ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強 作:コレクトマン
8話目です。
雷電達がフォードー達に通信を入れる数分前……
俺たちはハジメが錬成で作ったセーフティー・ルームで休みつつも状況を整理していた。デルタ分隊のボスとセヴは他に出口が無いか調査に向かっている。残ったスコーチとフィクサーは万が一の事を考えここに待機している様だ。フィクサーはホロプロジェクターをいじって何か改良を施そうとしていた。そしてスコーチはハジメが作った大型リボルバー拳銃について話し合っていた。
「へぇ、重ブラスター・ピストルより高威力の実弾銃ってことか?なかなかいい銃作ってるなぁ?」
「まぁな。…一応こいつはこの階層にあった鉱石だけで作ったからある意味ではまだ試作段階だけどな」
「それじゃあ、ちゃんとした設備がありゃ完成するってことか?良いじゃねぇか、それ!」
どうやらハジメは、デルタ分隊のスコーチと何かしらと馬が合うようだ。するとフィクサーがホロプロジェクターの改良が終わった事を俺に報告しに来た様だ。
「将軍、何とか地上のクローン部隊に連絡を取れる様ホロプロジェクターを改良してみたのですが……やはり場所が地下だからか通信状態が余り良く余りません」
「そうか……それで、どれくらい通信時間が可能なんだ?」
「精々4〜5分が限度です。どちらにせよ、地上に出なければ余り通信状態は良くなりません」
十分だと伝えた後にハジメに通信をいれることを伝えると驚いた様子でホロプロジェクターを見ていた。どうやら本物を見たのは初めての様だった。そして俺は先ず先に通信先の相手をARCトルーパーのフォードーに繋げるのであった。しかし…繋げたのは良いが、まさか彼女達がいるとは思いもしなかった。
そして今現在に至る……
ホロプロジェクターからフォードーと入れ替わる様に白崎と八重樫の姿が映った。すると八重樫が俺が生きている事に疑った。
《…ねぇ、あなた本当に藤原君なの?それに、左眼が……!》
「八重樫、俺が幽霊というなら最初から足などないだろ?俺はごらんの通り五体満足だ。ただ、見ての通り左眼は駄目になったが……」
《藤原くん!…南雲くんは?南雲くんは無事なの!?》
「白崎か?あーっ……ハジメは無事といえば無事だが、五体満足じゃない。見れば分かるかもしれないが、少しばかり覚悟した方がいい。ハジメ、良いか?」
「あ、あぁ……」
そう言って俺はハジメと場所を入れ替わり、ハジメが白崎達とホロプロジェクター越しに対面するのであった。
雷電Side
クローン・コマンドーのデルタ分隊のフィクサーが用意してくれた通信用ホロプロジェクターの前に立ち、ホログラムとして映る白崎達と対面する。……まさかこんな形で再開するとは思ってもいなかった。
《!…南雲くん……なの?》
「あぁ……白崎、俺だ。迷宮の奈落に落ちた南雲ハジメだ。……つっても、俺はもう白崎が知っている南雲ハジメじゃないけどな」
《南雲くん?……!?南雲くん、その腕……》
案の定白崎は俺の左腕を見て血の気が引いたのだろう。何せ俺の左腕はもう無いのだから。
「ん?あぁ……この階層のクマの様な魔物に切り落とされて喰われた。もうその魔物は殺したけどな」
《そんな……南雲くん……!》
白崎が俺に何か一言声を掛けようとした時に急に通信状態が悪くなったのかホログラムが途中で途切れ途切れになる。
「将軍、そろそろ時間が迫っています」
「そうか……ハジメ、俺と変わってくれ。白崎はフォードーと」
そう言って俺は雷電と入れ替わった。白崎はまだ俺に何か言いたげそうだったが時間がない為に八重樫が白崎を退かせ、フォードーと入れ替わった。
「フォードー、地上のコマンダー達に伝えてくれ。俺とハジメは当分そっちには帰れそうにないと。俺はハジメと共にこの迷宮を脱出する。お前達は引き続きクラスメイト達の護衛を頼む」
《イエッサー。それと将軍、フォースと共にあらん事を……》
お前もな、フォードー。そう雷電が伝えたと同時にホログラム通信が途切れる。どうやら限界時間だったようだ。
「…通信、切れました」
「いや、大丈夫だ。フォードーにはちゃんと伝わっている。向こうは彼らに任せよう。今の俺たちの目的は一つ、この迷宮の早期脱出だ。……それはそうと、問題は食糧だな」
「その事なら我々クローンに食事は必要ありません。将軍の魔力で存在維持が出来ていますので」
フィクサーから意外な事を聞かされて驚く俺たちがいた。つーか、よくよく考えればクローン達が食事する所を見ていなかったな?
「俗にいうどっかのアニメの使い魔って所か?」
「原理は分かりませんが、恐らくはそうではないのかと」
「そっか。それと雷電、食糧なら
そう言って俺が指を指したのは先ほど倒したクマの魔物の肉だった。流石に雷電やフィクサー達もコレにはドン引きしたそうだ。……ていうか、奈落の底に落ちて食糧が無い中絶望的に追い込まれればそれしか道はないだろ?色々な抗議があったものの、雷電は止む無く魔物の肉を喰らう事にしたそうだ。俺が見つけた神結晶から生成される神水を片手に……
ハジメSide out
ハジメから聞いた通り、俺は魔物肉を喰う以外他に選択肢は無かった。一応ハジメから聞いたが魔物肉を喰った時に激しい激痛が襲いかかってくるとの事でハジメは持っていた神結晶と呼ばれる回復効果がある水を無限に生成する神水を俺に渡した。その激痛に耐える為の緊急処置だそうだ。燃焼石で火を起こし、肉を焼いてから食べた。下処理が無い分味はマズく、後から来る獣臭に悩まされた。そこは無理矢理でも胃の中に入れこむ為に神水を飲んで何とか食すのであった。その際にハジメが言っていた通り激しい激痛に襲われた。正直言って死ぬかと思った。その時に俺の身体に変化が起きた。黒髪だったのがハジメと同様に脱色の如く真っ白になってしまった。そして俺は自身のステータスプレートを確認してみた。
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藤原 雷電 17歳 男 レベル16
天職:■■■■■■■■
筋力:360
体力:390
耐性:400
敏捷:320
魔力:1520
魔耐:300
技能:フォース感知者・フォース光明面・フォース暗黒面・剣術・ライトセーバーの型[シャイ=チョー][ソレス][ニマン][ジャーカイ]・クローン軍団召喚[+共和国軍兵器召喚][+共和国軍武器・防具召喚]・言語理解・風爪
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「いや、おかしいにも程があるだろ……」
「それな。本当にそれな。俺も最初はそうだったよ」
どうやら魔物肉を食べたことでかなり人外化しているようだ。しかもさっき食べたクマの魔物肉の影響なのか技能の所に
「うむ……となると、最下層に向かわなければ地上に出る出口は見つからないということか……」
「その様だな……だったら上等だ。何が出てこようと敵であるなら、殺して前に進むまでだ」
“程々にな”と言って俺たちは下層へと続く道へ進み、この迷宮の裏側の迷宮を攻略するのであった。もしも前の場所が一階層であるなら、恐らく次は二階層なのだろう。
あれからどのくらいの時間が経過したのか分からないくらいに俺たちは少しづつ、確実に最下層までの道を進んでいた。その道中に俺はクローン兵二個小隊を召喚し、共に迷宮を探索していたのだが、下層に行けば行く程魔物の強さが上がっていき、その度に何人ものクローン達が犠牲になった。ある者は石化の呪いを受けたり、またある物はサメ擬きの魔物に喰われたりと、犠牲になっていくクローン達の数が絶えなかった。そして五十階層目に到達した時にはデルタ分隊以外のクローン達は既に二十人しかいなかった。俺は新たに増援を召喚する事を考えたが、それは地上に出てからという事で召喚するのは止めにした。そして俺たちはアレからどれ位強くなったのかステータスプレートを確認してみた。
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藤原 雷電 17歳 男 レベル47
天職:■■■■■■■■
筋力:810
体力:920
耐性:820
敏捷:1000
魔力:3000
魔耐:690
技能:フォース感知者・フォース光明面・フォース暗黒面・剣術・ライトセーバーの型[シャイ=チョー][ソレス][ニマン][ジャーカイ]・クローン軍団召喚[+共和国軍兵器召喚][+共和国軍武器・防具召喚]・言語理解・風爪・胃酸強化・夜目・遠目・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性
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南雲 ハジメ 17歳 男 レベル49
天職:錬成師
筋力:910
体力:1020
耐性:990
敏捷:1080
魔力:810
魔耐:790
技能:錬成[+精密錬成][+電子機器錬成][+電子機器組立て錬成][+複製錬成][+鉱物系鑑定][+鉱物探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+超精密錬成]・銀河共和国式近接格闘術・光学兵器知識・魔力操作・胃酸強化・纏雷・言語理解・天歩・[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠目・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性
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もはやステータスなど意味をなさないくらいにバグリまくっていた。もう何だコレ?と言わんばかりだ。
「……もうアレだな。ツッコンだら負けだな」
「あー…そうだな。流石の俺でもこれはないわ……」
「将軍、少しばかり休まれては?」
流石にクローン達もコレばかりには同情した様だ。しかし、俺たちはまだ止まっている猶予はない。俺は声を掛けて来たクローンに大丈夫と伝えて更に奥に向かう。するとそこには何かしらの扉と二つの像が存在していた。
「五十階層に来てみたが、こんな扉初めて見るぞ……ようやく変化が現れたって事か?」
「その様だな。後、あの左右の像。何かと嫌な予感がする。デルタ、頼めるか?」
「了解っ将軍。爆破の準備だ、デルタ!」
「へっ!待ってました!」
「了解、爆薬をセットします」
「すぐに向かう」
スコーチ、フィクサー、セヴの三人はボスの指示の下的確に爆破の為にスコーチは扉を、セヴとフィクサーは扉の左右にある像に爆薬を設置していた。
「レッド、レッド、グリーンか、レッド、グリーン、レッドか?…へへっ!」
「黙って作業してくれ62。07、そっちは?」
「もう少し掛かる、後三秒……」
そして約十秒で爆薬を設置し終えたデルタ分隊はすぐにそこから離れる。
「爆薬設置完了!指示をボス」
「よしデルタ、後方で援護!」
そう言ってボスは起爆スイッチで先ず最初に扉を爆破する。しかし、爆破した筈の扉は全くの無傷だった。
「おいおい、嘘だろ?爆破しても無傷かよ!?」
「それほどここの守りが厳重ってことだろうな……!」
するとその扉にはトラップが施されていたのか扉の近くにある二体の像が一つ目の魔物となった。そいつは地球の本で見たサイクロプスと酷似していた。
「なんだありゃ!?」
「デカい……!?他のブリキ野郎より質が悪くて厄介だな!」
「なぁハジメ、こういうの確かゲームでもあったよな?お宝を守る番人っていう奴だったか?」
「…そうだったな。こいつ等が居る時点でベターといやぁベターだよな。だが……」
「あぁ……デルタ、爆薬は?」
「いつでも可能だ、将軍」
そうして俺はデルタに爆破指示を出してボスは起爆装置を押して扉の番人であるサイクロプスの足に仕掛けた爆薬を起爆させる。するとそのサイクロプスの足が吹き飛んで一気に機動力を奪った。その隙を逃さずハジメはドンナーで赤いサイクロプスの眼球に撃ち込んで倒す。デルタ分隊、クローン達は青いサイクロプスに集中砲火を浴びせさせ、俺は青いサイクロプスによじ上りながらもエレクトロ・ロングバトンでサイクロプスの頭部に突いて感電させて動きを止める。そしてデルタ分隊のセヴがDC-17mスナイパー・アタッチメントで青いサイクロプスの眼球に撃ち込んで撃破する。
「悪いが、空気を読んで堂々と正面からぶつかってやる程出来た敵じゃないんでね」
「何とか無力化したな。よし、問題は扉だな……」
俺は扉の方を見て調べてみると、その扉には何かをはめ込むための二つの窪みがあった。
「この窪み、何かしらの鍵が必要なのか?」
「鍵か……とりあえずさっき倒した魔物から調べねえか?もしかしたら鍵らしいもんでも見つかるんじゃねえのか?」
「……そうだな。とりあえずあのサイクロプスを解体して中身を確認しよう」
そうして俺たちはサイクロプスの解体作業を行うのであった。サイクロプスを解体してから数十分が経過し、一人のクローン兵が何かを見つけた。
「…!将軍、魔石と思わしき物を発見しました!」
「そうか、ご苦労。……ん?もしかしてこいつか?」
俺もサイクロプスの解体中に魔石を発見する。そしてクローン兵から魔石を回収した後に扉の窪みにはめ込む。すると魔法陣が浮かび上がり、やがて扉の鍵が解除される。
「さーてとっ……問題は鬼が出るか蛇が出るかだな?」
「あぁ、用心に越した事はない。デルタ、お前達は扉付近で待機してくれ。残りは俺に続け」
デルタ分隊を残し、残りのクローン達を率いて鍵が外れた扉を押開いて侵入する。その部屋は目の前にある一つのアーティファクトが光っており、他は真っ暗で何も見えなかった。
「ハジメ、ここは夜目で見てみよう。そうすればこのくらい場所でも見える筈」
「そうだな、一応見ておこう」
そうして俺たちは技能の夜目で暗い場所を正確に見渡す事が可能になった。そしてクローン達フラッシュライトを使って辺りを捜索した。
「あー…何だろうな、こうも暗いんじゃあ気味が悪いな……」
「それを言うな。俺だってこういう場所は余り好きじゃないんだ」
クローン達もこの暗さにぼやきが出る。それでもちゃんと周囲の警戒はしている様だ。この場所を見て俺はにた様な場所を覚えていた。
「なぁハジメ、この場所……何かと聖教教会と似ていないか?」
「あぁ…お前もそう思っていたのか。だが、一番気になるのはあのアーティファクトだ」
ハジメの言う通りあのアーティファクトの存在である。警戒しながらもそのアーティファクトに近づくと、俺たちを感知したのか暗闇に身を潜めていた緑色の触手がアーティファクトの方へ戻って行くかの様に下がる。クローン達もこれには敵なのかとブラスターを構えて警戒した。
「将軍、アレは一体……?」
「待て、まだ撃つな。流石の俺でも分からない。ハジメ、お前から見てコレは罠だと思うか?」
「さあな?…だが、あの緑の触手は敵意を感じられなかった。今は敵じゃねえだろう」
その時にこの部屋に明かりが灯し、部屋全体を見渡せるくらいの明るさになったその時だった。
“誰…?”
「「「……!」」」
女性の声がアーティファクトの方から聞こえた。そしてアーティファクトの光が弱まり、消えるとそこには……アーティファクトに埋め込まれて封印されているかの様に
「ちょ……おま……!?」
「……っ!」
「おいおい……嘘だろ?」
その時に一人のクローンが呟いたことで俺は我に戻り、どうするべきかと考えた。その時にハジメは既に決まっていた。
「あーっその…何だ。すいません、部屋間違えました」
ハジメは何も無かったかの様にこの場から去ろうとした。
「…って、いやいやいやっハジメ、ツッコム所そっちじゃないだろう!?」
「まっ…!?待って…お願い……助けて……!」
「いやっ無理だ」
「どうして…?私何でもする…だから……」
「あのな、こんな所に閉じ込められてるヤツを信用しろっていうのは無理があるだろう?見たところ封印されているようだが…そう見せかけた罠かもしれん。だいたい、こんな奈落の底に封印されているくらいだ。かなりヤバい奴だってのは容易に想像がつく」
確かにハジメの言っている事は正論であろう。この様な奈落の底で封印されている時点で怪しいのは一目瞭然かも知れない。だが、俺は違うと見た。フォースを通して彼女の悲しみを感じ取れた。彼女の話を聞いても良いのではないのかと思った俺はハジメに何とか彼女を救えないかと説得を試みる。
「待てハジメ、彼女の話を聞いてやっても良いんじゃないか?」
「けどよ…もし罠だったら「ちがう!ケホッ……私、悪くない!……待って!私……
彼女の言葉に反応したのかハジメは一旦喋るのを止めた。どうやらハジメは同じ境遇かもしれないあの少女に対して同情しているかもしれない。
「ハジメ、俺はフォースが使える事を分かっているだろう?相手の心を感じ取れることを。だからさ、ここを去る前に彼女の話を聞いてやってくれないか?もしかしたらこの先、彼女の力が必要になるのかもしれない」
「……そう言えばそうだったな。分かったよ、話は聞いてやるがまだ完全に信用したわけじゃない。お前は裏切られたと言っていたが、それだけじゃお前を封印した理由には繋がらない。どうしてお前が封印されたんだ?」
「……辛いかもしれないが、君の過去を話してくれるか?」
「……分かった。話す……」
それから彼女から齎された情報によると彼女は“吸血鬼”で特別な力を持つ王族の一人だった。彼女は国の為、民の為にその力を使ってきたが、ある日のこと……彼女の家臣達は彼女は最早必要は無いと切り捨てた。彼女の叔父が王になると同時に彼女の力を危険視して殺そうにも殺せない為、この奈落の底に封印されていた様だ。この時にハジメは彼女の言う殺せないという意味を彼女から聞き出した。
「殺せない?それってどういう意味だ?」
「勝手に治る。怪我してもすぐ治る。…たとえ首を落とされても」
「強力な再生能力か。……その他にも力があるのか?」
「うん……魔力直接操れる。陣もいらない」
「マジか……チート待った無しと言われる力だな。おまけに不死身と来てやがる……」
「お願い…助けて…」
この時にハジメは思った。彼女の強大な力は嘗ての家臣や叔父といった権力者に利用されて後は用済みという形でこの奈落の底で死ぬ事も許されず孤独で永遠に封印されていた事を。俺はハジメにどうするのかを聞いてみた。
「ハジメ、彼女の言っている事は本当だ。フォースを通して彼女の心を感じてみたが、事実嘘偽りは無い。それで、どうするんだ?」
「……なんか調子狂うが、お前の言う通りこの先何があるのか分からねえし、戦力は一人でも多い方が良いよな?……雷電、周りの警戒を頼む」
「了解したが……ハジメはどうするんだ?」
「俺の錬成の力を使えば何とかなるかもしれない」
そう言ってハジメは彼女が埋め込まれているアーティファクトに手を触れ、錬成を始める。するとアーティファクトがハジメの錬成に抵抗していた。
「…くっ!やはり抵抗が強いな……だがっ!」
そういってハジメはアーティファクトの抵抗があろうと関係無く己が持つ全魔力を注ぎ込んでアーティファクトの破壊を試みた。その時に俺はハジメの手に触れて魔力を提供した。
「…っ!雷電!?」
「無理をするなハジメ。俺の方が魔力量が多いからその半分をこいつに使えばお前の負担が減るだろう?」
「雷電………はっ!助かるにしちゃ助かるな!!」
そうして協力しながらも彼女を封印しているアーティファクトをハジメの錬成で完全に破壊し、彼女を解放するのだった。その分、俺とハジメの魔力を半分持っていかれたが……。
「クッソ…!それなりに鍛えてたんだが、雷電の協力が無ければ魔力全部持っていかれてたかもな」
「まぁ…終わりよければ何とやらだ。ハジメ、神水のボトルあるか?どうやら俺だけ魔力の消費量が半端無かった様だ」
「あぁ、あるぜ。ちょっと待ってろ…」
そういってハジメは懐を探り、一本のボトルを取り出してそれを俺に向けて投げ渡す。俺はそれを受け取り、ボトルのふたを開けてボトルの中にある神水を飲む。すると解放された彼女が俺たちにお礼を言って来た。
「ありがとう……貴方も、ありがとう………」
「気にするな、礼ならあいつ言ってくれ」
「あ…あぁ……」
この時ハジメはその言葉を贈られた時の心情をどう表現すればいいのか分からないでいた。まぁ……この世界に来る前に余り目立つことを避けて来た生活を送っていたためまだ戸惑いがあるのかもしれない。すると彼女が俺たちに名前を聞き出して来た。
「あの…貴方たちの名前、何?」
「…?ハジメだ。南雲 ハジメ」
「俺は雷電、藤原 雷電だ。宜しくな」
そう彼女に名前を教えたら何故か名前を繰り返した。…主にハジメの名前を。
「……んで、お前の名前は?」
彼女に名前を聞き出そうとしたら、彼女は自分の名前を名乗るのを拒んでいた。そしてハジメにあることを頼み出す。
「……付けて」
「…はっ?付けるって何だ?まさか、自分の名前を忘れたのか?」
「そうじゃないみたいだハジメ。彼女は過去の自分と決別する為にお前に名前をつけて欲しいみたいだ」
「うん……私、もう前の名前は要らない!ハジメが付けた名前が良い!」
「いやっ……そうは言ってもな……」
流石にこの様な展開は想像していなかったのか、ハジメはかなり戸惑っていた。その時にハジメは彼女の髪や瞳を見てある名前を思いつく。
「“ユエ”…なんてのはどうだ?」
「ユエ…?」
「あぁ、俺の故郷で月を表すんだ」
「月?」
「最初この部屋に入った時、お前のその金色の髪とか赤い目が、夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな」
ハジメはハジメで中々ロマンチックな名前を付けた様だ。俺たちから見ればある意味お似合いなカップルみたいな二人だった。少しばかり嫉妬したのは内緒である。
「ユエ……か。ハジメにしては中々ロマンチックな名前を思いついたな」
「雷電……余り茶化すなよ。……それで、どうだ?」
「…うん!私、今日からユエ……ありがとう!」
彼女改め、ユエはハジメに感謝しながら抱きついた。これにはクローン達も茶化したいくらいだったが、今は周辺の警戒の為に気を緩めなかった。
「良かったなハジメ、別の意味で大切な仲間を得られて」
「お……おぉ。……って、おいっ待て!別の意味って何だよ、別の意味って?!」
「!二人とも、危ないっ!!」
その時に二人のクローン兵が俺たちを突き飛ばした。すると俺たちが元居た場所に岩の刺が二人のクローン兵に降り注ぐ。二人のクローン兵は降り注いでくる刺を躱しきれず、一人は完全に絶命して身体全身が光ってそのままポリゴンとなって砕け散る。もう一人は僅かに致命傷は避けたものの既に虫の息であった。
「っ!トルーパー!」
「しょ……将軍。…これ…を……」
俺はすぐに負傷したクローン兵の元に向かい、傷を確認してみたが既に手遅れであった。そのクローン兵は俺にDC-15Aを渡した後に息を引き取り、ポリゴンとなって砕け散った。俺たちは刺が降り注いだ所を見てみると、そこにはサソリの様な巨大な魔物がこちらを睨みつけるように見ていて“次はお前だ”と言わんばかりに唸り声を上げた。