ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

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勇者(笑)がオリ主の地雷を踏みます。


50話目です


宣戦布告と怒り

 

 

大迷宮入り口にまで戻って来た俺達。その時にハジメはティオからミュウを受け取った後、肩車して父親と子の様な会話をしていた。……最早ハジメは完全に親バカになっていた事に俺はツッコム事すら放棄した。

 

 

「パパ〜!ミュウ、おなか空いたの!」

 

「おーしっ!そんじゃ、何か美味しい物でも食べに行くか?」

 

「パパ〜!」

 

「完全に父親だな、こりゃ……」

 

 

そう呟きながらも入場ゲートの扉を開き、出た瞬間、そこには無数の兵士達がいた。流石のハジメもこれを見て、思わず“何だこれは……!?”と口から出てしまう。その時にホアルドギルド支部の支部長のロアさんがハイリヒ王国から来た兵士達で構成された勇者捜索隊を組んで俺達の後に捜索しよう用意した様だ。

 

 

「あぁ……いや、すまん。勇者の捜索隊を組んだんだが、まさかこんな短時間で……イルワの手紙を信じない訳にはいかなくなったな。いやっ参った……」

 

 

そうしてロアは集まった兵士達に勇者達が戻って来た事を告げ、その後に“解散ッ!”といい、勇者捜索隊が解散されるのだった。その時に俺は白崎の視線がハジメの方に向いていた。白崎は中学の頃からハジメの事を好意を抱き、思っていた。俺は白崎を後押しする様に声を掛けた。

 

 

「いいのか?このまま見送るだけで…?」

 

「えっ……藤原くん?」

 

「確かにハジメには惚れている人がいるとはいえ、何も言わずに後悔するよりも言って後悔した方がマシとも言える。俺が言えるのは精々これくらいだ。後は白崎次第だ」

 

「藤原くん……」

 

 

雷電の助言に白崎は気がつく。ハジメが暴力に躊躇いを見せないのは、そして、敵に容赦しないのは、そうすることで大切な誰かを確実に守るため。もちろん、其処には自分の命も含まれているのだろうが、誰かを想う気持ちがあるのは確かだ。それは、ハジメを囲む彼女達の笑顔が証明している。

 

 

 

白崎は想像した。ハジメは、髪の色を失っている。右目と左腕もない。きっと、想像を絶するような過酷な環境を生き抜いたに違いないと。何度も、心身共に壊れそうになったに違いないと。いや、もしかしたら……一度は壊れてしまったからこそ、変心したのかもしれない。それでも、ハジメはああやって笑顔に囲まれる道を歩んでいる。

 

 

 

その事実が、白崎の心にかかっていた霧を吹き飛ばした。欠けたパズルのピースがはまりカチリと音がなった気がした。自分は何を迷っていたのか。目の前に“ハジメ”がいる。心寄せる男の子がいる。“無能”と呼ばれながら奈落の底から這い上がり、多くの力を得て救いに来てくれた人がいる。

 

 

 

変わった部分もあれば変わらない部分もある。だがそれは当然のことだ。人は時間や経験、出会いにより変化していくものなのだから。ならば、何を恐れる必要があるのか。自信を失う必要があるのか。引く必要があるというのか。

 

 

 

知らない部分があるなら、傍にいて知っていけばいいのだ。今まで、あの教室でそうしてきたように。想いの強さで負けるわけがない!ハジメを囲むあの輪に加わって何が悪い!もう、自分の想いを哂わせてなるものか!

 

 

「ありがとう、藤原くん。私の事は白崎じゃなくて香織と呼んでね」

 

「何の事だ?俺は単に独り言をいっただけだ。それと、名前の事なら分かった。俺も雷電で構わない」

 

「それでもね?……ありがとう」

 

「香織?」

 

「雫ちゃん。私、行くね」

 

 

白崎改め、香織の瞳に決意と覚悟が宿る。傍らの八重樫が、親友の変化に頬を緩める。そして、そっと背を押した。香織は、今まで以上に瞳に“強さ”を宿し、八重樫に感謝を込めて頷くともう一つの戦場へと足を踏み出した。そう、女の戦いだ!

 

 

 

自分達のところへ歩み寄ってくる香織に気がつくハジメ達。ハジメは、見送りかと思ったが、隣のユエは、“むっ?”と警戒心をあらわにして眉をピクリと動かした。シアも“あらら?”と興味深げに香織を見やり、ティオも“ほほぅ、修羅場じゃのぉ~”とほざいている。そして清水は“やれやれ……”と呆れ、デルタ、不良分隊に至っては何とも言えなかった。どうやら、ただの見送りではないらしいと、ハジメは嫌な予感に眉をしかめながら香織を迎えた。

 

 

「ハジメくん、私もハジメくんに付いて行かせてくれないかな? ……ううん、絶対に付いて行くから!」

 

「………………は?」

 

 

第一声から、前振りなく挨拶でも願望でもなく、ただ決定事項を伝えるという展開にハジメの目が点になる。思わず、間抜けな声で問い返してしまった。直ぐに理解が及ばずポカンとするハジメに代わって、ユエが進み出た。

 

 

「……お前にそんな資格はない」

 

「資格って何かな?ハジメくんをどれだけ想っているかってこと?だったら、誰にも負けないよ?」

 

 

ユエの言葉にそう平然と返した香織。ユエがさらに“むむっ”と口をへの字に曲げる。

 

 

 

香織はユエにしっかり目を合わせたあと、スッと視線を逸らして、その揺るぎない眼差しをハジメに向けた。そして、両手を胸の前で組み頬を真っ赤に染めて、深呼吸を一回すると、震えそうになる声を必死に抑えながらはっきりと……告げた。

 

 

「貴方が好きです」

 

「……白崎」

 

 

香織の表情には、羞恥とハジメの答えを予想しているからこその不安と想いを告げることが出来た喜びの全てが詰まっていた。そして、その全てをひっくるめた上で、一歩も引かないという不退転の決意が宿っていた。

 

 

 

覚悟と誠意の込められた眼差しに、ハジメもまた真剣さを瞳に宿して答える。

 

 

「俺には惚れている女がいる。白崎の想いには応えられない」

 

 

はっきり返答したハジメに、香織は一瞬泣きそうになりながら唇を噛んで俯くものの、しかし、一拍後には、零れ落ちそうだった涙を引っ込め目に力を宿して顔を上げた。そして、わかっているとでも言うようにコクリと頷いた。香織の背後で、クラスメイト達や兵士達が唖然、呆然、阿鼻叫喚といった有様になっているが、そんな事はお構いなしに、香織は想いを言葉にして紡いでいく。

 

 

「……うん、わかってる。ユエさんのことだよね?」

 

「ああ、だから……」

 

「でも、それは傍にいられない理由にはならないと思うんだ」

 

「なに?」

 

「だって、少し微妙だけどティオさんもハジメくんのこと好きだよね?違う?」

 

「……それは……」

 

「ハジメくんに特別な人がいるのに、それでも諦めずにハジメくんの傍にいて、ハジメくんもそれを許してる。なら、そこに私がいても問題ないよね?だって、ハジメくんを想う気持ちは……誰にも負けてないから」

 

 

そう言って、香織は炎すら宿っているのではと思う程強い眼差しをユエに向けた。そこには、私の想いは貴女にだって負けていない!“もう、嗤わせない!”と、香織の強い意志が見える。それは紛れもない宣戦布告。たった一つの“特別の座”を奪って見せるという決意表明だ。

 

 

 

香織の射抜くような視線を真っ向から受け止めたユエは、珍しいことに口元を誰が見てもわかるくらい歪めて不敵な笑みを浮かべた。

 

「……付いて来るといい。私とお前の差を教えてあげる」

 

「お前じゃなくて、香織だよ」

 

「……なら、私はユエでいい。香織の挑戦、受けて立つ」

 

「負けても泣かないでね?」

 

「……ふ、ふふふふふ」

 

「あは、あははははは」

 

 

ハジメとは違う意味で、二人の世界を作り出すユエと香織。告白を受けたのは自分なのに、いつの間にか蚊帳の外に置かれている挙句、香織のパーティー加入が決定しているという事に、ハジメは遠い目をする。笑い合うユエと香織を見て、シアとミュウが傍らで抱き合いながらガクブルしていた。

 

 

「マ、マスター!私の目、おかしくなったのでしょうか?ユエさんの背後に暗雲と雷を背負った龍が見えるのですがっ!」

 

「……心配するな、俺も見えているという事は全員にも見えているってことだ」

 

「香織お姉ちゃんの後ろにも大っきな白いお顔が見えるの!」

 

「ハァハァ、二人共、中々……あの目を向けられたら……んっ、たまらん」

 

 

互いに、スタ○ド?を背後に出現させながら、仁王立ちで笑い合うユエと香織。ハジメは、お前等そんなキャラだっけ?とツッコミを入れたかったが、やぶへびになりそうだったので黙っていた。そして俺は、縋り付くミュウを宥めながら自然と収まるまで待つことにした。俺達をヘタレと言う事なかれだ。

 

 

 

だが、そんな香織の意志に異議を唱える者がいた。……もちろん、勇者という名の“愚者”である天之河光輝だ。天之河は俺のフォース・スリープから無事に目を覚ました様だ。

 

 

「ま、待て!待ってくれ!意味がわからない。香織が南雲を好き?付いていく?えっ?どういう事なんだ?なんで、いきなりそんな話しになる?南雲!お前、いったい香織に何をしたんだ!」

 

「……何でやねん」

 

 

どうやら天之河は、香織がハジメに惚れているという現実を認めないらしい。いきなりではなく、単に天之河が気がついていなかっただけなのだが、天之河の目には、突然香織が奇行に走り、その原因はハジメにあるという風に見えたようだ。本当にどこまでご都合主義な頭をしているのだと思わず関西弁でツッコミを入れてしまうハジメ。そして俺は“またこいつは……”と、怒りを通り越して呆れる他無かった。

 

 

 

完全に、ハジメが香織に何かをしたのだと思い込み、半ば聖剣に手をかけながら憤然と歩み寄ってくる天之河に、八重樫が頭痛を堪えるような仕草をしながら天之河を諌めにかかった。

 

 

「光輝。南雲君が何かするわけないでしょ?冷静に考えなさい。あんたは気がついてなかったみたいだけど、香織はもうずっと前から彼を想っているのよ。それこそ、日本にいるときからね。どうして香織が、あんなに頻繁に話しかけていたと思うのよ」

 

「雫……何を言っているんだ……あれは、香織が優しいから、南雲が一人でいるのを可哀想に思ってしてたことだろ?協調性もやる気もない、オタクな南雲を香織が好きになるわけないじゃないか」

 

 

天之河と八重樫の会話を聞きながら、事実だが面と向かって言われると意外に腹が立つと頬をピクピクさせるハジメ。俺はそんなハジメに対して落ち着けと声をかけるのだった。

 

 

そこへ、天之河達の騒動に気がついた香織が自らケジメを付けるべく天之河とその後ろのクラスメイト達に語りかけた。

 

 

「光輝くん、みんな、ごめんね。自分勝手だってわかってるけど……私、どうしてもハジメくんと行きたいの。だから、パーティーは抜ける。本当にごめんなさい」

 

 

そう言って深々と頭を下げる香織に、谷口や中村、綾子や真央など女性陣はキャーキャーと騒ぎながらエールを贈った。永山、遠藤、野村の三人も、香織の心情は察していたので、気にするなと苦笑いしながら手を振った。

 

 

 

しかし……当然、天之河は香織の言葉に納得出来ない。

 

 

「嘘だろ? だって、おかしいじゃないか。香織は、ずっと俺の傍にいたし……これからも同じだろ? 香織は、俺の幼馴染で……だから……俺と一緒にいるのが当然だ。そうだろ、香織」

 

「そんなわけないだろうが。幼馴染だからといって、ずっと一緒にいるという理由にはならないだろうが。そんな事すら分からないのか?天之河……」

 

「えっと……光輝くん。確かに私達は幼馴染だけど……だからってずっと一緒にいるわけじゃないよ? それこそ、当然だと思うのだけど……」

 

「そうよ、光輝。香織は、別にあんたのものじゃないんだから、何をどうしようと決めるのは香織自身よ。いい加減にしなさい」

 

 

雷電と幼馴染の二人にそう言われ、呆然とする天之河。その視線が、スッとハジメへと向く。ハジメは、我関せずと言った感じで遠くを見ていた。そのハジメの周りには美女、美少女が侍っている。その光景を見て、天之河の目が次第に吊り上がり始めた。あの中に、自分の・・・香織が入ると思うと、今まで感じたことのない黒い感情が湧き上がってきたのだ。そして、衝動のままに、ご都合解釈もフル稼働する。

 

 

「香織。行ってはダメだ。これは、香織のために言っているんだ。見てくれ、あの南雲を。女の子を何人も侍らして、あんな小さな子まで……しかも兎人族の女の子は奴隷の首輪まで付けさせられている。黒髪の女性もさっき南雲の事を“ご主人様”って呼んでいた。きっと、そう呼ぶように強制されたんだ。南雲は、女性をコレクションか何かと勘違いしている。最低だ。人だって簡単に殺せるし、強力な武器を持っているのに、仲間である俺達に協力しようともしない。香織、あいつに付いて行っても不幸になるだけだ。だから、ここに残った方がいい。いや、残るんだ。例え恨まれても、君のために俺は君を止めるぞ。絶対に行かせはしない!」

 

 

天之河の余りに突飛な物言いに、香織達が唖然とする。しかし、ヒートアップしている天之河はもう止まらない。説得のために向けられていた香織への視線は、何を思ったのかハジメの傍らのユエ達に転じられる。しかし、それがおのれの首を締め上げる事になることを知らずに……

 

 

「君達もだ。これ以上、その男の元にいるべきじゃない。俺と一緒に行こう!君達ほどの実力なら歓迎するよ。共に、人々を救うんだ。シアだったかな?安心してくれ。俺と共に来てくれるなら直ぐに奴隷から解放「いい加減にしろ……天之河」……っ!?」

 

 

 

そんな事を言って爽やかな笑顔を浮かべながら、ユエ達に手を差し伸べようとする天之河に俺はライトセーバーを起動させ、青い光刃を展開してその青い光刃を天之河の首元に向ける。雫と香織は突然雷電がシアの事に関してキレていることに驚いていた。無論、天之河も同様に友である雷電(本人は友とは認めていない)がキレている事に驚きを隠せないでいた。

 

 

「ら……雷電?」

 

「気安くその名で呼ぶな、天之河。俺の弟子であるシアを奴隷だと見ていたのか?いい加減そのご都合主義にはうんざりしていたんだ。その口を今すぐ黙らせようか?」

 

 

雷電から発する殺意が天之河に向けられている事に気付いたハジメは、この時に悟った。天之河(この馬鹿)が雷電の地雷という名の堪忍袋の尾を踏んでしまって切れてしまったことを……。

 

 

「な……何故だ、雷電?何故、南雲の事を庇うんだ。南雲はあのシアって子を奴隷に……」

 

「この際だからはっきり言っておく。俺はお前の事が嫌いだ。そのくだらないご都合解釈で勝手に俺のことを友と認識し、挙げ句の果てに俺の弟子であるシアのことを奴隷として見ていた。堪忍袋の尾が切れるくらいにこっちはいい迷惑なんだ。」

 

 

雷電のあまりの変わりように天之河は戸惑うばかりだった。それでも天之河はご都合解釈をフル稼働させる。

 

 

「そうか、君も南雲に弱みを握られてこうするしかなくなったんだ。檜山の事もそうだ、きっと…“ドンッ!”…ぐぅっ!?」

 

 

天之河が言い終わる前に俺はライトセーバーをしまった後に腹パンを食らわせ、強制的に黙らせると同時に俺は本気で怒っている事を表した。クラスメイト達も天之河が殴られたことに対してオドオドする他になかった。

 

 

「ぐっ…!雷……電……?」

 

「これが俺の()()だ。いい加減に理解しろ」

 

 

俺は怒りを通り越して冷静になり、天之河に友ではないと同時にハジメやシアを侮辱する事を許さない事を含めて天之河と決別した。そして天之河も俺の事をハジメと同じであるとご都合解釈で理解するのだった。

 

 

「雷電……いや、藤原。見損なったぞ!」

 

「それはこっちの台詞だ。自分の思い通りに行かなければ駄々をごねるガキが……」

 

「(彼等を見て少しづつ思い出して来たが、天之河という奴……生理的に受け付けられないな。俺はこんな奴と一緒にいたとでも言うのか?)……最早呆れる他に無いな」

 

 

そう清水が呟くなか、天之河は雷電がハジメと同じ穴の狢であったことのショックは怒りへと転化され行動で示された。無謀にも俺を睨みながら聖剣を引き抜いたのだ。天之河は、もう止まらないと言わんばかりに聖剣を地面に突き立てると俺に向けてビシッと指を差し宣言した。

 

 

「藤原雷電!俺と決闘しろ!武器を捨てて素手で勝負だ!俺が勝ったら、二度と香織達には近寄らないでもらう!そして、そこの彼女達も全員解放してもらう!」

 

「……とうとうご都合解釈が思考停止の域に到達したか。この愚か者が……!」

 

「何をごちゃごちゃ言っている!怖気づいたか!」

 

聖剣を地面に突き立てて素手の勝負にしたのは、きっと剣を抜いた後で、同じように俺が武器を使ったら敵わないと考え直したからに違いない。意識的にか無意識的にかはわからないが……ハジメ達も香織達も、流石に天之河の言動にドン引きしていた。

 

 

 

しかし、天之河は完全に自分の正義を信じ込んでおり、ハジメ同様俺に不幸にされている女の子達や幼馴染を救ってみせると息巻き、周囲の空気に気がついていない。元々の思い込みの強さと猪突猛進さ、それに初めて感じた“嫉妬”が合わさり、完全に暴走しているようだ。

 

 

 

そんな天之河の茶番に付き合う訳も無く、俺はフォース・グリップで天之河の首を締め上げる。

 

 

「…っ!?ぐっ……が…ぁ……!?」

 

 

壮絶な力で首を締め上げられ、天之河はくぐもった声をあげた。かろうじて動く腕が、与えられない酸素を求めてばたつく。クラスメイト達は天之河の様子を見て完全に理解してはいないものの、確実に雷電の仕業である事を理解していた。

 

 

 

そんなクラスメイト達の視線を無視し、俺は天之河に告げた。

 

 

「戦いは、常に自分の思い描いた通りにはならないものだ。だから、お前のご都合解釈すら役に立たん。それでもまだそう考えているのなら、愚かにも程がある。お前が俺達の行く手を阻むのなら……」

 

 

 

 

 

 

「今、この場で殺してやろうか?」

 

 

 

 

 

 

俺はそういって、ライトセーバーを取り出して再び青い光刃を展開し、天之河の前に向ける。そしてフォース・プルで引き寄せ、天之河に突き刺そうとする。それを止めようと八重樫は動くものの手遅れであった。天之河も必死に抵抗するが、見えない手の様なものに首元を掴まれているため呼吸が出来ず、藻掻き苦しむだけだった。そしてライトセーバーが天之河に突き刺さろうとしたその時……

 

 

 

 

 

 

「止めてぇ!!」

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

 

突然、大きな声を上げる一人の女性に反応し、雷電は咄嗟に青い光刃を消し、フォース・プルで引き寄せられた天之河を躱して素通りさせる。天之河は首を締め上げられていた為に受け身を取る体勢が出来ておらず、そのまま勢いよく転がり、その場で倒れるのだった。

 

 

 

この殺伐と化した空間の中で待ったをかけたのは以外にも中村だったのだ。

 

 

「中村……?」

 

「エ……エリリン?」

 

「「「恵里(中村)?」」」

 

 

誰も予想だにしなかった事に唖然となった俺やクラスメイト達。中村は、既に感情を抑えきれず、思っていた事を表側に吐き出すのだった。

 

 

「どうしてよっ!せっかく皆が南雲くんたちと再会できたというのに、どうして藤原くんと光輝くんが殺し合いになるの!?」

 

「……」

 

「私は皆にはもう死んでほしくはないの!!まだ私は……()は、まだ光輝くんに本当の思いを伝えていないのに!!」

 

「僕って……エリリン?」

 

「恵里……あなた……」

 

 

この時に中村は、本来の素が完全に表に出てしまっている事に気付いた。何故こんな時に自分の素が表に出てしまったのか彼女本人でも理解できなかった。そして彼女はこの場から逃げる様に去ってしまう。

 

 

 

中村の怒声によって我に返った雷電も、今まで怒りを抱いていた自分の軽率な行動に恥じるばかりだった。

 

 

「八重樫に坂上。すまない、俺から言えた義理ではないが天之河を頼む」

 

「謝んなよ、藤原。光輝もそうだが、流石に今回ばかりは止めなかった俺も悪いと思っている」

 

「そんな事より、恵里の様子がおかしかったわ?あんなに感情を爆発させた彼女を私は初めて見たわ」

 

「どの道、俺の所為でああなったのは確かだ。俺が中村を探してくる」

 

 

天之河を八重樫達に任せ、俺はこの場から逃げてしまった中村を探しに向かうのだった。いくら天之河が嫌いだからといって殺しかけてしまった事を謝る為に……

 

 

中村恵里が雷電たちの仲間入りする際にどのタイミングがよろしいか?

  • グリューエン大火山に向かう時
  • 王都編が終わる直前の時
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