理想の聖女? 残念、偽聖女でした!(旧題:偽聖女クソオブザイヤー)   作:壁首領大公(元・わからないマン)

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案の定予約投稿忘れててギリギリで滑り込みました。
セ……セーフ……のはず……。


彼女が赤色を更に嫌いになった理由

 ちょっとズレた気もするけど、メリークリスマス!

 

 と、いうわけで毎度お馴染みエルリーゼです。

 季節は巡り、再び冬がやってきた。

 この時期になると聖女誕生祭とかいう面倒なイベントに駆り出されていた俺だが、今年は出なくてもいい。

 何故なら俺はもう聖女を引退しており、代わりにアルフレアがパレードに出る事になっている。

 それはいいのだが、何もしないのもそれはそれで物足りないので、とりあえず現在ケーキを作っている最中だ。

 しかしクリスマスにケーキ……何だか随分昔の事のように思えてならない。

 この世界に転生して大分長いが、俺の魂の半分はつい最近まで向こうで過ごしていた不動新人のものなので、体感的には実は割と最近まで日本で暮らしていたというのが俺の中の感覚だ。

 だというのに、もう長い事クリスマスを祝っていないような気になってしまう。

 

 ……というか、よく思い出してみれば実際祝ってなかったわ。

 クリスマスを祝う恋人もいなかったし、今年も半額ケーキ争奪戦がやってきたか、としか思っていなかった気がする。

 そんな俺が、いざ日本に戻れなくなると何故かクリスマスを懐かしく思うのだから不思議なものだ。

 今回は普段の真っ白なワンピースから趣向を変えて、赤を交ぜたクリスマスカラーなんかにしているが、残念ながらこのカラーの意味が分かるのはこの世界では俺以外誰もいないのでレイラからも「今日は普段と違う服なんですね」くらいにしか思われていない。

 このクリスマスカラーだが、聖女時代は勿論NGだった。

 初代聖女アルフレアが嫌いな色という事で、学園は勿論聖女の衣装からも赤色は排除されていたからだ。

 俺は偽物だが、偽物とは本物以上に本物らしさを意識しなければならない。

 そんなわけだから当然、自分から聖女イメージと正反対を突き進む赤なんて身にまとうわけにはいかなかった。

 しかし今の俺は聖女でも偽聖女でもない。ただの隠居した一般人である。

 よって聖女イメージなんか無視して、こうして赤い衣装を着る事もできるのだ。

 アルフレア本人が来たりしない限り、何の問題もない!

 

「やっほー! エルリーゼ、きたわよー!」

 

 はいフラグ回収乙。

 いや、なんで来んねん。別に来るなとは言ってないけど、今は誕生祭の準備で忙しいはずだろ。

 

「あのさー、レックスがやっぱりエルリーゼを連れてきて欲しいって言ってさ……って、何よその格好!? 何で真っ赤なの!?」

「あー……まあ、特に深い意味はないんですけど……ちょっとした気分というか」

 

 別に、この世界に赤い服を着てはいけないというルールはない。

 なので別に罪でも何でもないのだが、何となく後ろめたい気持ちになってしまう。

 そうした事もあり、俺は言い訳がましい説明をアルフレアにする事となった。

 

「前、私が別の世界に行った事があったじゃないですか。その時に向こうで面白いイベントがある事を知りまして」

「イベント?」

「そう、クリスマスというらしいです。そしてこの格好は、クリスマスにのみ現れるサンタクロースという者を意識した衣装なんですよ」

「それって……どういう人なの?」

 

 アルフレアの質問に、俺はそういえば今更ながらサンタクロースって何だろうと考える。

 手元にスマホでもあればこの場で調べる事が出来るのだが、生憎と持ってない。

 ただ、昔の聖何とかという人がモデルとか、そういうフワッとした事だけは覚えている。

 とはいえ、そんな事を説明してもアルフレアはちんぷんかんぷんだろう。

 なので俺は、俺の知るサンタクロースについて語る事にした。

 ……いや、折角だ。ここは少しくらいネタを交ぜて教えてやってもいいだろう。

 ユーモアも時には大事だ。

 

「サンタクロースは口元が隠れるほどのヒゲを生やした怪しい老人で、鮮血のような真っ赤な衣装で身を包み、白い袋を抱えて『メリークリスマス!』と怒鳴り散らしながら他人の家に煙突から勝手に上がり込み、靴下の中にプレゼントを捻じ込んで帰って行く妖怪の一種です」

「何ソレ怖っ!?」

「数千万から数億人分の荷物を詰め込んだ袋を抱える怪力を誇り、その大量の荷物を搭載したソリをトナカイに引かせ、空を時速820万キロメートルで移動し、『いい子』を求めてたった一晩で約三億軒の家屋に侵入すると伝えられています」

「え、それ、エルリーゼより速いんじゃ……怖あ……」

 

 あれ? 何かアルフレアが怖がってるな。

 横で聞いていたレイラも青い顔をし、「『魔女』より化け物じゃないですか……」と震えていた。

 あれ? ウケると思ったんだけど……説明の仕方間違えたかな……。

 どっかで見たのだが、サンタクロースの速度を真面目に計算すると、上記のようなとんでもないスピードになるらしい。

 しかし時速820万キロメートルはえぐいわ。光速の0.8%て……。

 俺はこれを初めて見た時爆笑したものだが、アルフレア達の反応は俺の想定したものと違っていた。

 やっべ……ちょっと外したかなあ。

 

 ――その後、アイズ国王からアルフレアがますます赤い色が嫌いになったと伝えられ、一体何を教えたんですかと詰め寄られる羽目になってしまった。

 受け狙いで変な事を言うもんじゃないな。




皆様こんばんは。壁首領大公です。
偽聖女コミック版4巻が本日発売となります!
もし見かけたら、是非よろしくお願いいたします。

それと全く関係ありませんが、最近ずんだどんに嵌っています。
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