────『鬼』 それは鬼舞辻無惨を祖とする人喰いの怪物であり、日光や鬼狩りの使う特殊な刀意外では殺せない上に、異常な身体能力をもつ化物である。
そして、目の前に鬼がいる。
(……は?)
気持ち悪いほどにギョロついた目、涎が垂れまくっているだらしない口、そして頭から角が生えている。
(…………は???)
漫画でみたことがありそうな顔である。
(はあああああああああ──っ!!??)
ちびったかもしれん。
鬼である。自分はこの目の前の存在を知っている。
いや、そんなことを考えている場合ではない。逃げなければッ!!
全力疾走で後ろ向きで逃げる。逃げる最中に色々と疑問が出てくるがとにかく逃げる。
(なぜまだ捕まってないんだ?)
走っている最中そんなことことを考える。鬼の身体能力は人間の遥か上であり、俺が逃げれている道理はないはずである。それに……
(目線の位置が低い?)
おかしい。自分は18歳だが、10歳ぐらいの目線の高さになっている。
ふと、後ろを見れば、鬼が焦ったような顔をしている。
(鬼の足が遅い?)
違う。俺が速い―っ!?
躓いて地面を転がっていく。相当な速さで走っているいたのか2、3メートルほど転がった。
まずい。追い付かれる-っ!?
反射的に身を翻すと―自分がいた場所に鋭利な爪が突き刺さっていた。
(っっっぶねぇ!!)
「随分と活きのいいガキじゃねぇか。少し焦ったが、もう逃がさねぇぞ?」
まずい。この距離では逃げられない。
鬼の鋭利な爪が俺の顔に振り下ろされ──鬼の腕が宙を舞った。
それと同時に稲妻のようなものが目の前を走り──鬼の首が宙を舞っていた。
思考が追い付かない。何が起きた?
「大丈夫か? 小僧」
小さいじいさんだと思った──って桑島さん!?
なぜ漫画のキャラがここに? 何がなんだかわからない。体が重い……意識を保てそうにない。
「……りがと…ござ…す…」
とりあえずお礼を言おうと思ったがちゃんと言えていただろうか?
目が覚め、体を起こす。
(見たことのない場所だ…)
立ち上がろうとして――足に激痛が走った。
(痛すぎる…)
まともに足を動かせそうにない。どうしようかと悩んでいると―
「やっと起きたか」
桑島さんがいた。
あの桑島さんである。元鳴柱であり、善逸と獪岳の師匠の桑島さんである。改めて考えると意味がわからない。
あの鬼だってそうだ。あんなの漫画の中の存在だ――
(鬼滅の刃ぁ!!??)
どうやら鬼滅の刃の世界に来てしまっているようだ。