前のは続かなかった
草
いつも通りの通学路。
私、
私には気になっている人がいます。
気になっている……はずの人が、います。
そう。気になっているはずなのです。
それなのに何故かパッと名前が出てこない人がいます。
そんなことがあるのか、と言いたい人もいると思います。
だけどネタでもなんでもなく、名前が出てこないのです。
……思い出しました。遠藤……。
彼はとにかく影が薄いのです。
いつだったかに本人自動ドアは3回に1回は反応してくれると自慢していました。
普通の人は故障などがない限り3回が3回とも反応されるはずなのに……。
そういったところが可愛らしくて好きなんですけどね。
そろそろ学校につきますね。
今日も1日頑張りましょう。
……。……。……。
教室に入り、読書をしていると不意に肩を叩かれました。
「よっ。おはよう」
「……浩介さん。おはようございます」
「なあ。今の間はなんなの?忘れてたとか言わないよね?悲しくなるからやめろよ?泣くからな?」
「ふふっ。冗談ですよ」
打てば響くような反応が楽しくてついついからかってしまうのはご愛嬌です。
さて、ここで私と浩介さんの馴れ初めを話しましょうか。
実は私は幾月グループのトップを父に持っておりまして。
誘拐の経験がある程度あります。
その内の1回で、彼と出会いました。
大金を動かせる父の妻でありながら庶民的な母は買い物は自分で行くし、行く場所もスーパーなどです。
母は当時小学校低学年の私を連れ回していましたが、
そこで浩介さんと会いました。
最初は浩介さんの存在に気づきませんでしたが、向こうから声をかけられてようやく気づきました。
彼の母も戦争に行ったそうです。
特にすることもなかったので彼と話をしていました。
すると意外と楽しく、夢中になってしまいました。
思い返してみると同年代の友達とまともに話したのはその時が初めてだったかもしれません。
まあ会話の内容は割愛するとして。
気がつくと私はコンクリートで囲まれたThe誘拐部屋のような場所に浩介さんといました。
しばらく待っていると覆面の男が聞き飽きた犯行動機をペラペラと話していました。
そこで私は気になっていることを聞きました。
「なぜ誘拐する方々はコンクリート製の部屋に人質を入れるのですか?」
覆面の男は固まりました。
「……そう言えばなんでなんだ?」
アホなんですね、と思いました。
しばらく理由を考えてキャッキャして話してましたが、覆面の男、改め、
そして部屋を出ていきました。
足跡が離れていったあと、声をかけられて彼がいた事を思い出しました。
彼は青ざめて涙目になっていましたが、俺が助けるからと言いました。
そこで私はキュンとしました。
この子可愛いと。
そしてあれやこれやと考えて、なんと彼は影のうすさを利用して幸緒さんを締め上げ、私を逃がしてくれたのです。
そこで私はキュンとしました。
この人かっこいいと。
そこからはお見合いを全て蹴りに蹴り、浩介さんと同じ学校へ通いました。
父は毎日のように「母さん!!娘が!!娘がぁ!!!」「はいはい娘、娘。あ、浩介君によろしくね〜」といったやり取りをしていましたが。
回想が長くなりましたね。
そうした経緯で今もご一緒させてもらっています。
あ、慌ただしい足音が聞こえてきました。
不快なワンシーンが始まりますかね……。
話進まね〜……w