東方友好録   作:青い灰

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決戦、八雲紫  序

 

 

「…………やっと来たわね、待ちくたびれたわよ?」

 

「待たせたな…………なんてな、

 お前は別にオレを待ってたわけじゃねぇだろ」

 

「あら、気づいてたのね」

 

 

扉の中は、部屋が無数にある巨大な空間。

入ってきた扉は消滅、壁になっていた。

 

入った場所のオレが立っている先、

幾つもの部屋を経由した、

かなり遠くに八雲紫はいた。

 

 

「待っていた、つーか………

 向かってきた、っていう方がいいのかね」

 

「えぇ、細工は得意でして」

 

「ケリをつけに来た。オレはお前を止めて

 幻想郷の廻りを終わらせて先へ進める」

 

「私は貴方を殺して幻想郷を廻す、と。

 ここまで対立できるなんて、人間って怖いわね」

 

「……………」

 

 

八雲紫はパチン、と扇子を閉じニヤリと笑う。

 

 

「そうねぇ、1つ、お話でも如何(いかが)?」

 

「別にいいけど?」

 

「貴方は………戦について、どう思うかしら?

 戦争、闘争、戦闘、戦い、争いについてよ」

 

 

やはり、そうか。

あの話の通りというわけだ。

 

 

「…………わからない」

 

「………ふぅん、下らない、とは思わない?」

 

「時には大切だ、とは思うけど。

 下らない戦いは確かにあるよ」

 

「そのせいで死人が出るのよ?

 尊い犠牲と貴方は切り捨てるのね?」

 

「いや、違う。

 犠牲に尊いものなんてない。

 犠牲なんて、哀しいだけだし」

 

「そうね、貴方は起こると分かっている

 戦いを知っているならどうするかしら?」

 

「そりゃ止めるさ」

 

「でしょう?」

 

「でも」

 

 

藍から話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『紫様は、争いのない幻想郷を目指している。

 誰も傷つくことがない世界、それが理想だと』

 

『………は?』

 

『だから、その為に紫様は幻想郷を廻している。

 異変も起こらず、起こったとしても誰も

 傷つくことがないよう、紫様は動いているんだ』

 

『それ………矛盾してるだろ。

 八雲紫は、霊夢を……………』

 

『だから、霊夢は適切な

 巫女じゃないと切り捨てようとしていた。

 争いを力で納めようとする霊夢は

 この世界、幻想郷に必要ないから』

 

『…………だったら、霊夢は

 まだ廻っていなかった、のか?』

 

『あぁ、先代の巫女の靈夢も同じだ。

 先代の巫女は紫様の力で世界から

 外されたことに気づいて……………

 …………………………………………自ら、命を断った』

 

『…………靈夢、が、自殺したのか………!?』

 

『博麗の巫女は前代が幼少期に教育する。

 紫様もそれには必ず関わるから、

 博麗の巫女は紫様を悪く思うことができない。

 だから自殺などしたのだろう…………………

 しかしそれが切っ掛けとなって、紫様は狂った』

 

 

狂った、か。

きっと、靈夢だけじゃないんだろう。

 

 

『…………自身の理想のためだと言って、

 不要な存在を次々と排除するようになった。

 例として………幻想郷には、男が少ないだろう?』

 

『…………そういえば、そうだな。

 聞いた話だと、十分の一、いないんだろ?』

 

『昔の話よ、幻想郷で

 1人の男を巡って争いが起きたの。

 紫はそれを危惧して、男を幻想郷で虐殺したわ』

 

『…………酷いな』

 

『ルーミア』

 

『分かってるわよ。私は紫とは古い仲でね。

 私もね、ある博麗の巫女と仲良くなったのよ。

 ………その時、紫は私に言ったわ、

〝妖怪と人間は相容れないモノよ〟ってね』

 

『え、それ、は』

 

『紫様は、完全に狂ってしまったんだ』

 

 

 

自己矛盾の果てに、

自分自身の世界を否定し始めた。

 

 

 

『妖怪と人が共に手を取り合って生きる世界。

 それが目的で紫様は幻想郷を創ったんだ、

 そう、創った筈だったんだ………………っ!!』

 

 

 

頭を抱え、藍は涙を流す。

八雲紫に従っていて、彼女は、

どれほど残酷なものを見たのだろうか。

 

 

 

『頼む………お前を傷つけた身で言うのは

 おかしいだろうが、頼む、ソラ………!!』

 

『私からもお願い。紫を止めて。

  私たちは、先へと進むべきなのよ』

 

 

大きく、頷く。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八雲紫、お前は…………貴女は、間違ってる」

 

 

「……………やめて」

 

 

「気づいたんだ。貴女も、もう気づいている筈だ」

 

 

「やめなさい」

 

 

「どんなに世界を廻しても、繰り返しても」

 

 

「やめろ」

 

 

「世界はおかしくなっていくだけで、

 争いは決して世界からなくなることはない」

 

 

 

断言する。

八雲紫、その在り方、その全てが間違っていると。

 

 

 

「違う………違う違う違う違う違うッ!!

 私は、間違ってなどいないッ!!!」

 

 

「0点だ、優しい馬鹿野郎。

 鉛筆削り直して、出直しやがれ!!」

 

 

「私が、私の理想が

 間違っている筈がないのよ!!!」

 

 

「だったら証明してやる!!

 人間も妖怪も神さえも!!!

 1人なんかじゃ何も出来やしないってな!!!」

 

 

 

能力を全開で発動し、走り出す。

空間を紫の弾幕が埋め尽くす。

 

 

 

 

八雲 紫(未来を捨てた者)ソラ(未来を見る者)の、

 

幻想郷の全てを賭けた、決戦が始まる。

 

 

 

 

 

 

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