受験終わったから短いけど少しずつ投稿してくね
「ドラゲキンよ、お前の命も今宵までだ!」
「いや何言ってるかさっぱりわからないけど…」
歩夢との今日の対局、もちろん今日だけではなく、勝つつもりで毎回臨んでいる。
「歩夢、俺も本気で勝ちに行くぞ」
だけど今日は絶対に負けられない。
何としてでも勝たなければならない。
そして竜王である俺は、誰に見られても恥ずかしくない将棋を指さなければならない。
ましてや今日は
「… 」
東条 晶が見ているのだから。
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「お師匠!頑張ってください!」
「ありがとうあい。絶対勝ってみせるよ」
会場に入る前、あいを将棋道場まで送り、最後の声援をもらい、控え室に行こうとした時のこと
「お師匠様、会場はどこなの?」
「もう少しだ…あ」
偶然にも東条に出くわした。
テレビで何度も見ているが、直接会うのはこれが初めてだ。
同年代最強との対面に僅かに驚くも、すぐに気持ちを落ち着かせ、こちらから声をかけた。
「東条 晶だよな?俺は…」
「九頭竜 八一竜王ですよね?テレビや新聞でずっと拝見させて頂いてましたよ」
当然といえば当然なのかもしれないが、俺の名前を知ってもらえていたことが嬉しく感じてしまった。
「八一でいいよ。同年代なんだからもっと楽に話してくれ。こっちも晶って呼んでいいか?」
「もちろんいいで…いいよ。よろしく八一くん」
晶の印象はテレビやネットの評判で聞くよりもずっとフレンドリーだった。
「ところで晶はなんでこんな所に?」
「ああ、今日の八一くんと神鍋くんの対局を見に来たんだ。それとどうして八一くんはこんな所に?控え室は向こうだろ?」
「今、弟子を道場へ送ってきたんだ」
すると晶は驚いた表情をして、
「まさか八一くんも弟子を取っていたのか。」
「俺も?ってことはその隣にいる子は」
「ああ、僕も弟子を取ったんだ」
何故か晶はちょっと気まずそうに答えた。
「そうか、対局が終わったら俺の弟子とも会ってやってくれないか?」
「もちろんだ 」
その後も少し話をしていると時間が来てしまった。
「すまない、そろそろ準備しないといけないから俺は行くよ」
「そうか、では後で。健闘を祈るよ」
「ありがとう」
そう言って俺たちは別れた。
ファーストコンタクトとしてはとてもいいもので終わっただろう。
もしこのまま別れていたのならば。
「ねぇ、お師匠様、神鍋六段と九頭竜王は2人ともお師匠様の同期なんでしょ?やっぱりライバル意識とかあるの?」
「ライバル意識か…
…特にないな」
晶が放った一言に、俺は振り向いた。
俺の反応に気がついてないのか晶はそのまま歩いていってしまった。
晶が去ったあとも先程の言葉が頭の中でリピートされる。
「はは、眼中にもねぇってか 」
掠れた声で笑ってしまう。
「こっちは腐っても竜王だぞ…見とけよ、今日の対局で俺がお前と戦えるってとこ見せてやるからな」
見とけよ叡王
俺の燃えていた闘志がよりいっそう強くなった。
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いや〜。八一くんと初めて話したけどめっちゃフレンドリーだったし!同期と話せて満足満足!
弟子のこと聞かれた時はちょっと戸惑ったけど。
(え、晶が弟子とか、ちゃんと育てられるのかよ笑)
とか思われてたら死ねるし。
「ねぇ、お師匠様、神鍋六段と九頭竜王は2人ともお師匠様の同期でしょ?ライバル意識とかあるの?」
八一くんと別れたすぐ、澪ちゃんが僕にこんなことを聞いてきた。
ライバル意識ねぇ…うん、普通に考えて負けるビジョンしか浮かばない。
「ライバル意識か…
…特にないな(僕が雑魚すぎるからね!)」
「ふ〜ん。でさ、さっき九頭竜王に弟子がいるって言ってたでしょ」
「言っていたね。八一くんが選んだ弟子だ、相当実力があるんじゃないかな、男の子かな、女の子かな?楽しみだなぁ。早く会ってみたいよね」
ピクッ
男の子かな?女の子かな?さすがに年上はないよね…
そんな変なことを想像をしていると、
「九頭竜王の弟子も道場にいるって言ってたよね?ちょっと私、道場行ってくる。お師匠様は1人で対局見てて」
突然澪ちゃんが道場に行くと言い出したのだ。
「え?ちょっと、どうしたの急に?澪ちゃんが来たいって…」
「自分で考えてみれば!お師匠様のバカ!」
そう言って何故か頬を膨らました澪ちゃんは【道場はこちらから】という看板の方へ1人で歩いていってしまった。
解せぬ。
「澪ちゃんなんで急に怒ったんだろう?はぁ、よく分からないけど、とりあえず後で謝るとして、まぁしょうがないから1人で対局見に行くか…」
そう呟いて、僕は会場へと歩みを進めた。
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