叡王のお仕事(泣)   作:たなぽ

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りゅうおうのおしごと好き

勘違いもの好き


続くかは皆さん次第

ではどうぞ


プロローグ
新星 東条 晶


「参りました…」

 

 

「対局ありがとうございました」

 

 

「「「おぉ!」」」

 

 

 

周囲にざわめきが起こる。

 

 

叡王戦

 

トーナメントを勝ち抜いて決勝に残った2人で7番勝負を行い先に4勝した方が叡王のタイトルを掴む。

片方は3期のタイトル保持者。誰からも高く評価されている棋士だ。そしてもう一方はプロ入りわずか1年の新人、誰もが負けるであろうと予想していた。しかし、

 

 

「凄い…これでプロ入り30連勝だぞ!」

 

 

「まさかほんとに無敗で叡王のタイトルを獲得してしまうとは」

 

 

皆の予想を覆し、まさかの挑戦者の4連勝でのストレート勝ち。圧倒的な勝利だった。

新叡王の周りに記者たちが集まる。

 

 

「おめでとうございます東条新叡王。この叡王戦でのタイトル保持者との戦いはいかがでしたか?」

 

 

「はい。接戦でした。ひとつ間違えれば負けていたのは僕の方でした」

 

 

「そう謙遜せずに。とにかくおめでとうございます」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

さほど喜ぶわけでもなく新叡王はそういうと会場を後にし、控え室に戻って行った。

興奮冷めやまぬ会場では、

 

 

「いやぁ、しかしすげえな東条 晶 新叡王は」

 

 

1人が言うとそれに同調するように周りの人が東条を褒め始めた

 

 

「竜王とは大違いじゃねぇか。しかも勝ったことを驕りもせずに謙虚と来た」

 

 

「それにあのルックスだ。女子のファンも多いらしいじゃねぇか」

 

 

「はー、うらやましいねぇ。まぁでもあの戦いを見ちゃうとねぇ。納得せざるを得ないというか」

 

 

「男でも惚れちゃったりしてな。あんなに速く指せるものなのか?」

 

 

 

彼の将棋は他のどの棋士とも違う。彼は絶対に10秒以上考えないのだ。普通は指す前に何手も先を読むものなのだ。

どんな棋士でも10秒以内で指すことなどありえない。ましてや10秒以内で先を何手も読めるものなどいないであろう。

 

 

 

「普通は無理だろ。でも対局を見ればわかるが叡王の何手も先を読んでいた」

 

 

 

「頭の中どんなこと考えてんだろうな。でもそれができるからこそ´´刹那´´なんて呼ばれてんじゃねぇのか?」

 

 

 

東条 晶

1年前突如現れた新星。異常なまでの速い指しから付いた名前は´´刹那´´

無敗で1年間を終え、ついには叡王のタイトルをも獲得したまさしく天才。

 

 

 

その天才と呼ばれる男は

 

 

「なんで勝っちゃってんだよ!おかしいだろ!てか何叡王も深読みしてんだよ!あんなん適当に指してるだけだっての!普通に負けて引退させてくれよ!」

 

 

 

 

控え室で悶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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どうも東条 晶です。

 

この度叡王になりました。

 

 

いや嬉しくねぇよ!?

 

 

 

全部適当に指してるだけだもん。てかなんで僕プロになって叡王戦なんてやってんの!?

 

 

小学生の時に駄菓子屋にあった将棋ゲームがきっかけで始めた将棋だったのに、たまたま興味本位で中学1年生で出た試合でたまたま優勝して、それがたまたま続いて気づいたら何故かプロ入りをしてた。

 

 

 

まず将棋のルールも遊びの範囲でしか知らなかった僕はプロ入り後もどうにでもなれと投げやりに目に入った駒を目に入ったマスに指していた。

 

それなのに僕の対局相手と来たら変に深読みをして勝手に降参するし、いつの間にか

 

 

「東条は相手の指す未来が見えている」

 

とか

 

「東条は打ち始めた時点で勝敗が分かる」

 

 

 

とかおかしなくらいに持ち上げられていた。

 

 

 

いやほんとに何言ってんのみんな。どこに打てばいいか分からないから適当にバンバン動かしてるだけだからね?

 

 

叡王戦だってそうだった。適当に動かしていただけなのに30手目位でいきなり叡王が、

 

 

「これほどまでか…」

 

 

とか意味わからない発言言いながらものすごい時間を使って考えてたし。

 

 

ごめんなさい、その駒目に入って1つ前に動かしただけです!その意味マジ無いです(泣)

 

 

 

とまぁ色々あり新叡王なんかになってしまった訳だが、ほんとにこれからどうしよう。

負けたら引退しようと思ってたのにこんなに持ち上げられたら無理じゃん!これからもっと強い人と当たるとか嫌なんだけど!

まぁ誰が強いとかも分からないけど。

 

 

ほんとどうしよう…

 

 

 

落ち込んだ気分で控え室を出ると多くのファンが待っていた。

 

 

 

「「「キャー!東条叡王よ!」」」

 

 

 

「握手してください!」

 

 

「私はサインを!」

 

 

「横入りしないでよ!私はずっと待ってたのよ!」

 

 

「ぽっと出達が調子乗らないで!私はプロ入り前から追っかけてたんだからね!」

 

 

 

いや、ファンでいてくれるのはありがたいんだけど……なんでこんな女子多いの!?

僕コミュ障だから話せないんだけど!

 

 

ここEX〇LEの事務所じゃないからね!?

 

 

とりあえず感謝だけは伝えないとと思い笑顔を作りながら

 

 

 

「皆さん、応援してくれてほんとにありがとうございます」

 

 

 

「「「「はぅぅ…」」」」

 

 

 

ファンの方が倒れました。そんなに気持ち悪かったですか!?キモイならほんとにもうファン辞めていいよ!

 

 

 

「で、では失礼します」

 

 

 

涙を何とか堪えてその場を後にする。

タクシーに乗り家に帰った。

なんか今日はいつもより疲れたかも。

 

 

「はぁ。」

 

 

プロ棋士やめたい(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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