東方友好録   作:青い灰

30 / 48
剣の修行

 

 

「ふっ!」

 

 

妖夢と幽々子さんが見ているなか、木刀を振る。

ビュン、と風を切る音が聞こえた。

 

 

「…………えーと」

 

「…………あらぁ、才能なしね~」

 

「無慈悲!?」

 

 

現実は非情である。

やっぱり俺は人間だったようだ。

 

そ、そんなにはっきり言う………?

幽々子さん、泣いちゃうよオレ。

 

 

「そうねぇ………妖夢が

 100なら……10か15くらいかしら~?」

 

「あ、あはは………ほら、人間ですから……」

 

「…………そっすね」

 

 

結構ショック。

ほら、剣は男のロマンじゃないか。

才能ないかぁ………そっかぁ………

 

 

「鍛練あるのみ、よ~?

  強くなれるかは別として、だけど」

 

「裏返せば強くなれないんですよね、それ」

 

「そうねぇ」

 

「否定してほしいなぁ」

 

 

オレは木刀を軽く振ってみる。

妖夢に聞いたのだが、

幽々子さんも武具の心得があるらしい。

 

才能がないとすぐに見抜けたのは

多分そのせいだろう。

 

 

「………そうね、妖夢と試合でもしたら?」

 

「オレに死ねと?」

 

「あぁ、私のを見て覚える、と言うことですか」

 

「そうよ。それじゃ、私が審判をするわ~」

 

「「お願いします」」

 

 

妖夢が腰の剣(短い方の白楼剣)を鞘ごと構える。

マジすか。

オレも木刀を構え、息を吐いて集中する。

 

 

「それでは

 ────────始め!!」

 

 

掛け声と共に妖夢が地を蹴り、

刀を大きく振り上げる。

刀は、実は受け流すのがとても難しい。

避ける方が確実だ。

 

 

能力を使って青い光を纏う。

 

足を後ろへ下げて、ギリギリで回避。

鼻先を風が切る。

 

 

「!」

 

「し──ッ!」

 

 

腰を落とし、下段からの斬り上げ。

だが、妖夢は刀の腹を使い、

オレの木刀の勢いを利用して大きく逸らす。

 

隙ができ、妖夢が横に振りかぶったのを確認。

逸らされた影響で崩れた体勢を利用する。

地を押すような感覚で蹴り、後ろへ跳ぶ。

 

 

「っや!?」

 

「せぇア!!」

 

 

速い………!

小柄な身体を活かした素早さで接近してくる。

妖夢は刀を大きく振りかぶり、横に薙ぐ。

 

それを木刀で防御する。が。

 

 

「しッ!!」

 

「ぐ──が、はぁ、っ!?」

 

 

木刀に命中させた瞬間に勢いを止め、

その止まった勢いの衝撃が、木刀を貫通、

オレの腹を衝撃が撃ち抜く。

 

 

────遠当て。

合気道などの応用、

気を飛ばして防御を貫通する技。

 

それを、霊力と剣の衝撃で妖夢は繰り出してきた。

 

 

衝撃に吹き飛ばされ、

受け身を取って右手に木刀を構える。

本当に死んじまうぞ!?

 

それでも審判はニコニコしながらこちらを

見ており、対戦相手からは殺気すら感じる。

 

刀の振り下ろしを後転で回避、

後転の途中で地面へ足をつける。

 

 

一か八か、やってやる。

 

 

「───!!」

 

「──っ!?」

 

 

妖夢の懐に地面を蹴った勢いで潜り込む。

妖夢は避けた後にまた追撃をしようと

していたので、こんな反撃は分からないだろう。

 

オレは木刀を振り、

妖夢の腹でピタリと止める。

 

 

「────!」

 

「勝負あり。勝者、ソラ~」

 

「か、勝った………?」

 

 

オレは呆然と立ち尽くす。

青い光が薄れ、溶けるように消えた。

 

オレの目の前の妖夢も口をパクパクさせている。

 

 

「……………」

 

「妖夢~?」

 

「ひ、ひゃい!?」

 

「あなた、油断しすぎよ~?

 真っ直ぐ斬るのは良いけど、攻めすぎよ~」

 

 

そうだ。言われてみれば、防戦一方だったが。

攻め込みの隙を晒していたのも事実。

 

 

「ソラ、あなたも良かったわよ~。

  あなたの強みはその目ね~」

 

「何度も死に目にあってますから………

 もしかしたらそれかもしれませんね」

 

 

思い出せば、フランの弾幕を回避していた時。

あの時も極限まで集中していた。

大量の弾幕の動きを観察したのだった。

 

観察力、だろうか。

 

 

「凄まじい観察眼ですね………

  動体視力には自信があったんですけど」

 

「おそらく、妖夢以上よ~?後は、

 体勢を立て直す速度が異常なくらい速いわね~」

 

「同感です。それより速く決着を

  つけるつもりだったのですが………」

 

「妖夢の速度より一歩速かったのね。

  妖夢、ちょっと欲張りすぎよ~?」

 

 

…………体勢を立て直す速さ。

多分、腕斬られたり、

腹抉られたりしてるからだろうなぁ、って。

痛みに慣れるって嫌だなぁ。

 

 

「お疲れ様~、良い試合だったわよ~」

 

「「ありがとうございました」」

 

 

何とか、妖夢には勝てた。

だがまぁ、剣術も何もあったものじゃないので

油断していなければ絶対に

妖夢が勝っていたのだろう。

 

 

結局、オレに剣の才能はないようだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。