内容に変更はないので読み直さなくても大丈夫です。
それでは休日が…終わります。
さすがに汗だくのままでは帰れないと思っていると、彼女がおずおずと手を上げながら、
「あの、私が何とかしましょうか?」と提案してきた。
「え?何とかなんの?」
「えっと…ひ、秘密ですからね!」
そう言って彼女は席を立つと
「ここでは目立ちますので、ついてきてください」 と言って物陰のほうに歩いて行く。
僕たち2人は彼女のあとを追うように物陰に向かった。
「その、今からここで見たことは他言無用ですよ!」
真剣な表情をして、強い口調で僕たちに釘を刺してくる。
彼女の様子に気をされた僕たちは無言で頷くと、彼女は集中した様子で突然マンガで見るような印を手で結ぶ。
すると段々彼女の周りを淡い光が包み、最後に静かに、されど力強く
「浄化」 と言った。
僕たち二人は淡い光に包まれたかと思うと、次の瞬間には先ほどまでの汗のべたつきなどの不快感がきれいさっぱりなくなっていた。
「今のは?」
疑問に思ってそう彼女に聞くと、
「今のは浄化の術で、不浄や穢れを払う術です。本来の使い方とは違いますが、副次的な効果として汚れなどを浄化して清潔にしてくれたりします」
「へぇ~便利なもんだねぇ」
「一応家の仕来りで無闇に使うことは禁じられていますから、絶対に秘密にしてくださいね!」
「わかった。墓までもっていこう」
「あいよ、絶対に言わねぇ」
術、歴史を遡れば陰陽道や魔術など、この世界に古くからあるものだが、それらは科学の発展とともに時代の海に沈んでいった…
しかし彼女たちのような獣の特性を持った人たちの誕生から、魔術や呪術、妖術など神秘的な力の発現が確認されているが、まだまだ分からないことの方が多いとか…
その為まだまだ認知度は低く、その異能が解明されてないことから学者の間では否定派の方が多いとも聞く。
アニメや漫画、ゲームなどのフィクションでは度々出てくるが、現実世界でそんなファンタジーな出来事を目の当たりにするとは、僕自身も今日、自分で体験するまでは奇術の延長、夢物語だと思っていた。
「ちなみにフブキちゃん、無理を承知で聞くんだけど、その術って俺たちも使えるようになったりすんの?」
悪友が興味津々といった様子で、聞いていた。
僕も興味は有ったし、気になっていたので助かるが、わざわざ秘密だというくらいだ…教えてはもらえないだろう。
コイツのこういう自分の知らないことに対する好奇心と行動力には関心するが、暴走しないように注意しなければ。
「その、私はまだ修行中の身でして、その辺のことを話す権限がないんです…だから、その、ごめんなさい」
「いやいや、無理に聞きたいわけじゃないから構わねぇよ。しかしそうなると使えるかもしれないってことだな!くぅ~ワクワクが止まんねぇぜ!!」
「落ち着け、使えるとも限らないだろ」
「なんだよ、夢くらい見たっていいだろ?それに使えたら絶対楽しいじゃん!」
「さっき秘密だって話が出たばかりだろ。夢のある話なのは分かるが、白上さんに迷惑をかけるなよ」
面白そうな話に、はしゃぎだした悪友に無駄な気がしなくもないが一応そう言って釘を刺しておく。
「ところで白上さん、よかったの?こんなことに術を使っちゃって…」
「…あまりよくないかもですが、困ってるお二人をお助けできるなら、問題ないです」
そう言って誇らしげな顔で笑うようすに、僕もこれから先、彼女に何か手助けできないかとしばし考えてしまう。
僕が難しい顔をしていたせいか、彼女が少し焦った様子で話しかけてきた。
「あ、でもでも!もしバレてもそこまで深刻なことにはならないと思うので、そんな思い詰めないでください。きっと祖父もわかってくれると思うので!」
「いや、ごめん。違うこと考えてた。というかお祖父さんが教えてくれてるの?」
「はい。その…これも内緒ですよ?うちの神社は代々祀られている【御神体】があるんですが、それは悪霊や悪鬼が喉から手が出るほど手に入れたいものらしいのです。それを隠すために神社には神力が漏れないよう結界があるんですが、それでも完全に封じれているわけではなくて、微かな力を感じ取った魑魅魍魎が街に集まりやすいんですよ。そうして集まった悪霊や悪鬼たちを退治したり浄化するのが、うちの神社の仕事なんですよ」
「へぇ~、それは知らなかった。じゃあフブキちゃんが学校に行けないのも…」
「そうですね。中学校までは義務教育と社会勉強ってことで通えていたんですが、卒業してからは修行と合わせてそちらに掛かりきりですね」
ふ~ん。つまりその仕事が減れば白上さんも高校に通えるってわけか…
あっ!でもそういえばたまに珍妙な事件があったりしてたな…あれは悪霊たちの仕業なのか…
「まぁ昼間はこうして自由な時間がもらえるんですけどね…仕事は主に逢魔が時…夕刻から丑三つ時なので、生活リズムがどうしてもズレてしまうんですよ」
「今日は大丈夫なの?」
「はい!数日前から両親にお願いして今日はお休みにしてもらってるので!」
「そっか、無理してないならよかったよ」
「もちろんですよ!これでも今日は楽しみだったんですからね!!」
そう言って興奮した様子で僕の方に距離を詰めてくる様子に、ほんとに楽しみにしてたんだなってほっこりしていた。
彼女とそんな風に話し込んでいると、興奮が落ち着いた悪友がこっちに来て、自分も混ぜろと言わんばかりに会話に入ってくる。
「秘密の話しは終わったかにゃ~?」
「にゃ~って、お前が言っても気持ち悪いな」
「ひっでーなぁwまぁいいや。休憩も済んだことだし、次の遊びやってこうぜ!」
ってことでまだやっていなかったフリスビー、ソフトバレーボールと順にやって遊んでいく。
こちらは比較的のんびりと遊ぶことができた。
最後にテニスコートにやってきたが、アイツが大人しくテニスで遊んではい終わりとなるとは思えなかった。
だから先に今日はもう勝負はしないと言っておいたのだが、やはりさっきの勝負に負けたのが悔しかったのだろう、僕の恥ずかしい過去についても白上さんにばらすぞ!と脅してきた。
あの過去だけは僕としても闇に屠りたいので、仕方なくやり合うことにした。
手を抜けばすぐにばれるから本気でやったが、今回はさっきの勝負での無理が響いたのか、惜しくも僕の負けで例の戦績はイーブンとなった。
「いやー満足満足!」
「くそっ、また汗だくになったじゃないか!さすがにまたは頼めないだろ!!」
「そうカリカリすんなって。やる前にそこの更衣室にシャワールームがあることをばっちり確認してっから、さっぱりできるぞ!」
「着替えはどうすんだよ…」
「さっきそこの売店で買ってきた」
「用意周到だな」
「負けっぱなしは性に合わんのでなw」
軽口をたたき合いながら、ベンチで僕らの勝負を観ていた白上さんのもとに向かう。
彼女はまたも興奮したように、僕たちの勝負のことについて話していたが、僕たちが汗だくな様子に苦笑しつつ、
「あの、またやりましょうか?」
と、苦笑しながらも提案してくれたが、シャワールームがあることを話して丁重に断った。
そう何度もやってもらっては、バレるリスクが増すばかりだからな。
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さて、ここで1つ問題が発生してしまった。
それは僕らがシャワーに行っている間、彼女を1人にしてしまうことだ。
実はこの公園、遊び場として有名であると同時に、それを狙ったナンパ野郎どもがそれなりにいたりする。
そして彼女は美人で、しかも今から少しの間とはいえ、1人っきりである。
ナンパ野郎どもが放っておくはずがなかった。
悪友もそう思っているようで、2人してシャワールームに向かって1人にしまえば、彼女は確実にナンパされるであろう。
1人ずつ行けばいいと言ってしまえばそれまでだが、それはそれで彼女が恐縮するであろうことも想像に容易い。
どうしたものかと思っていたが、彼女の傍に汗臭い野郎が2人も近くにいるのは悪いので、速攻で汗を流すということで話しが落ち着いた。
「じゃあすぐ戻ってくるから」
「もう、子供じゃないんですから、心配しすぎですよw」
そう笑って送り出してくれる彼女だが、やはり僕の不安は拭えない。
急いで汗を流し、一足先に彼女のもとに戻ってみると、案の定チャラそうな男3人組にナンパされていた。
「なぁ1人でこんなとこ居ないで、俺たちと遊びに行こうぜ!」
「美味しいスイーツの店知ってるんだ!奢るからちょっと付き合ってよ」
「んだんだ!」
「連れと来てるんで結構です!」
何てテンプレートなナンパ師だろうか…
「え?お友達もいるの?じゃあその子たちも一緒で良いからさぁ」
「絶対楽しいからさ!」
「んだんだ!」
そう言いながら彼女の手をつかみ、無理やり連れて行こうとしている男たちと、それに対し嫌そうにしている彼女の表情を見た瞬間に、頭の奥がカッと熱くなり、僕は思わず駆け出してその男の腕を力の限りに握りしめて、
「彼女に何か用ですか?」
と言っていた。
男の彼女をつかむ手が緩んだ隙をついて、僕はそのまま男の腕を捻り上げて彼女から離れさせた。
「あぐっ!」っと痛みに顔をゆがめて呻く男を突き飛ばすと、男の仲間が前に出てくる。
「なんだよ兄ちゃん、邪魔しないでくんねぇかな?」
「彼女は僕の連れなんでね。大人しく回れ右してくれないかな?僕も争いごとはしたくないんだ」
そう言いながら彼女のことを背に庇うようにして立つ。
さっき突き飛ばした男が、腕をさすりながら、
「あ~痛ってぇ、痛てぇなぁ~。こりゃ折れてるわ~。つうわけで慰謝料くんねぇかな?」
多勢に無勢であるからか、強気でこちらに圧をかけてくる。
がしかし、そんなことは知ったことではない。
彼女が嫌がって、今現在こうして僕の背で怯えている事実が、もうすでに許せなかった。
だからだろうか、
「そうかい?僕の目にはとても折れているようには見えないねぇ。もしかして見た目の割にご高齢でしたか?あ!よく見るとシワまみれですね!歳を取ると骨が脆くなるって言いますからね。通りで言動も古臭いと思いましたよ。そんなに痛むなら早く病院に行かれてはどうですか?あ、もしや介護が必要でしたか?気が付かなくてすみません」
僕は思わずそう口走っていた。
明らかに嘲るような挑発のセリフに、
「「こんのクソガキ!!」」
そう喚き散らしながらキレた男たちが殴り掛かってきた。
僕は一番前の男の腕を取るとそのまま合気の技で投げ飛ばし、二人目の顎に掌底をぶち込んで怯んだところを3人目の男の方に投げ飛ばした。
あぁ…この感覚、思い出したくはなかったけど、懐かしいって感じてしまう。
そんな自分に嫌気がさしつつも、僕は男たちを投げ飛ばし、殴り、蹴り飛ばした。
実力差を理解し始めているようだが、変なプライドがあるのかなかなか諦めてくれない男たちにうんざりしつつも応戦し続けていると、
「おう、
相手のリーダーの男の背後から肩を組むようにのしかかって顔を覗き込み、その野性味たっぷりの鋭い眼つきとドスの利いた声で話しかける悪友に、幼馴染ながら恐ろしいなと思いつつ苦笑してしまう。
「遅いよ」
「いや、ちょっとトイレが混んでてw」
「嘘つくな、しばらく前から見てたの知ってるぞ」
「ありゃ、バレてたかwまぁいいじゃねぇか。久しぶりにお前が暴れてる姿が見たかったんだからよ」
「僕は基本的に平和主義なんだから勘弁してくれ」
「あっはっはっは、俺が荒れてた時にした一番最初の勝負の内容忘れたのかよw」
「お、俺たちを無視するな!!」
和やかに悪友と談笑していたら、男たちが喚きだした。
ちょっと存在を忘れていたのは内緒である。
「あぁ悪い悪い。っで、まだやんのかい?」
「うぐっ…」
呻く男たちは、すでに戦意喪失している。
確かにアイツにあんな風に凄まれたら、普通の人ならビビって当然だ。
「「お、覚えてろよ~」」
三下チンピラの捨て台詞までテンプレートでちょっと笑ってしまった。
「ふぅ~何とかなった…」
「あははは、お疲れさん。まだまだ腕は落ちてないみたいだな」
「いや、お前との勝負での無茶もあってか、思ったように身体が動かなかったよ。やっぱり最近運動不足なのかな?また鍛えないと」
そう悪友と話していると、
ドンッ!
何かが僕の胸に勢い良くぶつかってきたのを感じ、確認してみると白上さんがそこにいた。
彼女は目に涙を浮かべ、体を震わせながら僕の胸にしがみついていた。
「し、白上さん!?」
「グスッグスッ、無事でよかったぁ~、グスッ」
「あっ、えっと、ごめんね。怖い思いさせちゃって…」
「えっぐ、っ、そっ、そんな、ことより、怪我がなくて、よかったです…」
「あ、あのくらいの相手なら何の問題もないよ。それに、アイツもいてくれたわけだし…」
「あなたは、強いのかもしれないけど、それでも、心配になるんですよ!」
「ご、ごめん…」
そうしてフブキちゃんが僕の胸で泣きながら抗議をしてくる。
どうしようかワタワタしていたが、彼女が落ち着くように頭をやさしく撫で続けた。
しばらくそうしていたら、
「オッホン!お二人さん、傍に俺もいることを忘れてやしないかな?」
ワザとらしい咳をして空気を変えようとお
「いろいろあったが、もういい時間だし帰ろうぜ!」
こうして、僕たちの休日は、秘密や事件が起こりながらも、楽しい1日で終わった。
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白上さんを神社まで送り、家に帰りついて自室で一息つきながら今日の出来事を振り返る。
術のこと、街のこと、学校のこと、そして彼女のこと…
そうして様々なことを考えながら、僕の意識は夢の世界へ沈んでいった…
えーっと、ファンタジーしてきました。
結局悩んだ内容はいろいろあって両方載せられる結果になりましたが、悪友と2回も勝負はくどいなぁと自分でも思ってます。
あと主人公くんは親の方針でどんな状況でも一人で生きていけるようにっていろいろ仕込まれてます。これが主人公補正!
まぁそこで様々な才能に
今度こそ次の話がいつになるかは未定です。
のんびりお待ちください。