ありふれないジェダイとクローン軍団で世界最強 作:コレクトマン
82話目です。
最終審議と転移される者達
雷電たちが明日の準備をしているその頃、魔人族襲撃の際にチップの影響でPTSDを患ったメルドとブリッツ。チップの影響とはいえ、事実上味方に武器を向け、手にかけたことに心を痛んでいた。
メルドの場合は、チップによってプログラムされていたとはいえ、この国の王女であるリリアーナに剣を向けたことだ。幸いなのは、彼が誰に手を掛ける前にチップが原因であると清水やクローン達に聞かされたリリアーナ達に出会ったことだろう。その為、清水によって無力化されて誰も殺めることはなかった。そのお陰でブリッツより早く立ち直ることが出来た。だが、ブリッツは違う。ハジメ達によって全滅した前ARCトルーパーたちを含め、チップによって感情や意思を抑制され、エヒトの傀儡となってハイリヒ王国の国王を含め騎士たちを虐殺したのだ。その光景をブリッツは記憶にひどく焼き付いていた。これではオーダー66の二の舞だと心に刻まれながらだ。
そのブリッツとメルドはというと、ブリッツはハイリヒ王国の地下牢の一室でひどくうなされていた。メルドの場合は王女に剣を向けたことが他の貴族たちに広まり、国家反逆罪の疑いがメルドにもたれてしまうが、リリアーナが事の顛末を知っているために御咎めはあまり言及せず、国家反逆罪には至らなかった。但し、それでも貴族達の方は納得がいかない為にメルドを騎士団長の地位を剥奪。新騎士団長をリリアーナの付きの元近衛騎士である“クゼリー・レイル”がメルドの後釜として新騎士団長に就任する。メルドはクゼリー傘下の騎士団の一員として再編成されるのだった。そうして自身の処遇が決まり、この場を後にしたメルドは面会を建前に時折ブリッツの見舞いに来ていた。
「ブリッツ、大丈夫か?まだ立ち直れそうにないか?」
「…メルドか。あぁ……毎晩、同じ悪夢を見ている。チップによってそうなるようプログラムされていたとはいえ、自分は共和国に対して反逆したのだ。ましてやこの国の国王をこの手で殺めてしまったのだ」
ブリッツはチップの影響で操られていたとはいえ、自らの手でハイリヒ王国の国王をブラスターで射殺したのだ。国王殺しの大罪と罪悪感がブリッツ自身を押しつぶそうとしていた。ブリッツの犯した大罪はこの国の法によって裁かれるのだが、クローン達の急変は侵攻してきた魔人族に協力していたファーストオーダーの策略であると雷電が異議申し上げる。更にはリリアーナもクローン達や兵士が操られているところを現場で見ていた為、雷電の異議には真実味が帯びていることを裁判官たちに告げている。その結果、この国の裁判ではブリッツは極刑を免れた。しかし、罪状の重さは変わることはなかった。その為、今のブリッツは最終的な処罰が決定するまで地下牢で幽閉されていた。
メルドも何かしら言葉を掛けようと考えるが、罪状の大きさが大きさでなんて言葉を掛ければいいのか分からなかった。そんな時に一人の兵士がやって来てブリッツがいる牢の扉の鍵を開けて告げる。
「ブリッツ殿、王女殿下がアナタを王室の間に連れてくるようにとのご命令です。それとメルド殿もご同行願います」
「王女殿下が?」
メルドも王女からの命令でブリッツと同行することとは思いもしなかった。一体何なのか確認するためにもブリッツと共に同行するのだった。
メルドSide out
王室の間ではリリアーナや雷電、貴族たちが集まっていた。どうやらブリッツに対する最終的処罰を決めるために集まったのだろう。一部の貴族たちは雷電やクローン達に対してあまりいい関係ではない。貴族たちは雷電の持つ技能をうまく私物化すれば無敵の軍団を簡単に手に入れられると思い込んでいるのだ。しかし、そんなことを雷電が簡単に許す筈もないのは承知の上でどうにかブリッツをあの手この手で引き込めて人質にすれば状況が有利になると貴族たちは考えていた。
一方の雷電は、ブリッツの処罰についてや貴族たちに対する抑止を考えていた。例えフォースを使わなくても貴族の考えていることは丸わかりだった。ブリッツを如何にどう守りながらも貴族たちに対する抑止を作るか、基盤を組み立てながらも考えていた。そうしている間に兵士がメルドとブリッツを連れてやってきた。彼らが来たところでリリアーナがブリッツに対する処罰をめぐって審議が始まる。
「……ではこれより、藤原さんの配下であるブリッツさんの処罰について審議を始めたいと思います。ブリッツさん、アナタは公の為に命を捧げると誓った兵士であるという事は違いありませんか?」
「はい。私は共和国の為に戦う存在です」
「今回は異例の事態であるが為、この審議は
「…ありません」
ブリッツから改めて今回の審議についてのことを確認したリリアーナは、早速本題に移るのだった。
「分かりました。…では、単刀直入に言います。今のアナタは私の父である国王“エリヒド・S・B・ハイリヒ”を殺害した大罪人です。こちらで隠蔽するのにも限界があります。いずれかの形で公表しなければ魔人族とは別の脅威が発生しかねません。今回決めるのは、アナタの動向をどちらに委ねるかです。貴族達か、藤原さん率いるクローン軍か、あるいは新たに編成されたハイリヒ王国騎士団か。先ずは、騎士団より案を聞かせてください」
リリアーナが新騎士団長であるクゼリーに案を聞き求めた。クゼリーは騎士団で考え、纏め上げた案を発表した。
「はい。我々は、彼を新たな兵士育成としての教官に任命すべきと考えております。彼の技能は兵士や指揮官において重宝すべきものなのは明白です。しかし、国王殺しの罪は消えることはないのは事実です。従って、我々の監視下でブリッツ殿には兵士や指揮官としての経験を新たな新兵に提供してもらい、次世代の新兵教育を務める教官として勤めてもらいます」
クゼリーの案は、ブリッツを騎士団の監視下で新兵の教官として管理するというものだ。言うなれば、ブリッツを新兵教育を務める教官という形で飼いならすということだ。このクゼリーの案に貴族側から反対の声が上がる。
「危険だ!その男は冷血で人を殺すことに躊躇をしない、人間の皮をかぶった化け物だ!騎士団の案に異議を申し立てる!」
「貴族の皆様方は不必要な発言はお控えなさい」
リリアーナの発言で一時的に場は静寂になる。数秒後にリリアーナは再び発言する。
「…それでは、貴族の皆様から案を伺います」
「先ほどは失礼した。では改めて……その男は国王を殺した大罪人であることは変わりありません。しかし、騎士団長の言うようにその男の技能はこの国において重宝すべきなのはこちらも同意です。だが、国王殺しの大罪人に兵士を教育させるのは危険だと判断します。よって、我々はその者を地下牢に幽閉していただきます」
貴族側はブリッツを幽閉という形で人質にするつもりである。そうして最後になった雷電にリリアーナは案を聞き出す。雷電はどう答えるか。すべては雷電の言葉にかかっていた。
「…では最後に、藤原さん率いるクローン達の案を聞かせてください」
「はい。我々共和国軍は、ブリッツを共和国軍から除隊。後にクゼリー騎士団長の案と同じく、ブリッツを騎士団の監視下に置き、新兵教育のための教官として「異議あり!」……」
雷電が案を説明する中、それに割り込むように貴族側からまたしゃしゃり出てきた。
「そもそも国王の死の原因は藤原殿の管理が原因であると思われますぞ!藤原殿がより命令に忠実な兵士を生み出さなければこの様な悲劇が起きなかったのではないのか?」
「藤原殿が召喚した兵士の管理がズボラである以上、我々が管理すべきと考えております!」
藤原の管理不足が招いた事態と主張する貴族たち。その賠償として藤原が所持する軍隊を管理という名目でクローン軍を貴族たちによこせと言ってきたのだ。だが、雷電も貴族たちの意見を背くように反論する。
「クローンはこちらが召喚した兵士であるが、ただ命令を遂行するだけの人形でもなければ奴隷の軍隊ではない。あなた方の発言は、あまりにも人権を無視した言葉であることを理解しての発言ですか?」
「何をぬかすか!大量の兵士をだすことが出来る以上、たかが数百~数千人ぐらいどうという事はない筈だろうに!」
「彼らは通常の二倍の速度で成長し、人間より早く歳を取る。仮に数千人をそちら側に管理するとして、この世界の文明ではコスト的に釣り合わないのは目に見えているほど明白なのではないか?」
貴族側と雷電の口論が始まり、少しずつヒートアップしていく。このまま論議が続けば審議を続けることが出来ないと判断したリリアーナはその場で静まるよう告げる。
「静粛に。個人の主義主張は別の場所で訴えてもらいます。藤原さん、改めて聞きますが、アナタは騎士団長と同じ案であるという事ですね?」
「はい、リリアーナ王女殿下。我々もブリッツの処罰を決めるために新騎士団長と相談し、この案を採用しました」
そう雷電が言った後に貴族側に目線を向け、忠告する。
「一応、貴族たちの皆様に忠告しますが、もし仮にクローン達をあなた方が管理し、粗末に扱うものならクローン達はあなた方に牙を向けることになるでしょう。彼らが団結すれば、この国の兵士たちでは対抗することは難しいが故に、国の一つを陥落させることが可能です。その結果、国の滅亡させる原因となった貴族たちは、末代の恥として永遠に語られることになるでしょう」
貴族たちはクローン達が反旗を翻せば一つの国が滅びるという最悪なシナリオを想像したのか顔が青ざめていた。クローン達の使う装備は、どの国でも存在しない武器であり、もし彼らが人類に敵対するなら間違いなく敵対した国は滅亡することになる。忠告を告げた雷電は、リリアーナに提案を言う。
「王女殿下、ご提案があります」
「ご提案ですか?」
「ブリッツはこの世界の常識をまだ完全に把握していません。彼の管理を、元騎士団長のメルドさんに任せ、新兵教育の教官を補佐する副教官としてメルドさんを配置すべきと思います」
雷電の提案は、ブリッツにとってこの世界の友人ともいえるメルドに管理を任せ、ブリッツの補佐として副教官に配置させることだった。
「ブリッツさんの管理ですか……。メルドさん、アナタに出来ますか?」
「はい、王女殿下。もし彼に何かあれば、私が命に代えても……」
それから数秒の沈黙が続き、リリアーナは審議の結論が決まる。
「……結論が決まりましたね。ブリッツさん、アナタを騎士団長の案、そして藤原さんのご提案の下、騎士団に委ねます。この決定に異論は受け付けません。……これにて兵法会議を閉廷いたします」
リリアーナの宣言でブリッツの審議は終わり、ブリッツは共和国から除隊され、新たにハイリヒ王国の新兵育成の教官として新たな人生を歩むことになった。ブリッツの補佐としてメルドはブリッツの管理を兼ねながら副教官として任につくのだった。
ブリッツを共和国軍から除隊するという事は、彼はもう共和国軍の兵士ではなくなったとことを意味していた。言い方は悪いが、ブリッツは雷電によって“廃棄処分”されたことになる。だが、雷電は生きて罪を償うための止む無き処分であると同時に、残りの余生はブリッツの好きに生きても良いことを説明した。ブリッツも自分の処分に対して納得している。こうしてブリッツはこの世界で余生を過ごし、天命を全うするのだった。因みに、ブリッツが次世代新兵教育の教官になったことで、後の未来のハイリヒ王国の兵士たちが雷電の召喚したクローン軍を除いてどの国家において世界最強の軍隊として君臨するのはまた別の話。
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クローンの召喚だったり、光輝の覚悟の身定めだったり、ブリッツの最終審議だったりと色々と疲れた雷電。それから一日が過ぎての翌日のある日、雷電の方で問題が発生した。それはリリアーナ達を連れていく際に使用する乗り物である。雷電の召喚するシャトルやスター・シップではあまりにも目立ちすぎるがためにどうするか考え、ハジメと相談した結果、ハジメがオルクス大迷宮で作ったアーティファクトである飛空艇“フェルニル”で移動することに決定した。その際にアシュ=レイとヴォルトから呼び出しを受けた。何事と思いながらもハジメと雷電はアシュ=レイたちのところに向かうのだった。
アシュ=レイたちのところには光輝たちとティオを除くユエたちがいた。そして呼び出した雷電達も無事に到着した。
「お、よく来たな!」
「お前が呼び出すことは余計に碌なことでしかないことを忘れたことはないからな」
「それはもう気にするなよ。それよりもだ、俺が暇つぶしがてらにヴォルトと共に作った
アシュ=レイは自慢したげに近くにある覆いかぶさった布を取り、その姿を露わにする。それは、円形の門のような形をした何かしらの機械であった。見た感じなにかは分からなかったシアは質問をする。
「あの~……何ですか、これは?」
「こいつか?こいつは俺が暇つぶしに作った“異世界転移門(仮)”の試作型の装置だ。こいつは様々な異世界にゲートをつなげる事ができるって品物だ」
アシュ=レイの説明に鈴はもしかしたらという可能性を抱く。
「えっ!?もしかして、これを使えば鈴たち、地球に帰れるってこと!?」
「いや、こいつはまだ試作品だ。それに、まだお前たちの地球を把握してないから転移は不可能だぞ?」
儚い希望があっけなく砕かれた鈴。それでも帰れる可能性をアシュ=レイが作ってくれたことに僅かな希望が出来たと納得するのであった。アシュ=レイは続けて装置の説明を続ける。
「こいつに特定の座標を入力した後に転移装置を起動させる。そうすることでその世界に転移することが出来るって代物だ。ただし、座標を入力しないで起動させると面倒なことになるから絶対に起動させるなよ?それと、この装置の端末にある青いボタンがあるだろ」
「えっ…これですか?」
そう言ってシアが青いボタンを押す。
「そいつは装置の起動させるボタンだから決して押すなよ……って!?何押してんだよ!!」
「何やっているんだ、シア!?」
「ひぃ~っ!?す、すみませんですぅ~~!?」
まさかのシアのやらかしで装置が起動してしまう。幸いなのは、門が開くまで時間がかかるという事だろう。何とか装置を停止させるためにハジメがアシュ=レイに装置の止め方を聞き出す。
「アシュ=レイ!お前、この装置の止め方ぐらいはあるだろう、どうすれば止まるんだ!」
「あるにはある。ハジメ、端末にある青いボタンの隣に赤いボタンがあるだろう?」
「っ!こいつか!」
つかさず赤いボタンを押すハジメ。すると転移装置にワームホールが発生する。
「そいつは転移装置の門が強制的に開くボタンだから決して押すなと言おうと思ったんだが…」
「オイィィィィーーー!!!?それを早く言え!!もう押してしまったぞ!?」
「あーっ……これは面倒なことになったぞ」
ハジメのツッコミに雷電はこの後の展開を悟った。その結果、ワームホールから強力な吸引力によってアシュ=レイやヴォルトを除くハジメ達を吸い込み始める。
「のわぁぁぁあああーー!?」
「んっーーーー!!」
「結局こうなるかっ!?」
「あーーれーーー!?」
「ハジメくん!?」
「雷電君っ!!」
「香織!?ちょっと……わぁぁああっ!?」
「だっ駄目だ、吸い込まれる!?」
そうしてハジメたちはワームホールに吸い込まれ、ハジメ達が吸い込まれた後にワームホールが消滅し、吸い込まれないよう物にしがみついていたアシュ=レイとヴォルトだけが残った。残されたアシュ=レイたちは……
「……やべぇことになったな(汗)」
「急ぎ彼らが飛ばされた座標を確認しましょう」
ハジメ達が飛ばされた世界を特定するためにすぐさま行動するのだった。
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ワームホールに吸い込まれたハジメたち。ワームホールの中でどれくらいの時間が流れたのか分からぬまま出口に放り出された。放り出された後にハジメと雷電は軽く毒を吐きながらユエたちの安否を確認する。
「…っつぅ。ヴォルトとアシュ=レイの野郎、変なものを作りやがって!戻ったら絶対にシバく!…ユエ、大丈夫か?」
「……んっ。平気」
「アシュ=レイの奴、無事に戻ったら絶対に泣かす!…それにしても、此処はどこだ?不思議と知らない気がしない」
「マスター、此処ってどこですか?」
「ここがアシュ=レイさんたちがいってた別世界なのかな?」
「そのようね。実際、目の前に明らかに亜人っぽい人もいるわけだし。……それと天之河もいるし」
「ここは一体?…はっ!それよりも、龍太郎たちは!?」
「ここにいるぜ、光輝!…にしてもよ、此処はどこだ?」
「私たち、本当に別世界に来ちゃったの!?」
「そうとしか言いようがないわね。その証拠に藤原くんが召喚したクローンとは別のクローンが沢山いるわけだし…」
それぞれ皆の安否を確認したハジメ達。だが、雫の言葉にハジメは周りを見渡した。そこには雷電が召喚したとは思えないクローン達と人間サイズのガンダムが存在していた。
「…おいおい、何かの冗談か?なんでこの世界に人間サイズのガンダムがいるんだ!?しかもクロスボーン・ガンダムかよ!」
「俺を知っている…!?君たちはいったい……?」
流石にガンダムの存在にツッコミを入れるハジメ。その側ら、雷電はかつて前世で見た光景をこの世界の光景がある惑星と同じであると判断した。
「惑星クリストフシス……だと!?それに212、501大隊のクローン達もいるということは……!」
雷電は周囲を見渡すと、そこにはジェダイ・マスターのオビ=ワンとその弟子、ジェダイ・ナイトの
「アナキン……スカイウォーカー……!」
雷電は、己の過去の世界と近いようで遠い並行世界にて、ジェダイが滅ぶ原因となった諸悪の根源であるアナキンを目の前にするのであった。