ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強   作:コレクトマン

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何かとスランプ気味になりかけているうp主です。


75話目です。


オーダー66ともう一人の影

 

 

時間は少し遡る……

 

 

 

光輝達が緊急時の集結の場所に向かっているその頃、フォードー達はユエ達と別れ、緊急事態時に騎士達が集結する集結場所に向かっていた。リリアーナ曰く、そこなら雫達がいる可能性があるとのことだ。時に、ブリッツが率いるクローンの部隊を見かけた。何やら慌ただしい様子だった。

 

 

「あれって……クローンさんだよね?」

 

「えぇ。アレはブリッツさんが率いる兵士の様です。ですが……何かが変です」

 

「あぁ……俺も何かと嫌な予感がする」

 

 

リリアーナの問いにファイヴスは同意する。この時にファイヴスは何かと嫌な予感をしていた。

 

 

「よしっ…ここは自分とファイヴスで確認に向かう。残りは香織達の護衛だ」

 

「「「イエッサー!」」」

 

 

フォードーがそう指示を出した後、ファイヴスと共にクローン達がいる方に向かう。そしてクローン達もフォード-達に気付いた様だが、何やら様子がおかしかった。それでもフォードーは状況を確認するべくクローン達に状況の説明を求めた。

 

 

「お前達、今どういう状況だ?」

 

「魔人族の襲撃です!…ですがご心配なく。現在、防衛態勢を構築しております」

 

 

そう報告されたが、それでも嫌な予感は拭えなかった。そして、その予感がある通信を傍受し、その内容によって的中してしまうのだった。

 

 

《各位、オーダー66を実行せよ。》

 

「「っ!!」」

 

 

“オーダー66”という単語と命令を聞いたフォードーとファイヴス。するとクローン達がブラスターをフォードー達に向け、引き金を引こうとした。

 

 

「フォードー!ファイヴス!」

 

 

……が、その前に清水はMK23を引き抜き、撃たれそうなフォードー達を助けるべく、フォードー達を射殺しようとするクローン達をヘルメットのバイザーを正確に撃ち抜き、ヘッドショットで息の根を止める。そして生命が停止したクローンはポリゴン状に砕け散った。

 

 

 

これを見ていた香織達は理解が追いつかなかった。清水が何故クローン達を射殺したのか以前に、何故クローン達がフォードー達を撃ち殺そうとしたのかを。

 

 

「「清水くん!?」」

 

「清水さん!?一体何を……」

 

「清水ではない、シャドウだ。あの時、俺が動かなかったら殺られていたのはフォードー達だった。それにフォードー達……特にファイヴスは、今のクローン達の変わり様を知っていたな?アレはもしや……」

 

 

清水はファイヴスにクローン達の変化について聞き出した。ファイヴスは、恐れていたことが別の意味で現実になっていたことに驚きを隠せなかった。

 

 

「はいっ……ですが、あれは本来なら、その……()()()()()筈なんです」

 

「「「ありえない……?」」」

 

「ありえないとは、アレか?行動抑制チップが埋め込まれている可能性があるのか?」

 

 

清水のいう行動抑制チップにリリアーナは、初めて聞く言葉に何なのか想像がつかなかった。一方の香織と恵里は、メルジーネ海底遺跡で雷電がクローン達の変貌の原因である行動抑制チップによる抑制と似ていることを思い出す。そんな彼女等を置いて、ファイヴスは清水の問いに答える。

 

 

「はい。もし兄弟達が、行動抑制チップを頭に埋め込まれているとすれば、今の彼等が行った行動に辻褄が合います。更に可能性を考慮すれば、此処にいる兵士や騎士達も同じ様に埋め込まれている可能性も否定できません」

 

「……となると、次にブリッツ達に会うときは敵と認識するべきか。だが、ブラスターはスタンモードで非殺傷に設定しておく。もし状況によってはお前達の兄弟と殺し合うことになる。それだけは覚悟した方がいい」

 

「……覚悟の上だ」

 

 

そう言って清水はDC-17ハンド・ブラスターをスタンモードに設定した後に“宝物庫”から5.56mm MkⅢアサルトライフルを取り出し、マガジンを引き抜いて残弾を確認した後に再びアサルトライフルに装填し、周囲を警戒しながらも緊急集結場所に向かう。そして、その通り道で香織達はある人物を目撃する。

 

 

「あれは……メルドさん?」

 

「騎士団長?何故此処に……」

 

 

そう発言したのは香織、その次がリリアーナだった。だが、今のメルドは何かを探している様に見えた。するとメルドが香織達を目視した途端、何やら香織達のことを敵として見る様な目をして殺意を抱き、剣を抜く。

 

 

「此処に居たか。主神エヒトの神敵……!」

 

「め…メルドさん!?」

 

「そんな…!騎士団長まで……!?」

 

「…チィッ!!」

 

 

香織とリリアーナはメルドが敵になっていることにショックを受けていたが、清水はこれ以上の面倒ごとは避けたいと判断したのか、スタンモードのDC-17ハンド・ブラスターでメルドを撃ち、即座に気絶させる。

 

 

「まさかメルドまでもが……」

 

「その様だな。一応であるが、このまま寝かせておこう。強いショックで目を覚ましている可能性だってある」

 

「清水さん……ありがとうございます」

 

 

清水やフォードーにとってメルドは“世話になった人物”であり、死なせるのは惜しい人物でもある為、メルドを殺さないでくれたことをリリアーナは清水に感謝するのだった。清水はいつも通りに“清水じゃない、シャドウだ”と言いながらもアサルトライフルを構え直してそのまま王宮の奥へと向かうのだった。

 

 

 

そして今現在に至る……

 

 

 

「雫ちゃん!」

 

 

その声と共に、いつの間にか展開されていた十枚の輝く障壁が雫を守るように取り囲んだ。そして、その内の数枚がニアと尋問官の眼前に移動しカッ!と光を爆ぜた。バリアバースト擬きとでもいうべきか、障壁に内包された魔力を敢えて暴発させて光と障壁の残骸を撒き散らす技だ。

 

 

「ちぃっ!?」

 

 

咄嗟に両腕で顔を庇った尋問官だが、その閃光に怯んでバランスを崩した瞬間に砕け散った障壁の残骸に打ち付けられて後方へと吹き飛ばされた。

 

 

 

雫を抑えていたニアも同様に後方へとひっくり返る。すぐさま起き上がって雫を拘束しようとするものの、直後、光の縄が地面から伸び一瞬で縛り付けられてしまった。

 

 

 

雫が、突然の事態に唖然としつつも、自分の名を呼ぶ声の方へ顔を向ける。

 

 

 

そして、周囲を包囲するクローン達や黒いストーム・トルーパー達の隙間から、ここにいるはずのない親友の姿を捉えた。夢幻ではない。確かに、香織が泣きそうな表情で雫を見つめていた。きっと、雫達の惨状と、ギリギリで間に合ったことへの安堵で涙腺が緩んでしまったのだろう。

 

 

「か、香織……」

 

「雫ちゃん!待ってて!直ぐに助けるから!」

 

 

香織は、広場の入口から兵士達に囲まれる雫達へ必死に声を張り上げた。そして、急いで全体回復魔法を詠唱し始める。光系最上級回復魔法“聖典”だ。クラスメイト達の状態と周囲を状況から一気に全員を癒す必要があると判断したのだ。

 

 

「おやまぁ…随分とお早い到着の様ね?それにしても、アンタがそっち側で生かされているなんて想いもしなかったわ。ねぇ、シャドウ?」

 

「お生憎様でな?どの道、俺を都合の良いタイミングで斬り捨てる積もりだったんだろ?だったら、その落とし前くらいはつけさせてもらう」

 

 

清水はアサルトライフルを尋問官に向け、尋問官はライトセーバーから赤い光刃を展開して向かい合う。その間にリリアーナは、雫達を回復させている香織を手助けする様に自分と香織を包むように球状の障壁が二人を守る。

 

 

「みなさん!一体、どうしたのですか!正気に戻って!」

 

 

リリアーナは、騎士や兵士達、クローン達が光輝達を殺そうとしている状況にひどく混乱していた。リリアーナは術師としても相当優秀な部類に入る。モットーの隊商を全て覆い尽くす障壁を張り、賊四十人以上の攻撃を凌ぎ切れる程度には。なので、たとえ、騎士達がリミッターの外れた猛烈な攻撃を行ったところで、香織の詠唱が完了するまで持ち堪えることは十分に可能だった。

 

 

 

そしてドミノ、デルタ、不良分隊は雫達を守りながらも敵対するクローン達と黒いストーム・トルーパーと相対する。

 

 

 

その様子を清水と相対しながら見ていた尋問官は、リリアーナの障壁に多少頭を悩ましていたが、何かと余裕のある表情だった。

 

 

「あの王女様もやるじゃないさ。だったら、これを出すとしようかしら」

 

「何……?」

 

 

そう言って尋問官が懐から取り出したのは一つのホロジェクターだった。清水は何故ホロジェクターを取り出したのか疑問に思った。その時にホロジェクターから黒い装束を着たある老人の映像が映し出される。その時、清水の脳裏に電流が走る。

 

 

(この映し出された老人……一体何だ?それに、何故か俺はこの老人のことを知っている。一体どういう……っ!まさか……!)

 

 

この時に清水は最悪のパターンを予測する。そして映し出された老人からある言葉を発する。

 

 

()()()()6()6()を実行せよ…》

 

「…っ!」

 

 

そう聞かされた清水は、認識が塗り潰される様な感覚を覚える。それは、クローン達と共に戦っていた雷電達の光景が()()()()()()()()()()()()()()()()()に塗り潰される。清水はそれが偽りの認識であると自覚しているものの、何かに抑制されて自分の意志で逆らうのは難しかった。

 

 

「はい……シディアス卿」

 

 

そう清水が小さく呟き、了承した瞬間にシアとユエがやって来て香織達と合流する。

 

 

「お待たせしました、皆さん!……って、あれ?クローンさん達の雰囲気が何か違うです」

 

「んっ……確かに、様子が変みたい」

 

「ユエさん!シアさん!」

 

「ユエ、シアさん!気を付けて!今のクローンさん達は正気じゃない!」

 

 

香織の注告にユエ達はクローン達に対して警戒し、クローン達や黒いストーム・トルーパー達もブラスターをユエに向ける。一触即発の状況になったその時に……

 

 

「止せ!」

 

「「「っ!?」」」

 

 

清水が“待った”を掛け、クローン達と黒いストーム・トルーパー達を制止させる。そして、何かに抗うかの様に手は震えながらも“宝物庫”を取り外す。

 

 

「俺が……俺がやる」

 

「シャドウさん?」

 

「シャドウ……どうしたの?」

 

「清水くん?一体どうしたの……?」

 

「清水さん……貴方は一体何を?」

 

 

其々が清水の様子がおかしいことに気付いており、一体どうしたのか声をかける香織達。しかし、それを清水が否定する。

 

 

「寄るな!」

 

「「「…!!」」」

 

 

しまいにはブラスターを香織達に向け、近づくなと警告する。そして清水は、外した“宝物庫”をフォードーに向けて投げ渡す。

 

 

「シャドウ?……お前、まさか…!」

 

「まさか……頭部に()()()()()が!?」

 

「そうらしい…!…っ、とにかく…雷電やハジメに伝えろ……!」

 

 

清水は何かに抵抗し、震えながらもブラスターを香織達に向けていた。

 

 

「伝えるんだ……次に、次に俺と会ったら、迷わずに()()と!!」

 

「っ!“聖絶”」

 

 

清水がブラスターの引き金を引いたと同時にリリアーナが“聖絶”を発動させ、香織達を守る。そして、それを切っ掛けにクローン達や黒いストーム・トルーパー達もブラスターで攻撃を開始する。

 

 

 

シアはクローン達が何故こうなったのかまだ分からなかったが、今は香織達を守ることに専念する為にライトセーバーを手にしてクローン達から放つブラスターの光弾を弾きながらも、ユエは魔法で、フォードーやドミノ、デルタ、不良分隊はブラスターで、クローン達や黒いストーム・トルーパー達に対して応戦するのだった。

 

 

 

まさに混戦となった時に尋問官は、この混戦を利用してリリアーナの背後を取り、後ろから討とうとする。

 

 

「この混戦……まさに好機というんじゃないのかしらね?リリアーナ王女殿下?」

 

「っ!?」

 

 

リリアーナに赤い光刃が襲いかかるが、障壁のおかげで守られていたものの、尋問官の激しい剣戟に障壁が耐えきれず。やがて限界を迎え、障壁が砕かれ、尋問官のライトセーバーの赤い光刃によって貫かれそうになる。

 

 

「しまっ……!」

 

「終わりよっ!」

 

「…!?リリィ!」

 

 

リリアーナが尋問官に殺されそうになっている所を香織は目撃し、咄嗟にリリアーナの所に向かい、香織はリリアーナを守る為に突き飛ばす。

 

 

「きゃぁあ!?」

 

「あぐぅ!?」

 

 

その結果、リリアーナの障壁が解け、香織に突き飛ばされて一命を取り止め、地面に横たわるリリアーナの姿と背後から抱き締められるようにして胸から赤い光刃を突き出す香織の姿だった。

 

 

「香織ぃいいいいーー!!」

 

 

雫の絶叫が響き渡る。

 

 

 

尋問官の思惑が外れたが、これはこれで結果としては上々だった。雫を尋問官(こちら)側に引き寄せる為の贄としては十分過ぎた。そう考えていた矢先に……

 

 

「…っ!」

 

 

「…何っ!?」

 

 

尋問官のライトセイバーに貫かれている筈の香織は、懐からヴォルトが作りしDC-17の改造銃“ヘルメス”を尋問官の方に向けて引き金を引いた。流石の尋問官も香織の予想外の反撃に反応が遅れ、胴体に一発の光弾が直撃する。

 

 

「がぁっ!?……この小娘がっ!!」

 

 

尋問官は香織に突き刺しているライトセイバーを引き抜くと同時にフォース・プッシュで雫達の方に吹き飛ばした。そして、胴体に受けたブラスターの銃創を手で抑えながら痛みをこらえていた。

 

 

「香織!しっかりして、香織!!」

 

 

尋問官に吹き飛ばされた香織は、雫に支えられ、声をかけられていた。そんな彼女は致命傷を負いながら何かを呟いている。

 

 

「────ここ…に…せいぼ…は……ほほえ…む…“せい…てん”」

 

 

致命傷を負ってなお、完成させた最上級魔法の詠唱。香織の意地の魔法行使。

 

 

 

香織にも、自分が致命傷を負ったという自覚があるはずだ。にもかかわらず、最後の数瞬に行ったのは、泣くことでも嘆くことでも、まして愛しい誰かの名前を呼ぶことでもなく……戦うことだった。

 

 

 

香織は思ったのだ。彼は、自分が惚れた彼は、どんな状況でもどんな存在が相手でも決して諦めはしなかった。ならば、彼の隣に立ちたいと願う自分が無様を晒す訳にはいかないと。そして、ほとんど意識もなく、ただ強靭な想いだけで唱えきった魔法は、香織の命と引き換えに確かに発動した。

 

 

 

香織を中心に光の波紋が広がる。それは瞬く間に広場を駆け抜け、傷ついた者達に強力な癒しをもたらした。尋問官も此処が潮時であると判断し、黒いストーム・トルーパーに命令する。

 

 

「お前達、私が引くまで時間を稼ぎなさい。シャドウ、あなたも私と共に引くよ!」

 

「了解した……」

 

 

命じられたことを実行する黒いストーム・トルーパー。そして清水も尋問官の指示に従う様に尋問官と共に撤退する。

 

 

「……よくも、よくも香織をっ!!」

 

 

そんな尋問官を許さないのが、香織の親友である雫だった。今の雫は怒りの感情に支配されており、回復したばかりの身体に負荷をかけさせても尋問官を殺すつもりで黒刀を手に尋問官に向かおうとするが、フォードーに制止される。

 

 

「止せ!一人で突っ込むのは危険だ!!」

 

「はぁぁああっ!!」

 

 

そんなフォードーの制止を聞かず、雫はいかりに身を任せて黒刀で尋問官に斬り掛かろうとするが……

 

 

 

“ドパンッ!”

 

 

 

そんな雫に一発の弾丸が雫の胴体に撃ち抜かれる。

 

 

「かはぁっ!?」

 

「………」

 

 

雫を撃ったのは清水だった。清水は手持ちのアサルトライフルの5.56mm弾を雫に喰らわせたのだ。その結果、雫は清水の凶弾によって倒れ込む。想いも寄らないものが向こうからやって来たことに尋問官は思わずヘルメット越しに微笑む。

 

 

「……想いも寄らない所に来た様ね?でも、丁度良いわ。アナタには少しばかりジェダイの坊やを釣る為の餌になってもらうわ」

 

「ぐっ…香織を……よく…も……!」

 

 

そうして雫は黒刀を手放して気を失い、尋問官は清水に命じて負傷した雫を抱えて、王国から撤退するのだった。

 

 

「雫っ!!」

 

「シズシズーっ!!」

 

 

龍太郎達は雫が敵に捕らわれたことに悲痛の声を出す。だが、それもこの混戦の中では無意味に等しい。そして最悪なことには……

 

 

「行けっ!突撃!」

 

「進め!」

 

「反逆者はあそこだ!」

 

「GO!GO!GO!」

 

 

ブリッツが新たにARCトルーパーとクローン・トルーパーの混成一個中隊を率いてシア達が逃走するであろう通路を塞ぐ様に並び、シア達を包囲する。これには龍太郎達も絶句する。

 

 

「嘘……だろ!?」

 

「クローン達が、戻ってきた!」

 

「反逆者に告ぐ。お前達は包囲された。逃げようにも、通路は此処しかない。無駄な抵抗はせず、大人しく処刑を受けよ」

 

 

ブリッツ達に包囲され、退路を断たれたシア達。龍太郎達にとって絶望的状況の戦場にある二人の声がやけに明瞭に響いた。

 

 

「……一体、どうなってやがる?」

 

「クローン達がどうして……まさか!」

 

 

それは、白髪眼帯の少年、南雲ハジメとクローン達の召喚者でもあるジェダイ、藤原雷電の声だった。

 

 

 

ハジメの登場に、まるで時間が停止したように全員が動きを止めた。それは、ハジメが凄絶なプレッシャーを放っていたからだ。

 

 

 

ハジメは、自分を注視する何百人という人間の視線をまるで意に介さず、周囲の状況を睥睨する。クラスメイト達を襲う大量のブリッツ率いるクローン達と黒いストーム・トルーパー達、一塊になって円陣を組んでいるクラスメイト達、右腕を切り落とされて倒れ伏す光輝、そしてライトセイバーによる何かに突き刺され、命の鼓動を止めている香織……

 

 

 

その姿を見た瞬間、この世のものとは思えないおぞましい気配が広場を一瞬で侵食した。体中を虫が這い回るような、体の中を直接かき混ぜられ心臓を鷲掴みにされているような、怖気を震う気配。圧倒的な死の気配だ。血が凍りつくとはまさにこのこと。一瞬で体は温度を失い、濃密な殺意があらゆる死を幻視させる。

 

 

 

刹那、ハジメ達の姿が消えた。

 

 

 

そして、誰もが認識できない速度で移動したハジメは、轟音と共に香織の傍に姿を見せる。そして雷電は、シアの傍に姿を現す。ハジメは、片腕で香織を抱き止めると、そっと顔にかかった髪を払った。そして、大声で仲間を呼ぶ。

 

 

「ティオ! 頼む!」

 

「っ……うむ、任せよ!」

 

「し、白崎さんっ!」

 

 

ハジメの呼びかけに応えて、一緒にやって来たティオが我を取り戻したように急いで駆けつけた。傍らの愛子も血相を変えて香織の傍にやって来る。ハジメから香織を受け取ったティオは急いで詠唱を始めた。そして雷電は、シアに現在の状況の説明を求めた。

 

 

「シア!一体どうゆう状況だ?何故クローン達がお前達を襲っているんだ?それに、仲間のシャドウや、クラスメイトの八重樫がいないが、二人はどうしたんだ?」

 

「はっはい、マスター!先ず、私たちを包囲しているクローンさん達は、頭に行動抑制チップというものが埋め込まれています!それと、シャドウさんも知らぬ間にチップが埋め込まれていた様です!その際にシャドウさんがこう言ってました、“次に俺と会ったら、迷わずに()()!!”と。そして八重樫さんは尋問官に連れ攫われました!」

 

「そうか……クソッ!」

 

 

シアの報告に思わず悪態を履く雷電。そして、ハジメのプレッシャーから何とか脱したブリッツとARCトルーパー達は新たに現れたハジメ達にブラスターを向けるのだった。

 

 

「例の反逆者が王宮内に現れた。至急こちらに集結せよ」

 

 

ブリッツは捜索している残りのトルーパーに集結命令を出す。そして、今いる人数で雷電達を撃とうとしたその時にドミノ分隊のファイヴスとARCトルーパーのフォードー、そしてデルタ分隊のボスがそこで待ったを掛ける。

 

 

「待て!撃つな!撃つんじゃない!!」

 

「コマンダー・ブリッツ!如何か銃を下ろさせてくれ!」

 

「私からも待ったを掛けさせてもらう」

 

 

それでもブリッツ達はブラスターを下ろさなかったが、話を聞くだけ聞く様だ。

 

 

「ARC-5555、キャプテン・フォードーにデルタ分隊。我々の使命は共和国の為にある筈。ならばそこの反逆者である藤原雷電と南雲ハジメを処刑しなければならない」

 

「待ってください、コマンダー・ブリッツ!貴方は行動抑制チップの本当の真実を知っている筈!」

 

「ファイヴスの言う通り、オーダー66は共和国を裏切ったジェダイを処刑せよというもの。そこで問題は、此処にいる将軍は我々の世界では“ライ=スパーク”としてジェダイの騎士であったものの、一度は我々に処刑されている。そして将軍は、地球という惑星で転生し、“藤原雷電”という新たな生を得た。何を言いたいのかというと、此処にいる将軍は我々がいた世界のジェダイではなく、地球の人間であるということだ」

 

「それに加え、オーダー66の真相は、黒幕である“ダース・シディアス”ことシーヴ・パルパティーン議長こそが俺達共和国の敵でもあるんだ。その黒幕の命令に従う必要はない筈だ」

 

 

ファイヴス、フォードー、ボスの発言にブリッツはフォードーに対してこう言い返した。

 

 

「フォードー……例えそれが、()()()()()()()()()()()()だとして、我々はその命令を拒否する権限はない。それはお前とて分かっている筈……」

 

「コマンダー・ブリッツ!よく聞いてほしい!もしここで手順を誤れば、自分等が反逆者になる!彼等ではなく!」

 

「貴方にも分かっている筈です!本当はこんな事は間違っていると!」

 

「武器を下ろすんだ、コマンダー。俺達とて、兄弟達を撃ちたくない」

 

 

何とかブリッツを説得し様にも、ブリッツは行動抑制チップの影響で私情ではなく命令を優先したのだった。

 

 

「ドミノ分隊、及びデルタ分隊、クローンフォース99。そしてキャプテン・フォードー。貴官はオーダー66に違反している。共和国軍への明らかな反逆行為と認定。キャプテンの地位を剥奪し、裏切り者“藤原雷電”、“南雲ハジメ”とその仲間と共に、この場で処刑する!」

 

 

その言葉に他のARCトルーパー達はハジメ達にブラスターを向け、オーダー66の命令を実行する為に攻撃態勢に入る。最早これ以上の説得は無意味であると悟ったフォードー達は、心苦しいままブリッツ率いるARCトルーパー達にブラスターを向ける。そして雷電もまた、ライトセイバーを手にし、青い光刃を展開してブリッツ達と対峙する。

 

 

「マスター……心苦しいかもしれませんが、今はこの場を切り抜ける為に気持ちを切り替えなければやられるのは私たちです」

 

「分かっている。……彼等はただ、命令に従っているだけなんだ。彼等の行いに非はない……だが、敵として前に立ち塞がる以上、加減はしない!」

 

 

ここで手心をいれてしまえば、それはブリッツ達にとっての侮辱でしかない。苦痛の決断の際に雷電はハジメに香織の状態はどうなっているのか確認を取った。

 

 

「ハジメ、香織の様子はどうだ?」

 

「今、ティオが香織の魂を肉体から離れないよう固定させているところだ。今はティオに任せるしかないな」

 

「そうか……フォードー達、此処からは兄弟達との戦闘になる。それ相応の覚悟はあるか?」

 

 

そう雷電がフォードー達に問いかけると、フォードー達は答える。

 

 

「……覚悟なら、出来ています。最も、こんな形になってほしくなかったのですが……」

 

「起こってしまったことに悔やんでも意味はない。今はこの状況を切り抜けることが先決だ」

 

「中隊、撃ち方…用意!「待ちなっ!」…何っ!?」

 

 

戦闘が起ころうとした矢先に、一人の男の声に制止させれる。そんなブリッツ達と雷電達の間にアシュ=レイが降りてきた。そしてアシュ=レイは、ブリッツ達の前で着地したと同時にフォース・プッシュでブリッツ達の陣形を崩した。そして、ルイントから回収したライトセイバーを手に堂々と宣言する。

 

 

「アシュ=レイ・ザンガだ!俺を恐れぬ奴は、何処からでも掛かって来やがれ!!」

 

「…ジェダイがもう一人だと!?」

 

 

突然のアシュ=レイの襲撃にブリッツは困惑したが、ジェダイがもう一人増えたことに変わりなく、命令道理にアシュ=レイも雷電達と共に処刑しようとブラスターを向ける。しかし、それよりも雷電がフォース・プッシュでブリッツを吹き飛ばし、王宮の柱にぶつけて意識を刈り取る。

 

 

 

これを合図にハジメ達は戦闘を開始する。ハジメに至ってはある意味複雑の気分でありながらも、オーダー66によって殺された雷電の気持ちが分かった様な気がした。

 

 

「本当に複雑な気分だな。まさかクローン達を本当に敵対することになるとはな……」

 

 

そう呟きながらも特攻の如く迫り来るARCトルーパーにドンナーとシュラークでARCトルーパーを倒すハジメ。ARCトルーパー達は、仲間が次々とやられているのにも関わらず、物量で一気に攻め落とそうと攻撃を続ける。

 

 

「だが……数だけいようが関係ねぇ。敵対する奴はたとえクローンだろう殺す!」

 

 

ハジメが戦っているその頃、ユエとシアは互いに背を守りながらもクローン達と交戦していた。シアがライトセイバーでブラスターの光弾を弾き、ユエが魔法と白い銃で応戦する。攻防一体のコンビネーションでクローン達を蹴散らす。

 

 

 

ドミノ、デルタ、不良分隊、フォードーは同じ兄弟であるクローン達相手に応戦し、撃退していた。特にフォードーやドミノ分隊にとって心苦しいことだった。同じクローンである兄弟達を倒さなければならないことに。それでも割り切って、雷電達やクラスメイト達を守るのだった。

 

 

 

雷電とアシュ=レイは互いに背を向けながら黒いストーム・トルーパー達の攻撃を凌いでいた。そんな時にアシュ=レイは雷電に軽口を叩く。

 

 

「そういやぁ、昔を思い出すな?クローン戦争の中期辺りにこういう状況に陥ったことが合ったよな?」

 

「そういえば、そんな事があったな?だが、その話を今ここで出すか普通?」

 

「そうでもしねぇとお前は何もかも抱え込んでしまって、色々と面倒なことになっちまうだろうが!たまにはこういうのもありだろ?」

 

「……まったく、問題児と言われる割には情が厚い様だな?そういう神経には本当、今では感謝しているよ!」

 

 

そうぼやきながらもアシュ=レイと共に迫り来る黒いストーム・トルーパー達を捌いてく。腐れ縁なだけあって、二人のコンビネーションは意外にも最高だった。アシュ=レイが攻めで雷電が守り。攻守という意味ではユエ達の次に最強だった。

 

 

 

そうして十数分後……

 

 

 

ブリッツを除くARCトルーパー、及びクローン・トルーパー、黒いストーム・トルーパー達は雷電達によって全滅した。雷電は倒されたクローン達に“すまない…”と謝罪と敬礼をしていた。周囲を確認し、他の増援がないかを確認しようとしたハジメに目掛けて極光が襲いかかった。

 

 

「チッ……」

 

 

ハジメは、舌打ちしつつその場から飛び退き、極光の射線に沿ってドンナーを撃ち放った。三度轟く炸裂音と同時に、極光という滝を登る龍の如く、三条の閃光が空を切り裂く。

 

 

 

直後、極光の軌道が捻じ曲がり、危うく光輝を灼きそうになったが、寸前でリリアーナが“聖絶”を発動し、光輝達を守った。更にドミノ分隊のヘヴィーは、万が一の為に持っていた分隊偏向シールド発生装置を機動させ、光輝達とフォードー達を守る。流石に極光で死ぬのは勘弁して欲しいところだろう。

 

 

 

やがて、極光が収まり空から白竜に騎乗したフリードが降りてきた。

 

 

「……そこまでだ、白髪の少年にジェダイ。大切な同胞達と王都の民達を、これ以上失いたくなければ大人しくすることだ」

 

 

どうやらフリードは、ハジメを光輝達や王国のために戦っているのだと誤解しているようである。周囲の気配を探れば、いつの間にか魔物が取り囲んでおり、龍太郎達や雫、そしてティオや愛子達を狙っていた。

 

 

 

ハジメ達が本気で戦えば、甚大な被害が出ることを理解しているため人質作戦に出たのだろう。ハジメは知らないことだが、ユエに手酷くやられ、ハジメ達には敵わないと悟ったフリードの苦肉の策だ。なお、ユエに負わされた傷は、完治にはほど遠いものの、白鴉の魔物の固有魔法により癒されつつある。

 

 

 

と、その時、香織に何かをしていたティオがハジメに向かって声を張り上げた。

 

 

「ご主人様よ!どうにか固定は出来たのじゃ!しかし、これ以上は……時間がかかる……出来ればユエの協力が欲しいところじゃ。固定も半端な状態ではいつまでも保たんぞ!」

 

 

ハジメは、肩越しにティオを振り返ると力強く頷いた。何のことかわからないクラスメイト達は訝しそうな表情だ。しかし、同じ神代魔法の使い手であるフリードは察しがついたのか、目を見開いてティオの使う魔法を見ている。

 

 

「ほぉ、新たな神代魔法か……もしや“神山”の? ならば場所を教えるがいい。逆らえばきさっ!?」

 

 

フリードが、ハジメ達を脅して“神山”大迷宮の場所を聞き出そうとした瞬間、ハジメのドンナーが火を噴いた。咄嗟に、亀型の魔物が障壁を張って半ば砕かれながらも何とか耐える。フリードは、視線を険しくして、周囲の魔物達の包囲網を狭めた。

 

 

「どういうつもりだ?同胞の命が惜しくないのか?お前達が抵抗すればするほど、王都の民も傷ついていくのだぞ?それとも、それが理解できないほど愚かなのか?外壁の外には十万の魔物、そしてゲートの向こう側には更に百万の魔物が控えている。お前達がいくら強くとも、全てを守りながら戦い続けることが……」

 

 

その言葉を受けたハジメは、フリードに向けていた冷ややかな視線を王都の外──王都内に侵入しようとしている十万の大軍がいる方へ向けた。そして、無言で“宝物庫”から拳大の感応石を取り出した。訝しむフリードを尻目に感応石は発動し、クロスビットを操る指輪型のそれとは比べ物にならない光を放つ。

 

 

 

猛烈に嫌な予感がしたフリードは、咄嗟に、ハジメに向けて極光を放とうとする。しかし、ハジメのドンナーによる牽制で射線を取れず、結果、それの発動を許してしまった。

 

 

 

──天より降り注ぐ断罪の光。

 

 

 

そう表現する他ない天と地を繋ぐ光の柱。触れたものを、種族も性別も貴賎も区別せず、一切合切消し去る無慈悲なる破壊。大気を灼き焦がし、闇を切り裂いて、まるで昼間のように太陽の光で目標を薙ぎ払う。

 

 

 

キュワァアアアアア!!

 

 

 

独特な調べを咆哮の如く世界に響き渡らせ大地に突き立った光の柱は、直径五十メートルくらいだろうか。光の真下にいた生物は魔物も魔人族も関係なく一瞬で蒸発し、凄絶な衝撃と熱波が周囲に破壊と焼滅を撒き散らす。

 

 

 

ハジメが手元の感応石に魔力を注ぎ込むと、光の柱は滑るように移動し地上で逃げ惑う魔物や魔人の尽くを焼き滅ぼしていった。

 

 

 

防御不能。回避不能。それこそ、フリードのように空間転移でもしない限り、生物の足ではとても逃げ切れない。外壁の崩れた部分から王都内に侵入しようとしていた魔物と魔人族が後方から近づいて来る光の柱を見て恐慌に駆られた様に死に物狂いで前に進み出す。

 

 

 

光の柱は、ジグザグに移動しながら大軍を蹂躙し尽くし、外壁の手前まで来るとフッと霧散するように虚空へ消えた。

 

 

 

後には、焼き爛れて白煙を上げる大地と、強大なクレーター。そして大地に刻まれた深い傷跡だけだった。ギリギリ、王都へ()()()()ことが出来た魔人族は安堵するよりも、唯々、一瞬にして消えてしまった自軍と仲間に呆然として座り込むことしか出来なかった。

 

 

 

そして、思考が停止し、呆然と佇むことしか出来ないのは、ハジメの目の前にいるフリードやフォードー達、恵里達も同じだった。

 

 

「愚かなのはお前だ、ド阿呆。俺がいつ、王国やらこいつらの味方だなんて言った?てめぇの物差しで勝手なカテゴライズしてんじゃねぇよ。戦争したきゃ、勝手にやってろ。ただし、俺の邪魔をするなら、今みたいに全て消し飛ばす。まぁ、百万もいちいち相手してるほど暇じゃないんでな、今回は見逃してやるから、さっさと残り引き連れて失せろ。お前の地位なら軍に命令できるだろ?」

 

 

同胞を一瞬にして殲滅した挙句の余りに不遜な物言いに、フリードの瞳が憎悪と憤怒の色に染まる。しかし、例え、特殊な方法で大軍を転移させるゲートを発動させているとはいえ、ハジメの放った光の柱の詳細が分からない以上、二の舞、三の舞である。それだけは、何としても避けねばならない。

 

 

 

ハジメとしても、逃がすのは業腹ではあったが、今は一刻も早く香織に対して処置しなければならない。時間が経てば、手の施しようがなくなってしまうのだ。まして、初めての試みであり、ぶっつけ本番の作業である。しかも、実は先の光の一撃は、試作品段階の兵器であり、今の一発で壊れてしまった。殲滅兵器なしに、百万もの魔物と殺り合っている時間はない。……もっとも、雷電が召喚したヴェネター級による軌道上からの艦砲射撃なら一掃することは可能であるのだが。大軍への指揮権があるであろうフリードを殺すのは得策ではなかった。

 

 

 

そうとは知らないフリードは、唇を噛み切り、握った拳から血を垂れ流すほど内心荒れ狂っていたが、魔人族側の犠牲をこれ以上増やすわけにはいかないと、怨嗟の篭った捨て台詞を吐いてゲートを開いた。

 

 

「……この借りは必ず返すっ……貴様だけは、我が神の名にかけて、必ず滅ぼす!」

 

 

フリードは踵を返すとゲートの奥に消えると同時に、上空に光の魔弾が三発上がって派手に爆ぜた。おそらく、撤退命令だろう。そんなフリードを相手にする程暇ではなかったハジメは、そんなことは気にせずに、ユエとシアに香織の死を伝える。二人は、驚愕に目を見開いた。しかし、ハジメの目を見てすぐさま精神を立て直す。

 

 

 

そして、ハジメは、その眼差しに思いを込めてユエに願った。ユエは、少ない言葉でも正確に自分の役割を理解すると力強く“……ん、任せて”と頷く。

 

 

 

踵を返してティオのもとへ駆けつけた。そして、ハジメが香織をお姫様だっこで抱え上げ、そのまま広場を出ていこうとする。その時に雷電は、ハジメに香織を任せると同時に雫と清水を救出する為のことを説明する。

 

 

「ハジメ、俺は八重樫とシャドウの救出の準備をする。そっちは香織を頼む」

 

「分かっている。この場に八重樫がいないとすると、あの尋問官っていう連中に攫われたんだろ?こっちは任せて、お前は八重樫達の救出の準備をしてくれ」

 

 

“分かっているさ”と雷電が言った後に、龍太郎達の所に駆け寄った。そこで見たのは光輝の容態だった。

 

 

光輝は既に気を失っていると同時に右腕を切り落とされていて、見るからに弱っている様子だ。龍太郎は、雷電に対して頭を下げて言った。

 

 

「雷電……お前が光輝のことを嫌っているのは重々承知だ!だが、こいつは俺達にとってのダチ何だ!だから、頼む!光輝を助けてくれ!」

 

 

雷電自身、光輝のことはあのホルアドの一件以来、決別したのだが、元の世界に戻るまではまだ生きてもらう必要があった。最も、龍太郎がそんな光輝の為に頭を下げたことに驚いたが、もとより助ける積もりだった。

 

 

「龍太郎……頭を上げろ。今はこいつを天之河に飲ませろ。そうすれば助かるだろう」

 

「雷電……!すまねえ、感謝する!!」

 

 

そうして雷電は“宝物庫”から神水を取り出し、龍太郎に神水を手渡す。手渡した神水が、以前、死にかけのメルドを一瞬で治癒したのを思い出し、秘薬中の秘薬だと龍太郎は察する。雷電としては、光輝が死んではクラスメイト達を纏めるのに困るくらいの認識だったのだが……龍太郎の表情を見れば予想以上に感謝されてしまっているようだった。

 

 

 

そんな感じで龍太郎に神水を渡した後に、雷電は現在の王国とクローン達の被害を確認しながらも雫と清水の奪還作戦を考えるのだった。

 

 

雷電Side out

 

 

 

一方の撤退した尋問官は、気を失っている雫を抱える清水と共に敵の本拠地に帰還していた。そして雫を収容所に入れ、尋問官は香織によって受けた傷を治療室で治療を受けた後、清水と共に他の尋問官達が集まる場所に向かっていた。

 

 

「ご苦労だったね、シャドウ?アンタがあの子を捕まえたおかげでこっちも楽になったもんさ」

 

「俺は命令を実行しただけに過ぎない。俺は尋問官の影として行動する為に作られた存在だ」

 

「それもそうだったね?それなら、もう一つの命令をしようかしら?」

 

「命令?それは一体……うがぁっ!?」

 

 

清水は尋問官に問いつめようとしたその時、背後から何かしらの電流が走り、その場で倒れ込んでしまう。清水を後ろから電流を流したのは、()()()()()()()()()()()()()だった。ただ、違いを入れるとするならば、髪の色がハジメや雷電と同じ白髪である。

 

 

「ご苦労だったねぇ、02……いや、今は“シュピーゲル”だったかしら?」

 

「どういたしまして。それと名前についてはシュピーゲルで合っているよ。それはそうと、彼が僕の兄さん?」

 

「そうさ。彼の遺伝子から貴方が作られたオリジナルでもあり、血の繋がりや遺伝子の繋がり的に言えば、兄弟みたいなもんさね。そのオリジナルにあって少し幻滅したかい?」

 

「少しだけね。……けど、兄さんを使って何をするの?きっと楽しいことだよね?」

 

「もちろんさ。この坊やには最後の最後で役に立ってもらうさ。ある拠点を囮にジェダイの坊や達を釣る為の餌としてね?」

 

 

そう不適に笑う尋問官とシュピーゲル。そんな彼等に清水は、僅かながらも意識が残っていた。この時に、先ほどの不意打ちの電流で清水の頭にある行動抑制チップが破損したことを尋問官達は知る由もない。最も、一番驚いているのは他でもない清水だった。まさか自分のクローンが作られているとは想いもしなかった。

 

 

(これは……マズい…な……!)

 

 

完全に予想外な事に内心毒を吐きながらも清水は、近いうちに自分のクローンと戦うことになることを予測しながらもここで限界が来たのか清水は気を失ってしまう。そして尋問官は、清水を回収しにきたストーム・トルーパーにある拠点に連れて行かせる様に命じた後、シュピーゲルと共に今後のことを考えるのだった。

 

 

ハイリヒ王国編が終わった後、番外編をやろうと思います。ハジメ達や勇者(笑)達を含めて別世界に転移するという設定なのですが、転移する場所はどのような場所が良いでしょうか?

  • クローン・ウォーズ(映画)
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  • HALOWARS2
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