理想の聖女? 残念、偽聖女でした!(旧題:偽聖女クソオブザイヤー) 作:壁首領大公(元・わからないマン)
これはいい……私の好みにストライクバッターアウト。
あ^~
一時死亡事件 ←ここすき
惚れ薬事件 ←ここすき
セーラー服イベント ←ここすき
続き見たいマーーーーーーン!!!
三度目ともなればいい加減慣れるものだ。
俺は再び、男だった頃の俺に戻って狭いアパートの中で寝転んでいた。
視点は相変わらず別人視点だが、まあいい。今回も憑依してやるだけだ。
気のせいか前よりも身体は動かしにくいが、まあどうでもいいな。
さて、この夢はどうせ長続きしないだろうしちゃっちゃと目的のものを見ましょうかね。
スリープモードになっていたパソコンを起動させて、まずは動画を検索してみる。
すると出るわ出るわ、『エルリーゼルート』の実況プレイに通常プレイ。
その中でも一番再生数が多いものを適当にクリックして開いた。
動画は丁度、あの学園での誘拐事件のイベントにさしかかっていたようで、ファラさんが繰り出す魔物との戦闘シーンに入っている。
敵は画面を埋め尽くす魔物で、対しプレイヤー側が操作するのはエルリーゼ一人。
しかし適当に行動を決めているだけで次々と魔物が蹴散らされていく。
ちなみに戦闘BGMも汎用のものではなく、聞いた事のないものだった。
これまさか専用BGMか? 随分豪華だなおい。
『クッソ強えwww』
『一撃でHP消し飛んだwwww』
『ちょっと待てやコラw こいつエテルナルートの最後の方に出て来るボスモンスターじゃねえかwww』
『俺がこいつ倒すのにどれだけ苦労したと思ってんだwwww』
『俺のトラウマが…………』
『エルリーゼ様強すぎだろwww』
『無双w』
『ドラゴンが溶けたwww』
『ダメージの桁おかしいwww』
『信じられるか……こいつ聖女じゃないんだぜ……』
『おいこれラスボスの取り巻きだった奴だろwww何で雑魚扱いされてんだよwww』
『敵の攻撃で全然ダメージ受けてねえwww』
『聖女は聖女自身の力か魔女の力じゃないとダメージ受けないから……』
『魔物は魔女の力を貰ったしもべだから軽減されるとはいえ、聖女にもダメージ通せるはずなんだよなあ……』
『こいつの攻撃、レベル99のベルネルでもHP3割くらい減るのにw』
『確かにこいつは聖女じゃないな……こんな化け物みたいな聖女がいてたまるか!w』
『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』
まさに無双という戦いに、コメント欄は草まみれと化していた。
へえー、ゲームで数値化するとこんなに強いんだ、俺。
さっすが才能モンスターのエルリーゼの身体で毎日魔法練習ばかりやってただけはあるな。
コメントの反応を見る限り、他のルートだとエルリーゼが戦闘に加わる事はないんだろうか?
多分イベントとかで敵を倒すだけで、実際に戦闘参加する事はないタイプなんだろうな。
その後は俺の知る通りにイベントが進み、エルリーゼが剣を腕で止めたシーンになった。
『あー、俺も初見プレイ時は傷を負わないから完全に騙されたわ』
『聖女だから傷を負わないと思ってたら、まさかのステータスゴリ押しだもんな』
『確かにこれはダメージ受けないわ』
『スットコさん、気付いてw その子聖女の特性じゃなくて単純にステータスが高すぎて攻撃効かないだけだぞw』
何と言うか……こうして自分の行動を客観的に見るっていうのは新鮮だな。
そしてイベントが終わり、エルリーゼが去っていく。
その後は普通に学園生活を送るシーンが続いたが、やがてゲーム内で翌日の朝になって再びコメント欄がうるさくなった。
その原因は……うへえ……。
学園の制服を着て、ベルネルの教室の教壇にエルリーゼが立つ一枚絵が表示されたからだ。
『エル様転入ktkr!』
『うおおおおおおおおお!』
『初めて見た……』
『制服も美しゅうございます!』
『制服エル様とかあったのかw』
『四年も誰も発見しなかったルートなのに一枚絵に気合入りすぎてて草』
『イベントCG100%とは何だったのか』
『100%(ただし100%とは言ってない)』
『L様ルート入ったらCG部屋のCG解放率が今まで100%/100%だったのが100%/150%になってた』
『↑製作陣性格悪すぎん……?』
ここで動画は終了だ。
次のパートはまだUPされていない。
しかし……やはりというか、完全に俺の向こうでの行動がこっちではゲームとして反映されてるんだな。
まあこれは夢だから、本当に日本でそうなってるのかは分からないが……これはただの夢でもないだろう。
流石に三回続けて連動している夢っていうのは考えにくい。
とにかく次は恒例のキャラ解説ページだ。どんな感じになってるかな。
【エルリーゼ】
『永遠の散花』の登場人物。非攻略キャラクター。
……と発売から四年もの間思われていたが、とあるRTA実況動画によって攻略可能キャラである事が明らかになった。
聖女と呼ばれる、魔女と対を為す存在。
幼い頃は我儘だったが、ある日を境に聖女の自覚に目覚めて人が変わったように『誰かの為』に活動するようになる。
聖女の名に恥じぬ圧倒的な魔力と剣術の腕を持ち、その戦闘力は作中最強。
闇の象徴である魔女と対を為す光の象徴として、時にプレイヤーの前に現れて手助けをしてくれる。
物語開始時に十四歳の主人公の前に現れて彼の闇の力を制御出来るように助力し、ペンダントを預けて彼の人生に大きな転機を与えた。
その後、主人公が十七歳になった時に再会を果たすが、その姿は主人公の記憶の中の十四歳の姿のままであった。
聖女は魔女と同様に殺傷されるまで死ぬ事はなく、若い姿のまま老化を止めてしまう。
彼女の場合は他の聖女よりもその時期が早かったのだろうと言われている。
聖女である彼女は魔女と聖女の力以外で傷を負う事はなく、素手で剣を受け止めても掠り傷一つ負う事はない。
また、魔女の力に働きかけて浄化する事も出来る。
魔物に襲われている場所があればどんな小さな村でも見捨てず自ら出撃し、傷付いた者がいれば分け隔てなく癒す。
まさに聖女を絵に書いたような非の打ちどころのない少女だが、実は…………。
実は……何?
何かおかしいぞ。前と違ってこの先が空白になっている。
それに文章そのものも前と微妙に違う。
試しにマウスでスクロールしてみると、隠されていた文字が露わになった。
【エルリーゼの正体】
エルリーゼは本物の聖女ではない。
赤子の頃に手違いでエテルナと取り違えられてしまっただけの一般人であり、当然彼女に魔女を倒す力など備わっていなかった。
年を取らない理由は主人公が制御出来るようにと吸い取った魔女の力によるもので、これによって彼女は外見が変わらなくなっている。
だが実際にはこれが原因で寿命が縮まってしまっていた。
魔女の力を浄化出来た理由は、この時に得た魔女の力を使っていただけであり、剣を素手で止めたのは単純に膨大な魔力でガードしていただけである。
しかし彼女のあまりにも完成された聖女としての振舞いから、彼女を偽物と思う者は魔女を含めて誰もいなかった。
だがエルリーゼ本人はその事を知っていたらしく、いつの日か本物の聖女であるエテルナに聖女の座を返す日の為に邁進していた事を明かしている。
【本編での活躍】
・エルリーゼルート
四年越しのまさかの発見。
彼女のルートに入る方法は、『CG回収を100%にした状態で』、『周回プレイをせずに一周目をプレイして』ゲーム開始時に自動で入手出来るアクセサリの『思い出のペンダント』をゲーム開始からここまで一度も外す事なく、学園に入ってから十七日目の夜まで全ての自由行動を自主練で消費する事である。
(正確には全ヒロインの好感度を上げない事)
そうすると十七日目の夜に低確率で、友達を作らない主人公の事を心配したエルリーゼが主人公の部屋を訪れ、彼女の好感度を上げる事が可能になる。
(このイベントを踏まないと何をしても攻略可能キャラにならず、好感度そのものが一切表示されない)
有志の検証の結果、エルリーゼが部屋を訪れる確率は0.3%前後というデータが出ている。
筋トレばかりしていると心なしか確率が上がるという情報もあるが、こちらは未検証。
なので十七日目の夜まで自主トレをして過ごし、夜の自主トレをする前にデータをセーブして、後はロードを繰り返そう。
その後は十八日の夜に、ファラによって主人公とエテルナ、フィオラ、ジョン(それとモブが数人)が誘拐されるイベントが発生する。
そしてファラによって護衛を付けずに来るように要求され、その通りに本当に一人で来てしまう。
ここで、彼女を仕留める為にファラが差し向けた魔物達と戦闘に入るのだが、この戦闘は何とエルリーゼを操作してのイベントバトル。
この戦闘で初めてプレイヤーに数値として明かされる彼女の凄まじい戦闘力は必見。
他のルートでもイベントで圧倒的な強さは見せていたが、このステータスならば納得である。
本来ならば二周目でようやく倒せるようになるレベルのモンスター三十体と連戦になるが、その全てを一方的に蹴散らしてくれる。
何をどう間違えてもまず負ける事はない。
そしてこのイベントをクリアすると、その二日後にまさかの転入生として学園に転入してくる。
追記・修正求む。
ここまでで終わりか。
以前までと比べて大分変わっているな。
前までは偽聖女って事は別に隠されていなかったのに、今ではネタバレに配慮した仕様になっている。
それだけプレイヤーの間での重要度が増したっていう事だろうか。
試しに画像検索をしてみると、以前より圧倒的にエルリーゼのイラストが増えている。
俺の知るエルリーゼではあり得ない事だ。
勿論改変前でもエルリーゼ(ピザ)のイラストは描かれていたが、そんなに多くなかったし……何より、イラストの半分はボコボコにされているようなものだった。
その際のコメントは『クソリーゼざまあwww』とか『いいぞもっとやれ』とか、そんなのばかりだ。
間違えてもこんな、可愛らしく描かれるようなキャラクターではない。
二次創作も結構多いな。
元々『永遠の散花』の二次創作は多かったが……見た事のないエルリーゼヒロイン系の二次創作がやけに増えている。
とりあえず、二次創作サイトの更新順で一番上に来ている奴でもちょっと見てみようか。
タイトルは……ほーん? 造花の守護者?
どんな感じなんやろ。
―――――――――――――――――
造花の守護者 作:神龍闇王
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―1―全ての始まり
俺の名前は神龍闇王。
平凡な高校生だ。ただ自分ではよく分からないが女達は俺を見るとキャーキャー騒ぐ俺はどうやらすごくイケメンらしい。
スポーツ万濃で成績もいつも一番でいじめられっ子を助けて苛めっ子をボコボコにするくらいの事しかしていないがそれでも俺は皆の人気者である。
俺は気が付いたら・・・見知らぬ平原に立っていた・・・間違いないここは永遠の散火の世界だ。
ならば俺は――この世界のふざけた運命をぶっこわしてエルリーゼを守る為に戦おう。
だから俺は死に物狂いでしゅぎょうした。そして世界の誰よりも強くなった。
強くなった俺はさっそく聖女の城へと向かった。
すると「誰だお前は!?」邪魔な騎士が行く手を阻んだので俺はそいつらを蹴散らして先に進んだ。
「うわー」兵士達は俺が手を降っただけで飛んで行った。やれやれ、手加減してやったのにこの程度か。
次に国の王様がやってきたが俺は知っているこいつの悪行と世界の真実を。こいつはここで死ぬべきだ。
「黙れ」と言って俺は国王の首をはねた。
そして俺はエルリーゼの部屋に入った。「誰ですか?」エルリーゼは言った。
「俺は君を守りに来た物だ」そう言って俺はエルリーゼの頭を撫でた。
「私を守りに・・・・・・?/////(この胸のときめきは何? 恋?)」何故かエルリーゼは顔を赤くした。どうしたのだろう???
これが俺と彼女の出会い――永遠のちる花の世界に来てしまった俺は一体何を思い・・・何を為すのか・・・。
―――――――――――――――――
俺は無言でそっ閉じした。
え……何? こいつの中での俺は見知らぬやべー不法侵入者に頭を撫でられただけで警戒心も抱かずにそいつに惚れるような奴なの?
ないわー。マジないわー。
しかも作者名と主人公名が同じってお前……。
というか何で一人称形式なのにエルリーゼの心の声出てるの? 読心能力でもあるの?
何かもう、他のSSを見る気が失せてしまった。
永遠の散花についてのスレに行くと、エルリーゼについてあれこれ語られ、盛り上がっていた。
『エルリーゼ様マジ聖女』とか『本物より本物してる』とか、『転校してきた所まで進めた』とか……うーん。
誤解させるように演技してるのは俺なんだが、流石にこういうの見ると何か複雑な気分になる。
けどまあ、どうしようもないか。
スレに出て行って真実を教えても頭おかしい奴としか思われないだろうし……そのままガワだけ偽聖女に騙されていてくれ。
でもオカズにするのは勘弁な。鳥肌立つから。
しかしこいつ等本当にこれでいいのかね?
その偽聖女、中身
そんな奴のルートなんか入っても何もいい事はないって。
絶対最後で期待を裏切られる。期待をボコボコにされて蹴り飛ばされてゴミ箱に詰められる。
俺が言うんだから間違いない。
やめとけやめとけ。
……と、またしても視界が白く歪んできた。
さっきまで立っていたのに気付けばまた浮遊して自分を見下ろしてるし、夢とはいえ視界の切り替えに脈絡なさすぎだろ。
はあー……仕方ねえな。そんじゃまあ、そろそろ起きるとしますか。
ちなみに作中SSの誤字は誤字報告しなくてもいいです。
そこは誤字であって誤字ではない(矛盾)ので。
https://img.syosetu.org/img/user/244176/62018.jpg
ろぼと様より頂いた支援絵です。
コメント付き動画風!