では…グダグダでも、三流喜劇でもそれはご愛嬌ということで
シンジー。アスカちゃんが迎えに来たわよー」
母さんが僕を呼ぶ声が聞こえる。もう朝か…。調べもので夜更かしなんて久しぶりだ。時計を確認する。もう少しだけ眠ることができそうだ。
「さっさと…起きろ!このバカシンジ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
布団を引っぺがされてベッドから落ちてしまった。このアマ…勝手に部屋に入ってくるなよ。
「Good morning.シンジ」
「なんでアスカが僕の部屋にいるんだよ…」
「あら。美少女に起こされるなんて夢見たいでしょう」
できれば、綾波の方が…起こし方こんなに乱暴じゃないし…
ガッ
「…何か失礼なこと考えなかった?」
「ヴェッ、マリモ!」
危ないところだった。このままいけば僕の身体が引きちぎられていた。
「シンジー?遅刻するわよー?」
時計を見るといつも家を出る時間を過ぎている。これはまずい。
「アスカ急ぐよ」
「誰のせいよ誰の」
そこに鏡あるよ「は?」何でもありません。
僕は朝ごはんをかっ込み、制服を着る。
「「いってきまーす!」」
「いってらっしゃーい。ほら、あなたも」
「あぁ。いってらっしゃい」
「そういえばあなた。あの事シンジに伝えたの?」
「…………」
沈黙を貫くゲンドウをジト目で見つめる妻
「…忘れてたのね?」
「すまん…ユイ」
どうやら上下関係がはっきりしているようだ。
「まぁ、いいわ。すぐに会うだろうし」
「…そうかもな。奴はそういう人間だ」
二人はテレビに映るニュースを眺めてそう言った。ニュースでは世紀の大発見を大きく報道していた。
「まったく…月曜日から遅刻しそうだなんてついてないよ」
「誰かが寝坊助なせいね」
絶対アスカが起こしに来なければ遅刻しなかっただろうな…。
「…おはよう」
「綾波!」
「アンタも寝坊したの」
「ううん。碇君を待ってた」
なんて健気でいい子なんだ…。アスカにもその優しさを分けてあげてください。
「オイこら。なんか私とえこひいきを比べたでしょ」
「いや、そんなことは」
「碇君…。アスカも優しい所あるわ」
アスカの制裁を受けながら遅刻ギリギリで僕たちは教室に飛び込んだ。
「おっシンジ。今日も夫婦喧嘩してきたのかい?
「その眼鏡割られたいのかしら」
ケンスケも懲りないなぁ。あっ…またトウジが委員長に説教されてる。大方セクハラでもしたんだろう。
「はーい。席についてー。ホームルーム始めるわよー」
ガヤガヤしていた教室に担任のミサト先生が入って来て静かになる。美人で優しい先生だから生徒からの人気が高いけど、僕やアスカ、綾波は彼女が如何にダメな大人かを知っているので微妙な表情をするしかない。
同じマンションの隣に住んでいて部屋に入ったことあるけど、あんな腐海に住んでて平気なんだろう。さすがに人としてどうかと思うので三人で掃除や家事を手伝っている。
どれだけひどいかって?綾波が「あんな大人になりたくない」と本気の顔でいうくらいひどいよ。
「今日は朝礼があるわよー。転校生と新任の先生の紹介よ」
ミサト先生の言葉にクラスが沸く。
「先生!転校生は女子ですか!?」
「残念。男の子よ」
『ちくしょー!!』
「バッカみたい」
男子の叫びが響く。アスカの罵倒が僕の耳に届く。仕方ないと思うけどなぁ。
「でも、新任の先生は美人よ。レイちゃんに少し似てるかしら?」
即座に朝礼の列を作った僕らのクラスは体育館へ移動する。さすがに綾波に似ているといわれて気にならないとはならない。
校長先生のありがたくも長い話が終わり、転校生の紹介が始まる。名前は渚カヲル。イケメンで多くの男子からとんでもない視線を受けても笑顔でいる鋼メンタル転校生だ。僕と視線があった気がするけど気のせいだよね。
そして話題の先生の説明が始まる。どうやら、海外の大学を飛び級をしてきた凄い人らしい。
その先生は長い髪を雑にまとめた白い肌をした人だった。何処かであったことがある感覚が走る。この感覚を僕らは何度か経験した。何でこの先生に…?
新任の先生は壇上に立ち、顔が見える。体育館にどよめきが起こる。それほどまでに綾波の面影が感じられたからだ。
「はい。というわけで先生になることを強要されたぱち波です。よろしくお願いします」
それだけ言うと踵を返して戻っていった。先生たちも困惑している。
記憶の中にある誰かもこんな適当だったなとシンジは思った。
♢♦♢
視界が揺れる中で瞬きをする。
どれだけ時間がたっただろうか。
まぁ、私が消えていないのでそんなに時間は立ってないと思いますが…。意識がなくなって起きたらまだ体があるんで驚き桃の木山椒の木でしたよ。
さて、どうしましょうか…。このまま一人とか精神が死ぬんですけど。記憶は…ダメだ。ボロボロなのに変わりないや。もう少し眠ろうかな。起きれたら思い出せればいいな。
誰かは棺の中で眠る。時が来るまで。
揺れた視界が開けてきた。
んん…。まだ私は存在してますか…。記憶は…あぁ少しだけ思い出せましたよ。
顔だけですけど。誰かを忘れたままの気がする。
ん…。眠気がひどい…。もう少しで思い出せそうなのに…。
ぱち波は棺の中で眠る。彼女が見つけ出すまで。
自然と目が開く。耳を澄ますと誰かの声が聞こえる。視界は…揺れていない。思い出した。私が忘れたくなかった…私が愛した彼女を
軋むような音を立てて扉がバールでこじ開けられる。扉から指す月明かりが眩しい。
「…やっと…やっと見つけた」
彼女の声が聞こえる。
「…あ…ぁぁ…」
上手く声が出せない。それもそうか。誰かと話すのは久しぶりだ。
「…く…ろ、なみ…?」
「えぇ。ごめんなさい。随分待たせてしまって」
いいよ。君がいるだけで…私はそれで充分だよ。
「そう。なら、堕ちた天使様?人になる覚悟はある?」
もちろん。
そう頷きを返して黒波は私の罪の証を外す。
そして、私は…
懐かしい夢を見ましたね。はぁ~仕事ですか…。恨みますよマリ。あんたの研究室また荒らしてやろうか。冬月先生がいないときに。
「朝ごはんできたよ」
「ありがとう。今行きます」
私は黒波と一緒に暮らしている。流石に紐にはなりたくないんで働きます。ただマリ相談したのは間違いだったみたいですね。
朝ごはんを食べて、身支度をして準備は完了。
「じゃ、いってきます」
「……忘れ物」
はて?なんか忘れたっけ。確認を取るために黒波を見ると目を閉じて顎を少し上げていた。
「ん…。いってきます」
「…♪いってらっしゃい」
かつてかつて偽物の天使は人に焦がれて、翼を失った。世界のルールに背いたからだ。
それでも人を愛し、人になりかけても、人のために世界を壊し、創った天使がいた。
天使は誰にも知られることなく消えるはずだった。
逃げ出そうとも、彼女には翼はないし、彼女を縛る罪があった。
彼女を救ったのは人だった。
それは彼女から翼を永遠に失ってしまう行為だった。
だが、彼女は微笑みを浮かべながら人に堕ちた。
とても幸せそうな顔で。
これが名もなき誰かの物語。
彼女はこの世界で、人として共に生きている。
終劇
最後までこの作品を読んで下さりありがとうございます!皆さんの感想やUAでやる気がつき、完結させることができました。感謝申し上げます。
詳しいことは設定集に乗せたいと思います。
では、またそのうち。