ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

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何とか連続投稿に間に合った……(汗)


45話目です。


ホルアドでの再会と義理果たし

 

 

ミュウとシルヴィを旅に連れて行く事を決定した俺達は、それぞれ乗り物に乗ってグリューエン大火山に向かうのだった。因みにハジメが運転するブリーゼにはユエ、ミュウ、清水、シルヴィ、ティオの計六名が乗っていた。デルタ分隊はサイドカー付きのスピーダー・バイクで移動しており、そしてシアと雷電はというと……

 

 

「おいバカッ…!?スピード落とせ!!」

 

「ヒャッハー!ですぅ!!」

 

 

ハジメから借りたシュタイフをシアが運転し、雷電は後部座席で座ってシアに掴まりながらもシアの爆走に振り回されていた。どうしてこうなったと清水が俺に聞き出す。

 

 

「ハジメ……雷電ならまだしも、なんでシアがシュタイフを運転してるんだ?」

 

「ブリーゼより風を感じられて気持ちいいんだとよ。ついでに言えば、雷電が万が一の事を想定してなのかシアにシュタイフの運転技術を上げるのが目的だと言っていたからな」

 

 

その結果がコレという形でシアが運転しているのだった。雷電はシアのアクロバティックな運転に振り回されていた。俺としてはシアがなんでいきなり俺より乗りこなしているのか疑問に思ったが、それもフォースによる恩恵だと思うのだった。シアのシュタイフの運転を見ていたミュウは大きな瞳をキラキラさせる。そして、ハンドルを握りながら逆立ちし始めたシアを指差し、ハジメにおねだりを始めた。

 

 

「パパ!パパ!ミュウもあれやりたいの!」

 

「ダメに決まってるだろ」

 

「やーなの!ミュウもやるの!」

 

「暴れちゃメッ!」

 

「ミュウちゃん……やりたい気持ちは分かりますが、流石に危ないですから駄目です」

 

 

ユエとシルヴィにお叱りを受けてたミュウは“うぅ~”と可愛らしい唸り声を上げながら、しょぼくれるミュウにハジメが仕方ないなぁ~という表情をする。

 

 

「ミュウ。後で俺が乗せてやるから、それで我慢しろ」

 

「ふぇ? いいの?」

 

「ああ。シアと乗るのは断じて許さんが……俺となら構わねぇよ」

 

「シアお姉ちゃんはダメなの?」

 

「ああ、絶対ダメだ。見ろよ、あいつ。今度は、ハンドルの上で妙なポーズとりだしたぞ。何故か心に来るものがあるが……あんな危険運転するやつの乗り物に乗るなんて絶対ダメだ」

 

 

二輪のハンドルの上に立ち、右手の五指を広げた状態で顔を隠しながら左手を下げ僅かに肩を上げるという奇妙なポーズでアメリカンな笑い声を上げるシア。そんなジョ○ョ的な香ばしいポーズをとる彼女にジト目を向けながら、ハジメはミュウに釘を刺す。見てないところでシアに乗せてもらったりするなよ?と。その時に雷電が堪忍袋の尾が切れたのか、隙を見てシアにげんこつを叩き込み、直ぐざにシアと入れ替わる様に運転席に座り、代わりに運転するのだった。シアの事は雷電に任せても大丈夫だろうと思いつつも、俺は今度ミュウと一緒に乗る場合の事でミュウ用にシュタイフの改造案を考えるのだった。

 

 

「…となると二輪は危ないからな。二輪用のチャイルドシートが必要だな。ボディはアザンチウム鉱石にして…錬成方法は…」ブツブツ……

 

「ご主人様は意外に子煩悩なのじゃな。その上で妾への扱いを考えるとこれはなかなか……」

 

「ユエお姉ちゃんにシルヴィお姉ちゃん、シャドウお兄ちゃん……なんかみんな変なの…」

 

「えっと……あの………」

 

「流石の俺でもノーコメントとしか言いようがない」

 

 

ミュウと旅し始めて少し経つが、既に“パパ”という呼び名については諦めているハジメ。当初は、何が何でも呼び名を変えようとあの手この手を使ったのだが、そうする度に、ミュウの目端にジワッと涙が浮かび、ウルウルした瞳で“め、なの?ミュウが嫌いなの?”と無言で訴えてくるのだ。奈落の魔物だって蹴散らせるハジメだが、何故かミュウにはユエと同じくらい勝てる気がしなかった。結局、なし崩し的に“パパ”の呼び名が定着してしまった。

 

 

 

“パパ”の呼び名を許容(という名の諦め)してからというもの、何だかんだでミュウを気にかけるハジメ。今では、むしろ過保護と言っていいくらいだった。シアは残念ウサギだし、ティオは変態だし、雷電は怒らせると怖ぇし、清水は何かと厨二くさい(ブーメラン)し、母親の元に返すまでミュウは俺が守らねば!とか思っているようだ。世話を焼きすぎる時は、むしろユエと雷電がストッパーになってミュウに常識を教えるという構図が現在のハジメ達だった。

 

 

 

グリューエン大火山に向かっている最中、俺はある町と大迷宮の入り口を見つける。

 

 

「!あれは…」

 

「どうしたの?」

 

「オルクス大迷宮の入り口だ。ホルアドもすぐそこだ。思えば、ここから始まったんだな」

 

 

グリューエン大火山に向かおうとしたが、ここで少し寄り道しても問題ないだろうと思い、雷電に一旦寄り道すると伝えると、雷電もちょうど町なんかで休みたかった様だ。シアの激しい運転に振り回されたんだ、そりゃ休みたいだろう。

 

 

ハジメSide out

 

 

 

ハジメが宿場町ホルアドに一旦寄ると言った時、俺は懐かしさを感じた。元を辿れば全てはここから始まったのだ。俺とハジメがオルクス大迷宮の奈落に落ちて以来、ここで色々と変わったのだ。この迷宮でユエと出会い、俺達の最終目的でもある元いた世界の帰還の為に俺達は他の解放者が創りし大迷宮を攻略する事になったのだ。

 

 

 

そして俺達はこのホルアド()でオマケ程度にぶらりと歩き回る事にしたのだった。その時にミュウを肩車で乗せているハジメと俺は当時泊まっていた宿を見つけ、懐かしむのだった。……そう言えばコルトやフォードーに連絡を入れてなかったな?そんなハジメの様子に気がついたようで、不思議そうな表情をしながらミュウはハジメのおでこを紅葉のような小さな掌でペシペシと叩く。

 

 

「パパ? どうしたの?」

 

「ん?…あ~、いや、前に来たことがあってな……まだ四ヶ月程度しか経ってないのに、もう何年も前のような気がして……」

 

「それだけ色々な事があったからな。ファースト・オーダーといい、あの尋問官といい……な?」

 

「……ハジメ、大丈夫?」

 

複雑な表情をするハジメの腕にそっと自らの手を添えて心配そうな眼差しを向けるユエ。ハジメは、肩を竦めると、次の瞬間にはいつも通りの雰囲気に戻っていた。

 

 

「ああ、問題ない。ちょっとな、えらく濃密な時間を過ごしたもんだと思って感慨に耽っちまった。思えば、ここから始まったんだよなって……緊張と恐怖と若干の自棄を抱いて一晩過ごして、次の日に迷宮に潜って……そして雷電と共に落ちた」

 

「……」

 

 

ある意味運命の日とも言うべきあの日のことを思い出し独白をするハジメの言葉を、神妙な雰囲気で聞くユエ達。ユエは、ジッとハジメを見つめている。ティオが、興味深げにハジメに尋ねた。

 

 

「ふむ。ご主人様は、やり直したいとは思わんのか?元々の仲間がおったのじゃろ?ご主人様の境遇はある程度聞いてはいるが……皆が皆、ご主人様を傷つけたわけではあるまい?仲の良かったものもいるのではないか?」

 

 

ティオは、まだハジメ達と付き合いが浅いため、時折、今のようにハジメ達の心の内を知ろうと、客観的に見ればかなりストレートな、普通なら気を遣ってしないような質問をする。それは、単なる旅の同行者ではなく、ティオ自身がきちんとハジメ達の仲間になりたいと思っているが故の彼女なりの努力だ。手に余る変態ではあるが、其の辺の在り方はハジメの好みだった。

 

 

 

なので、特に気を悪くすることもなく、ハジメはティオの質問を受け止める。そして、ふと、月明かりに照らされた真夜中のお茶会を思い出した。まずい紅茶モドキに、白いネグリジェ、月の光を反射して輝く黒髪、自分を守ると誓った女の子、最後の瞬間、悲痛な表情で仲間に羽交い絞めにされながらも自分に向かって手を伸ばしていたあの子……

 

 

 

不意に、自分の腕に触れる手に力が込められるのを感じてハッと我を取り戻すハジメ。見れば、ユエが揺らがぬ強い眼差しで真っ直ぐにハジメを見つめており、触れている手はギュッとハジメの袖を握りしめていた。

 

 

 

ハジメは、そんなユエと目を合わせると、ふっと目元を和らげて優しい眼差しで同じくジッと見つめ返した。

 

 

「確かに、そういう奴等もいたな……でも、もし仮にあの日に戻ったとしても、俺は何度でも同じ道を辿るさ」

 

「ほぅ、なぜじゃ?」

 

ハジメの様子を見れば答えは自ずとわかるものだが、ティオは、少し面白そうな表情であえて聞いた。ハジメは、ユエから目を離さないまま、自分を掴むユエの手に自らの反対側の手を重ねて優しく握り締める。ユエの表情が僅かに綻ぶ。頬も少し赤く染まっている。

 

 

「もちろん……ユエに会いたいからだ」

 

「……ハジメ」

 

 

ホルアドの町は、直ぐ傍にレベル上げにも魔石回収による金稼ぎにも安全マージンを取りながら行える【オルクス大迷宮】があるため、冒険者や傭兵、国の兵士がこぞって集まり、そして彼等を相手に商売するため多くの商人も集まっていることから、常時、大変な賑わいを見せている。当然、町のメインストリートといったら、その賑わいもひとしおだ。

 

 

 

そんな多くの人々で賑わうメインストリートのど真ん中で、突如立ち止まり見つめ合い出すハジメとユエ。周囲のことなど知ったことかと二人の世界を作って、互いの頬に手を伸ばし、今にもキスしそうな雰囲気だ。好奇心や嫉妬の眼差しが二人にこれでもかと注がれ、若干、人垣まで出来そうになっているが、やはり、ハジメとユエは気がつかない。お互いのことしか見えていないようである。

 

 

「オーオー、ものすごく甘くて胸焼けしそうなバカップルなこって……」

 

「将軍……ここに苦い飲み物とかは売っていませんでしたか?」

 

「……甘ったるい」

 

「我慢しろ……とは言わないが、流石の自分でもこれにはな……」

 

「えっと……マスター。これが愛する者同士の会話でしょうか?」

 

「そういうのは俺でも未経験だから何とも言えん。しかし、デルタの言う通り甘ったるいな……」

 

 

それぞれハジメとユエのバカップルぶりにデルタ分隊は呆れと甘ったるさに困り果て、シルヴィは愛する者同士の会話に少し興味を持っていた。その主人となった清水はデルタと同様に呆れと甘ったるさに困っていた。そして俺とシアは……

 

 

「いつしか私もマスターと一緒に……うぇへへ…」

 

「シア……今のお前少し怖いぞ?」

 

 

シアは俺の事を思っているのは分かるが、流石に度が過ぎるとこっちは困るのだが……?そんなこんなでこの町のギルド“ホルアド支部”にイルワさんから預かっている手紙を手渡す為に訪れるのだった。相変わらずミュウを肩車したまま、ハジメはギルドの扉を開ける。他の町のギルドと違って、ホルアド支部の扉は金属製だった。重苦しい音が響き、それが人が入ってきた合図になっているようだ。

 

 

 

前回、ハジメがホルアドに来たときは、冒険者ギルドに行く必要も暇もなかったので中に入るのは今回が初めてだ。ホルアド支部の内装や雰囲気は、最初、ハジメが抱いていた冒険者ギルドそのままだった。

 

 

 

壁や床は、ところどころ壊れていたり大雑把に修復した跡があり、泥や何かのシミがあちこちに付いていて不衛生な印象を持つ。内部の作り自体は他の支部と同じで入って正面がカウンター、左手側に食事処がある。しかし、他の支部と異なり、普通に酒も出しているようで、昼間から飲んだくれたおっさん達がたむろしていた。二階部分にも座席があるようで、手すり越しに階下を見下ろしている冒険者らしき者達もいる。二階にいる者は総じて強者の雰囲気を出しており、そういう制度なのか暗黙の了解かはわからないが、高ランク冒険者は基本的に二階に行くのかもしれない。

 

 

 

冒険者自体の雰囲気も他の町とは違うようだ。誰も彼も目がギラついていて、ブルックのようなほのぼのした雰囲気は皆無である。冒険者や傭兵など、魔物との戦闘を専門とする戦闘者達が自ら望んで迷宮に潜りに来ているのだから気概に満ちているのは当然といえば当然なのだろう。

 

 

 

しかし、それを差し引いてもギルドの雰囲気はピリピリしており、尋常ではない様子だった。明らかに、歴戦の冒険者をして深刻な表情をさせる何かが起きているようだ。俺達が足を踏み入れた瞬間、冒険者達の視線が一斉に俺達を捉える。その眼光のあまりの鋭さに、ハジメに肩車されるミュウが“ひぅぅぅ!”と悲鳴を上げ、ヒシ!とハジメの頭にしがみついた。冒険者達は、美女・美少女に囲まれた挙句、幼女を肩車して現れたハジメに、色んな意味を込めて殺気を叩きつけ始める。

 

 

「おい坊ちゃん共、ここには女を侍らせたヤツが来る場所じゃねぇんだよぶっ飛ばされる前に失せな」

 

 

ますます、震えるミュウを肩から降ろし、ハジメは、片腕抱っこに切り替えた。ミュウは、ハジメの胸元に顔をうずめ外界のあれこれを完全シャットアウトした。

 

 

「パパ…」

 

「すぐ終わるからな、ちょっと目瞑ってろ」

 

「はぁ……ハジメ、程々にな?」

 

 

何かとこの後の展開が読めた俺はハジメにやり過ぎない様に釘を刺すが、それも無意味に終わると理解しながらも目の前にいる冒険者達に内心合掌する。その冒険者の中ではハジメが死ぬかどうかの賭け事をしていた。今の状況を理解してない者にとってどれだけ能天気なのか呆れる他になかった。

 

 

「おいクソガキ共。返事くらいちゃんとしようぜ。オルクス大迷宮二十階層をクリアした“紫”ランクのアテウ・マデス様を知らねえのか?」

 

 

そう名乗っている様だが、ハジメにとっては如何でもいいことだった。最近めっきり過保護なパパになりつつあるハジメが、仮とは言え娘を怯えさせられて黙っているわけがなかった。既に、ハジメの額には青筋が深く深~く浮き上がっており、ミュウをなだめる手つきの優しさとは裏腹にその眼は凶悪に釣り上がっていた。

 

 

 

そして……

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

そんな音が聞こえてきそうなほど濃密にして巨大かつ凶悪なプレッシャーが、ハジメ達を睨みつけていた冒険者達に情け容赦一切なく叩きつけられた。先程、冒険者達から送られた殺気が、まるで子供の癇癪に思えるほど絶大な圧力。既に物理的な力すらもっていそうなそれは、未熟な冒険者達の意識を瞬時に刈り取り、立ち上がっていた冒険者達の全てを触れることなく再び座席につかせる。

 

 

 

ハジメのプレッシャー〝威圧〟と〝魔力放射〟を受けながら意識を辛うじて失っていない者も、大半がガクガクと震えながら必死に意識と体を支え、滝のような汗を流して顔を青ざめさせている。……やれやれ、結局こうなったか。

 

 

 

と、永遠に続くかと思われた威圧がふとその圧力を弱めた。その隙に止まり掛けていた呼吸を必死に行う冒険者達。中には失禁したり吐いたりしている者もいるが……そんな彼等にハジメが言葉を放つ。

 

 

「笑え」

 

「…え?」

 

「笑えと言ったんだ、ついでに手をふれ。お前等のせいで家の子がおびえてんだよ。トラウマになったらどうする気だ?ア”ァ”?責任とれって言ってんだよ、お”い”?」

 

 

だったら、そもそもこんな場所に幼子を連れてくるなよ!と全力でツッコミたい冒険者達だったが、化け物じみた相手にそんな事言えるはずもなく、戸惑っている内にハジメの眼光が鋭くなってきたので、頬を盛大に引き攣らせながらも必死に笑顔を作ろうとする。ついでに、ちゃんと手も振り始めた。

 

 

 

こわもてのガタイのいい男達が揃って引き攣った笑みを浮かべて小さく手を振る姿は、途轍もなくシュールだったが、やはり、そんな事はお構いなく、ハジメは満足そうに頷くと胸元に顔を埋めるミュウの耳元にそっと話しかけた。

 

 

「ミュウ、目開けていいぞ」

 

 

そう言われてミュウはおずおずと顔を上げると、ハジメを潤んだ瞳で見上げる。そして、ハジメの視線に誘われてゆっくり振り向いた。そこには当然、必死に愛想を振りまくこわもて軍団。

 

 

「ひうううー!」

 

 

案の定、ミュウは怯えてハジメの胸元に逆戻りした。眉が釣り上がるハジメ。眼光の鋭さが増し、“どういうことだ、ゴラァ!!”と冒険者達を睨みつける。“無茶言わないでください!!”と泣きそうな表情になってツッコミを入れる冒険者達は、ハジメによって全員床に犬神家状態で埋め込まれる様に叩き付けられ再起不能になる。ハジメの親バカぶりを見て既に手遅れの類だと悟った俺は何も言えなかった。

 

 

 

ハジメはギルドの受付嬢にギルド内で騒いだ事を謝罪しながらも手紙を手渡すのだった。

 

 

「ここの支部長と会いたい。フューレンのギルド支部から手紙を預かっている」

 

「支部長からの直接の依頼ということですか?」

 

「あぁ、その為に来た」

 

「ステータスプレートを拝見しても良いでしょうか」

 

 

そうしてハジメは自身のステータスプレートを受付嬢に手渡し、そのステータスプレートを確認する受付嬢はランクの方に目を向けると驚きを隠せずに声を出す。

 

 

「え?金ランク!?」

 

 

それを聞いた他の冒険者は一瞬ざわつく。冒険者において“金”のランクを持つ者は全体の一割に満たない。そして、“金”のランク認定を受けた者についてはギルド職員に対して伝えられるので、当然、この受付嬢も全ての“金”ランク冒険者を把握しており、俺達のこと等知らなかったので思わず驚愕の声を漏らしてしまった様だ。それでも仕事を全うする様に受付嬢はすぐさま気持ちを切り替え、確認不足であった事を謝罪する。

 

 

「も…申し訳ありません!大切な情報を…!」

 

「別にいいから支部長に取り次いでくれるか?」

 

「応接室へご案内します、こちらへどうぞ!」

 

「どんどん有名になっていく…」

 

「もう気にしてねぇよ」

 

「そうだな。余り気に過ぎたらこっちも気が参るからな?」

 

 

そうして俺達は受付嬢の案内の下、応接室の扉まで来た。その時に応接室には先客がいたのかやけに騒がしかった。

 

 

「何か応接室の方……やけに騒がしいな」

 

 

ハジメがそう呟いた瞬間、扉が開き、そこから見知った二人の人物が出て来た。

 

 

「金ランク!どこだ!」

 

「落ち着け遠藤!今慌てて出ても……!?」

 

「…遠藤?」

 

「キャプテン・フォードー?」

 

 

ここらでまさか同じクラスの遠藤とARCトルーパーのフォードーと再会するとは思いもしなかった。

 

 

雷電Side out

 

 

 

金ランクの冒険者が来ていると聞いた遠藤が飛び出てしまい、私が遠藤を止めようとした時にまさかホルアド支部で将軍等と合流出来るとは思いもしなかった。

 

 

「お前…遠藤か?」

 

「!今の声…南雲!?それに藤原も!生きていたのか!?」

 

「…久しぶりだな」

 

「声が聞こえるのに姿が見えねぇ!生きてんなら出てきやがれ!」

 

 

あまりの慌てように周りが見えてないのか遠藤は今目の前にいるハジメを直視できていなかった。それに苛立ったのかハジメは“目の前にいるだろうがドアホ”と遠藤のケツを蹴り上げる。

 

 

「うわっ!?…は!?お前が南雲なのか!?」

 

「世界一影の薄いお前に気付かれないとか笑えねえよ」

 

「薄くないわ!自動ドアだって三回に一回は開いたぞ!」

 

「それ殆ど自分は影が薄いっているのと同義だぞ?それはそうと、久しぶりだなフォードー」

 

「ハッ!無事にご帰還なされて良かったです。その様子だとオルクス大迷宮を無事に攻略出来たと思えますが?」

 

 

“そういう事になるな”と将軍が返したところで遠藤は漸く将軍の事を直視で確認出来る様になった。しかし遠藤にとっては前の将軍達とは打って変わって見た目がまるで別人になっていた。

 

 

「幾ら何でも変わり過ぎだろ?見た目とか、口調とか、もはや別人だぞ」

 

「奈落の底から這い上がって来たんだ。多少変わるだろ」

 

「いや多少って……普通そういうものなのか?」

 

「さあな?……それよりもフォードー、遠藤の慌てようから察するにお前たちに何かあったのか?」

 

 

そう将軍に言われて私は再会を喜んでいる時間は無いと内心気持ちを切り替え将軍等に説明を行う。そして自分たちが今置かれている状況を思い出した遠藤は南雲達に助けを求める。その時にこのホアルド支部の支部長“ロア・バワビス”も私達の話に参加するのだった。

 

 

 

今から数十分前、九十階層に進んでいたコルト達はそこで魔人族とその配下の魔物達と遭遇した。コマンダー・コルトはその魔人族を警戒して私に遠藤を連れてハイリヒ王国から援軍を要請してもらう為に指示を出し、私は遠藤援をつれて援軍を要請の為に迷宮から脱出し、ギルドを通してハイリヒ王国に援軍を要請しようとした矢先に偶然将軍等と合流したのだ。

 

 

「……なるほど、今現在コルト達が魔人族と魔物達と交戦しているという事だな?」

 

「はい。…しかし、その際にメルド騎士団にも被害が出ている分、兄弟達や勇者組の学生達も危険です」

 

「……だとしてもだ。魔人族の従える魔物はそこまで脅威ではなかったはず。これが事実なら魔人族との戦争に影響が出るぞ。勇者達も助けたいが八十九階層等辿り着く事すら不可能だ…」

 

 

真面目な話をしている最中、ハジメが抱えている少女はギルドが用意してくれた菓子をモキュモキュと食べていた。ハジメが子供を連れている事に関してはシュールとも言える中、遠藤は流石にツッコミを入れるのだった。

 

 

「…つーか何なんだよその子!?この状況を理解してんのかよ!?」

 

「ひぅ!パパぁ!」

 

「てめぇ…何家の子に八つ当たりしてんだ、あ”ぁ”?殺すぞ…!」

 

「ひぃっ!」

 

「落ち着けよハジメ。それと遠藤、この子はまだ幼いんだからその辺は大目に見といてくれ」

 

 

ハジメに抱きかかえられている子はどうやら訳ありの子供の様だ。将軍も将軍で何気に苦労している事を理解した。

 

 

「ハジメ……すっかりパパ」

 

「さり気なく“家の子”って言ってますね」

 

「はてさて、ご主人様は子離れ出来るのかのぉ?」

 

「どうだが……案外離れるのが恋しい可能性もあるな」

 

 

将軍等の仲間がそれぞれハジメの様子にコメントする中、ロア支部長から将軍等に依頼を頼もうと口を開く。

 

 

「ナグモにフジワラ、イルワからの手紙は読ませてもらった。随分と大暴れした様だな?」

 

「…全部成り行きだけどな」

 

「特にフジワラが召喚した六千の軍勢でおよそ六万以上の魔物や、謎の軍勢を殲滅。半日でフューレン最大の裏組織を壊滅。実はお前たちが魔王だと言われても不思議に思わんぞ。それが本当なら、俺からの依頼を受けてほしい」

 

「魔王……か。俺の場合はどちらかというとその魔王側近の騎士と言った感じか?噂的に考えて……」

 

「魔王ねぇ……まぁ、やり過ぎた感は何度かあったからな。そんで、依頼からして勇者達の救出か?」

 

「そういう事だ」

 

 

将軍等がどうするかと考えている最中、遠藤は救出という言葉を聞いてハッと我を取り戻す。そして、身を乗り出しながら、ハジメに捲し立てた。

 

 

「南雲、一緒に行こう!お前がそんなに強いならきっと助けられる!」

 

「………」

 

 

見えてきた希望に瞳を輝かせる遠藤だったが、ハジメの反応は芳しくない。遠くを見て何かを考えているようだ。遠藤は、当然、ハジメが一緒に救出に向かうものだと考えていたので、即答しないことに困惑する。

 

 

「天之河達が死にかけてるかもしれないんだぞ!?何迷ってんだよ、仲間だろ!?」

 

「……仲間?」

 

 

ハジメは、考え事のため逸らしていた視線を元に戻し、冷めた表情でヒートアップする遠藤を見つめ返した。その瞳に宿る余りの冷たさに思わず身を引く遠藤。先程の殺気を思い出し尻込みするが、それでも、ハジメという貴重な戦力を逃すわけにはいかないので半ば意地で言葉を返す。

 

 

「あ、ああ。仲間だろ!なら、助けに行くのはとうぜ……」

 

「──勝手に、お前等の仲間にするな。はっきり言うが、俺がお前等にもっている認識は唯の〝同郷の人間〟であって、それ以上でもそれ以下でもない。他人と何ら変わらない」

 

「なっ!? そんな……何を言って……」

 

 

ハジメの予想外に冷たい言葉に狼狽する遠藤を尻目に、ハジメは、先程の考え事の続き、すなわち、光輝達を助けることのデメリットを考える。ハジメ自身が言った通り、ハジメにとってクラスメイトは既に顔見知り程度の認識だ。今更、過去のあれこれを持ち出して復讐してやりたいなどという思いもなければ、逆に出来る限り力になりたいなどという思いもない。本当に、関心のないどうでもいい相手だった。

 

 

 

ただ、だからといって問答無用に切り捨てるのかと言われれば、答えはNOだ。なぜなら、その答えは雷電の存在……というより、雷電のお人好しに伝染してしまったからだと思う。それに、ハジメはあの月下の語らいを思い出していた。異世界に来て“無能”で“最弱”だったハジメに“私が、南雲君を守るよ”と、そう言った女の子。結局、彼女の感じた不安の通りにハジメと雷電は無茶をして奈落へと消えてしまった。彼女の不安を取り除くために“守ってもらう”と約束したのに、結局その約束は果たされなかった。あの最後の瞬間、奈落へ落ち行くハジメに、壊れそうなほど悲痛な表情で手を伸ばす彼女の事を、何故かこの町に戻ってきてから頻繁に思い出すハジメ。

 

 

「…ただ、義理を果たしたい相手はいる。遠藤、白崎はまだ無事だったか?」

 

「あ…あぁ無事だ。お前たちが落ちてからマジで頑張って、回復魔法が超すげぇんだ」

 

 

“そうか…”と一言いったあと、ハジメは雷電の方を見た。

 

 

「…雷電、どうせお前の事だから俺が断ったとしても天之河達とかクローン達とか関係無く助けに向かうつもりだったんだろ?」

 

「そのつもりだ。どの道お前は義理を果たす為に向かうつもりだったんだろ?」

 

「どっかのお人好しに伝染した所為でな。ユエ、悪いが俺のわがままに付き合ってくれないか?」

 

「私はどこでもついて行く」

 

「ミュウも!ミュウもついていくの!」

 

「私もです!」

 

「もちろん妾もじゃぞ」

 

「俺の記憶に関係する連中がいるんだったら話は別だな。俺も行くぞ」

 

「デルタ分隊も参加する」

 

 

全員一致で将軍等はコルト達の救出に向かう事になった。因みにシルヴィは非戦闘員の為、将軍は新たにクローン・トルーパー一個分隊を召喚し、彼女の護衛に付かせて将軍等の帰りを待たせることになった。そして勇者、クローン部隊救出の際に将軍は新たにクローン・コマンドー分隊を召喚するのだった。

 

 

中村恵里が雷電たちの仲間入りする際にどのタイミングがよろしいか?

  • グリューエン大火山に向かう時
  • 王都編が終わる直前の時
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