楔side
永琳さんにお世話になってはや一ヶ月、来る日も来る日も家事をしたり新薬の実験台になったり料理したり何か注射されたり………そのうち身体がおかしくなってしまうのではなかろうか?
ここ一ヶ月でわかったことはあまりない。むしろ色々と人として何か失ってしまっている気がする。唯一わかったことは料理がうまかったということです。今では毎食任されています。
「楔、ちょっとこっちに来てくれる?」
「はい、今行きます」
さて、今日も頑張りますか
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「なんですか永琳さん?」
「新薬が出来たのだけどね……」
まさかまた実験台にするつもりだろうか!?二日前にやったばかりなのに………
「名前が決まらないのよ。手伝ってくれる?」
「今日は勘弁してほしいのですが………え?」
実験台じゃない…だと!?
「実験台にするんじゃなくて?」
「そうよ。……というか楔は私の事をどう思っているのか、一度聞いて見たいわね」
「居候という立場を利用して新薬を服用させるマッドサイエンティスト………ハッ!」
「そこで待ってなさい。ちょうど試したい解毒薬があったから毒持ってく「ごめんなさいッ!」………冗談よ」
絶対嘘だ。だって目が笑ってなかったですもん光失ってましたもん!?土下座してなかったどうなっていたか…
「楔、私だって何も考えずに人体実…協力してもらってるわけではないのよ」
今人体実験って言おうとしましたよね永琳さん!?
「あなたの能力が「待ってください」…何?」
「能力ってなんですか?」
「知らなかったの?まぁ簡潔に言うなら個人に宿った不思議な力という解釈でいいわ。ちなみ私は『あらゆる薬を作る程度の能力』をもっているわ」
「どおりですぐに新薬ができるわけですね…で、僕にも能力があるのですか?」
そんな力見た覚えも使った覚えもないのですが……
「あるわよ。おそらくだけど楔の能力は『自己再生する程度の能力』、まだそうと決まったわけじゃないけど現状を見るとこれが一番しっくりくるわね」
「『自己再生する程度の能力』ですか…」
「そうゆうことだから楔が人体…実験でどうにかなることはないわ。そうなる前に治るからね」
遂に人体実験って言っちゃいましたよ。
「で、本題に入るけど名前何にしようかしら?二つ候補をあげているのだけど……」
「まず何の薬なんですか」
「妖怪の内臓を使って作った、自分に眠っている力を少しだけ覚醒させる薬よ」
なんかさらっとすごいことを言ってますけど、気にしたら負けですね。
「調合が難し過ぎてもう作れないわね。ちなみにこれがその薬よ」
永琳さんに手渡された小瓶には大きめな丸い物が入っていました。
「それで候補の名前はなんなんですか永琳さん?」
「一つ目の候補は、効果をそのまま名前にして覚醒ざ「アウトッッ!?」いきなり何言ってんのよ」
「いや…なんか口が勝手に。と、とにかくその名前はダメ、ゼッタイです!」
無性に危険だと本能がいっている。
「それじゃあ名前は決まったわ……名付けて正露が「それもアウトッッ!!」もうなんなの!?」
「あの、いや本能的にダメだと」
さっきとは違う意味で危険だと告げている。
「ならどんな名前がいいのよ」
少し怒り気味な永琳さん。ヤバイ早くなんとかしないと……
「じ、じゃあ覚醒丸なんてどうですか、効果も分かり易いし見た目もわかるし………」
「楔………」
あっ、ミスりましたかね
「いい案じゃない気に入ったわ」
た、たすかったぁ
「それでは覚醒丸お返ししまッ!?」
手が滑り小瓶が宙を舞う周囲がスローモーションになった景色の中をゆっくりと落ちていく小瓶は、カウントダウンをしているように見えた。
バリンッ
………やってしまった
「ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!」
とりあえず謝らないと今日二度目の土下座をしてすぐに片付けようと小瓶の破片に手を伸ばした
「何をあやまっているのよ。覚醒丸は無事じゃない」
「え?」
伸ばしていた手の方を見る。そこにはさっきと変わらない覚醒丸の姿が
「…気のせい?」
割れる音が聞こえた気がしたのに
「名前も決まったしお腹が減ってきたわ。お昼にしましょ」
「…わかりました」
なんともいえない疑問を感じるが……気のせいだったのでしょう
永琳side
楔は今お昼ご飯を作っていてここには居ない。覚醒丸の小瓶には落ちたというのに傷ひとつついてない。”割れた”はずなのに……
「どうやら見当違いをしていたようね、私は…」
小瓶は割れて…”戻った”
薬の副作用は出た次の瞬間には飲む前と同じ状態まで”戻っていた”
折れた肋骨はまるで折れてはなかったかのように元に”戻った”
つまり、そういうこと
「『あらゆる物を戻す程度の能力』」
それが彼、楔の能力。
人が使うには、とても危うい能力。
あれ?気づいたらえーりんが鬼畜に…楔君頑張れ