東方友好録   作:青い灰

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妖怪の山へ

 

 

 

早朝、オレは慧音さんにもらった服に着替える。

着物と、羽織。

 

護身用、ということで、

貰った短刀も腰の帯に刺しておく。

 

 

「シュァ」

 

「ミズ、おはよう。

  朝ご飯、用意してるから食べておいて」

 

「シャ」

 

 

ミズは壺から這い出て、

近くに置いておいた小皿にある林檎を

シャクシャク、と音を立てながら食べる。

 

別に動物は嫌いじゃない。

まぁ、鼬はトラウマだけど。

蛇だってこうやって食事してるの見れば和む。

 

 

「と、自分の朝ごはん食べないと」

 

 

オレは朝食のご飯を釜戸で炊いて食べる。

まぁ炊飯器など無いわけで。

 

 

「自分の生活の便利さを知ったよなー」

 

 

魚をおかずにして、朝食を食べ終わると、

太陽が昇ってくる。

 

 

「そろそろ出ないと。

  ミズ、そろそろ行こうか」

 

「シャァ」

 

 

オレは小さな籠を紐で腰に固定して、

ミズをそこへ入れる。

あ、なんか居心地良さそう。

 

籠(大)をリュックのように背負って、家から出る。

それから気づかれないよう、村から出る。

 

 

「妖怪の山は………あっちか」

 

 

30分ほど歩くと、山の入り口のような道に出る。

ちゃんと道が作られているのか。

 

 

「そこの人間、止まりなさい!」

 

「ん?」

 

 

オレに声がかけられる。

木の上から現れたのは、白い少女だ。

纏っているのは、文に似た天狗装束。

 

耳。そして尻尾。

モフモフ…………モフモフ。うん。モフモフ。

 

 

「ここから先は妖怪の山、立ち入りは禁止です。

 神社へ行くならばもう少し時間を考えなさい」

 

「……………」

 

「なんですか。私の顔に何か付いてますか?」

 

「うん、耳がついてる。

  あと目と鼻と口がついてる」

 

「ダメです」

 

「何も言ってないけど」

 

「耳、触りたいとか思ったでしょう」

 

「よく分かったね」

 

 

なんでバレたんだ?

モフモフ。触ってもいいじゃない。モフモフ。

 

 

「じゃ尻尾で」

 

「嫌です」

 

「耳は?」

 

「嫌です」

 

「…………む「ぶっ飛ばしますよ?」さいですか」

 

 

ケチだなー、減るもんでもないのに。

まぁ最後のは冗談だけど。

 

 

「神社じゃなくて河童の所に行きたいんだけど」

 

「河童の川ですか。

 河童は今はもう起きてるでしょうが………何故?」

 

「酒虫が欲しくて。

  仕事が無くてさ、居酒屋でもして働かないと」

 

「酒虫………?

 まぁ、河童たちなら渡してくれるでしょうね」

 

 

あら、意外と友好的なのかな。

簡単に交渉できた。

 

 

「入っていい?」

 

「…………良いでしょう。

 ですが、河童の川以外へ近づかないように。

 近づいた場合は…………」

 

「近づいた場合は?」

 

「切り捨てます」

 

「怖っ」

 

 

自己紹介を軽くしておく。

うん、多分忘れられるんだろうな。

 

 

「オレは空。一応よろしく」

 

「白狼天狗、犬走 椛です。

 あ、道中の安全については保障しませんので。

 精々、の垂れ死なないよう。山が汚れますので」

 

 

…………まぁ、妖怪っちゃ妖怪だ。

人間が1人2人死のうが気にしないのだろう。

 

寧ろ襲う側、襲われないのも幸運なのかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男が行った後、椛はため息をつく。

そして、クスリと笑った。

 

 

「天狗が侵入者を逃がす訳ないでしょう」

 

 

″千里先まで見通す程度の能力″を行使し、

椛は侵入者の監視を始める。

 

 

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