楔side
「それじゃあ今から適性検査を始めるわよ」
「オッス」
「楔に合うものを今後鍛えてくことになるからそのつもりで全力を尽くしなさい」
「オッス」
「………そのオッスっていうのわ何かしら?」
「いや、なんか雰囲気出るかなって」
本来は昨日やるはずだった適性検査だが、姉さんの暴走を戻そうとした結果気絶してそのままだったのでその続きを今日やることになった
「最初は無手から始めるわよ。始めに言っておくけど手加減はしないほうが身のためよ」
「そんなことわかってるよ」
無手。武器を持たず己の身体のみで敵を制す原初の術。相手の呼吸を読み、合わせ、外し、時には乱して戦う。利点としては小回りが効くが、攻撃範囲が狭いのが欠点………だったっけ。
検査は試合形式。姉さんを相手に素人同然の僕が挑むなんて無謀だが………やるからには勝ちたいよね、男なんだから
「どこからでも来なさい楔、先手は譲るわよ」
姉さんは特に構えてはいない
「構えないなんて余裕だね」
「そう?構えない方が結構隙がなかったりするのよ」
「そうなの?じゃあお言葉に甘えて………ハッ!」
距離を一気に詰めて拳を放つ………が簡単にいなされてしまった
「ためらいなく手加減しないできたわね、一応お姉ちゃんなんだから少しはためらって欲しかったわ。グスン」
「姉さんがッ、言ったんじゃないかッ、手加減しない方が身のためだッ、って!」
「…まぁ、そうなんだけどね」
そんなことを言いつつも何度も拳を突き出し蹴りを繰り出しているが最小限の動きで全て避けられてしまう
「何でッ、当たんッ、ないのッ!」
「呼吸が読みやすいのよ。攻撃するタイミングが丸わかりよ。正直なのは良いことだけど、フェイントとか牽制もいれていかないと当たるものも当たらないわよ………こんな風に」
姉さん腕が動く。避けることはできなさそうだ。だったら防ぐッ!?
「下がガラ空きよ」
突然身体が浮遊感に襲われ、次の瞬間には衝撃が襲った
「ガハッ!?」
………何が起こったかわからなかった
「何って普通に足払いだけど」
「そんな単純なことがわからなかったなんて…」
「これがフェイント、お姉ちゃんの腕に注意が集まってたからわかんなくてもしょうがないわ………でも、そんなことは今だけよ。ちゃんと鍛えるからには引っかからないようにするから。それで、まだやる?」
「当然!!」
せめて一回当てる
「そのいきよ……………あぁ、頑張ってる楔可愛いわ………」
その後一撃も入れられずに体力切れで終了した。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「体力って能力で戻せないのかしら?」
休憩中に姉さんがそんなことを言ってきた
「戻す能力なら体力も戻せないかしら。霊力も戻れるとしたら規模が小さいとはいえ半永久的に燃料切れなんて起きないわよ」
言われてみれば確かに
「それじゃあちょっとやってみるよ」
意識を集中させ、体力が戻るように能力を発動させる
「………どう?」
「……逆に少し体力持ってかれた」
どうやらズルはいけないようである
「そう、それは残念。そんな楔に悪いけど、次いける?」
「大丈夫、やれる」
結構休んだ後だったし
「じゃあ次はこれね」
そういって渡されたのは木刀だった………少し重くはなかろうか
「見た目は木刀だけど中身は金属だからよ」
そうか、それは
「当たったら痛そうだな」
姉さんの持っている木刀に目をやる
「これはちゃんとした木刀よ。しかも普通よりも軽い」
………折れないだろうか
「初心者との打ち合いで折れるほどやわじゃないわよ………それじゃあ今度も先手はあげるから来なさい」
「………行くよ」
心を静めて木刀を………振る!
ズルッ ズガンッ
はて?手が軽い、まるで何も持っていないような………
「楔………あれ」
姉さんが天井を指差している。天井に何があるのだろう
「あれ?木刀があんなところに刺さってる」
なんで?
「…………ちょっとこっちの木刀で素振りしてみなさい」
姉さんが軽い木刀を僕に渡しながらそんなことを言ってきた。打ち合いは?
「まぁ、いいけど」
さっきと同じように心を静めて………振る!!
ズルッ カランカカラン
「………あれれぇ?」
またしても手の中から木刀がなくなっていた。思わず首を傾げた僕は正しいと思う
「もう一回「もういいわ次よ次!」え?もういいの?」
「ええ、もういいから次に行くわよ」
「………わかった」
それにしてもなんで木刀は逃げてしまうのだろう。不思議だ。
「自分で気づいてないのね…………………でも、わからなくて不思議がってる楔可愛い」ハァハァ
姉さんが何か言いながら鼻を押さえてるけど………ま、いっか
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「次は槍よ。はい木槍」
「あ、ありがと姉さん」
よし。気合いを入れてがんばろう
「今回は一応突きの練習してからやりましょうか、一応」
「わかった」
木槍を構えて腕を大きく引く。気持ちを落ち着かせてから………突き出す!
ズルッ ズボッ
「………次………行きましょうか」
「?」
気づいたら木槍は僕の手の中から逃げて道場の壁に突き刺さっていた
姉さんはなんだが頭を抱えてたけど………何かあった?
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「道場だけじゃなく弓道場まであるなんて、やっぱりすごいなこの家」
「お姉ちゃん弓を使うから道場よりも昔からあるのよ、ここ」
それにしては綺麗な気がする
「家の掃除は基本よ。楔にはここの掃除はやらせてなかったけどね」
基本生活スペースだけだったからね
「いい?あの的に当てるのよ。あの的だからね!」
「わ、わかってるよ」
鬼気迫る勢いで言われた。そんなの当たり前なのに、変な姉さん
「弓は、弓だけは普通にできてッ!姉弟でお揃いの弓を引く夢を叶えさせてッ!!」
姉さんが何か言いながら祈っているのが視界の隅で見れたが、すぐに見れなくなった。今見えるのはあの的だけ。聞こえるのは風の音と自分の心臓の音だけ。極限の集中の中、引き絞った矢から伸びる直線に近い放物線が、的の中央に刺さっているのが見えた気がして…………指を離した
ザクッ
「ッ!?」
矢は放物線と全く同じ道を通って的の中央に突き刺さっていた
「…………はあぁぁぁぁ」
集中が切れて長く息を吐く。呼吸止まってた。姉さんにどうだったか聞こうと振り向くと
「楔ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「ガフッ!?」
思っ切り体当たりしながら抱きつかれた
「お姉ちゃん信じてた、楔はやればできる子って信じてたわ!!」
「わ、わかったから離れて苦しいよ」
と、言っても離してもらえず一時間ほどこの状態だった………
・・・・・・・
・・・・・
・・・
永琳side
正直驚いたわ。剣と槍はからっきしだったけど、弓は私ほどじゃないけどそこら辺にいる達人達と同じレベルだった。
………きっと剣と槍の才能を食ったのね、絶対
あのまま弓もダメだったらどうしようかと思ってたけど本当によかったわ。そうだ、明日早速私と同じ弓を作って楔にあげよう。喜んでくれるかしら?
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「楔には今後無手での闘い方と弓を教えていくわ。と言っても弓に関してはあまり教えることがないから無手での闘い方を中心に教えていくことになると思うけど」
「姉さん剣術と槍術は「忘れなさい」………わかったよ」
上手くできたと思ったんだけどな。と、楔は呟いているがあれは教えても時間の無駄になること間違いなしだから………ごめんね楔
「でもその前にやってもらう事があるわ」
「やってもらう事?」
身体を動かす上での基本の基本
「それは………体力作りよ!」
「なんか普通だね」
「あたりまえよ。最初は誰でもこれからよ。楔の場合能力の燃料でもあるんだからなおさらやらないと。三ヶ月間これを飲んで体力作りしてもらうわ」
「………姉さん、これは?」
これは八意印の自信作
「倍薬よ。これを飲んでから十二時間の間に身体を鍛えると倍の効果が得られるわ」
「………どうせ副作用とかあるんでしょ」
「そ、そんなことないわよ。うん、ないない」
一回や二回のんだくらいじゃ、ね
「………まぁ、姉さんがそう言うなら」
我が弟が純粋すぎて心が少し痛い………でも効果があるのは本当だし
「明日から頑張りなさい」
百回くらい飲まないと副作用出ないしだいじょうぶよね
気づいたら3000文字越え
新記録だやった〜