戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~ 作:光からの使者
バルベルデから帰国した翼たちにアルカ・ノイズと新型マギアが襲い掛かる。
各々が悩みを抱える中、空間を操るアルカ・ノイズと大型マギアが出現するも、イグナイトモジュールと強化フォームの連携によって撃破されるのであった‥‥
sideサンジェルマン
もう何百年もの昔のことだ。
父は上流階級の人間で奴隷であった母を戯れで手を出し私を生まれさせた。
当然父親からの援助どころか愛情すら与えられない日々を強いられた。
そんなある日かけがえのない母が流行り病に侵されてしまったのだ。
当時の医学は今よりも発展しておらず、ちょっとした風邪でも死に至る。
どうにか母を救ってもらおうと幼かった私は1人父の元へ向かった。
『お母さんを助けてくださいッ!ずっと熱が下がらなくて、すごく苦しそうで‥‥』
『お願いですッ!助けてッ!お父さんッ!』
けれど父は、そんな私の願いを踏みつけた。
『奴隷が私にすり寄るなッ!粉ふく虫の分際でッ!』
『慰みを与えた女の落とし子だ。つけあがらせるな。奴隷根性を躾けておけッ!』
父の周りにいた男たちが私を痛めつけようと、迫る中‥‥
『お待ちになって』
近くで食事をしていたフードを被った女性が父を止めた。
『なんだ貴様?見るからに女のようだが、部外者は口を出さないでもらおうか』
すると彼女はフードを外し、艶やかな紺色の髪に蒼色の瞳を露わにする。
『その女の子と奥さん、奴隷なんだって?聞いていた限り、いらないみたいだし買わせていただけないかしら?』
女性の言葉を聞き父は小馬鹿にするかのように笑う。
『買うだと?そんなみすぼらしい貴様がか?笑わせるのも大概に‥‥』
すると彼女は懐から小袋を取り出すと父に投げ渡した。
父が小袋を開けるとそこには当時最古級品だったルビーが大量に入っていた。
『これだけ渡しても不満かしら?こっちにはまだまだあるけど?』
『うむ‥‥』
しばらく悩んだ後父は露骨に機嫌を良くした。
『ふん…いいだろう。勝手にしろ』
ルビーを受け取った父はすごすごとどこかへ去っていった。
『さぁ、お母さんの所に案内してくださいな』
女性は私の背負って一目散に走り出す。
途中女性の旦那らしき男も拾い、私たちは家に到着した。
『お母さんッ!お医者さん連れて来たよッ!』
病と貧困から骨と皮になるまでやせ細っていた母を女性の旦那が診断する。
『問題ないね、かなり衰弱しているが。■■、薬草は余っていたね大量に』
『ええ、■■■。手持ちの薬草できっと治療できるわ』
私は無我夢中で2人に頼む。
『お願いですッ!どうか、お母さんを助けてくださいッ!』
2人は一瞬お互い見つめるとすぐさま私の方へ顔を向ける
『絶対に助けるわよ、わたしたちの眼の前で死なせはしないからッ!』
『もちろんだとも。決して安くはないからね、命の価値は』
‥‥懸命な治療によってお母さんは奇跡的に一命を取り留め、次第に回復していった。
その後、父から買い取られた私とお母さんは、父の支配が届かない場所に家を構え静かに暮らすことができた。
母の容態が安定するまで2人も居てくれて、その間に文字を教えてくれた。
介護の合間を縫って教養を身に着けることができた。
そして数日後‥‥・
『本当に行ってしまうのですか?』
『うん。本当はもっと此処に居たいけど、私たちはやらなければならないことがある』
『‥‥やらないといけないこと?』
『救うのさ、この世界を。僕たちの錬金術で』
この時初めて錬金術という存在を知ったのだ。
そして■■■は私に一冊の分厚い本と居場所を示した紙を渡す。
『僕たちは抗うのさ、神に。そして大きくなったら協力してくれないか?君の錬金術で』
ラピス‥‥。錬金の技術は、強者から弱者を救うために‥‥‥
~side ラセツ~
私は昔から自分が嫌いだった‥‥
いつも救える命を取りこぼし、のうのうと生き恥を晒して生きて来た。
この世に生を受け、物心ついた時には親の顔すら見たことがない。
そんな私を哀れんだのか、後生の師とも言える養父に引き取られ愛情、時のは厳しさを教えられる日々を送っていた。
『先生ッ!本日の鍛錬、達成いたしましたッ!』
『うむ、日に日にお前の剣は輝きを増している。もっと精進するのだ』
『はいッ!』
どうやら剣術の才があった私は養父から教わった【悪を挫き、正を成す】技の数々を習得していった。
それから数年後、私は養父から一人前と認められ、正式に今の警察にあたる職に就くことを言い渡された。
そして出向する際に父はこう告げた。
『よいか、お前の剣の腕は確かだ。だが、それを必ず善に使え、決して血に塗らせてはならぬ』と
しかし‥‥
ある時私は、山賊に拐された少女を救うべく。軍を率いて進んだ。
幸いなことに山賊自体は強くなく、鎮圧自体はスムーズに行われていく。
『はあッ!!』
砦の中を走り抜け、最後の救出対象の少女を発見した。
悪臭漂う牢獄に、暴行され酷く衰弱しており瞳にはもはや光が宿ってすらいなかったのだ。
『もう大丈夫だ。さあ、早く‥‥うッ!?』
少女を見ると手に白骨化した死体の手が握られていた。
‥‥考えたくなかった。いや考えてはならなかった。
今少女の手に握られている死体は‥‥彼女にとって最も親しかった人間のものだろうと‥‥
私は眼を
だが、それが最悪の選択肢をとってしまったのだ。
再び少女に目を向けると、彼女は自らの首を隠し持っていたナイフで斬り、自殺してしまったのだ。
『救えなかった‥‥・私が‥‥眼を離してしまったばかりに‥‥‥』
だが、それに追い撃ちを懸けるかのように最悪なことを知ってしまった。
事件を振り返える中で、軍部‥‥いや政府の高官がずっと山賊たちと繋がっており、悪行の数々を起こしていたのだ。
私はそれを告発したが、聞き入られず逆に、陥れ軍を追われた。
(‥‥純粋な少女の命を奪ったのは誰だ。それでいてのうのうと腐り者が生きている。法で裁けぬのなら、この輪私が‥‥ッ!)
自らの手で悪臣を始末した私は、誓った。
もはや血に染めた瞬間、私は人ではなく『悪鬼』そのものになったのだと
そして『羅刹』こそ私が呼ばれるべき名なのだと‥‥
sideバリュエル
「早くママに会いたいな~~」
ティキがベットの上でプラプラしている中トドロキとリーパーは話し合っていた。
「おい、ラセツとアルセーヌはどこだ?」
「彼女たちなら、我々のキーの最終調整をしている最中だ」
「キャロルやアズのお陰で、随分と捗らせてもらった。後は、…」
するとリーパーはスタスタとどこかへ向かおうとしていた。
「何処へ行くつもりだ?まさか、完成まで待てないのか?」
「ああん?ちげえよ、ちょっとばかりからかって来るだけさ。アルセーヌにも伝えろ」
そういってリーパーはドアを開けて去っていく。
「行ってらっしゃーいッ!」
sideS.O.N.G.
現在響たちは、バルベルデドキュメントを解読するべく、長野県松代へとやって来ていた。
「先の大戦末期、旧陸軍が大本営移設のために選んだここ松代には、特異災害対策機動部の前身となる非公開組織――風鳴機関が置かれていたのだ」
「‥‥風鳴機関‥‥?」
当時資源や物資が乏しかった日本の戦局を覆すべく、いち早く聖遺物の研究が行れてきた施設
通称『風鳴機関』である。
天羽々斬の他、同盟国であったドイツからもたらされたネフシュタンの鎧やイチイバル。そしてガングニールであった‥‥。
「バルベルデで入手した資料は、かつてドイツ軍が採用した方式で暗号化されていました」
暗号を解読するためにはこの風鳴機関に備わっている解読器にかける必要があったからだ。
当然、風鳴機関の周辺警戒を最高レベルの警戒体制を敷いている。
当然理解を示していた翼であったが、どうしても納得できないことがあった。
「ですが‥‥退去命令でこの地に暮らす人々に無理を強いるというのは‥‥」
「護るべきは人ではなく国・‥‥」
「人ではなく‥‥?何故ですか?」
雅人は弦十郎に聞いた。
「‥‥少なくとも『鎌倉』の意思はそういうことらしい。難度の高い複雑な暗号だ。亡くんや了子くんの協力があってもその解析には、それなりの時間を要するだろう」
「わかりました。ブリーフィング後、雪音、立花を伴って周辺地区に待機。奏、雅人も別周辺地区にて警戒任務にあたります」
「うむ。」
~side マリア、セレナ、切歌、調~
「9時方向異常なし」
「12時方向も異常――あああああッ!」
切歌の望遠鏡が畑で作業をしている人であろう後ろ姿を捉えた
「あっちにいるデスッ!252ッ!れっつらごーデスッ!」
「真似してみたいのは分かるけど、切ちゃん、それは――」
調の言葉に気づいていない切歌は人影に駆け寄り避難するよう呼びかける
「早く此処から離れて――」
しかし人影の正体はまさかの案山子だった。
「――って、怖ッ!」
「最近の案山子はよくできていますからね‥‥。騙されるのもしょうがないですよ」
何故マリア達がこのようなことをしているかと言うと、彼女たちはバルベルデにて最後のLiNKERを使いきってしまったためである。セレナもそんな彼女たちの付き添いをしていたのだ。
「LiNKERの補助が無いわたしたちにできる仕事は、このくらい‥‥」
「今は住民が残っているのかを全力で見回るのデスッ!」
「でも、力みすぎて空回りしているわよ?」
「‥‥正直、何かやってないと、焦ってワチャワチャするデスよ‥‥」
「姉さん、暁さん‥‥」
「よしッ!任務再開するデスよッ!」
気を引き締めて張り切る切歌が走り出そうとしたその時‥‥
「あッ!?」
「切ちゃん、後ろ・‥‥」
「‥‥ん?わぁッ!」
知らず知らずのうちに切歌は篭を背負っていたお婆さんとぶつかってしまう。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさいデスッ!」
マリアはお婆さんに手を貸して、起き上がらせた。
「いやいや、こっちこそすまないねぇ」
「政府から退去指示が出ています。急いでここを離れてください」
「はいはいそうじゃね。でもトマトが最後の収穫時期を迎えていてね」
そういうとお婆さんは篭から新鮮なトマトを取り出す。
「わあ‥‥」
「美味しそうデスッ!」
「美味しいよぉ、食べてごらん」
お婆さんに勧められるまま、切歌は即座にかぶりつく。
「ん――ッ!美味しいデスッ!?調とセレナも食べるデスよッ!」
そう言われ切歌から手渡された調とセレナも、トマトを頬張る。
「いただきます。あむ‥‥ホントだ。近所のスーパーのとは違う‥‥!」
「何というか、フルーツみたいに甘くて尚且つみずみずしさを感じますね‥‥」
思わず3人はトマトに夢中になっていた。
「‥‥あ、あのね、お母さん‥‥」
マリアがお婆さんに再度話を伝えようとしたその時
「ヒャッハーーーッ!み~つけたッ!」
振り向くとリーパーとアルセーヌ姿を見せていた。
4人はお婆さんを守るように立つ。
「おや、『例の3人』ではなく、カラフル団子4姉妹でしたか」
「カラフル団子とは、どういうことデスかッ!」
「そのままの意味さ、怒らせてちゃったかな?でもロクにギアを纏えないお前らを相手なんかにしてもねぇ‥‥」
露骨に4人を挑発するリーパー。
すると調と切歌はギアペンダントを握りしめる。
「そんなに言うのならッ!」
「目にもの見せてやるのデスよ!」
「月読さんッ!暁さんッ!落ち着いてください!」
「そうよ、挑発にのらないッ!今日はわたしたちにできることを全力でやるんでしょうッ!」
「やはり満足に戦ないのか。ならば、信号機が点滅する前に片付けるとしよう!」
2人はアルカ・ノイズをばら撒き、お婆さんを背負った4人を追跡する。
「マリアッ!もっと急ぐデスッ!」
「くッ‥‥」
「こんな奴らに背中を見せるなんてッ!」
すぐ後ろにまでアルカ・ノイズ軍団が迫る。
しかし空からボウガンが降り注ぎ、次々とアルカ・ノイズを殲滅していく。
なんとクリスがミサイルに乗り、雅人はフライングファルコンで駆けつけたのだ。
「助かったデスッ!憧れるデスッ!」
「後はお願いッ!行きましょう」
アルカ・ノイズとバリュエルの錬金術師を2人に任せマリア達は戦域から離脱する。
『クリスちゃん、雅人さん現着ッ!』
『そのまま交戦状態に移行ッ!』
『錬金術師は破格の脅威だッ!まずは翼たちの到着を待って―――』
「そうも言ってられなさそうだ」
錬金術師たちはクリスの乗るミサイル目掛け、ナイフ形光弾を打ちまくり破壊する。
「会いたかったぜッ!血が高ぶって仕方ねえッ!」
クリスはボウガンを放ちながらリーパーの弾幕を潜り抜ける。
しかし砂煙を利用しリーパーはクリスの背後をとる。
「焦ってんのか?その隙が――命取りにッ!」
「ああ、誘い水に乗って隙だらけだ」
「なッ!?」
砂煙に紛れ、とっくに合流していた響がリーパーの懐へと迫る。
「せりゃああああッ!」
そして強烈な肘鉄を叩き込む。
「内なる三合、外三合より勁を発す、これなる拳は六合大槍、映画は何でも教えてくれる!」
「映画見ただけでそれほどまで強くなるの?」
雅人と対峙していたアルセーヌは距離をとるべく離れるが行く道を何かに阻まれる。
「こんなところに壁なんてあったかしら?」
「壁呼ばわりとは不躾な。剣だ!」
「それに槍もいるぜッ!」
奏がアタッシュランサーを振り下ろすが咄嗟に避ける。
「信号機に野生生物がうじゃうじゃと‥‥!」
『私の指示を無視して遊ぶのはここまでよ?』
突如、脳内にラセツからの声が響き渡る。
「‥‥仕方ない。今日はこのくらいにしよう」
「次ぎ会う時は、しっかりとした衣装で舞踏会にお招きしよう。ciaoッ!」
そう言い残しテレポートジェムを割ってどこかへ姿を消した。
sideマリア、セレナ、切歌、調
錬金術師の魔の手から逃れたマリア達はお婆さんを、避難所である小学校へ送り届けた。
「ありがとねぇ」
「いえ‥‥」
「お水持ってくるデスッ!」
「待って切ちゃん!わたしも一緒に」
「暁さん、月読さん、確かあっちにお水の場所があった筈なので案内しますね」
マリアを除いた3人はお水を貰いに走っていく。
それをお婆さんは微笑ましい様子で見ていた。
「フフ、元気じゃのう」
「お母さん、お怪我はありませんか?」
「大丈夫じゃよ。むしろあんたらの方が疲れたじゃろうに。わしがグズグズしていたせいで、迷惑をかけてしまったねぇ」
「いえ‥‥私たちに護る力があれば、お母さんをこんな目には‥‥」
落ち込んでいるマリアを察してかお婆さんは篭から先程同じくトマトを取り出す。
「そうじゃ。せっかくだから、このトマト、あんたも食べておくれ」
「わ、わたし、トマトはあまり‥‥」
けれどもお婆さんからの好意を無下にできずマリアはトマトを口にする。
「甘いッ!フルーツみたいッ!?」
「トマトを美味しくさせるコツは厳しい環境においてあげること――」
「ギリギリまでお水を与えずにおくと自然と甘みを蓄えてくれるもんじゃよ」
「厳しさに枯れたりしないのですか?」
「むしろ甘やかしすぎると駄目になってしまう。大いなる実りは、厳しさを耐え抜いた先にこそじゃよ」
「厳しさを耐えた先にこそ」
「人間もトマトも、きっと同じじゃよ」
~sideS.O.N.G.~
風鳴機関の解読器を用いても解読には難航を示していた。
すると1通の通信が入る。
「司令。鎌倉からの入電です」
「直接来たか。繋いでくれ」
鎌倉からの通信に弦十郎が応対すると、威厳のある老人の声が響く。
『風鳴機関の使用は、国連へ貸しを作る特措だ。だが、そのために国土安全の要を危険に晒すことなどまかり通らん』
「無論です」
『身を潜めた儂が言うのもなんだが、これ以上夷狄を踏み荒らせるでないぞ。この国の未来は其方たちに掛かっているのだからな』
そう言って老人は通話を切った。
「流石にお冠だったな」
「それにしても司令‥‥ここ松代まで追ってきた敵の狙いは一体…」
「狙いはバルベルデドキュメント。または装者たちの決着。あるいは‥‥」
「友里さん」
「あったかいもの、どうぞ」
「デースッ!」
「あったかいもの、どうも。なんだかいつもとあべこべね」
解析を進めていく中、マリアはエルフナインにも暖かいコーヒーを渡す。
「調べもの、順調かしら?」
ふとエルフナインが見ていたモニターの画面を見て、驚く。
「これ、もしかして――」
エルフナインが見ていたのはF.I.S.の過去データだった。
「はい。少しでも早くLiNKERの完成が求められてる今必要だと思って…」
「私たちの忌まわしき想い出ね。」
「フィーネの器と認定されなかったばかりに適合係数の上昇実験にあてがわれた孤児たちの記録…」
~F.I.S.蜂起前~
月の落下から多くの命を救うために、マリア達やナスターシャ教授を始めとしたF.I.S.はシンフォギアの適合係数を上げる日々だった‥‥
『う、ううう‥‥うわあああああッ!』
マリアもアガートラームではなく、黒いガングニールを纏っていたが、低い適合係数のために長時間纏うことはできなかった。
『無理よマム…やっぱり私は…セレナみたいになれやしない…』
『マリア。ここで諦めることは許されません。悪を背負い、悪を貫くと決めたあなたは苦しくても、耐えなければならないのですッ!』
自信を無くし何度も打ちひしがれそうになったマリアをナスターシャ教授は喝を入れる。
~現代~
「‥‥マム‥‥どうしたらいいの…」
そんな時突如、S.O.N.G.のアラーム音が鳴り響く。
「多数のアルカノイズ反応!場所は松代第三小学校付近から風鳴機関へ進行中です!」
出現場所を聞きマリア達は耳を疑う。
「トマトお婆ちゃんを連れて行った場所デスッ!」
「姉さんッ!」
「ええッ!」
LiNKERもなしに飛び出そうとする彼女たちの行く手を弦十郎が阻む。
「む‥‥どこへ行くッ!」
「敵は翼たちに任せるわ。私達は民間人の避難誘導を!」
自分たちのできることをしようとするマリアたちを弦十郎は送り出す。
「‥‥わかった。無茶はするなよッ!」
~side 響、翼、クリス、雅人、奏~
松代小学校から風鳴機関への周辺にはアルカ・ノイズの大軍団がごった返している。
「これでだけの数――」
「暴れられたらどんな被害があるかたまったもんじゃない‥‥」
「ああ、先に行かせてたまるかよッ!」
「猶予はない…刹那に薙ぎ払うぞ」
「よしッ!抜剣だッ!」
「「「「イグナイトモジュール抜剣ッ!」」」」
”Warning,warning. This is not a test!
ハイブリッドライズ!シャイニングアサルトホッパー!
"
オーバーライズ!レディーゴー!アサルトウルフ!
"
装者たちはイグナイト、ライダーたちは強化フォームを解放し勢いよく戦い始める。
最大火力の前に出現したアルカ・ノイズの大軍団と言えども瞬く間にその数を減らしていく。
「抜剣‥‥待っていたぞッ!」
「流石は、イグナイト…想像以上の火力」
「生身では歯が立たなさそうだ」
「そうね。だからこそこの手には、幾多にも輝く勝機があるッ!」
ラセツ、トドロキ、リーパー、アルセーヌの4人の腰には宝石のように輝くドライバーが巻かれる。
【ジュエルドライバーッ!】
そして4人は宝石のように輝くプログライズキーを起動させる。
Bladeッ!Smashッ!Deathッ!strangeッ!
【ビーストライズッ!】
獣たちがラセツたちを包み込み、装甲へと変わっていく。
そして4人はそれぞれ『黒き鎧武者』『真紅の竜人』『銀の毒蛇』『橙の怪盗』へと変貌する。
「な‥‥あれはッ!」
「まさか――ファウストローブッ!?」
「いや‥‥
響たちが驚いている中クリスはラセツ達に銃口を向ける。
「ノイズばっかで飽き飽きしていた所だ、相手になってやるッ!」
「推して参るは風鳴る翼ッ!この羽撃きは何人たりとも止められまいッ!」
両手に握ったアームドギアから炎を放出し、自身を青い火の鳥と化して錬金術師たちへ突進する。
「鴨が葱をしょって来るとはまさにこのことだなッ!」
リーパーが翼の剣に向けて短剣を投げつける。
すると突如ギアに異変が起きる
「―ッ!?ギアがッ!?あああああッ!」。
なんとイグナイトモジュールが解除され、そのまま撃ち落とされてしまった。
「――翼さんッ!?」
「翼ッ!?お前ッ!翼に何をしたあああああッ!」
勢いよくリーパーに迫ろうとする奏だったが、アルセーヌが立ちふさがる。
「そこをどけッ!」
アタッシュランサーを振るいアルセーヌに立ち向かうが悉く躱されてしまう。
「足元が疎かよ、セニョリータ天羽」
アルセーヌは、レイピアでアタッシュランサーを弾き、蹴りを叩き込んで沈黙させてしまう。
「よくも先輩をおおおおッ!」
すぐさまボウガンを構えるクリスの目前にトドロキの巨体がそびえ聳え立つ。
「しまッ‥‥懐に‥‥・ッ!」
無慈悲にもトドロキの『レックステール』が炸裂し、イグナイトモジュールが解除されたまま壁に打ち付けられてしまった。
そしてラセツは鋭い羽根弾を雅人と響目掛けて放つ。
辛うじて雅人が羽根弾を撃ち落とすも、続けざまに斬撃が2人を襲う。
「「うわあああああッ!」」
辛うじて雅人は変身を解除されなかったものの響のイグナイトモジュールは解除されてしまう。
「ジュエルドライバーとスピリッツライズキーの融合。『プロテクトビースト』‥‥賢者の石とは異なる秘奥」
「その錬成にはチフォージュシャトーで解析した世界構造のデータ並びに戦闘データを応用‥‥もとい活用させてもらった」
傷つきながらも響はラセツに言う
「あなた達がその力で誰かを苦しめるというなら…私は…」
「響‥‥」
「苦しめる?否、積年の大願は善なる世界。誰もがまっとうに生きられる世界を作るのに他ならないッ!」
「誰もがまっとうに生きられる世界?だったらちゃんと理由を聞かせてよ‥‥」
「それが、誰かのためならば、きっとわたしたちは――手を取り合える」
「‥‥手を‥‥取り合う‥‥」
響の言葉にラセツの脳裏にはかの日サンジェルマンが自分へ手を差し伸べた光景を思い出す。
彼女が眩しく見えたあの日が‥‥
「…簡単に言うな‥‥。その正義が‥‥私にとっては眩しすぎるんだあああッ!!」
ラセツは手の持った剣『ムラサメ』を響目掛けて振り下ろすが、雅人のオーソライズバスター アックスモードがギリギリのところで防ぐ。
「そうは・・・・させないッ!」
「邪魔をするな仮面ライダーッ!」
何とか響たちからラセツを引き離した雅人は彼女に立ち向かう。
~side 雅人~
「平和な世界を望むならどうして紛争地にアルカ・ノイズをばら撒いたッ!そのせいで、どれだけの人が犠牲になったのかわかってるのかッ!?」
「ああ。だがそれも必要な犠牲だ」
『必要な犠牲』、ラセツが放った言葉に雅人は激怒する。
そしてラセツは続けざまに告げる。
「我々はそれを承知の上で活動してきた、お前たちが『手を取り合う』などと言った生半可な覚悟とは――」
しかしその言葉が雅人の怒りをさらに煽り当てた。
「ふざけるなぁッ!!」
怒りに身を委ね、雅人は一心にオーソライズバスターを振るう。
ルナアタック事変、フロンティア事変、魔法少女事変と言った数々の修羅場をくぐり抜けてきた。
何度も命の危機に瀕しながらも雅人は少女たちと絆を深めながら、手を伸ばし掴みとってきた。
だがラセツはそれを生半可な覚悟と言ってのけたのだ。
傷つきながらも敵であった人物とも繋がろうと手を伸ばし続けてきた少女『立花響』を知っている。
だからラセツの発言を到底許せるはずがない。
「はあああーーーッ!」
「くッ‥‥」
じりじりと後退するラセツだったが、怒り任せの攻撃を冷静に見切ったラセツは瞬時に剣技を叩き込む。
そしてゼロワンの胴体に痛烈な一撃を炸裂させる。
大きく吹っ飛ばされ、壁に叩き付けられ変身も解除される。
「人と人が繋がり合うなど夢のまた夢‥‥その身をもって学ぶといい」
ラセツは銀色に光るプログライズキーを手に近づく。
飛電メタルズアビリティ!
オーソライズッ!プログライズッ!
メタルライズッ!
飛電ゼロワンドライバーから大量のバッタが宙を舞い、雅人の身体へと纏わりつく。
~???~
「はあ‥‥はあ‥‥ここは‥‥?」
気が付くと雅人の意識は赤黒く禍々しい空間で目を覚ます。
所々で負を連想させる文字が近づくや床がドロドロに溶け始める。
すると溶け始めた床が幾つもの人型となって雅人に掴みかかる。
「な‥‥ッ!」
雅人を捕まえた人型はそのまま彼を暗黒空間へと引きずり込んでいく。
(い、いしき‥‥が‥‥沈、、、、む、、、、、)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~
Secret material! 飛電メタル!
メタルクラスタホッパー!
It's High Quality."
白銀に煌めく金属質の身体が禍々しく立ち尽くす。
仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパー
『鉄の蝗害』 再び
・設定集
『ジュエルドライバー』
錬金術師協会のファウストローブが賢者の石・ラピスフィロソフィカスを媒体に
形成しているのに対してジュエルドライバーは『ラピス・スピリチュアル』云わば
パワーストーンの宝石が組み込まれたドライバーである。
万能と呼ばれる賢者の石と比較すると下位互換以上、上位互換未満の力である。
しかしファウストローブ同様神聖なパワーストーンを組み込んでいるため
イグナイトモジュールにとって天敵なのは変わりない
現在ジュエルドライバーを持つのは、バリュエル光明結社幹部の4人のみ
また、同じくドライバーでも個人に合わせた色と性能にカスタマイズされている。
『スピリッツライズキー(バリュエルver)』
今まで蓄積して来た戦闘データから新たに造られた第2世代のプログライズキー。
それぞれの状況に応じてプログライズキーを変える必要がないように調整された
これらのキーはハイブリッドライズが出来ないという特徴がある。
代わりにそれぞれの基本スペックが高く、専用武装やアビリティによる特殊能力
といったものが今までのプログライズキーよりも強力である。
全身を覆う完全装甲である故に変身時の負担も倍近くなっており、
装着者が扱いきれない場合は獰猛な生物の精神に乗っ取られ暴走する可能性も高い。
これらの理由により第2世代とは呼ばれるも、
第1世代プログライズキーの完全な上位交換とは言えない状態である。
・『プロテクトビースト』
シンフォギアともファウストローブとも異なる第4の兵装。
プログライズキーを使う点では仮面ライダーと類似するが、第2世代プログライズキー
を使用する点や全身装甲を纏う点などから仮面ライダーとは異なる
デザイン原案
『火力万能主義』様
次回予告
遂に姿を見せたメタルクラスタホッパー。
装者たちの危機にファウストローブを纏ったサンジェルマン達も駆けつけるが、白銀の矛先は彼女たちへと向けられる。
次回『俺は●●●で仮面ライダー‥‥?』
無情な蝗が全てを喰らい尽くす
本小説版LOST-SONG編、読んでみたい?*XV編後
-
勿論ッ!
-
う~ん・・・