東方友好録   作:青い灰

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足りなかったもの

 

 

 

「フランを狂気から

 解放したことには礼を言っておこう」

 

「………そうですか」

 

「あぁ、礼をしようじゃないか、

  別に泊まって行ってもいいぞ?」

 

 

見え見えの嘘だ。

 

フランを助けてから、

オレは再びメイドに縛られてあの部屋に

連れていかれたのだった。

 

再び、紅魔館のメンバー、

美鈴とフランを除く全ての面々が揃う。

 

 

「どうせ寝てる間にオレは死ぬでしょう」

 

「分かっているじゃないか、

  お前が生き残る道などない」

 

「…………だったら」

 

 

オレは決意を決める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前、フランを止めた後のことだ。

 

 

「いつからここに閉じ込められてるんだ?」

 

「よく、閉じ込められてるってわかったね」

 

「そりゃあ、な?監禁だろ、こんなの」

 

 

この部屋、フランの攻撃による

大きな傷がついていない。

 

しかも、あの牢の檻のような扉には

封印の札なども貼ってあった。

 

フランはここから出ることは出来ない。

それこそ、ぬいぐるみ等の玩具はあっても。

 

 

「でもね、私がいけないから。

  私が悪い子だからなの、悪いのは私」

 

「違う、って言いたいけど、聞かせてくれよ」

 

 

オレはフランから話を聞いた。

彼女は、もう分からなくなるほどに

ここに閉じ込められており、

それはフランの能力

"ありとあらゆるものを破壊する程度の能力"

による危険性からだったという。

 

そして狂気にのまれることも多くなったとか。

 

…………あくまでもオレの考えだが、

狂気、とはストレスのことじゃなかろうか。

そりゃあこんなところにいればストレスも溜まる。

 

 

「フラン、紅魔館の人たちと喋ったりしたか?」

 

「…………んーん」

 

「そっか。辛かったな………」

 

 

ならば、合点がいった。

もしも、オレの考えが正しければ。

 

 

「フラン、お姉さんの名前は?」

 

「レミリアお姉様、レミリア・スカーレットよ」

 

「…………あぁ、分かった。

  なぁ、フラン。1つ聞かせて欲しいんだけど」

 

「なあに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決意を決めて、オレはレミリアに言い放つ。

 

 

「殴らせろ、一発でいい」

 

 

立ち上がって、拳を掌に打ち付ける。

縄脱けをして、オレはテーブルを挟んで

レミリアと対峙する。 

 

 

「ほぅ?私を殴る理由は?」

 

「お嬢様……!」

「静かにしてなさい、咲夜」

 

「答え合わせだ」

 

「答え合わせ?一体何のことだ?」

 

 

オレは、脳裏にフランのことを思い浮かべる。

最後に放ったあのスペルカード。

姉のことを守るように、自分が悪いと言うフラン。

 

だが、まだだ。

それではいけない。

 

それで、いい筈がない。

 

 

「495年のツケを支払え、

  レミリア・スカーレット」

 

「───」

 

「お前がフランを泣かせたんだから」

 

「貴様に何が分かる」

 

「知るか、オレは部外者だ」

 

「だったら、口出しするな!」

 

「やだね、関わったから。

 フランが泣いてるところを見たことあるか?」

 

 

オレはレミリアを攻め立てる。

オレは非力な人間だ。

レミリアたちには勝てない。

 

言葉の、ナイフを突き立てる。

 

 

「お前に私とフランの何が分かる!!」

 

「分かるのは!!

 お前が間違ってるって事だけだ!!!」

 

 

オレはテーブルに乗り上げる。

レミリアへ一直線に走り出した。

 

 

「………!?」

 

「咲夜、何をしている!?」

 

「…………能力が、使えない!?」

 

「余所見すんじゃねぇよ!レミリアーッ!!」

 

 

オレは速度を上げる。

 

 

「お前が間違ってるから!

 フランが積み上げようとしてるもの!

 ありとあらゆるものをゼロにしてんだよ!!」

 

「ふざけるな!!

  あの子は私のたった1人の家族だ!!」

 

 

その言葉を聞いて、オレの怒りは高まる。

 

 

 

 

「泣いてる妹を、助けない姉が家族だなんて、

 笑わせんじゃねぇよ!レミリアァァァッ!!」

 

 

 

 

溜まっている言葉を全て吐き出して、

走り続ける。

 

 

「黙れ!!」

 

 

「見てただけで!!

  泣いてる妹を助けないような奴が!!」

 

 

叫ぶ。

 

 

 

「姉を名乗んじゃねぇよ!!!」

 

 

 

叫び、右手に力を込める。

 

 

 

「黙れぇぇぇぇッ!!!

  ″神槍『スピア・ザ・グングニル』″ッ!!!」

 

 

 

赤い、巨大な槍が形成され、

オレを狙い投げられる。

 

狙いは下半身。

全力疾走しているので避けられない。

 

だが。

 

 

「邪魔だ!!」

 

 

オレの意思に反応するように、

体が青白くスパークした。

 

 

 

 

 

 

「その運命を破壊する───ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!!?」」」

 

 

オレは、紅の槍を踏み潰した。

紅の槍は四散し、テーブルが崩れる。

 

そのままレミリアへ接近し、拳を引き絞る。

 

 

 

「お前に足りなかったのは!!

   ″一歩踏み出す勇気″だ!!!」

 

「───!!!」

 

 

 

オレの拳がレミリアの顔を捉え、突き刺さる。

 

 

 

「ぶち抜けぇぇぇぇッ!!!!」

 

 

 

青白い光が弾け、レミリアを吹き飛ばした。

 

 

 

「答え合わせ、0点だ。

   レミリア・スカーレット」

 

 

 

オレはその場で言い放つ。

テストは0点。

 

 

 

「赤点だ。訂正しろ」

 

「ぐふっ…………訂正、だと?」

 

 

オレが入ってきた扉が開かれ、

美鈴に担がれたフランが現れる。

 

 

 

「…………フラン!」

 

「お姉様!」

 

 

フランが美鈴から降り、レミリアへ抱きつく。

 

 

 

「姉妹での時間を、

  取り、戻して100点、満点───だ」

 

「───!!」

 

 

オレは血を吐いて、その場に倒れた。

 

 

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