ザワザワと周りがこちらに聞こえないような声でこちらの話をしているように思える今の状況が彩子にはとても居心地が悪い。それを察している陸乃もなにか言いたげだが先程彩子から「勘違いだよ」と静止を行われたため深くは踏み込まずに彩子と話をしている。
ちなみに光蛇と焔の2人は早くも友達を見つけたのか他のクラスメイト3人とグループを作り5人組で話をしていたりする。
話は戻し、彩子が教室内で肩身を狭くしている理由は単純であり先週の〈防衛者学〉、最初での授業で龍力の中でも固有の龍力の発揮での失敗をしてしまったところにある。
「はぁ、私ちゃんとやっていけるか最初から不安だったけど……」
「まぁ、最初からうまくできる人なんてそういないわ」
「それでも、だよ。みんなができている事を私だけできないって言われると焦るというかなんというか」
「彩子さん?そういう焦りは遠回りの元よ?分かっているでしょう?通例として」
「えーっと身体能力や感覚なんかが上がる通常龍力は体の成長状態に、ブレスや飛行なんかの宿した龍力のモンスター独自の能力を使う固有龍力は精神の成長状態によって最大値が左右されるんだったっけ?」
「そのとおりよ。だから焦りや不安は精神の成長を妨げる要因になるから遠回りにしかならないわよ?それにそもそもそういう焦りは元々の龍力のパフォーマンスも下げるものだしね」
「あはは、うん…そうだよね……」
「……まっ、それはそうと今日の防衛者学は彩子さんにも頑張ってもらうことになるわよ?」
「へっ?今日の防衛者学ってなんだったっけ?」
「もう、今日の防衛者学は……」
・・・・・
彩子達1年生達は学園から離れて30分ほどの場所、学園から市街地を挟んで位置している学園の私有地である小さな山に来ていた。
「本日の防衛者学は学園でも言ったとおり月に1度の実地訓練を行う」
「あぅ、まさかこんなタイミングで実地訓練が来るなんて」
「彩子さん?先生ににらまれてますからそこらへんで止めましょう?」
コホンと教師が咳払いをした後言葉を続ける。
「…数人実地訓練を行うことに不満もあるようだがこれもある意味通過儀礼だ、存分に恥をかいて成長してこい。……と言っても今日は初回だ、まずはこの山になれるところから始める。今日は2人一組でペアを作りチーム戦の鬼ごっこを行う」
「2人一組……」
恐らくペアに関しては陸乃か最悪光蛇に無理を言えば組めるだろう。しかし自分が足を引っ張るのは目に見えている。
(ここは仮病でも何でも使って…)
「彩子さん?」
「陸乃ちゃん?えっと、その~あの~」
「……あぁ、もし仮病を使って休もうなんて考えて無ければよろしければ私と組みませんか?恥ずかしながら友人とよべるほど仲が良い相手が焔と彩子さんしかいないので…」
「うっ、えっと、その~」
「駄目ですか?」
えも言われぬ圧が彩子にかかり、彩子はなすすべもなく首を縦に振ってしまう。
「…ふぅ、荒療治がすぎましたでしょうか?」
「陸乃ちゃん何か言った?」
「いいえ、さて特に成績に関係ないとは言え授業は授業。狙うなら最長逃走を狙いましょう?」
「っ…う、うん」
「(……まぁあまり追い詰めてもしょうが無いか)さてそれじゃあ彩子さん行きましょう?」
「う、うん!」
そんな会話をしつつ2人は山の中に入っていった。
・・・・・
「はぁはぁ…陸乃ちゃん?……大丈夫?」
「はぁはぁ…大…丈夫よ……体力以外は」
開始から10分、運悪く鬼から最初に見つかり集中的に狙われていた彩子と陸乃の2人はなんとか鬼のペアを振り切り、茂みに隠れているが既に2人の死に体ができあがっていた。
「はぁ、はぁ…ふぅ、陸乃ちゃんとりあえずこの後どうする?」
「はぁ、はぁ…ま…待って…少し休ませて」
「あっ、うん。陸乃ちゃんって今まで運動とかは?」
「授業の時にしか、そういう彩子さんはスタミナあるのね」
「まぁ、中学の頃歌手を目指して走る習慣付けてたから…それが抜けなくてね」
「そう……本当に…歌うのが好きなのね……ふぅなんとか息が整ってきたわ」
「…今はそんなでも無いけどね」
「あら、好きでもないのに走る習慣だけは続けているのかしら?」
「っ、陸乃ちゃんに何が分かるって言うの!」
「…そうね私達はまだ出会って1ヶ月ほどしか経っていない仲ですものね、分かっていないこともあるわ。でもこれだけは言えるあなたはきっと今でも好きなはずよ」
「なんでそんなことが言えるって言うの!私は」
「これは私の主観でしか無いのだけど。だって純粋に歌の話をしている時の彩子さん、すごく嬉しそうな顔をしているんですもの」
「嬉し…そう?」
「えぇ」
嬉しそうにしていただろうか?いやしていなかったはずだ。歌の話にはあの最悪の日の記憶がまとわりついてくる。断じて楽しそうになんか!
そんなことを考えていた時だった。かすかに人ならざるものの声が聞こえたのは
「ねぇ、陸乃ちゃん。今…何か聞こえなかった?」
「え?何も聞こえませんでしたが…何か聞こえたのですか?」
「う、うん。で、でももしかしたら私の勘違いかも!ほら私はただの一般人だし。きっと風の音を聞き違えただけだよ。だから気にしないで」
「……いえ万が一と言うことがあります。行くだけ行ってみましょう」
「えぇ?万が一って何?」
「そうですね、最悪はモンスターに同級生が襲われている…でしょうか?」
「っ……分かった、でも1人じゃもしものことに反応できないだろうし、1人でいるの心細いから私も行く」
「分かったわ」
こうして2人は彩子の耳を頼りに移動するのだった。
「っ!」
「彩子さんあれって」
そこにいたのはボロボロのクラスメイト2人と、
「あれは【アオアシラ】!?」
別名『青熊獣』と呼ばれている大柄で別名のごとく青色の熊の姿のモンスター、アオアシラがいた。
「まさかあの2人モンスターにやられたの!?」
「……どちらにせよあの2人がピンチなのであれば助けなければ」
「ど、どうやって!?」
「それは…私がアオアシラの気を引きますので彩子さんはお二人を安全な場所へ運んであげてください」
「そんな!?危険だよ!?」
「それでもです。大丈夫、相手はモンスターとはいえただの熊です。きっとあの二人も隙を突かれただけです」
「っ!……分かった……陸乃ちゃん、気をつけてね?」
「彩子さんもしくじらないでくださいよ!」
そう言って2人は別れ、彩子は急いで倒れているクラスメイトの内1人の元に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「う゛っ…いっだ…い、何が……」
「モンスターにやられたみたい、先生のところに連れて行くよ!立てる!?」
「私…は…大丈、っ!」
「その様子大丈夫じゃないでしょ!」
「私…より…も…轟…さんを…」
「そ、そういうわけにはいかないよ!あなたも大きな傷を負っているし彼よりも女子のあなたの方が軽いからすぐにこっちに戻ってこれる!お願い…分かって……」
「………分かっ…た……」
傷を負った少女はやむなしと言った感じで首を縦に振った。
2人はそのまま山を下る。山の入り口にたどり着き、彩子は運んできた女の子を1人で先生の元へ向かわせ急いで元の場所へ走る。
「はぁ、はぁ陸乃ちゃん!お願い無事で!」
彩子は息を切らしながらも懸命に走る。無事な姿の陸乃と一緒に帰ることを願って。だがその目に映り込んだのは
「グルルル」
「ぁ…」
先ほどより多少なりとも傷を負ったように見えるアオアシラとボロボロになって地に倒れ伏した陸乃の姿だった。
「そ、んな」
彩子とつるんではいるものの陸乃の龍力はクラスでも1,2を争うほど、そんな彼女でも敵わない敵に龍力が使えない自分が敵うはずがない。途端視界が絶望に染まる。涙があふれる。恐怖に声がかすれる。
「いや、こんなところで死にたくない、もっと皆とお話したかった、もっと歌を歌いたかった、もっと…」
それでも出せる声の全てを尽くして彼女は叫んだ。
「誰か……光蛇!助けてよ!」
「おう!任せとけ!」
瞬間、閃光が彩子の後ろで弾ける。そのまぶしい光によってアオアシラの視界が奪われる。
その一瞬をつき光蛇が急上昇をした後急降下による勢いを付けアオアシラの脳天向けて拳をぶつける。
「おらぁ!」
「グァァ!」
一瞬のことでポカンとしていたが、すぐに意識を元に戻し光蛇が作ってくれた隙を突いて陸乃のもとに行く。
「陸乃ちゃん!」
「ケホッ、だ、大丈夫だから…」
「絶対大丈夫じゃないでしょ!なんで逃げなかったの!」
「傷が深くて…ゲホッ…逃げる隙が見当たらなかったんですの…ってそういえばアオアシラは!?」
「えっ?今光蛇が相手取ってるけど」
「いけません!ッグ!」
「え?…そういえばこう言っちゃ悪いけど陸乃ちゃんなんでアオアシラに苦戦を…」
「私もそう思って油断しましたわ」
「グァァァァァ!」
「ぐぁぁぁぁ!」
「光蛇!?」
「あのパワーと素早さ、私も昔とある事情で1度だけアオアシラを撃退することはありましたがそれよりも強い、おそらくはあれは上位種…」
「そんな!?」
この世界にモンスターが降り立つようになって30年。その多くが行動パターンから下位種と呼ばれており、種類によっては龍力さえ持ってモンスターの動きに注意していれば学園に入学したばかりの学生程度でも倒せるものもおり、アオアシラはその部類に入るのだ。しかしそんなアオアシラでも完璧に龍力を使いこなさなければ太刀打ちできない領域まで跳ね上がる、それが上位種だ。
「そんな…じゃあ私達、いやそれよりも光蛇は……」
「彩子さん!?落ち着いて!」
「い、いや…いやぁぁぁ!」
・・・・・・
(・・・ここは)
(ここはあなたの心の中)
(心?ってアオアシラ!光蛇を助けないと!)
(・・・)
(ここから出して!早く光蛇を助けないと!)
(君にそれが出来るのかい?)
(っ、出来るか出来ないかじゃないんだ!やるんだ!例えこの私が死んだとしても光蛇だけは!)
(それで光蛇君は喜ぶのかい?)
(そ、それは…)
(それにさっき言ってたじゃないか「もっと友達と話したかった、もっと歌を歌いたかった」…だったかな?う~んまだあった気がするけどまぁいいや。それなのに今度はその命捨ててもなんてね)
(だってしょうが無いじゃない!)
不思議と涙が我慢できない。彩子は涙を流し、それでも心の中で隠すことの出来ない叫びがでる。
(私だって犠牲がないのなら無いに超したことはないわよ。それでも相手は上位種で逃げるのに誰かが犠牲にならなきゃなら私が!)
(・・・あぁなんだそんなことか。なら心配ないよ君が龍力を使いこなせば問題ないよ。そのために僕は来たんだし)
(そ、そんな無理だよ…私が龍力を使いこなすなんて)
(出来るさ、君は今トラウマのせいでちょっと龍力が不安定になってるだけ。君のその光蛇君を助けたい気持ちがあればそれだって簡単に超えられるさ)
瞬間彩子の周りが光に包まれる。意識が遠のき現実に戻されていく。
・・・・・・
「はっ!」
彩子は意識が現実に引き戻され、首を振り意識をはっきりさせる。
「彩子さん大丈夫ですか!?」
「え、あ、うん…ってそうだアオアシラは!」
「へ!?ほ、本当に大丈夫ですの?突然静かになったと思ったら」
どうやらあの空間入ってからはそこまで時間は経過していないようだ。
「すぅ、はぁ…すぅ、……」
(---)
(---)
(---)
「っ、はぁはぁ」
「彩子さん!?一体何を!?」
「私が龍力を使いこなせば、あのトラウマさえ乗り越えれば…」
「彩子さん……彩子さん!」
陸乃が突然彩子に優しく抱きつく。
「り、陸乃ちゃん!?何を!?」
「…何があったのかは聞きません、恐らく聞いても到底信じられることでは無いと思いますもの。でも私はあなたを信じますわ」
「そ、そんな」
「何か勝つ秘策があるのでしょう?だったら私もそれに賭けます」
「でも私が失敗したら…」
「そのときはそのときですわね。光蛇さんと轟さんと合わせて4人で一緒に果てましょう」
「っ、そんなこと!」
「えぇ、だから彩子さんならきっと成功させられると信じていますわ。だから怖がらないで、あなたは1人じゃないんだから!」
「!…うん分かった!」
「すぅ…っ!」
(---)
「ケホッケホッ、はぁはぁ」
「彩子さん」
そう言って陸乃は彩子の背中に手を置く。
「あなたが何を背負っているのかもその重さも分かりません。でもあなたなら乗り越えられます!」
「すぅ…っ」
(---)
(うるさい!)
例え何が起ころうともこの気持ちは変わらない
(---)
(うるさい!私の邪魔をするなぁ!)
彩子の力の源、その起源を思い起こす。それは間違いなく!
「~♪」
「歌?」
そう歌だ、しかしその歌を聴いた陸乃はたちまち傷が癒えていく。
「な、なんで?」
「言わなかったっけ?あたしの龍力はクルペッコ、その能力の1つは音による味方の支援!そして…~♪」
先ほどとはまた違う歌。すると今度はどんどんと力がわいてくる。
「支援と言うだけあって回復も出来れば味方の強化も出来る!陸乃ちゃん動ける?」
「えぇここまで傷が癒えればほぼ全快と言ってもいいほどですわ!」
「じゃあ行くよ!」
そうして2人は走り出す。
「彩子さん、まずは光蛇さんを回復させてあげてください。そうすれば戦力も増えます。」
「分かった!陸乃ちゃんこそ1人で大丈夫?」
「ここまで支援していただいて足止めすら出来ないならこれから先死ぬだけ、光蛇さんが回復するまで足止めの役果たさせていただきますわ!」
その会話で2人は別れる。陸乃はアオアシラに突撃し、彩子は光蛇の元に駆け寄る。
「光蛇!大丈夫!」
「お…おう、大丈夫…だ……ゲホッ」
「ちょっと待っててすぐに回復させるから」
そう言って彩子は回復の歌を歌う。
「お前、歌を…それにこの力は」
「えへへ、私もやっと戦えるようになったんだよ。と言ってもまだ歌での支援しか出来ないけど」
「そうか、アシラは?」
「私が光蛇を回復させるまで陸乃さんが足止めしてる」
「そうか、よし行くぞ!」
「うん、いま強化をかけるね!」
そう言って彩子は強化の歌を歌い、光蛇に強化をかける。
「すげぇ!力が湧いてくる!それじゃあ」
「うん、ここから反撃開始だね!」
「だったら俺も混ぜてくれよな!」
「焔!?お前いつの間に」
「さっきまで轟の奴を先生のところまで運んでたんだ。お預けくらってた分俺も混ぜさせてもらうぜ?」
「焔…これは命がかかった」
「わーってるよ。でも俺の最も尊敬する奴は言ってたぜ?そういう経験の中でこそ力は磨かれるってな、と言ってもあんま時間はねえが」
「なんでだ?」
「先生にここの状況を伝えたからな。あと15~20分ぐらいで正式にここの処理を任された奴らが来るはずだ」
「つまり私達の仕事はそれまでの足止」
「だからそれじゃあ面白くないだろ」
「まぁ確かに」
「ま、まさか2人とも」
「「ああ、そいつらが来る前に俺たちでやっつけちまおうぜ!」」
「えぇ…」
「諦めなさい彩子、男なんて…いや龍力保持者なんて皆こんなんよ、慣れなさい」
「陸乃ちゃん!良かった無事で」
「言ったでしょう、あれだけ支援してもらったのだもの。それより焔?彩子の歌は聞いたわね」
「あぁ!まるで自分じゃねえみてぇに力がみなぎってきやがる!」
「それじゃあ行くわよ!」
陸乃の言葉を合図に4人がアオアシラの攻撃を避けるようにして散開する。
そして四人が思い思いにアオアシラに向けて攻撃を放つ。
「おらぁ!」
「くらいなさい!」
「倒れろぉ!」
「お願い!」
「グァァァァァ!」
こうして少しずつ、しかし着実にアオアシラとの均衡を返していく。4人ともこのまま勝てると思っていた。誰も敵が上位種であることなど忘れるほどに押し勝っていた。だが10分経った頃それはいやでも思い知った。
自分たちがどれほどおろかな思い上がりをしていたかを
「はぁはぁ、嘘でしょ?」
「グアァ、グァァァァァ!」
「これでもまだ倒れないの!?」
「くそっ!どんだけ体力お化けなんだこの熊!」
「はぁはぁ、ですがもう少しのはずです!頑張りっ、」
陸乃が疲労で体勢を崩した瞬間。その一瞬をアオアシラは見逃さず陸乃に向かって突進を仕掛ける。
「陸乃ちゃん!」
「陸乃さん!」
間に合わないと二人が陸乃の名を叫ぶ。が焔だけは違った
「やらせるかぁぁ!」
必死にアオアシラの向かって走り、攻撃を仕掛ける。しかし焔も疲労しているのか力が入り切れておらずなかなかアオアシラがなかなか怯まない。そして、
「ぐっ!」
「陸乃!」
アオアシラの突進をもろにくらった陸乃が吹っ飛ばされて後ろの木にぶつかる。そして焔が陸乃の元に駆け寄ろうとするが、
「焔君!?」
「ぐぁぁ!」
陸乃のダメージに動転しアオアシラが視界に映ってなかった焔がアオアシラの腕を回りながらぶん回す攻撃を直にくらい焔まで吹っ飛ばされる。
「陸乃ちゃん!焔君!」
「彩子!お前は2人の回復を頼む!その間の足止めは俺がやる!」
「でも光蛇も限界近いでしょ!?そんな状態で時間稼ぎなんて出来るの!?」
「出来るかじゃなくやるんだよ!頼んだぞ!」
「あっ!光蛇!っもう!」
そうして彩子は2人の元へ駆け寄り回復の歌を歌う。だが2人とも起き上がらない。
「な、なんで!?確かに回復の歌を歌ったのに!?」
どうやら2人は気絶しているようだが彩子はそれに気づかない。
「しまっ!?彩子!」
「へっ!?」
それによって慌ててる間にアオアシラが彩子に突進を仕掛ける。突然のことで彩子の体が動かない。突進をくらうことを覚悟し目をつぶった瞬間だった。
「独断で戦うとはあまり許されることじゃないが、よく耐えたな」
「へ?」
声が聞こえ、次の瞬間には向かってくるアオアシラ向けて炎が放たれていた。その炎をくらいアオアシラの息は絶えた。
「・・・なるほど今年の1年の中にはなかなかやる奴がいるようだな。」
制服を着ている。どうやら学園の生徒のようだが彩子はそのものを思い出せなかった。
「あーっ!先輩!?なんでここに!?」
「光蛇…それよりそこで気絶している2人をほっといて良いのか?」
「へっ?気絶?」
「って、そりゃそうだな。彩子2人を運ぼうぜ?」
「う、うん。あ、ありがとうございました」
「お礼を言われるようなことはしていないさ。ほとんど君たちが倒したようなものだしな」
「おーい、彩子早く行こうぜー?」
「あっ、うん。それではこれで」
そうして2人は気絶した2人を背負って他の皆がいる山の入り口に向かうのだった。
数日後・・・
「うぅぅ検査ってなんかいやだよねぇ」
「でもそのおかげで健康体なのが実証できるのだから良いじゃないですか?」
ちょうど彩子と陸乃が保健室から出てきたところだった。
「でも採血ってなんか怖いって言うか」
「あら彩子さんもしかして血が苦手な方ですか?」
「うーん、あまり見たことないから分かんないけど血が怖いというよりかは痛いのが怖いというか」
「おー、彩子!検査終わったのか?」
「光蛇!うん今終わったよ!」
「結果は?」
「異常なしだって。とりあえずは良かったって感じだね。光蛇の方も?」
「おう、異常なしだ」
「良かった・・そういえば光蛇あのとき私達を助けてくれた人のこと先輩って呼んでたよね?」
「ん?蒼空先輩のことか?」
「そうら先輩?」
「あぁ
「そ、そんな人のことどうやって!?」
「まぁ有名ってのもあるが俺の場合はスポーツ活動部での繋がりもあってな」
「な、なるほど」
「どうした?惚れたか?」
「なっ!?そ、そんなんじゃないよ!」
「んー?本当かー?」
「ほ、本当だってばー!」
彩子達の楽しげな声が響き渡り、春の陽気な雰囲気の中で彩子の笑顔が咲き誇っていた。
第1章 Fin
とある施設。小さな明かりだけがその場を照らす。男は1枚の紙を見ている。そこには『検査報告書:烏音 彩子』と書かれていた。
「・・・烏音彩子、か。彼女が恐らく・・・いや杞憂であったら良いんだがな。前回の授業までの龍力数値が2に対して一気に龍力数値が17まで……このまま何もおきなければ良いんだがな」
彩子がアオアシラを倒すために灯した光。そこには小さく不安定なしかし確かに影を作っていたのだった。
第2章へ続く・・・