楔side
「うぅ……頭痛い………」
「二日酔いね。薬あげるから飲みなさい、だいぶ楽になるわよ」
「ありがと姉さん………」
どうやら初めてのお酒で飲み過ぎてしまったようで目が覚めたらこの様である
「はい薬………ところで楔は昨日のことどこまで覚えてる?」
姉さんが薬を渡しながら、ふとそんなことを聞いてきた
「ありがと………ゴクッ………なんだかよくなった気がするよ」
「こんな時に役に立たない能力ね」
「ちゃんと集中しないと出来ないんだからしょうがないだろ」
僕の能力はある程度集中しないと使えない。だから今のような心身に異常をきたすとほとんど使えなくなってしまう………つくづく厄介な能力だ
「それは今後の特訓でどうにかするとして………楔はどこまで覚えてるの?」
なんでか執拗に同じ事を聞いてくるが、昨日か…………
「姉さんと晩御飯食べて、お酒飲んで、いろいろ話して………しばらくそのまま飲んでて………気づいたら布団で寝てたかな」
「あら、そう……………まぁそうよね」
「ん?なんか言った?」
「何も言ってないわ」
「そう、ならいいけど」
残念なような安心したようなよくわからない表情で一人で何かブツブツ言っているが………なにかあったのかな?
「ところで今日からは霊力の特訓だったよね。どんなことするの?
昨日聞いた時から少し気になっていたことを聞いてみた
「今日は特に何もしないわ。というより今日することはもう済んだから、今日は自由よ」
なんと今日は自由らしい。これまであまり自由がなかったから何をしようか……………あれ?
「済ましたって………今日僕何かやった?」
少なくとも起きてからまだそんなに経ってないし、特訓らしいものをした覚えないのだが
「やったわよ。薬、飲んだじゃない」
「あぁ確かに、じゃあ取り敢えずランニングしてこよっかな。あれやらないと朝が始まらないような気がし……………なんですと?」
「今日の特訓は薬を飲んで終了、久々にお姉ちゃんが朝ご飯作ってあげるわ。楽しみにしてなさい」
「あ、うん、姉さん。姉さんの手料理は楽しみだけど、今の僕は何の薬を飲んだかの方が気になるんだ」
なんだか嫌な予感がする。っていうかそれしかない
「楔に飲ませた薬?お姉ちゃんの手料理より薬の方が気になるなんて………お姉ちゃんちょっと自信無くすわ………シクシク」
悲しそうな顔で泣き真似をしているが今はそれどころではない。一応八意の姓を持つものとして、家にある薬は全種類頭に入ってる。効果やら副作用やらも、だ。基本姉さんの薬は副作用が無かったり少なかったりするものがほとんどだが、副作用があるものは非常にヤバイ代物である。例えば記憶力を一時的に上昇させる薬は効果が切れた後強烈な頭痛と共に覚えたもののほとんどを忘れたり、身体能力を上げる薬は全身筋肉痛が待ち受けていたり。僕の使った倍薬も、百回ほど服用すると容姿が子供になり猫の耳と尻尾が生えるらしい………あの夢の内容に似ているが気のせいであろう。とにかく、飲んだ薬がわかれば少しは覚悟が出来るわけで
「飲ませたのは覚醒丸よ」
覚醒丸:姉さんがもう二度と作れない(材料的に)と言わしめるほどの作ることが難しい薬
効果は使用者の眠っている力を少しだけ覚醒させること
副作用、今まで服用したものがいないため不明……………
「オワタ」
「何膝をついて落ち込んでるのよ。何があるか分からないから一日自由にしたのよ」
あぁなるほどそゆこと、つまり………
「約一年振りの人体実験………」
「人聞きが悪いわね、協力と言いなさい」
そういった姉さんの目はドキドキとワクワクでいっぱいになっている。実験する時はいつもあんな子供のような目で経過を見守っている
「………なんで姉さんは覚醒丸をのませたんだよ」
霊力を上げるくらいには他にも薬があっただろうに………
「ちょっと不貞腐れた楔かわいじゃなくてなんで飲ませかというと「姉さん鼻血出てる」……ズズッ………飲ませかというと、楔の霊力はもう限界まで成長してるわ」
「ちょっと待ってよ。僕まだ飛べないけど………」
「…………………」
「…………………」
沈黙が流れる。しばらくして姉さんが口を開いた
「………楔はまだ飛べてないわね」
「………うん」
「で、その楔の霊力は現在でもう限界まで成長している」
「………………うん」
「要するに楔の霊力の総量は一般人並なのよ」
「……………」
……………つまり、まぁ、僕の霊力はショボいと
「そういうことね」
………………………あれ?目から汗が
精神的に立ち直るまで三時間かかった……………
「あぁぁ楔が落ち込んでいる………アリね」
ブレないなおい
・・・・・・・
・・・・・
・・・
その後特に以上のないまま一日が過ぎて行った。覚醒丸は僕の一般人レベルの霊力の上限を上げるために飲ませたのだそうだ、覚醒といっても扉を開けるくらいで後の成長具合は自分次第らしい………他に何もなければいいが
ところで今僕は空を飛んでいます……………はい、夢です
夢の中で飛んでいるとは、そんなに飛びたかったのだろうか?
眼下に見える光景には紅い大きな建物や大きな山に枯れている大木、竹林に人里も見える。一見統一性のない光景だがある一点で強引に繋がっていた
終わっていた
そうとしか言えなかった
木々は枯れ落ち、大地は死に絶え、建物は風化している
何故こんな夢を見るのか、見るならもっとマシな夢が見たかった
だがそう都合良くはいかない
夢はそのまま続きある建物に僕は降り立っていた
大きな扉のない門のようなものの奥に箱が置いてある建物だった
屋根の上に降りた僕の前には二人人がいた。一人は金髪で紫色の見たことのない服をきている女性。もう一人は僕より少し背の高い青年が向かい合っていた。二人の顔はよく見えず、話し声もあまり聞こえない
「…………にい…の?………って……ない………れ…………」
「………ま…ん……ぼく…………で……なが……わ…………る……」
深刻な面持ちで話しているが上手く聴き取れない
「そ…………はじ……わ……い……よ」
「お……い……す」
女性が青年に手をかざす。そして……………
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「んあ?」
目が覚めた
「………変な夢」
でも、なんだか
懐かしい
・・・・・・・
・・・・・
・・・
永琳side
「じゃあ特訓を始めるわ」
「……………」
返事がない。寝ぼけているのならそれはそれでいいが………心ここに在らずといった感じだ
「………楔ッ!」
「ハイッ!?」
「どうしたの?何かあった?」
「えぇと、いやぁ、別に何にも………」
何にもって、そうはいっても
「そんな顔で納得できないわよ………何があったの?」
「………いや、本当にたいしたことないんだけどさ………変な夢を見たんだ」
「変な…夢?」
「すごく………懐かしい夢……変だよね僕記憶ないのにね」
懐かしいと感じる夢。たとえ忘れたとしても記憶自体は脳が憶えている。ようはそれを思い出せるかだせないか、記憶喪失はその延長上にある………それならその夢は………
「きっと楔の記憶よ」
「………僕の……記憶…」
「覚醒丸の副作用かしらね、脳の奥底にある記憶を夢として見る。効果が効果なら副作用も副作用ね」
楔が何を見たかは分からないけど
「楔」
「何?姉さん」
たとえそれがどんな夢《きおく》だって
「楔はお姉ちゃんの弟よ。今はそれだけでいい。昔のことは少しずつ思い出して整理していけばいいわ………だから、今は前だけを向きなさい」
ひどく希薄に感じた楔を抱きしめる。そうやって今ここに楔が居ることを再認識する
「大丈夫よ。たとえ楔がどんな過去を持ってたとしても、お姉ちゃんは楔の味方よ」
「……………ありがと」
………ここはシリアス、だから我慢
「さ、さっそく特訓始めるわよ」
「どんな特訓なの?」
上手く隠せたかしら
「今日から半年間私と鬼ごっこよ。ただし鬼はずっとお姉ちゃん。楔は逃げてね。ルールは霊力で作った弾に当たったら罰ゲーム。とりあえず十回以上当たったら罰ゲームよ。楔も弾を作って妨害や攻撃してもいいわ。あと最後に、一日が終わるまでに霊力を空にすること」
「………ちなみ罰ゲームは?」
「もちろんヒミツよ………フフ」
おっとダメダメ、シリアスシリアス
「それでは………始め!」
どんな過去があろうと楔は私の………八意 永琳の唯一の家族よ
しばらくテストで投稿できません
またの投稿をお待ちいただけたら嬉しいです
今頃ですが感想頂けたら幸いです