僕と彼女と思い出と   作:シア75

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ぼちぼちやっていきます。


出会い、そして日常へ

彼女と自己紹介をした後に、他愛もない話しをしばらくしていたが、

日も沈みはじめたから解散という流れになった。

 

「私は大体ここにいますので、また遊びに来てくださいね」

 

彼女は小さく手を振りながら僕たちのことを笑顔で見送ってくれていた。

そのまま社を後にし、今日のことを振り返りながら帰路につく。

 

「いや~あんなに可愛い娘があの神社にいたなんて知らなかったぜ!」

「そうだね」

「それで、これからどうすんだ?」

「どうするって?今日は疲れたから帰って寝るよ」

「ちげーよ!んなこと聞いてねぇって。フブキちゃんのことだよ。

 明日も行くんだろ?」

 

そう言ってニヤニヤしながら聞いてくるこいつの顔に、1発くらいなら

殴ってもいいんじゃないかって思いながら、彼女のことを思い返す。

 

”白上フブキ”神社に住み込みで働いている、新雪のような綺麗な白い髪に

本人曰く狐の耳と尻尾の生えた、僕たちと同じくらいの年頃の女の子だ。

普段はあまり人前に出てくることはないようで、お祭りの時なども社の奥で

裏方の仕事をしてるらしい。

今朝は境内の掃除をしていたらしく、人が来るとは思っていなかったようで

ビックリして逃げてしまったと言っていた。

僕たちが境内をうろうろしていた時も社の中にいたのだが、騒がしくしている

僕たちの様子を見に来た時に見つかったようだ。

それにしても可愛らし娘だった。

 

「黙っちまってどうしたんだよ?なんだ?思い出して感慨にふけってたんだろ?」

「うるさいなぁ」

 

事実彼女のことを考えていた僕は、図星をつかれた動揺を隠すために悪態を

ついて誤魔化していた。

 

「朝に電話で言ってたこと忘れたのかよ。天使を見た…ってよw」

「何言ってんだおまえ?頭大丈夫か?」

「照れるな照れるなw一目惚れしたんだろ?応援してっから頑張れよ」

 

くっ!今朝の僕は寝坊からの遅刻の焦りと急な運動、そして彼女との出会いの

衝撃で普段では絶対口に出さないようなことを言ってしまった自分が憎い!

そしてそれを聞かれたのがよりにもよってこいつなのがまた面倒だ!

幸い今は暗がりで人通りも少ない…処す…か?

 

「おいおい、そう睨むなって。眼つきがやべーよ。からかって悪かったって」

「ならそのおしゃべりな口を閉じておくことだね。好奇心は猫をも殺すって

 知っているかい?」

 

そんな風に話しているうちに、家に着いた。

 

「じゃあな!明日は寝坊するなよ!」

「あぁお前もな。また明日」

 

ちなみにあいつの家はもう少し先にある。

両親が学生時代からの友人だったこともあり、僕が生まれる前から

家族ぐるみでの付き合いだ。おかげで生まれた時からの腐れ縁だ。

飯も風呂も済ませて一息つきながら、今日のことを思い返しているうちに

僕は眠りについていた。

 

――――――――――――――――――――翌朝――――――――――――――――――――

PiPiPiPiPi!!

目覚ましの音で夢の世界から意識が覚醒し始めたが、春の陽気と

布団の温もりからでるのがとても億劫だ…

とは言え昨日遅刻した手前、いつもより早い時間に目覚ましをセットしたため、

時間的にはまだまだ余裕があった。

 

『私は大体ここにいますので、また遊びに来てくださいね』

 

彼女の昨日の言葉が思い出され、最近の運動不足を解消するため、

と自分の中で言い訳をしながら朝から神社に寄るために布団から出る。

洗面所に向かい、目を覚ますために顔を洗い、ついでに軽く寝癖も直す。

食パンをトーストしてバターを塗り、パンの焼けたいい香りとその熱で溶ける

バターの甘い香りに空腹だったお腹がぐ~っと鳴る。

少し甘めにしたカフェオレを用意してカリカリのトーストにかじり付く。

口の中いっぱいにトーストとバターの味が広がり、すぐに次を寄越せと身体が

要求してくる。

トーストを食べていると口の中の水分を持っていかれたので、カフェオレで

口を潤していく。水分とカフェインが摂取されてゆっくり頭が働きだし、

最後にデザートのバナナもしっかり食べたところで、神社に向かう。

 

今日もまた春の暖かい陽気が気持ちいい。

彼女が朝から境内に出ているかわからないが、昨日の様子だと

いるんじゃないかと思っている。

まぁいなくても神社のあの階段は食後のいい運動になるだろう。

 

そんなこんなで神社の境内にたどり着いた。

彼女はっと……いた。手水舎の水盤を磨いているようだ。

一生懸命掃除をしているようでこちらに気付いてないみたいだから、

ワザと足音を立てながら近づいていく。

 

「おはよう、白上さん」

「あ、おはようございます」

「朝早くから精がでるね」

「これも私のお仕事ですから。それにキレイになると

 気持ちがいいじゃないですか」

「じゃあ僕も手伝うよ」

「え!いえいえ、そんな手伝っていただかなくても大丈夫ですよ!」

「僕が手伝いたいんだ。それが理由じゃダメかな?」

「…いえ、じゃあお願いします」

「うん。よろしくね」

 

それからしばらく一緒に掃除をして、一段落したところで休憩しながら

いろんな話をした。

今朝のご飯は何を食べたか。好きなもののこと。今日は何をするのか…etc

本当に他愛のない話をしていたが、彼女は終始楽しそうに笑ってくれていた。

それがとても嬉しくて、僕は次から次へと話しをした。

 

Boo…Boo…

 

ポケットの中のスマホが震える。

夢のように楽しい時間が終わりを告げる。

 

「学校に行かなくちゃ…」

「もうそんな時間なんですね」

「また、学校が終わったら来るよ。約束する」

「はい、気を付けていってらっしゃい」

 

後ろ髪惹かれる思いをしながらも、彼女と別れを告げて神社を後にする。

彼女は昨日と同じように、僕が見えなくなるまで柔らかく微笑みながら、

手を振って見送ってくれた。

 

「さて、学生らしく真面目に勉強してくるか」

 

彼女との楽しい時間を過ごすためにも、まずは遅刻しないとこからだな。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今日は余裕をもって来ているので遅刻するようなことなく学校に着き、

靴を履き替えていると、後ろから悪友がまたのしかかるように肩を組んできた。

 

「よう!今日は遅刻せずに来たんだな!」

 

重い…こいつは一々くっついてこないと挨拶もろくにできないのか…

 

「重い、おはよう。僕が2度も続けてそんなへまをするわけないだろ」

「いやいや、てっきりフブキちゃんとの話が盛り上がって時間を

 忘れてんじゃないかと思ってな!」

「なっ!なんで僕が神社に寄ったこと知ってるんだよ!」

「あっやっぱり行ったんだw昨日の様子じゃ行くかなぁーって思って、

 カマかけたんだが、あっさり言うたぁ動揺してんなぁw」

 

めちゃくちゃいい笑顔で笑いながら背中をたたいてくるこいつに、

僕は若干イラっとしながらも、そのまま教室に向かった。

いつか見てろよ…

 

教室のいつもの自分の席に着くと、こいつも僕の後ろの席に陣取っている。

 

「おい、そこはお前の席じゃないだろ」そう言いながら軽くにらむと

「そう固いこと言うなよ。ここ空席なんだから良いじゃんかよ」

 

確かに空席ではある…だが、こんな男ではなく何なら彼女が

そこに座ってくれたら楽しい学校生活になるのにな…

 

「またあの娘のこと考えてんなぁ。そんなに好きならとっとと告白しちまえよ」

「何を馬鹿なこと言ってるんだ。まだ知り合って2日だぞ。玉砕不可避じゃないか」

「わかんねぇぞ?案外向こうも一目惚れしてるかもしれねぇじゃん」

「万が一、いや億が一そんな世界線があったとしても、僕が告白なんて

 やったら緊張のし過ぎで心臓止まるよ」

「まぁ昔っから奥手だったもんな。優しくて気が利くのに、いつまでも

 いい人止まり、顔だって悪くないのにな」

「なんだよ急に褒めて、気持ち悪い。そんなに褒めても宿題は見せないぞ」

「バレてたか。仕方ない、自分でやるか」

「普通そうだろ。とっとと自分の席に帰れ」

 

しっしっと手で追い払うように振って悪友を追い返した。

アイツはああ見えて、できるタイプの人間だからどうせすぐに終わるだろうな。

どうしてアイツはいつもあんなにも適当なんだろうか…

そんなどうでもいいことに考えを巡らせていたら、担任教師がいつものように

この世界には楽しいことしかないって言わんばかりのウキウキした笑顔で

教室に入ってきた。

 

「は~い、HRはじめっぞ~」

 

そうして、今日もいつもの学校が始まった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「で、今朝はどんなこと話してたんだ?」

 

HRが終わったそばからやってきた悪友が面倒にも絡んできた。

 

「別に、他愛のない雑談だよ」

「いいじゃん桑しく聞かせろよ!あ、もしかして俺が彼女のこと

 狙ってるって思ってる?」

「……」

「安心しろよ、狙ってないからwお前がこんなに惚れてる娘を

 わざわざ取らねぇよ。応援してるって言っただろ?」

「お前がそう思ってても彼女がそうとは限らないだろ…」

「はっはっはっ違いねぇw」

「はぁー」

 

楽しそうにそう言ってくる悪友に呆れながらも、実際のところこいつはモテる。

身長は180㎝超えと高く、少し筋肉質な身体つきで運動もそつなくこなし、

頭の出来も悪くないと来ている。

野性味のある鋭い目つきが印象的な整った顔をしているくせに、

人懐っこい笑顔と、軽いノリで交友関係も広い、絵に描いたようなイケメンだ。

ついこの間も、机や下駄箱、カバンの中にまで手紙が入っていたのを見かけている。

噂ではファンクラブがあるとかないとか…

そのくせ彼女がいたって話は聞かないが…実はホモ?

しかし今回のこの食いつきようは、本当に狙っていないのだろうか?

こいつに本気になられたら僕に勝ち目なんて…

 

思考が明後日の方向に行ってしまった…

 

そんな風に授業の合間に雑談をしながら、授業を普通に受けて過ごした。

そうして、今日の学校も特に何もなく終わった。

授業を受けながらも、ふと彼女のことを思い浮かべてしまうのは、

やはり彼女のことが好きなんだなぁ、としみじみ思ってしまう。

 

「お~い、今日も今から行くんだろ?」

 

帰り支度の済んだ悪友がいつものようにやってきた。

 

「そのつもりだけど、お前も来るのか?」

「いや~せっかくあんな可愛い娘と知り合えたんだから、仲良くしに行くだろ!

 それに、奥手なお前の応援をしてやらないとだからな!」

「大きなお世話だ」

 

僕も荷物がまとまったので、2人で神社に向かうことにした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

2人で雑談をしながら彼女がいる神社に向かう。

境内に入ると、彼女は相変わらず掃除をしているようだった。

 

「こんにちは、白上さん」

「こんちゃーっす」

「こんにちは。学校お疲れ様です。来てくれたんですね」

「朝、そういう約束をしたからね」

「へぇ~。お前、約束は絶対守るものって決めてるから、普段あまり

 約束ってしないのにな」

「そ、そうなんですか?」

「昔から父さんに、守れない約束は相手を傷つけるから絶対にするなって

 言われてきたから…それに、僕がまた来たかったんだ」

「あ、ありがとうございます」

 

恐縮したように畏まってお礼を言ってくる。

 

「ちょっとちょっと~2人きりの世界作ってイチャイチャしないでくれよ~。

 俺が寂しいじゃんかよ~」

「してない!」

「いいじゃん、お似合いだよ!お二人さんw」

「からかって遊ぶな!はぁ~、ごめんね、白上さん」

「い、いえ。私は大丈夫です」

 

そう言いながらも、ちょっと顔を赤くしながら照れているみたいだ。

可愛い。

 

「わるかったよ。まぁでも、今度遊びに行こうぜ!フブキちゃんも一緒にさ!」

「え、私もですか?」

「当たり前だろ。せっかく知り合ったんだからさ!仲良くしてよ!」

「えっと、いいんですか?」

「僕は、一緒に来てくれたらうれしいかな」

「えっと、じゃあ一緒に遊びに行きましょうか」

「よっしゃ!ならこの休みに遊びに行くぞ!!」

 

こうしてノリのいい悪友のせい(おかげ?)で白上さんと遊びに行く事になった。

彼女と遊びに出かけれることは嬉しいけど、無理に誘ってるみたいで

迷惑じゃないかなって思ってしまう。

相変わらずノリと勢いで強引なやつだ。

 

そんな風に、今日も楽しく3人で楽しく話をしていた。

 




今回はここまでです。読んでくださりありがとうございました。

感想や、何か思うところがあれば一言もらえると、僕の作業に
何かしらの影響が出るかもしれませんね。
では続きはまたいつか…


裏話

ちなみに主人公の彼も身長170㎝の中肉中背、しなやかな筋肉で、
悪友に付き合わされていたので、運動はかなりできる。
勉強についても同様である。
(負けず嫌いで努力型の秀才タイプ)
顔だちも優しい爽やか系で、実はこちらもファンクラブがある。
幼馴染の悪友と普段から仲がいいので中には腐海の住人もいるとかいないとか…
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