貴方の隣でぽかぽかしていたい(切実)   作:茜色のLily

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しばらくぶりの投稿となります。映画を見てちょっと心肺停止状態でしたが私は元気です。




一応、シンのネタバレ注意です。


日常
ある男の恋路


この世界は特に変わったものは存在しない。エヴァンゲリオンもそれに関係する組織もまた存在しない世界だ。そんな世界にした張本人である人間は普通に生活していた。

 

忘れていた幾つもの存在や記憶を取り戻した。しかしながら、その記憶はぱち波としてあの世界で過ごした記憶である。それ以降の彼女の記憶はとうの昔に消えてしまっている。

 

だが、彼女はそれを受け入れていた。それも人間らしいだろうと微笑みながら。

 

 

 

はい、ぱち波です。自己犠牲を覚悟して世界を救おうとしたのに、普通に生き残ってしまいました。クッソ恥ずかしいです。というか黒波はまだわかるんですけど、マリも私のことを思い出した事に驚きを隠せない。本当にあなたは型破りというか、予測できないというか…。どうせ今も冬月先生を困らせているに違いない。

 

黒波とマリが協力するわ、あの研究室のメンバーまで巻き込みやがった。…これが人間の意志の力だと好意的にとらえておきましょうかね。

 

「…今日は彼らの結婚記念日ですか」

 

ソファーの上でくつろぎながら、脳裏に映し出される懐かしい思い出にふけっていた。

 

 

ここは京都大学の研究室。室長は冬月コウゾウ。そして私が知る人は他にもいる。碇ゲンドウ、綾波ユイ、そして、真希波・マリ・イラストリアス。戸籍や衣食住もすべて用意してもらった対価として研究室で働くことになったんだが、メンツが濃い。

 

ある程度マリが私をサポートしているが正直大学の研究なんて憶えていない。手探りでやっている状態だ。でも、この時期のゲンドウやユイに会えるのは少しだけ新鮮だった。

 

よくユイがゲンドウ君のことを可愛い人と言う。私は髭の彼しか覚えていないため、その感性についていけなかったが今はそうでもない。彼はシンジに似ていたからだ。一人でいるのが好きで、他人と関わることを嫌った。イヤホンをして外界を閉ざす行為にも本当に似ている。

 

そんなものはユイとマリが壊していたけどね。ユイに出会ったことでゲンドウは人生が楽しいと感じるようになった。だからこそ、ゲンドウ君はユイを失った孤独や絶望に耐えられなかった。シンジを見ることができなかった。それが贖罪だと考えて。

 

 

まぁ、これから先ユイがゲンドウの手から滑り落ちることはない。どれ程自分が傷ついたとしても自分からは決してユイの手を離さないだろう。

 

「ぱち波さん!このキャラどっちだと思いますか!?個人的には総受けだと思うんですが!!」

 

 

そのような心構えでなければ彼女の心を射止めることはできないだろうから。

 

いや、言い訳をさせてもらいたい。彼女はサブカルチャーに疎かったらしく私にそのことについて教えて欲しいといわれたんですよ。おそらく、私が雑誌や漫画を読んでいるところを見ていたんでしょう。そういうわけで聞いていたんですよ。

 

そこでですね。ちょっとゲンドウ君の恋心はどのようなものなのか気になってしまったのです(迫真)だから、BLの沼に叩き込みました。最初は男同士の恋愛など可笑しいと遠慮していましたが叩き落しました。まぁ、時代が時代なのでまだ普及していなかったですがこの私にかかればどうということはない。

 

研究室メンバーからはOHANASHIくらい、マリからは襟首をつかまれガックンガックンさせられました。

 

「わんこ君が生まれてこなかったらどう責任取るつもり!?」

 

と割と真面目に怒られました。それを踏まえても私はゲンドウが諦める未来が見えないですけどね。まぁ、彼女の趣味というか生き様を少しでもこちら側にすることができれば、ゲンドウ君の手をすり抜けるようなことはしないでしょう。

 

流石にユイ自身がゲンドウ君の手をやさしく解いてしまったら、今のゲンドウ君はその手を放してしまう可能性があります。そんなことはさせるかとばかりにお節介をしてしまいましたが、これが彼や彼女にとって良いものだと思います。

 

エゴだとしても、本音を伝える間もなく離れてしまうのは悲しいでしょう。

 

さて、この先の彼の恋路を見てみることとしますか。えっ何ですか冬月先生。…この量のレポートを明日まで…?この鬼畜教授!!

 

 

 

 

俺は…一人が好きだった。誰にも関わらずに生きていくことができたなら、孤独を感じることも責任を感じることもないからだ。

 

知識が好きだった。人間関係とは違って一方的に好きなだけ詰め込むことができるからだ。だから、知識をむさぼった。

 

ピアノを奏でることは俺の心の安寧を保った。決められた鍵盤から決められた音が出るこのプロセスが好きだったからだ。

 

俺は一人で生きてきた。過去も現在もそしてこの先もそれは変わらないだろう。そのはずだった。

 

私の人生が変わったのはユイと出会ってからだった。一人で生きてきた私の心を彼女は変えたしまった。その時から私はいつもの生活が初めて楽しいと感じるようになった。今までこの目に映らなかった存在がうつるようになった。うっとうしくも私とユイの関係を取り持ってくれた女性や彼女が所属する研究室の教授。そして諸悪の根源…。

 

そうだ。俺は碇ユイに惹かれている。この気持ちを伝えようと私なりに考えていた。いざ、その言葉を伝えようとしたときに彼女の机からとある書物が置かれているのを見つけた。

 

彼女がどのような本を好んで読むのかが気になった俺はその本を手に取ってページをめくった。

 

 

 

めくってしまった…。

 

 

……あの馬鹿はどこだ…!

 

ゲンドウは激怒した。必ずやかの暴君を殴り飛ばすのだ。ゲンドウは誰かに対して怒りを向けたことがなかった。その点に関してはぱち波もまた、ゲンドウを人と関わらせようとする行為を行っている。つまり、ぱち波の行動はゲンドウの持つ他人と関わることへの恐怖を薄めていると言えるだろう。

 

まぁ、それはそれとして、ユイを腐海の海に沈めた張本人をしばきまわす事を最優先としてゲンドウは行動を開始した。

 

「…あの…なんで私は正座させられているんですか?しかも固い床の上で」

 

「黙れ。自分の胸に聞いてみろ」

 

「…丁度いい大きさだと思っおわー!?」

 

ゲンドウは目の前の生命体に石を担がせた。普通に拷問である。

 

「ちょっ…ゲンドウこの野郎!私が何をしたっていうんだ!!」

 

ゲンドウは無言で石を追加した

 

「おおおおお…!わ、分かった!君が楽しみにしていたショートケーキ食ったことでおこっているの!?それともあれか!?君の水筒の中身を精力ドリンクに入れ替えたこと!?」

 

ゲンドウは無言でr

 

「後半は初耳だ」

 

「えっ、この状態で続けるの?鬼畜かな?」

 

ゲンドウは

 

「噓です!私に慈悲をかけてくれるいい人です!」

 

とりあえず。話し合いを行う状況が整った。

 

「それで?これはどういうことだ?」

 

俺は例の書物を諸悪の根源に見せる。

 

顔を青くして目をそらすぱち波。怒りのボルテージが上がるゲンドウ。

 

 

無言の時間がしばらく続いたところで、ぱち波は降参とばかりに両手を挙げた。

 

「…私なりに彼女の特異性を抑えた結果なんですけどね」

 

「どういうことだ」

 

ユイの特異性?彼女はごく普通の…俺に声を掛けてくれた彼女に特異性…?

 

「綾波ユイの特異性。それは、自分を大切にしていない…目的のために自分を捧げることをいとわない。それこそが自分の生きる意味だと考えている。それが彼女の特異性。…彼女は少し限度がすぎる」

 

「…」

 

「それを抑える為に何かが必要だった。正直、その本は応急処置にすぎないけどね」

 

ユイは…そのような素振りを見せたことはない。いつも優しい笑顔で…

 

「…溜め込むのよ。君と同じで」

 

困ったように微笑む諸悪の根源は、何処か懐かしそうに見えた。

 

「彼女はこのままでは元に戻ってしまう。そうなれば、彼女は自分を愛する術を知ることはない。私たちの前に現れることもない」

 

抱えていた石をおろし、その場に立ち上がるぱち波。彼女の目がゲンドウの目を見る。

 

「君はこの話を聞いてどうする?彼女に同情するのか。気にするなと伝えるのか。彼女の意思を尊重するのか。それとも…君自身が持つ言葉を伝えるのか」

 

…くだらん。なぜ俺がこいつの話に乗る必要があるのだ。そもそも、こいつの話が噓ではない証拠は何処にある?

 

ゲンドウの心の奥でジクリと何かが痛む。

 

ユイに惹かれていたのは事実。しかし、その彼女の特異性を俺に話す理由はなんだ…?俺はただ、ユイの近くにいることが出来ればそれで…っ!

 

ハッとしてゲンドウはぱち波の目を見た。何処かユイに似た目で俺を見ていた。その瞳に俺が写っている。俺を見ている。

 

「…君は…どうする?」

 

ぱち波は再度問いかける。

 

ゲンドウは無言でそれでいて迅速に踵を返し、何処かへ向かう。ドアを開けて一歩、立ち止まりそれを伝えた人間に声をかけた。

 

「…礼を言う。何か見返りはあるか?」

 

「なら、彼女の手を離さないで」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

全く、背中を押すのも大変ですね。まさか、彼女の特異性がこんな形で現れるとは思いませんでした。私もその事実に気が付いた時は大慌てでしたよ。ユイさんをBLに叩き落すぐらいに。正直言って、私が介入した方が絶対に安全ですし、メリットも大きい。

 

それでも、彼女の手をつかむのは私ではない方がいいと思う。

 

彼女の手をつかむのは、不格好で臆病者で不器用な男。

 

昔よりも力強いその腕で、その言葉で彼女を救ってくれると私は信じている。

 

どたどたと研究室に近づいてくる足音が聞こえてきた。きっとマリが事に気が付いたんだろう。さて、怒られる準備をしようか。

 

ふと、窓の外を見ると不格好な男が全力で走っているのが見えた。

 

 

 

どんな障害があったとしても彼は必ず彼女の元へたどり着くだろう。

 

彼は元天使に信じられているのだから。

 

 

 

 

 

 

「…先生。ぱち波先生!」

 

「おう!?」

 

「もう…いつまで寝てるんですか?もう皆出かける準備できてますよ?」

 

ふむ…。どうやら眠っていたようだ。にしても、なぜここにシンジ君達が?

 

「何言ってんのよ。先生が買い物に付き合ってくれるって言ったんじゃない」

 

アスカがあきれたように言い、綾波もうなずいて肯定の意を示している。

 

あぁ、そうか。そうだった。

 

「ごめん。今準備する」

 

「…40秒で支度しな」

 

「無駄に似せてくるのやめてくれます?」

 

黒波は平常運転です。

 

着替えて荷物を持って準備完了。

 

さて、行きますか。

 

 

一つの結末を終えた世界で生きる彼女の物語はもう少しだけ続く

 




ユイの特異性は何かに没頭し、作業をしなければ自身の価値を見いだせないというものです。自身の価値が見いだせず、命を散らしてしまおうかと考えるようになった時期のお話でした。

ユイは何処か危なげない所があると思います。





ネタバレ注意


シン・エヴァの感想

いくつかの考察が当たっていたことはさておき…




ああああああああ!黒波ぃぃぃぃ!!!

鈴原サクラが桜

いい女だぁ…!

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


ゲンドウ!!!!

好き!!!!!





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