叡王のお仕事(泣)   作:たなぽ

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勉強やらなくていいって幸せ(*´∇`*)


歩夢VS八一!(前半戦)
あいちゃんと澪ちゃんの初対面!の巻


それぞれの対局

「ゆくぞ!ドラゲキンよ!」

 

 

(1-5香!出た!歩夢の新しい戦術!)

 

 

「神鍋六段注目の次の手は1-5香車」

 

 

チラリと横に設置されているカメラを見る。

 

今日の対局はネットで生中継され、もちろん新聞などにも載る。そして、

 

 

 

「やはり気になるようだなドラゲキンよ」

 

 

「ッ!ぁあ。そうかもしれない」

 

 

こちらを表情を変えず、じっと見つめたままの晶。その瞳に何が見えているのかは俺にはわからない。

 

 

(このままだらだら打ち続けることは出来る。

だが俺は竜王であり、タイトル保持者の責任がある。それに、晶の前で、同じ土俵に上がりたい相手の前でそんなことはしたくない。)

 

 

(会心の一手は何かないのか!考えろ、考えろ!)

 

 

「ここだ!」

 

 

バシッ

 

 

 

ビクッ!

 

 

見ていた晶の体が少し動いた。

 

 

(攻め込んできた香車は放置、別の手を攻める!)

 

 

「どうだ歩夢!」

 

 

「そう来たかい。ふぅ、それにしてもこの紅茶は美味しいな、故郷を思い出すようだよ」

 

 

「何が故郷を思い出すだ。実家は下町の豆腐屋だろうが」

 

 

俺の一手を最後にお昼休憩に入った。

 

終わってすぐに俺は晶の元に行った。

 

 

「晶、まだ途中だけど俺の将棋はどうだった?」

 

 

そう尋ねると、晶は少し考えて、

 

 

「そうだな…最後の一手。あれは良かったと思う」

 

 

 

(最後だけはか…)

 

 

その言葉に少しがっかりしながらも、対局を見てくれている感謝を伝えた。

 

 

「そうか、ありがとう。午後も見てってくれよ」

 

 

「もちろんだとも」

 

 

「そうか」

 

 

 

「失礼します。九頭龍竜王、お昼はどうしますか?」

 

 

話を終えると役員の人がお昼のメニューを聞いてきた。

 

 

「あっはい…すいません。お昼は大丈夫です」

 

 

「なっ!我とは昼食は取らないのかい!?」

 

 

「すまない歩夢。弟子が道場にいるんだ」

 

 

「そうか。ならばしょうがない」

 

 

「じゃあ後で」

 

 

「ああ…それとドラゲキンよ、あまり周りの目にとらわれるではないぞ!」

 

 

「…どういう事だ?」

 

 

「ヒントはここまでだ、あとは自分で考えたまえ」

 

 

そう言って歩夢は対局場を出ていった。

 

 

(周りの目に囚われるな、か)

 

 

歩夢の言葉の意味を考えながら、あいを迎えに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「こう、こう、こう………こうです!」

 

 

「うわぁ〜…まけましたぁ」

 

 

「「「ぉお!」」」

 

 

「あいちゃん強いね!」

 

 

「かっこよかったです!」

 

 

「えへん!師匠のおかげです!」

 

 

(そろそろお師匠が来る時間です!あと一局で終わりましょう!)

 

 

「ねぇ、ちょっといい?」

 

 

「あ、はい!大丈夫です!」

 

 

対局が終わってすぐに、綺麗な青髪のあいと同じぐらいの女の子が話しかけてきました。

 

 

「あなたが、九頭竜王の弟子?」

 

 

「はい!弟子の雛鶴あいです!」

 

 

「ふーん。澪は長谷川 澪。突然だけど澪と対局してくれない?」

 

 

「はい!あいも最後の対局相手をさがしてました!」

 

 

「そう、準備が出来たら始めましょうか」

 

 

「分かりました!」

 

 

「…負けないから((ボソッ」

 

 

この対局が、あいが澪ちゃんをライバルと思うようになるきっかけになるなんてこの時は思っても見ませんでした。

 

 

 

 

 

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「お師匠ー!!」

 

 

 

お師匠が道場に入ってきたのを見るとすぐに愛はお腹に突撃しました

 

 

「わわ!どうしたんだあい!」

 

 

お師匠がとても驚いた顔をしました

 

 

 

 

 

 

 

 

「こう、こう、こう、こう!」

 

 

バシッ!

 

 

「あんた、なかなか強いじゃん」

 

 

バシッ!

 

 

「でも、まぁ初心者にしては、だけどね」

 

 

 

「こう、こう、こう…ッ!」

 

 

 

「どう?」

 

 

「………参りました」

 

 

「あいちゃん負けちゃった!」

 

 

「あの子すごいね!」

 

 

この日初めて、あい同じ年くらいの女の子に負けました。

 

なんだかとても悔しかったです。

 

 

「悔しかったらもっと練習しなさい。それとあなたは強くなりたいの?」

 

 

澪ちゃんがこちらを見て問いかけてきました。

 

 

「それは、もちろんです!」

 

 

「そのくらいの気持ちではダメよ。あなたは竜王の弟子。弟子の評価がそのまま師匠の評価に繋がるわ。そんな生半可な気持ちじゃあ師匠の世界なんて一生見れないわよ」

 

 

「…あなたもお師匠がいるのですか?」

 

 

 

「言い忘れていたわね。澪のお師匠様は東条 晶。歴代最強の叡王よ。だから澪は本気で頑張るの。いつか絶対にお師匠様の世界に行けるようにね」

 

 

すごい

 

その気持ちしかなかった。愛も相当の覚悟ででしいりをしたつもりでした。でも澪ちゃんは私と年が近いはずなのに、ここまでの覚悟を持ってやってるなんて。

 

 

「あいもお師匠の世界までいけると思いますか?」

 

 

「行けるかではなくて、行くのよ。成長して、また戦いましょ」

 

 

「澪ちゃん!絶対に次は負けません!!」

 

 

「せいぜい精進しなさい」

 

 

そう言って澪ちゃんは道場を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

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「お師匠!あいはもっともっと強くなりたいです!」

 

 

「それはいい事だが何かあったのかい?」

 

 

「はい!あいは今日初めて同じ年くらいの子に負けました。手も足も出ませんでした。だからもっと強くなって!その子にリベンジしたいのです!」

 

 

「そうか。頑張ろうな、あい」

 

 

「はい!そして自信を持ってお師匠の弟子を名乗れるようになりたいです!」

 

 

「あい…ありがとう」

 

 

「だからお師匠、お師匠も自分の好きな将棋を指せばいいんですよ?最近のお師匠はなんか周りばかり見ていた気がします。どんな将棋でもいいんです。だってあいにとっての最強はお師匠なんですから!」

 

 

 

(歩夢、お前が言っていたことがようやく分かったよ)

 

 

「あい!午後は俺の将棋を見ておいてくれ!」

 

 

「はい!お師匠期待してます!!!」

 

 

見とけ歩夢、そして晶、こっからの俺の将棋を

 

 

 

 

 

 

 

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いや〜、八一くんに感想聞かれた時はびっくりしたよ!なんせ途中から眠くなってきちゃってぼーっとしていたから。

最後の一手を指す音で目が覚めてよかったよほんと。だから感想も何も最後のことしか言えなかったんだけども。

 

 

 

そんなことを考えていると道場に行く途中に澪ちゃんがいた。

 

 

「澪ちゃん。道場どうだった?」

 

 

「負けなかったよ」

 

 

「本当かい!さすがだよ澪ちゃん!」

 

 

いやぁ、凄いな澪ちゃん!将来有望だなぁ!

 

 

早いとこ僕をボコボコにして欲しいよ。

 

 

 

ピタッ

 

 

澪ちゃんが僕の近くに来た

 

 

「ん?どうしたの澪ちゃん?」

 

 

「澪、勝った。だから、頭撫でて欲しい」

 

 

「もちろんいいとも」

 

 

よしよし

 

ナデナデ

 

 

「そのまま」

 

 

澪ちゃんの気が済むまで、僕は頭を撫で続けるのだった。

 




あいちゃんは澪ちゃんをライバル認定


澪ちゃんはツンデレ、そして頭なでなでを頼む澪ちゃん可愛い


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