東方友好録   作:青い灰

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今回、衝撃の事実が発覚します。



セン

 

 

息を整える。

屋敷の前でオレは扉を睨み付ける。

 

 

「ワフ………」

 

 

センが心配そうにこちらを見つめてくる。

結界の向こうには、

どうやらオレしか行けないようだ。

 

屈み、センと目線を合わせる。

 

 

「…………店、頼んでいいか?」

 

「…………」

 

「ミズ1人だと、寂しいだろうからさ。

 女子同士、仲良くやってってくれよ」

 

『…………はい』

 

「シャベッタァァァァァ!!!?」

 

『空気読んでくださいよ!?』

 

 

喋れたんかいお前。

真神って狼の神だし………

まぁ喋れても不思議じゃないか。

 

 

『もう………空気大事ですよ、場の空気』

 

「わかったよ。いいじゃん、多分オレ死ぬし」

 

『空気読んで不吉なこと言わないでください』

 

「死亡フラグ立てるよりマシじゃね?」

 

『…………まぁ、そりゃそうですけど』

 

「帰ったらステーキご馳走するよ、ありがとな」

 

『そういうとこですよ!!!』

 

 

以外とツッコミの上手いセンと笑う。

だが、いつまでもこんな時間は続かない。

 

立ち上がる。

 

 

『…………行くんですね』

 

「あぁ、行ってくる。

 みんなによろしく………っても、

 オレを覚えてるヤツなんていないか」

 

『安心して下さい、

 貴方は私が覚えてますから。

 絶対に忘れたりなんかしませんよ』

 

「えっ唐突にヒロインムーブ入ってきたよこの子」

 

『決戦前に頭食い千切られて死にたいんですか?』

 

「ごめん許して」

 

『許しましょう』

 

 

見事にフラグが建設された気がする。

あ、センのヒロインフラグな。

動物も意外とアリかな、とか思ってる。

 

 

『止めてくださいその顔。気持ち悪い』

 

「酷いわーウチのペットひどいわー」

 

『そんな顔するからです。

 やっぱり食い千切られたいんですか?』

 

「いやホントやめて

 戦う前に死ぬとか洒落にならんし」

 

『……………戦う前に、ですか』

 

 

センが不安そうな顔をする。

そして、俯いた。

 

 

 

 

 

 

『……………逃げてくれない、ですよね』

 

「…………」

 

『本音を言うと、ですね。

 …………………私は貴方と逃げたい。

 貴方を………死なせたくない』

 

「そっか」

 

 

センの頭を軽く撫でる。

ふわりとした毛並みが、心地良い。

 

 

『これでも神ですし、知ってるんですよ、私。

 貴方は、()()()()()()()()()()()()()

 こうやって喋ってられるのもギリギリですよね』

 

「バレてた?」

 

『えぇ、前に閻魔大王

 ………四季 映姫さんが来ましたよね』

 

「……………なーる、そういうことか。

  全部言いやがったからな、あの人」

 

 

ウチの店によく小町がサボりで訪れていたが、

その時に連れ返しに来ていたのが、

四季映姫・ヤマザナドゥ。閻魔大王の1人だ。

 

その時、オレは初対面で、無言で顔を殴られた。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『ちょっ、四季様!?』

 

『っ、何しやがる!!』

 

『……………貴方、名乗りなさい』

 

 

酷く嫌悪感を露にされ、

更に凄まじい威圧感を感じる。

店にいた誰もが震え上がるほどに。

 

 

『………ソラだ』

 

『……………私は四季映姫・ヤマザナドゥ。

 そんなボロボロの魂は本来現世に

 あるべきではありません。

 小町、即刻、彼を地獄へ送りなさい』

 

『…………四季様、ソラは生きておりますが』

 

『それでも、です。本来死ぬべきことを

 根性だけで現世に保っていられるなんて………』

 

『ちょっと待て、なんの話だよ!?

 オレ生きてんだけど!?』

 

 

生きてるんだけど。

 

 

 

 

 

 

その間のやり取りは省かせてもらうが、

なんとかオレは(30分くらいかけて)映姫を

説得することに成功した。

 

 

 

『…………ですが、何故そんなボロボロの魂に?』

 

『オレ魂見えねぇよ』

 

『文字通り、魂を削るような行為をしなければ

 そんなことには滅多にありません。

 在り方を言えば、どんな罪人よりも醜いですよ』

 

『ナチュラルに口悪くない?』

 

 

ともあれ、そんな行為は控えるように、

とだけ言われ、オレは許された。

 

彼女が小町を引きずって店から出ていく時、

最後に、というように振り向く。

 

 

 

 

『1つ、忠告させて頂きます』

 

『ん?』

 

『その行為を続け、魂が砕けるような

 状況に陥った時。貴方は輪廻の輪に

 行くことなく、魂ごと消滅するでしょう』

 

『───了解、気を付けるよ』

 

『これは特例、努々(ゆめゆめ)、それを忘れないよう』

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

「隠し事は得意だったけど

 全部言いやがって…………閻魔怖い」

 

『……………』

 

「お前、どんな顔してんのか、オレにも分かるぞ」

 

『………やめましょう』

 

 

唐突に、彼女はそんなことを言い出す。

そして、センは涙を流しながら顔をあげた。

 

 

『逃げましょう、私と。

 どこまでも、貴方を背に乗せて走りましょう。

 そして何からも逃げて………それで』

 

「やめろ」

 

『…………………』

 

「虚しくなるだけだよ、そんなの。

 逃げたところで、オレはもう手遅れだしな」

 

 

時間稼ぎにしかならない。

 

本当は、目は霞み、手は震え、足はふらつく。

だけど、だからこそ。

 

 

「オレにしか、できないことをやりたいんだ。

 時間はまだ残ってる。全部終わらせて、

 またセンに会いに来るまでの時間も」

 

『………………本当に、貴方はバカです』

 

 

腰を屈めて、センと顔を合わせる。

酷い顔をしていたと思う。

 

 

『…………頭が悪くて、無駄に正義感はあって、

 他人に頼ってばかりで、空気が読めなくて、

 無茶ばかりして……それでも、諦めが悪くて』

 

「……………悪かったよ」

 

 

 

苦笑いを浮かべる。

 

 

 

 

『料理は本当に美味しくて。

 無茶は他人のためでしかなくて。

 私にセンという名前をくれて。

 優しく、撫でてくれて』

 

「………………」

 

『神で狼なのに、私はそんな貴方が好きなんです』

 

「うん」

 

『どこまでも自分が正しいと、

 自分を生きる貴方が好きなんです。

 絶対に負けない貴方が、好きなんです』

 

「…………告白かよ、こんな時に」

 

『貴方の優しい手が好きなんです。

 雑でも、優しくても、

 私は貴方に撫でられるのが好きなんです』

 

 

………………

 

 

『私は……………貴方を、死なせたくない………っ』

 

「ごめんな」

 

 

その言葉に、感謝と、無念と、謝罪を込める。

そして、センの好意を突き放す。

 

 

「もう死ぬ人間に、そういうのは困るよ」

 

『……………っ、私は───』

 

「だから、必ず帰ってくるからさ。

 待っててくれ、オレたちの家で」

 

 

立ち上がり、センの頭をわしゃわしゃ撫でる。

 

 

『………………待ってますから。

 1年でも、100年でも、1000年だろうと』

 

「ありがとな。

 それじゃ────」

 

 

 

扉へと、歩みを進める。

最後に、振り返って。

 

 

 

「行ってきます」

 

『はい………………行ってらっしゃい』

 

 

最高の笑顔で。

 

 

扉の先へと進む。

 

 

 






衝撃の事実。

メインヒロインはセンだった………?



次回、『決戦、八雲紫』

物語は終わりに向かいます。

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