「え?うん、そうなの………」
オレはわかさぎ姫に話を聞く。
その話というのは…………
「なるほど、川と湖の汚れは源流にあり、か」
川の汚染だ。
前にも言った通り、
最近、人里の川の汚れが酷い。
この川は、妖怪の山の源流から
この霧の湖を経由して流れるものなのだが………
「川も汚くなっちゃってさ。
私たちも大迷惑なんだよなぁ」
「にとりたちは河童だし、
確かに、川に住む妖怪たちも迷惑よね」
やって来たのは、にとりだ。
たまたま近くに来ていたらしい。
「私たちもその川の汚れを取り除こうとして
水を濾過する装置を作ったんだけど、失敗だよ」
「そーなのかー」
「すげぇな河童の技術力………」
無理だったことはともかく、
なんちゅう技術力だよ。
河童の技術力は幻想一ィィィィ!!ってか。
「あの河童の濾過装置が失敗するなんて……」
「それで私含めて河童たちは意気消沈。
やる気をなくしてグダグダさ」
「それは酷いな………」
「私もちょっと調べたんだけど、
あの源流の辺り、凄い妖気がしたの」
そう言うのはわかさぎ姫だ。
川を登っていったらしい。
「凄い妖気?」
「うん。怖くて逃げてきちゃった。
何か………とても大きかったような気がするけど」
「元々、あなた虫一匹殺せないような妖怪だものね」
そりゃ怖い。
無論、巨大となればオレだって怖いし。
え、フランとレミリアとの戦い?
あんなの戦いじゃないし、
アドレナリン全開だったからなぁ………
「じゃ、霊夢に頼んでみるか」
「うん、博麗の巫女ならどうにかなるね。
最初からそうすればよかったよ」
「でも霊夢、がめついからなぁ………」
「なら大丈夫だ、霊夢、オレの店にツケあるし。
チャラにしてやればいいだろ」
実際、魔理沙も遊びに来る。
「霊夢名義でツケで頼むぜー!」
と言って無銭飲食していくのだ。
オレだって悪鬼ではないし、
彼女たちが楽しそうなのは何より。
だが無銭飲食、それはダメだ。
オレの生活が危ない。
「………グルルルッ………!!」
「シャァァッ………!!」
「え、どうした2人とも?」
突然、ミズとセンが唸りだす。
何故だか分からないが、特にミズ。
首をもたげて警戒し、そこを強く睨んでいる。
それは、森の深い方の場所………
源流の、方向を向いていて。
ルーミアとにとりが目を細めて警戒し、
わかさぎ姫は慌てて水の中へ逃げ出す。
オレは、森から這い出てきたそれを見て、
言葉を失った。
「………なん、だ……あれ………」
絞り出せた言葉が、これだった。
現れたのは、10メートルもかくやと
思われるほどの巨大なヒトガタ。
「ォォォォォオ……………」
「デカい………!」
「不味い………あんな妖怪見たことないよ……!」
ルーミアとにとりも警戒を強める。
オレも足がすくむが、何をしてくるか分からない。
そして、それはこちらを向く。
目が、合った。
「オォォォォォォ………!!」
「どわぁっ!?」
「きゃぁっ!?」
オレへ突然に巨大な腕を振り下ろす。
俺はルーミアを掴んでミズ、センと
共にその場を転がって離れる。
「大丈夫!?」
「あぁ、だけど、なんだってんだよ!」
「あ、ありがとう」
「お互い様だよ………だけど」
あの泥の上半身。
あんなに巨大だとは知らないが、
そんな妖怪といえば…………
「泥田坊………!」
「シュァァァア!!!」
「!?」
センの頭に乗るミズが大きく吼える。
なんだ、奴を知ってるのか!?
「2人とも気をつけて!来るよ!」
オレとルーミアは再び身構える。
泥田坊、だと思われる泥の妖怪は、
大きく腕を振り上げた。