うん?やっと意識が戻ってきましたね。やれやれ、中々強引な子です。流石オリジナルから最も離れた存在です。行動力が半端ではないですね。オリジナルより行動力があるんじゃないかな?
さて、遂に私だけになってしまいましたね。取り敢えず急いでドックに戻りましょうか。ひび割れが更に酷くなって欠片が落ちてくるほどボロボロですからねこの世界。
「とまぁ戻ってきたわけですが、なんであなたがいるんですか?」
「つれないこと言うねぇ。綾波型ヒューマロイド番外個体。いや、
ダミープラントの前にいたのはNERV主席監察官でゲンドウ君にもお使いを任される程の実力を持つ人間、加持リョウジ。
ミサトさんたリツコさんと同期らしくゼーレの計画も調べ上げるほどの凄腕の諜報員でもある。何でこんな人がここにいる…。というか、わたしの本名知っているってことは資料読みやがったなこいつ。
「私はもう使徒擬き。その名前で呼ばないで」
「じゃ、なんて呼んだらいいんだい」
「ぱち波」
「中々面白い子だな」
本当なんでここにいるんですかこの人。ここ壊れかけの虚像世界なんですけど。綾波レイが言うには「体のいいゴミ捨て場」ですけど。
まさか…
「その顔は気が付いたな。そうさ。ニア・サードインパクトの後に事後処理を行っていたんだがどうやら俺はあの世界にとって邪魔だったようだ」
確かにこの人がいなければ、ネルフ職員を引き抜いてヴィレをつくらせる事なんてできそうもない。あれ?でもヴィレは存在していましたね。
つまり、この人は役目は果たした。神殺しの船を運用する組織を潰すのは原作崩壊が発生するから世界がこの人を消すことはないと思うんですが、まぁ原作でも出ていなかったみたいですけど。
「…さて、リリスが復活する前にお前に話しておくことがある」
やっぱりリリスですか。というか抑止的に大丈夫なんですかね。
「まず前提として
え
想定外すぎる情報を提供されて頭が真っ白になる。リリスの意思が世界の意思…?
「それは…つまり」
「そうだ。俺がここにいるのも、エヴァ第7号機がここにあったのもすべてがリリスが望んだからだ」
「少し整理させてください」
……シンジ君がここに迷い込んだのはそれが原因ですね。異物である私が『ゴミ捨て場』にいるのは納得できますが原作主人公がここにいるのはつじつまが合わない。
世界がインパクトを起こさせたいのにそれのカギとなるシンジ君を捨てることはない。しかし、ゴミ捨て場に送られた以上インパクトを起こすのにシンジ君は必要ないということになりますね。
シンジ君をゴミ捨て場に送る必要があった。
なぜ?
インパクト阻止をさせないため説が濃厚ですかね。エヴァ初号機とシンジ君が揃うととリリスにとってよろしくない事が起きる。逆説的に『神殺しの船』を復活したリリスは危険視していない。
インフィニティを通して世界が話してきましたがあれがリリスだとすると第7号機を危険視している。というより
今までは繋がりがあったからリリスに気が付かれなかった。今までも繋がり持って数年は安全だった。その後消されたけど。
なるほど。この世界はリリスの箱庭みたいなものか。基本的の介入はできないけど私みたいな存在をはじくことができた。セカンドインパクトやサードインパクトを経てより旧劇世界よせて世界に干渉できるようになったのだろう。
つまり、
全部リリスとゼーレが悪い。
「死ねばいいのに」
「新鮮ではあるが随分と口が悪いな」
取り敢えず私が情報を整理しているうちに加持リョウジは首のDSSチョーカーを外す作業に入っていた。ぱち波にはもう外す能力がない。少し乱暴に外す魂胆だったがこの場には加持リョウジがいる。彼ならば安全にDSSチョーカーを外すことができるだろう。
「ごめん。まとまったから続きをお願い」
「分かった。さて…リリスがあっちに復活したとこまではいいな」
頷きを返す。
「よし。でだ…神殺しを成立させるには初号機とシンジ君が必要だ。これが一つ」
取り敢えずあっちに帰ったと思いますけどリリスが絶対なんかしてきそう。まぁ、そのためにボディーガードを付けてもらったんですけどね。
「そして、第7号機とそれにシンクロできるパイロットが必要…これが2つ目だ」
ここでイレギュラーの塊を投入ですか。して、その目的は?
「初号機単機では厳しいの理解できるだろう。リリン殲滅の保険…というのが建前」
建前。
「本来の役割は…」
うん。まぁそうだよね。
「いいのかい?折角友人もできたんだろう?」
「やらなきゃ全滅しますけど」
そもそも、そういう計画でしたし。
内心、大義名分ができてホッとしていると少し乱暴に頭をなでられた。
「…世界の命運を子供に背負わせてすまない」
「別にいいですよ。というかこの為に造ったんでしょう」
「…ああ…」
「別に恨んでませんよ。自由に生きました。人間の感性で施してくれた事に感謝です」
缶詰とか日本語で書かれた資料とか丁寧でしたからね。ちゃんとお墓もありましたし。
「まぁ、人を守るのもまた私の義務かもしれませんけどね」
「そんなこと微塵も考えたことないだろう?」
ばれてましたか。人を守れるのは人しかいませんよね。
崩壊がここまで進んできた。そろそろお別れの時間だ。
「ありがとうございました。また、どこかで」
「おう。せっかくの良い心壊すなよ。達者でな」
ぱち波は走り出しエヴァ第7号機に向かっていった。その背中が見えなくなると加持は少しだけ溜息を吐いた。
その後一本だけ残していた煙草に火をつける。一口吸い、白い煙を吐き出した時には彼の足は存在していなかった。
「まいった。情が少し移ったな」
加持の身体は崩壊が進み続けている。それでも立ったまま煙草をふかしているのは彼が既に消された存在だからか。その様は大人というものを象徴しているようにも見えた。
(ぱち波が動き出してからは驚きの連続だった。人間らしい天使か…。ぱち波…君は人間だと俺は思うよ)
あんなにも悩んで、苦しんで、隠して、前を向く姿が俺がよく知る人間にそっくりだ。
「さて、そろそろ潮時か。…ぱち波。君は人間だ。次があれば自由に生きろよ」
その場には火のついたままの煙草があるだけだった。それもすぐに消えるだろう。だが、ここには確かに思いを託した大人がいた。
エヴァ第7号機が格納されているドックは既に発信準備が整っていた。加持リョウジと驚くほどあっさり別れた。考えてみればぱち波の生みの親でしたね。お父さんとでも呼べばよかっただろうか…?やめときましょう。そんな柄じゃないだろうし何よりも
「偽りとはいえ自分の人生だけではなく、愛した女性の人生を狂わせた存在を認めるはずもないですね」
さっさとエヴァ第7号機のところに行きましょう。エクスカリバールは彼に返しました。ほら、御本家も最後は返してましたからね。今の装備は専用のプラグスーツ一式と外したDSSチョーカーだけ。これでどうやって戦えばいいんだ。
「あんまり使いたくはなかったんですけど、仕方ないですね」
既に搭乗準備が出来ているダミープラグに目を向ける。
こいつは元々エヴァパイロットの補助のために作られたものです。
一応エヴァの単独運用、ATフィールドを発生はできますけどパイロットが操縦した方が良いです。
制御リミッターを外して運用できますけど、エヴァの中身的に使わない方が安全ですね。特に起動するとき。
第7号機をダミーシステムで起動させる実験では暴走して辺り一帯更地になったらしいですからね。
ダミーシステムは補助システムとしてかなり優秀です。
神経接続をカットしても動くことができますし、パイロットが痛みで気絶というリスクが減ります。
とは言っても不安ですけどね。加持リョウジめ。もうちょっとましなヤツなかったんですか。自分軽蔑いいすっか?
第7号機に乗り込みシンクロを試みますが、シンクロ率は0.000000~%です。なのでシンクロシステムを変更します。これをやることによってこの変態本来の力が出せます。資料に書いてありました。
「…さて、やりますか」
ぱち波はレバーとボタンを操作し、コードを打ち込んでいく。
「制御リミッター接続完了。各封印機能の出力変更」
『Sync system change completed』
これで準備は完了です。
「後は…コードを…」
?おかしいですね。声が出てきません。崩壊が始まっているので早くしなければ。
「コード………」
まずい…。
「…いやだなぁ…」
思い出すな。今それを思い出したら動けなくなる…!
ぱち波は泣いていた。いや、
頭では分かっている。
今すぐにでもそれを口にして役割を果たさなければいけないと。
だが、彼女の持つ繋がりが誰かの手を止めてしまっていた。
これでいいのだろうか。
『警告…プラグ深度汚染区域突破』
私が彼らを救ってもいいのだろうか。
心の壁
生と死の理
円環の理すら無視するやり方で。
独善的な救い方で。
「消えたくないなんて我儘ですね」
ぽろりとどうしようもない自分に向けた言葉が落ちた。
この言葉に誰も拾ってくれないとわかっていた。
そうしてきたのだから当たり前だ。
名もなきどこかの誰かさんなんて誰も見つけられない。
誰にも知られることなく消える運命だ。
大丈夫、貴方は消えないわ。私が側にいるもの
そんな言葉を
そう言った貴女を
貴女と交わした約束を
私がしたいことを
思い出した
♢♢♢
LCLの匂いに彼女の面影を感じる。シンクロしていく程に海に沈んでいくように自分が曖昧になる。
…あれほど誰かに必要とされたがっていた。
何かの道具でも良かった。僕を見てくれた気がしたから安心したんだ。
それほどまでに僕は誰かと一緒にいないと生きた心地がしなかった。
長い時間を一人で生きる人はとても少ないと思う。
その人は何度も何度も抗って、折れて、立ち上がって、進む…そんな人だろう。
僕はそこまで強くはない。誰かが僕を支えてくれないと倒れてしまいそうになる。
だけど、僕を支えてくれた人たちを覚えている。
僕を信じてくれた人たちがいた。
応援してくれる友達がいた。
父さんとの関係を変えようとしてくれた子がいた。
僕の手を変わらずにとってくれた子がいた。
僕に希望を教えてくれた友達がいた。
僕に勇気をくれた子がいた。
「僕はまだ弱い。だから、力を貸して。綾波…」
それに呼応するように初号機が瞼が開かれ目標を見据える。
曖昧さはもうない。僕はここにいる。
どこか遠くの世界でとある少女が呟いた。
『忘れていてごめん。貴女がいるなら、安心ね』
震えは止まった。視界も歪んでいない。
『Cord Lilin.さて、神サマの計画を破壊しよう』
そう少女は微笑う。
十字架の仮面が剥がれ落ちた悪魔も嗤う。
System alteration ... Base Lilin
異なる世界であっても、長い時間が経とうとも、二人の存在は呼応する。
それの名は『運命』
「いくよ…エヴァンゲリオン初号機、起動!」
『いこう…エヴァンゲリオン第7号機、起動!』
さぁ、神殺しの始まりだ
1ヶ月後に失踪します。