八雲紫から紫の炎の弾幕が放たれる。
狂乱し、それは狙いを定めてはおらず、
部屋を破壊しながら弾幕は紫から円状に広がる。
それを姿勢を低く、倒れる寸前のような姿勢で
回避しながら全速力で紫へと畳を疾走する。
「私は───私は………っ!!」
「全部自分1人で考えるから
狭い視野しか持てねぇんだよお前は!!」
「黙れ、黙れ………!!!」
弾幕が止まる。
スペルカードが来る!!
「結界……〝夢と現の呪〟!!」
藍とルーミアからスペルについては聞いている。
狂乱状態で何をしてくるか分からないが、
何とかするしかない。
一発当たれば即死、速度は矢並み。
使える切り札は1つ、後は自分の力で攻略の
難易度はルナティック以上の地獄。
「2つの破裂する大玉弾幕………!」
この2つの片方が追尾、片方が乱射。
ほとんど勘だが、右が追尾だと考え、
部屋を仕切っている襖を外して盾にする。
左の大玉に突っ込み、そして大玉が破裂する。
ラッキー。
高く跳び、大玉の弾幕を飛び越え、着地。
「次ッ!!」
次の大玉が来る。
なら次は左が追尾。交互になっている。
追尾してくる弾幕を回避し、
回避、回避、回避を繰り返す。
大玉を16回、避けきった!
「チッ………!小賢しい!!」
「自分のやりたいことを諦めねぇのは得意でな!」
また紫の炎の弾幕が放たれる。
速度が少し上がった。
そして八雲紫がまた後ろの部屋へと大きく下がる。
埒が明かないな…………!
距離をつめてもどんどん突き放される。
藍の話だが、八雲紫は境界を操作する。
弾幕を通してでもそれは発動するらしく、
掠りでもすれば終わりは確定だ。
「この空間で、惑いなさい!!」
「!?」
空間が歪み、
なんと先の部屋の天井が下になっている。
その先も同様で、畳が左や右になっていた。
まさか、重力を弄りやがったのか!?
「私の理想が崩れることはないのよ!!
世界調律、〝不定なる空間と重力〟!!」
「く──!?」
部屋を抜けた瞬間、下から上に重力が切り替わる。
前の部屋では天井だった畳に背中から
叩きつけられるが、即座に転がって立ち上がり、
弾幕を回避する。
「結界………〝動と静の均衡〟!!」
「次のスペルか………!」
部屋を抜け、身体を捻って畳へ着地。
身体を不安定な重力に慣らしていると、
紫から大玉弾幕が発射される。
それはこちらを狙ったものではないが、
壁に着弾した瞬間、円を描くように
回転弾幕が発射される。
「全方向に注意するしかねぇって馬鹿だろ………!」
対策、とは言っても知っているだけだ。
知っているだけであり、
それに対する手段は切り札くらいしかない。
だからと言って、切り札を切ったら
絶対に後で死ぬことになる。
なら、魂を削る。
死ぬよりマシだ。
「模倣〝楽園の巫女の虹〟!!」
「!」
手に現れた御幣を構え、霊夢の夢想封印を放つ。
七色の光の弾幕がスペルを強制封印、
スペルカードを無理矢理終わらせる。
「っ、か、は…………っ!」
息が詰まる。
脳内がグチャグチャに掻き乱され、
一気に真っ白になる。
恐ろしい虚無感。
気合いで意識を取り戻すが、部屋を抜けた瞬間に
重力変化で畳へ身体が叩きつけられる。
息を整え、立ち上がる。
弾幕が止まっていた。
「…………まだ、足掻くのね」
「何度だって立ち上がる。
三度、落陽を向かえても、ってやつだ。
宿題終わって安心しねぇと寝れないタイプでね」
「……………何が貴方を突き動かす、
何故私の邪魔をするの………………!!」
「お前が間違ってるからだ。
お前を止めて、改心するまで立ち上がってやる。
しつこいぞ、オレは」
「私の理想は負けることはない!!
貴方を殺して、永久に世界を廻す!!」
「そうやって答えから遠ざかってんだ。
間違いを間違いと認めろよ、八雲 紫!!」
弾幕の色が紫から青の炎に変わる。
まだ、止まれない。
どれだけ不利だろうと、力の差があろうと、
彼は、敗けを認めるまで決して諦めることはない。