SAMURAI DEEPLY GIN   作:TubuanBoy

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掲載中の別作品があるので反響の良い方を優先して書きます。
皆さん、感想をよろしくお願いします。



第一話

あれは俺が松陽と出会う前の事だ。

戦場で生きてきた俺は屍から物を奪う事で食いつないでいた。

 

そんな俺を見て人々は俺を人を食らう鬼だと呼んでいた。

だが、本当の鬼がどんなのか俺は知っている。

 

 

その男、幾十の屍の山の上に立っていた。

手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き『深紅の眼』が輝いていた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

彼は坂田銀時、侍だ。

幼少の頃から戦場で生き、死と隣り合わせの世界で生きてきた。

後に松下村塾を開く吉田松陽に拾われる。

開塾後、後の戦友となる桂小太郎、高杉晋助と出会い手習いを教わる。

寛政の大獄の際、松陽が捕まってから彼を救い出す為に攘夷戦争に身を投じる。

攘夷戦争とは20年前、宇宙からやってきた人類『天人(あまんと)』。

彼らは地球を襲撃し占領しようとした。

それに反発した侍の戦い、それが攘夷戦争だ。

そこで後に海援隊を率いる坂本辰馬と出会い、共に戦う。

 

戦場での彼はまさに鬼神

その銀髪と白い服から『白夜叉』の通り名で戦場をかけた。

しかし、その刃が天に届くことはなかった。

戦いに敗れた彼は放浪の末江戸の歌舞伎町に流れ着いた。

そこでスナックを営むお登勢に拾われ、その店の二階で自営業を営む事にした。

店の名は萬屋『銀ちゃん』歌舞伎町では知らぬものがいないほど評判になっている。

良くも悪くも。

今日もまた新しい依頼が萬屋を待っていた。

 

「銀ちゃん!銀ちゃん!起きてヨ!朝アル」

可愛らしい声によって銀時は起こされた。

声の主は神楽、萬屋で住み込みで働く少女だ。

 

彼女は地球の人間ではない。

数ある天人の中でも最強種、『夜兎』のと呼ばれる存在だ。

可愛い姿をしてとんでもない戦闘力を有している。

声と見た目は美少女なのに怪力・大くらい・毒舌、の中身が残念すぎる国民的ゲロイン、それが神楽ちゃんなのだ。

 

「神楽……頼む、水をくれ………」

「また、二日酔いアルか?……昨日、あれだけ飲んだら仕方ないアルよ」

「ああ、お陰で酷い夢を見たぜ………」

 

銀時は呑むのは好きだが強いわけではない。

昨日は友人の長谷川と飲んでフラフラの状態で帰ってきていた。

 

水を飲んで少し気分が楽になった朝食を取ることにした。

「なんだよ!また、卵かけられご飯じゃねぇか!」

「うっさい!文句があるなら自分で用意するアル!」

神楽ちゃんは料理は一切できない。

 

仕方なく代わり映えしない食事を取りながら銀時は夢の内容について考えた。

彼の幼き記憶に刻まれたその者の姿。

(なんで今更………)

 

「銀ちゃん、今日の仕事は何アルカ?」

「ん?……ああ、掃除だよ。蔵のな」

 

その日の仕事、金持ちの家の蔵の掃除・整頓だ。

依頼人はその家の当主。

萬屋はもう一人の従業員の眼鏡型生物のツッコミ役志村新八と合流して仕事を開始した。

 

「ゲッフ!!ゲッフ!!ごえっふ!」

「神楽ちゃん、足元気をつけて。」

「わかってるアル!おっと!」

新八が気をつけるように言ったが神楽は転倒した。

この蔵、先代の当主が趣味で集めた宝物が大量に死蔵されている。

宝物といったが、その実、マニアにも売れないほどのマニアックなものが多い。

所謂、ガラクタである。それを処分するのも今回の仕事だ。

 

「ちょっと、銀さん!手が止まってますよ!!」

「え?……ああ、………」

「…………」

銀時の異変に新八も気づいた。

「神楽ちゃん、銀さんどうしちゃったの?」

「知らないアル。柄にもなく考え事してるみたいネ」

「何を考えてるか知らないけど、手は動かして欲しいね。

大した頭がないんだから下手な考え休むに似たりだよ。」

 

「わかったよ!わかったよ!うるせーな!」

 

掃除を再開した三人だったが、神楽が何やら珍しいものを見つけた。

 

箱に入っていたのは似顔絵が描かれた紙であった。

神楽はそれを銀時に見せた。

 

「銀ちゃん、これ何アルか?」

「ん?……こりゃあ、手配書じゃねぇか?

ずいぶん昔の。」

 

それは今から2・300年前ほど前に使われていたであろう手配書だった。

 

何故そんなものが大切に保管されていたのかわからないが、話を聞くところこの屋敷の先代の当主がかなりの変わり者で金にもならない珍品をかき集めるのが趣味だった様だ。

 

「手配書って事はコイツらみんな賞金首アルか!?3000万Bか?1億Bアルか!?」

「なんで通貨がワ○ピースなんだよ。まぁ、『円』でもないがな。」

 

当時の通貨単位は『両』だ。

神楽のハンターの血が疼いたのか、興味からその内容を読み始めた。

 

「蛮頭次兄弟!?女子供も容赦なく殺す極悪非道の二人組!……でも、どう見ても劣化戸愚◯兄弟アル……賞金五十両。

 

次は、壬生京四郎。

立派な名前の割にやっている事は……食逃げ!?百文?…両にもならない端金アル。」

 

読むのに夢中になっている神楽にしびれを切らした銀時が紙を取り上げた。

 

「何をするアル!」

「働け。」

 

銀時は取り上げた手配書の1番上にある紙が目に入った。

 

手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き深紅の眼。

 

千人斬りの大罪人、賞金額は100万両

 

『鬼眼の狂』

 

その名が目に入った瞬間、銀時は夢のことを思い出した。

その特徴はかつて会った彼の特徴に合致していた。

 

しかし……年代が違いすぎる。

 

手配書の年代を見ても同一人物なら200ねんは生きていないとおかしい。

そんな人間いるはずが無い。

 

 

そんな意味もない思考を銀時は巡らせていると蔵の奥から何か(・・)に呼ばれた気がした。

 

銀時は新八に聞いた。

 

「おい、今何か音がしなかったか?」

「掃除してるんですから音ぐらいしますよ。」

「いや、そういうのじゃなくてな…」

 

銀時は音がした方に向かった。

 

古風な箪笥、しかも大きく無数の引き出しの中からそれを一発で引き当てた。

 

「短刀……!?」

 

それは鍔のない柄に収められた小さい刀。

しかし、どこか清らかな気を纏っており神々しささえ感じた。

 

 

銀時はその刀がただの刀ではないと悟った。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

なんだかんだで蔵の整頓は終了し、雇い主も大満足の様だった。

 

「ありがとうございます。助かりました。

流石は評判の萬屋さんだ。」

 

よっぽどあのガラクタの山に困っていたのであろう。

 

残すものは残して保存状態も改善。

要らないものは処分し、売れるやつは質屋に売り飛ばした。

 

「これは追加報酬が必要ですな。」

 

報酬金は契約時に決まっているため、追加金の決まりはないのだが、当主は気前が良かった。

 

「では、これをいただけますか?」

 

銀時は追加報酬代わりに見つけた小太刀を提示した。

 

「ほう…刀ですか…」

 

刀はたとえ短刀であっても高級品だが、それでもピンキリだ。

名刀なら数千万になるものもあれば数万で買えるものもある。短刀ならもう少し安くなるかもしれない。

 

先程、売れるものは売ったと言ったがその際先代が好んで集めた要素は換金対象になっていない。

例えば、かの有名な豊臣秀吉が温めた織田信長の草履を温めた電子レンジを作った職人の工具を作った人の工具など、付加価値はほぼゼロであった。

 

おそらくその刀もその類で刀そのものは数万と言った所だろう。

聞けばその短刀、刀身が見えなくなるほど錆びついている為、研ぎ代を差し引けばお小遣い程度しか残らないだろう。

 

当主は快く承諾した。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

移動中、短刀に興味を持った銀時が気になった新八が銀時に聞いた。

 

「どうしてそんな錆刀をワザワザ貰ったんですか?」

 

廃刀令の中、刀を持ち歩くのはリスクが高い。

だから銀時は普段から木刀にしている。

 

確かに木刀と同じく短刀も太刀と違い護身様で使われることが多いため、言い訳が通りやすいかもしれないが既に木刀を持ち歩いている銀時が短刀を持ち歩く意味はあまりない。

 

「ちょっと気になってな。

鉄子にタダで研いでもらって高く売れそうなら売っぱらうし、売れなくても適当に曰くをでっち上げてヅラにでも高く売りつければいいさ。

ヅラだったら大昔の倒幕の武士の持ち物で攘夷のラッキーアイテムとか言えば買うだろ。」

「銀さん、原価数万の壺を数百万で売り付ける詐欺商売みたいですよ……」

「みたいじゃなくてその通りアル。」

 

友人にタダ働きをさせ、更に別の友人に詐欺を働く。

顔が広いだけにタチが悪い。

 

萬屋一行はその足で知り合いの鍛治職人、村田鉄子の元に向かった。

 

「おぅ、鉄子。いるか?」

 

銀時が暖簾をくぐると元気な声が聞こえた。

 

「いらっしゃい!おや、銀さん。」

 

赤い鉢巻に青い髪を大きくあげるガテン系女子が返事をした。

 

彼女は村田鉄子。

今は亡き稀代の鍛治職人村田仁鉄の娘で彼女自身も鍛冶屋を営み腕も確かだ。

 

「ちょっくら仕事で変わった刀を見つけたんだ。

錆びついてるから研いでくれよ。」

 

「良いけど、研ぎ代は貰うよ。」

「生憎、持ち合わせがなくてな。

その刀が売れたら金額の一割で手を打ってくれ。」

 

それはつまり売れなければタダ働きだ。

それに持ち合わせが無いわけがない、先程仕事の報酬が入ったばかりなのだから。

 

「はいはい、仕方ないね。」

 

しかし、鉄子は了承した。

鉄子自身、萬屋には何度かお世話になっている、そのお返しの一つだと思って引き受けた。

 

短刀の研磨が始まった。

シャリシャリと研ぎ石と刀が擦れる音がする。

すると見る見るうちに錆は落ちてくる。

 

「銀さん、これをどこで見つけたんだい!?」

 

鉄子は刀を見て驚いた。

 

「この表裏揃った独特の波紋…

『村正』………」

 

聞きなれない単語を銀時が

「村正?…」

「江戸時代初期まで実在していたと言われる名刀匠の名だよ。

………これは晩年の作品かな?…」

 

鉄子が持ち前の観察眼で鑑定していく。

3人は胸を肩ならせた。

 

「すごいアル!鉄子!なんでも鑑定団!?」

「「オープン・ザ・プライス!!」」

 

「……残念ながらまともに売れる代物じゃないね。」

「「「何故!!!」」」

 

鉄子は研ぎ終わった刀を鞘に入れて横に置いて銀時達に説明し始めた。

 

「まず、村正は徳川に仇なす刀として『妖刀』とされている。

今も徳川政権である限り売る方も買う方も反逆罪だよ。」

「なら早いとこヅラに売っぱらわないといけねぇ!元々倒幕のラッキーアイテムとか言って売るつもりだったんだから丁度いい。」

 

鉄子は残念な人を見る目で銀時に続けて言った。

 

「それも無理だよ。

言っただろ、それも『妖刀』だって。

その刀、余程、銀さんの事が気に入ったんだね。

研ぎ終わったそばから銀さんの腰に収まってる………」

 

気がついたら先程まで鉄子の横にあった刀が銀時の腰に収まっている。

それに気づいた銀時が悲鳴をあげる。

 

「エェェェ!!!なんでここにあんの!」

 

慌てて投げ出そうにも何故か刀が手から離れない。

 

「手から離れねぇ!!完全に呪いの装備じゃねぇか!!!」

 

新八と神楽は『これいつもの奴だ』と察し、先ほどの金欲全開ムードから諦めムードへと移行していた。

 

以前、鉄子も関わった『妖刀・草薙』の時も銀時から離れなかったし、幽霊旅館の時もそうだったが銀時は霊や呪いに取り憑かれやすい。

普段からも萬屋が儲からないのは銀時が原因なのもあるが純粋にツキがない所もある。

それらをひっくるめて不幸体質と呼んでも良いほどだ。

 

「こんなんつけてたら不良警察にしょっ引かれるだけじゃすまねぇぞ!どうするんだ!?」

 

もう、見てられないくらいに大の大人が慌てふためいている。

鉄子はフォローに入った。

 

「まぁ、私が見た限りその刀からは悪い物を感じない。

だから呪いと言うより加護の部類だと思うよ。」

 

「守るなら俺の社会的地位も守れや!」

 

「元々、ないに等しい地位を守って何になるアルカ。」

「そうですよ。呪いや加護の一つや二つ持ってたほうがよっぽどジャンプ主人公らしいじゃないですか。『アスラマン』よりよっぽど

正統派かつ実用的な守護霊じゃないですかwww」

 

 他人事だと思って言いたい放題の二人。

 

「おい!鉄子!?

何とかならないのか!?」

 

 助けを求める銀時に鉄子は答えた。

 

「なくはないかな…丁度、銀さんに依頼しようと思ってたし…」

 

「依頼?…」

 

 鉄子は重い雰囲気で話を始めた。

 

「最近、辻斬りが横行してるのは銀さんも知ってるかい?」

 

「あぁ、あれか…」

 

 最近、この辺は辻斬りが横行して被害者もたくさん出ている。

しかし、神出鬼没で警察も苦労しているとか。

 

「ここからは噂なんだけど、犯人の刀が一本だけ押収されたんだけど、どうも妖刀『村正』の特徴と一致するらしいんだ。」

 

「おいおい、村正ってのはレアな刀なんだろ?

そんなにホイホイ見つかるのかよ。」

 

「流石に本物の可能性は低いと思うけど、可能性としたら彼の弟子の作品とか…

とにかく、銀さんには調査依頼ついでにその刀を持ってきて欲しいんだ。」

 

 鉄子が危ない事件に関わろうとしてる事に銀時は言い返す。

 

「おいおい、いくら珍しい刀が関わってるからって鍛冶屋のお前が辻斬り事件に首をツッコムのはおかしいだろ!」

 

 そこまで行って銀時は鉄子との出会いを思い出した。

 

「おいまさか、また…」

「その可能性が高いってだけだよ。」

 

 鉄子と萬屋との出会いは鉄子の兄の死んだ事件であった。

 

 鉄子の兄は父親以上の刀鍛冶になろうとし、異国の技術まで手を出し、人を殺戮だけを考える兵器にしてしまう妖刀を作り出した。

 

 その事件の発端も辻斬り事件が元であった。

 

「目撃情報では辻斬りの特徴は五尺の大太刀を振り回す鬼神が如き凶暴性だそうだ。

やっぱ、少し似てるだろ?」

 

 この辺の人間には以前の辻斬り事件の記憶がある噂に尾鰭がついた可能性もあるが確かに似ている。

 

「わかりましたよ。鉄子さん!僕たちに任せてください。」

 

「鉄子には普段から世話になってるアル」

 

「前回の依頼の続きかもしれないなら引き受けないわけにはいかないよな。

 報酬は出来高制でいいぜ」

 

 

 こうして萬屋が動く事になった。

 だが、彼らはまだ知る由もない。

 この事件が江戸中を大混乱させる事になるとはこの時知らなかった。

 




銀魂は原作漫画をあまり読まないのでセリフの文章化が間違ってるかもしれないので詳しい人ご指摘をお願いします。
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