いた冒険者ランクについて思い返した。
ランク“黒”
記憶が正しければ上から三番目の冒険者ランクだ。レガニドという男からは闘気が噴き上がっており、ランクに似合う実力を持っていることを理解した。街中でライトセーバーを使うわけにはいかず、俺はフォースの身体能力強化を使って正当防衛で乗り切ろうと考えていた。因みにハジメも俺と同じ様に考えていた様だ。その時にユエ達から制止の声がかかった。
「マスター、少し待ってください」
「シア?…どうしたんだ?」
「……ライデン、ハジメ、私達が相手をする」
ユエ達が俺たちの代わりにレガニドの相手をすると言ってきたのだ。その時にレガニドはユエの言葉に笑いを堪えずに大いに笑った。
「ガッハハハハ、嬢ちゃん達が相手をするだって?おいおい、中々笑わせてくれるじゃねぇの『……黙れ、ゴミクズ』ッ!?」
瞬間、レガニドはユエの辛辣な言葉と共に、神速の風刃が襲い掛かりその頬を切り裂いた。プシュと小さな音を立てて、血がだらだらと滴り落ちる。かなり深く切れたようだ。レガニドは、ユエの言葉通り黙り込む。ユエの魔法が速すぎて、全く反応できなかったのだ。心中では“いつ詠唱した?陣はどこだ?”と冷や汗を掻きながら必死に分析している。
「……私達が守られるだけのお姫様じゃないことを周知させる」
「あぁ、なるほど……って、それは少しばかり軽率じゃないのか?こっちは余り騒ぎを起こしたくないのだが「既に手遅れだ、諦めろ」……そうですか…」
ハジメからも既に手遅れだと言われ、もはや厄介ごとは避けられないものだと俺は悟ってしまった。一方のユエとシアはやる気満々である。
「大丈夫ですよ、マスター!別に殺しあいをするつもりはありませんよ。ただ、周囲の人たちに私達の実力を見せつければいいのですから」
「んっ……そういうこと。……悪いけど、報酬のことは諦めて」
「いやっそういうことではないんだが……」
色々とツッコみたいことがあるが、一言では片付かないのでこの時に俺は後先のことを考えるのを止め、今の状況に対処することを考えるのだった。
雷電Side out
俺ことレガニドは金髪の嬢ちゃんがいつ詠唱したのか、その魔法陣がどこなのかと分析しているのだが、全く以て理解できなかった。ただ、分かっていることが一つだけあった。この嬢ちゃん達は未だに本気を出していないということだ。
「……どうやら本気でやらねえとこっちがやられるな。坊ちゃんには悪いが傷の一つや二つは勘弁ですぜ」
「まぁ、その判断は正しいですね。こっちは手加減はしますけど、そっちは拳だけじゃ危ないですよ?腰の長剣を使ったらどうです?」
「ハッ!兎人族の嬢ちゃんにしては大きく出たな!」
兎人族の嬢ちゃんの安い挑発に乗りながらも、俺は長剣を抜きそのまま長剣を振るう。……だが、この時に俺はある疑念を抱いた。愛玩奴隷という認識が強い兎人族が何故戦鎚を持っているのかを。そう考えながらいるとその答えがすぐに出た。
「…なっ!(速ぇ!)」
「やぁ!!」
俺が長剣を振るうよりも先に兎人族の嬢ちゃんが戦鎚を構え、そして戦鎚を俺の長剣とぶつかり合う。しかし、重量もある戦鎚に俺の長剣が耐えられる訳も無く簡単に砕かれ、俺はそのまま戦鎚によって勢いよく吹き飛び、ギルドの壁に背中から激突した。この時に俺の脳裏はありえないという言葉しか思いつかなかった。この世界の常識じゃ兎人族は非力の筈だった。…なのに何だこの思い一撃の重さは!?今ので左腕が逝っちまった。
「おいおい……幾ら何でもやり過ぎだろ?」
「大丈夫ですマスター、これでも本気の二、三割しか出していませんので!」
「だからといって………はぁ〜っ……もう後には引けないか」
兎人族の嬢ちゃんが自分の飼い主に本気の二、三割しか出していないと告げられた瞬間、俺は悟ってしまった。この嬢ちゃん達は俺よりも遥かに強いことを。そして、その嬢ちゃん達と共にいる坊主共と鎧の兄ちゃん達もまた俺よりも強いということを……
「…なるほどな。どうやら俺が間抜けだったらしい。俺としたことが、相手が兎人族なのに武器を持っている時点で気付くべきだった。あれだけの殺気を放ったガキが女に戦いを任せた理由を…」
「舞い散る花よ、風に抱かれて砕け散れ」
追い打ちと言わんばかりに金髪の嬢ちゃんが詠唱し、周囲にあるテーブルや椅子が宙に浮かび、それらが集まって俺の方に向けて飛ばそうと準備をしていた。その時に俺はこの絶望的な状況で思わず愚痴る。
「…ハッ。坊ちゃん、こりゃ割に合わなさすぎだ」
「“風花”」
その言葉を皮切りに金髪の嬢ちゃんが詠唱を終え、宙に浮かぶテーブルや椅子が一誠に俺の方に向かって襲いかかった。…もう勝てないと悟った俺はテーブルや椅子とぶつかる前に俺は意識を手放した。
レガニドSide out
ユエ達がブタ男の護衛であろう黒ランクの冒険者と戦った結果、案の定予想するまでもなくユエ達の圧勝だった。護衛の冒険者がやられたことでブタ男は俺たち(主にハジメ)に対して恐怖する他になかった。…それとさっきからハジメから殺気がブタ男に向けられている分何かとおっかないのだが…?
「ひっ…ひいいぃ!く…来るなぁ!!わ…私を誰だと思っている!ミン男爵家のプーム・ミンだぞ!わ…私に逆らったら…“ゴッ!”プギャ!?」
そんなブタ男の言葉に聞く耳を持たずにハジメは遠慮容赦なくブタ男の顔面を踏みつける。
「ギャーギャーと喧しいんだよ豚野郎。発情期か何かか?第一にテメェのことなんざ知るかボケ。…後、地球の全ゆるキャラファンに謝りやがれってんだ」
「ハジメ、追い打ちは流石にアウトは故に、その発言はメタいぞ。…そんな事よりもデルタ、一応このレガニドだったか?バクタで治療してくれ」
「了解した。40、バクタ治療薬を頼む」
俺はデルタ分隊に冒険者の治療を指示する。その時にこの騒ぎを何処から聞きつけたのかギルド職員達が今更ながらやって来た。
「そこの冒険者達、止まりなさい。冒険者同士での争いはギルドにて公正に判断します。そっちの冒険者、一旦その足を退けてはいただけませんか?」
そうハジメに告げた男性職員の他、三人の職員がハジメ達を囲むように近寄った。もっとも、全員腰が引けていたが。もう数人は、プームとデルタ分隊が治療しているレガニドの容態を見に行っている。
「そうは言ってもな、あのブタが俺の連れを奪おうとして、それを断ったら逆上して襲ってきたから返り討ちにしただけだ。それ以上、説明する事がない。そこの案内人とか、その辺の男連中も証人になるぞ。特に、近くのテーブルにいた奴等は随分と聞き耳を立てていたようだしな?」
ハジメがそう言いながら周囲の男連中を睥睨すると、目があった彼等はこぞって首がもげるのでは? と言いたくなるほど激しく何度も頷いた。…ハジメ、何気に周囲の皆さんを脅すんじゃないよ……
「…確かに、証人は大勢いますし嘘ではないのでしょう。ですが、双方の言い分を聞くのが規則となっています。お二人とも、一度ステータスプレートを拝見しても?」
「あぁ」
「こっちも構わない」
そういって俺とハジメはステータスプレートをギルド職員に渡した。それを拝見するギルド職員は俺たちのステータスプレートを見てある疑問を抱く。
「…非戦闘職の“錬成師”?それにこっちは“ジェダイの騎士”?錬成師ならともかく、ジェダイの騎士は初めて聞く職業だ。しかもどちらともランクは“青”。…妙ですね。彼方で治療を伸びている彼はランク“黒”なんですが…其方の六人もステータスプレートをよろしいですか?」
まさか指名されるとは思っていなかったのかシアは思わず“えっ?”と言葉が漏れてしまう。ハジメはこれ以上厄介ごとにならない様に何とか誤摩化そうとする。
「あぁ、彼女達はプレートを失くしちまってな。再発行はしていない。…アレ高いだろ?」
流石にそれで誤摩化しきれないと俺は判断したと同時に、ブルックの町のギルド支部長のキャサリンから手紙を貰ったことを思い出した。
「(そういえば、キャサリンさんから貰ったあの手紙…ギルドと揉めた時に出せば良いんだったか?)…ハジメの言っていることは本当だ。それとこっちのクローンは俺が召喚した兵士だ」
「召喚した兵士!?貴方が彼等を召喚したというのですか?」
「あぁ、俺の技能“クローン軍団召喚”でだ。…それとだ、俺たちのことでブルックの町のギルド支部長から手紙を預かっているんだ」
手紙を?とギルド職員は何やら気になる様子で俺が手紙を取り出すの待っていた。そうして手紙を取り出した俺はギルド職員に手紙を手渡す。ハジメもキャサリンさんから貰った手紙の存在に今頃気付いたようだ。
「中身はまだ見ていない。そっちで確認してくれないか?」
「…拝見します」
そういってギルド職員は手渡された手紙の内容を確認した。内容を流し読みする内にギルド職員はギョッとした表情をみせる。
「──!?こ……これは…」
「…?どうした、何か問題でも?」
「あっ…いえ、問題ありません。……至急支部長に連絡を入れろ!客人を迎える準備もだ!!」
何やらトントン拍子の勢いで俺たちを客人の様に扱い、そのまま俺たちはギルド支部長の所まで案内されるのだった。
「…マジで何者なんだよあのオバサン…」
「さぁ?…ただ一つだけ分かっていることと言えば、キャサリンさんは昔何かの御偉いさんであることは間違いなかったんだろう」
キャサリンさんがいったい何者なのかとハジメと話し合いながらも歩を進めるのだった。
雷電Side out
雷電たちがフューレンで厄介ごとに巻き込まれている頃の一方、ハヴォックとブリッツ率いる畑山教諭と迷宮攻略から外れた生徒達居残り組を護衛するクローン二個小隊は教諭のや生徒、聖教教会から派遣された教会騎士団と共に各地を回りながらも、現在は“湖畔の町ウル”にて畑山教諭の天職である作農師で稲作の手伝いを全員で行っていた。無論、クローン達や騎士達全員でだ。大人数で手伝いを行っている為にウルの住民からも高評価を得て信頼を勝ち取った。これが後に人々が畑山教諭を“豊穣の女神”と呼ばれ、人々から深く崇拝されるようになるのは遠くない未来であることを俺たちは知ることはなかった。
そんな事よりもだ。約二週間前に向こうの兄弟達からある連絡を受け取った。それはこちら側に新たに増員と物資を送る手筈だったガンシップが何者かに撃墜されたのだ。…そう不時着ではなく
そのフライトレコードの記録によるとどうやらガンシップ内には将軍のクラスメイトの“清水 幸利”が現在行方不明であることが判明。残りは本来こちら側に送られる筈のクローン兵の増員と食糧と弾薬を積んだ物資だった。その食糧と物資の一部は撃墜され、不時着したガンシップ内にいた清水が生き残り、一部の物資を漁ってこの世界を放浪している可能性が高い。一応彼の捜索は迷宮攻略組のコマンダー・コルトが時間が空いた時にARCトルーパー達を派遣させて捜索させているとのことだ。そんな時に同じランコア大隊のコマンダー・ブリッツが声を掛けて来た。
「…なぁハヴォック。畑山教諭のクラスメイトはまだ見つかってないのか?」
「あぁ。何でも、清水の足取りが掴めないらしい」
清水が行方不明になってから既に約二週間。これほどに嫌な予感がするのは分離主義勢力が俺たちの故郷カミーノに攻め込んだとき以来だ。ただの気のせいであって欲しいと内心に思うのだった。
ハヴォックSide out
……所変わって、とある山脈にて魔物の群れを率いる人物がいた。その者はこの世界の物とは思えぬSFチックなアーマーを纏い、黒いフルフェイスヘルメットを装着していた。その人物の背後にはどうやって飼いならしたのか巨大なドラゴンが周囲を回る様に浮遊していた。するとその者は雷電と同じホロプロジェクターを取り出し、その者の主に通信を入れる。
「尋問官、こちらの任務は30%が完了。残すは魔物の数を増やすだけだ」
《分かったわ。引き続き必要最低限の魔物を集めて来てちょうだい、坊や?》
「はぁっ…坊や扱いは止めろと言った筈だが?」
《そうやって意地になるんだから坊やは坊やのままなのよ。認めて欲しければ与えられた任務を果たしなさい》
そう告げられると同時に向こうから通信を切断された。その者は不快に思いながらも自身に与えられた任を果たす為に魔物を集めるのだった。
「全く、人使いが荒いもんだな。あの尋問官……ぐっ!」
その時に彼は原因不明の頭痛に襲われていた。頭痛が起きるたびに自分が知らない記憶が少しずつ流れてくるのだ。
“なぁ■■■、さっきも言った様にお前は勇者になりたいと思っているんじゃろ?だが、一人ではなれん。なぁ、お前にはクラスメイトやわし等クローンという兄弟……仲間がいるんだって言うことを忘れるな。お前は彼らを、彼らはお前を必要としている。自分だけで重荷を背負おうとするな、仲間は常に隣におるんだ!”
“■■■、ニックネームをありがとな。気をつけてな”
“あぁ。……この場合こう言うんだっけ?フォースと共にあれ、■■■■”
“お前もな、■■■”
時折誰かの名が記憶から流れる度にノイズが生じてよく聞き取れないのだ。あの老人は何者なのか?そして何より、少年と兵士らしき人物の会話でもノイズが生じて名前だけが聞き取れなかった。
「……クソが。一体何なんだ、この記憶は?…もしかすると過去の俺の記憶か?」
頭痛に悩まされながらも苛立ちを隠せないでいたが、不思議とその記憶に懐かしさを感じながらも逆にそれを不快とは思えなかった。いったいどうなってしまったのかと自問自答してしまうくらいだった。しかし、彼はそんな事はどうでもいいことの様に切り捨てた。
「……馬鹿馬鹿しい。俺には過去など存在しない。俺は今という時を生きる尋問官達の影……
そう言い聞かせて彼は再び魔物集めを再開するのだった。数日後の先の未来に自が記憶に関する運命が待ち構えていることを知らずに……
天之河の末路が原作通りであるが、追加すべき案は如何に?
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その一 右腕を除いて左腕、両足切断
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その二 暗黒面に堕ちる