戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~   作:光からの使者

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前回のあらすじ
メタルクラスタによって錬金術師たちが絶体絶命。
しかし敵のボス イヴ・ヴァイスハウプトによって風鳴機関が崩壊するのであった‥‥

*クリス、誕生日おめでとう!(大遅刻)


探せッ!記憶の果てまで

~side S.O.N.G.

何とか辛うじて、イヴ・ヴァイスハウプトの魔の手から逃れた一同。

しかし風鳴機関があった場所には真っ赤に抉り取られていた。

 

「バカな‥‥ッ!?風鳴機関が跡形も無く‥‥」

 

意識を取り戻した響は、周囲の状況を確認する。

 

「マリアさんたちはッ!?それにサンジェルマンさんたちもッ!」

 

マリア達は居るもののサンジェルマンたちの姿はない。恐らくテレポートジェムで既に撤退したのだろう。

 

「しっかりするデスよ、マリア!奏さん!」

 

「生き‥‥てる…?」

 

「ああ…辛うじてだけどな‥‥だけど、それよりも‥‥」

 

満身創痍の奏は雅人の方に目を向ける。

あれだけの猛威を振るっていたメタルクラスタホッパーの変身を解除された雅人は息を荒くし倒れていた。

 

「あの銀ピカ野郎に変身させられてからアイツの様子がおかしかったぞ。あんなのゼロワンじゃねぇ、別の何かだ…」

 

 

~翌日 S.O.N.G.発令室

 

「敗北だ!徹底的にして完膚なきまでに!」

 

「ついに現れたバリュエル光明結社統制局長イヴ・ヴァイスハウプト…そして」

 

「錬金術師どものプロテクトビースト‥‥ッ!」

 

翼は初戦で自身の身に起こったことを語る

 

「打ち合った瞬間にイグナイトの力を無理矢理剥がされたようなあの衝撃は…」

 

「ラピス・スピリチュアル‥‥、恐らく賢者の石ラピス・フィロソフィカスの亜種だと思われます」

 

「亜種?」

無事に回復した雅人がエルフナインへ問いかける。

 

「はい。賢者の石は完全を追い求める錬金思想の到達点にしてその結晶体…病をはじめとする不浄を正し焼き尽くす作用を持って浄化する特性を持っています。」

 

「一方でラピス・スピリチュアル別名ラピスSは、云わばパワーストーンのような物。賢者の石と同格の力を持つ石と獰猛な生物の精神を入り混ぜた完全武装の前にイグナイトモジュールのコアとなるダインスレイフの魔力は成す術もありませんでした」

 

「とどのつまりはイグナイトの天敵…この身を引き裂かれんばかりの衝撃は強制解除によるもの…」

 

「決戦仕様であるはずがこっちの泣き所になっちまうのか!」

 

行き場のない怒りを募らせる一方で響は別のことを心配していた。

それは負傷したマリアたちのことである。

 

「東京に搬送されたマリアさん達は大丈夫でしょうか…」

 

「精密検査の結果次第だけど奇跡的に大きなダメージは受けてないそうよ」

 

しかしエルフナインは友里からの報告にふと不思議に思っていた。

(LiNKERを介さないギアの運用…ましてやイグナイトによる体への負荷)

 

(絶唱級のバックファイアを受けてもおかしくなかったはず…)

 

「シュララ?」

 

思考を深める中、弦十郎は一同に報告する。

「風鳴機関本部は現時点を持っての破棄が決定した!各自撤収準備に入ってくれ」

 

「バルベルデドキュメントを解析できてれば状況打開の手掛かりがあったのかな…」

 

各々が撤収準備を進める一方で緒川は弦十郎にこっそりと伝える。

 

「――ッ!?司令。鎌倉より招致がかかりました」

 

「絞られるどころじゃ済まなさそうだ」

 

side 亡 了子

研究室にて今回の戦闘データをバルベルデで入手したデータと共に解析していた。

 

(あの時、オペラハウスから手に入れた鉱石は、恐らく飛電メタルの素になる金属‥‥)

 

つまり手に入れた鉱石を基にアークがメタルクラスタホッパープログライズキーを製造したのだろう。

ゼロワンを自らの支配下に置いて内部から崩壊させるために

了子がゼロワンドライバーに他のプログライズキーを翳すも全く反応を示さない。

 

「駄目ね、うんともすんとも言わないわ」

 

「やはりそうでしたか。そうなると‥‥」

 

アークの悪意に対抗するための秘策『プログライズホッパーブレード』の開発が必要である。

しかしあの剣を作るためにはヒューマギアの『善意のデータ』が必要不可欠であった。

ヒューマギアがほとんどいないこの時代において、善意のデータを集めるのは限りなく不可能に近かい。

 

(一体どうすれば‥‥)

 

自身に内蔵されている人工知能で演算する亡。ふと、了子が机の上に並べていた『シェイクハンディングガングニールプログライズキー』と奏が『ガングニルバルカン』となったことに気が付く。

 

(そういえば、何故奏さんはシンフォギアと仮面ライダーの力を両立できたのでしょう‥‥?)

 

聖遺物の力をプログライズキーに搭載することは出来るが、シンフォギアとのデュオレリックは全く未知の出来事であった。先の『アルゴス事変』の際にマリアはヘルメス神に己の想いを示して認められたという。

 

(マリアさんから聞いたら、仲間を信じるということがデュオレリックの発現に繋がったと言っていましたね…)

 

『仲間を信じる』それは善意に他ならない。

恐らく奏がLiNKERも無しに『ガングニルバルカン』となれたのはもしかしたら、善意が関係あるのかもしれない。

 

(善意が聖詠に宿るならば、きっと歌にも!)

 

「了子さんッ!」

 

「あら、亡ちゃんどうしたの?」

 

「了子さんに手伝って欲しいことが――」

 

亡は、ひそひそと思い立った考えを耳打ちする。

 

「‥‥なるほどねぇ!アナタの仮説が正しければ暴走の克服だけじゃなくてバリュエルに対する解決策にもなるかも、弦十郎君にも相談してみるわ」

 

「では、連絡は私の方でつけて起きます」

 

「頼んだわよ」

 

こうして了子は弦十郎にこの出来事を伝え、亡もプログライズホッパーブレードを製作するべく密かに連絡を取るのであった‥‥

 

 

 

 

 

~side サンジェルマン カリオストロ プレラーティ~

装者たちを無事に逃がしたサンジェルマンたちは潜伏先のホテルにて局長のアダムと連絡を取っていた。

 

「とにかく、だ。こちらでも調べてみるよ。バリュエル光明結社の動向についてはね」

 

「お願いします。こちらでも引き続き調査と対策を検討します」

 

「頼んだよ」

 

そう言ってサンジェルマンは受話器を降ろし、ほっと息を漏らす。

 

「ちょっと大丈夫?サンジェルマン」

 

「元副長に会ってから様子がおかしいワケダが‥‥」

 

「‥‥大丈夫よ、何も問題ないわ」

 

平気そうにしているサンジェルマンだが、内心では深いショックを受けていた。

病気を患っていた母の命を救い、自分らの親権を父から買い取った云わば命の恩人の1人が裏切り者たちを率いるボスだったのだから。

しかしグッと堪えサンジェルマンはプレラーティとカリオストロに告げる。

 

「‥‥2人とも。ラピスを出しなさい」

 

「ど、どうしたの、怖い顔して?」

 

「藪から棒なワケダ」

 

「いいから出しなさい」

 

彼女に言われるまま2人は渋々ラピスを渡す。

 

「‥‥はいはい」

 

「お見通しというワケダね‥‥」

 

受け取ったラピスを確認しサンジェルマンは顔を険しくする。

 

「やはり、さっきの攻撃でラピスに損傷を‥‥」

 

「アークの悪意を圧縮した一撃、流石に無傷とはいかなかったワケダ」

 

「これくらいなんともないわよ」

 

「ああ、誤差範囲というワケダ」

 

楽観的な2人に対しサンジェルマンは厳しく告げる

 

「完全存在を生み出す触媒たるラピス・フィロソフィカス。損傷を負った状態で十分に機能するとでも?」

 

「これではファウストローブを纏うのは無理そうね」

 

「そ、それは‥‥そうだけどさ」

 

「ではどうしろというワケダ?」

 

「ラピスの修復が完了するまで、協会に戻っていなさい」

 

プレラーティとカリオストロはサンジェルマンからの言葉に納得できないでいた。

 

「そんな?サンジェルマン1人でどうするつもりよ?」

 

「我々なら、まだ戦えるワケダ!」

 

「そうよ、ファウストローブなんて無くても!

 

しかしサンジェルマンは容赦なく告げる。

 

「今日の戦いでわかったでしょう?あの相手達に生半可な戦力ではむしろ足手纏いよ」

 

「ラピスを使えないあなた達では、無駄死にするだけ。これは命令よ」

 

それだけ伝えるとサンジェルマンはそそくさと去っていくのであった‥‥・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side プレラーティ&カリオストロ

 

「サンジェルマン‥‥急にどうしたというワケダ‥‥?」

 

「いきなり足手纏いなんて、流石に酷すぎるわよ‥‥」

 

カリオストロは自分たちのラピスが破損することとなったあの時を思い出す。

 

「そもそもラピスが損傷したのだってサンジェルマンが――」

 

「言うな。庇ったのは我々の判断なワケダ」

 

悪態を突こうとしたカリオストロをプレラーティが宥める。

 

「それはそうだけど‥‥。だからって、あの言い草、ちょっとつれなさすぎるんじゃない?」

 

「まぁ、それは同感なワケダが‥‥」

 

「どうする?言われた通り協会に戻る?」

 

「それでは状況次第で誰かほかの者が代わりに派遣されかねないワケダ」

 

かと言って2人としてもサンジェルマンに役立たずと言われる立場に甘んじるつもりはない。

現状としては壊れたラピスの修理に専念せざるを得ない。

 

「‥‥サンジェルマン、バルベルデの時もそうだけど、ラセツに会ったり元副長に会ったら何か様子がおかしかったけど‥‥大丈夫かな?」

 

「確かに‥‥。だが、我々には伺いしれないワケダ」

 

「信頼されてないのかしらあーしたち」

 

「そうではないと、信じたいワケダ‥‥」

 

数百年の時を生きる錬金術師たちの間にも、人知れず溝が深まりつつあった‥‥・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side サンジェルマン

外を歩っていたサンジェルマン。そんな彼女の前に音を鳴らす電話が出現する。

そして彼女は受話器を取り話し始める。

 

「どうかな。首尾は?」

 

「はッ‥‥それが、想定外の乱入者の登場もあり、難航しています」

 

「ふむ。次々と起こるものだね、計算外のことが」

 

「申し訳ございません」

 

しかし電話相手のアダムは咎めず、サンジェルマンに告げる。

 

「勝てるかい?君たちだけで。その、プロテクトビーストに、ボクの妻に」

 

「それは‥‥」

 

即座に勝てるとは言い難かった。敵に回ったとは言えかつての親友に、母の命の恩人が相手なのだ。

プロテクトビーストはおろかメタルクラスホッパーもいるのだから

 

「検討しようか?増援を。必要とするならばね、君が」

 

(確かにカリオストロとプレラーティのラピスが破壊されたのは痛手だ‥‥。S.O.N.G.もプロテクトビーストやメタルクラスタの対処に追われるだろう…)

 

(だが、それらも全ては私の責任‥‥。自分の失敗は己の身で償うのみ)

 

「いえ、勝てます。バリュエル光明結社の野望は必ずしも防いで見せます」

 

アダムもサンジェルマンの意思を察してか、承諾する。

 

「いいだろう。ならば見せてもらおう、君の仕事ぶりを」

 

「はい」

 

受話器を降ろし、自身の胸に誓う

 

「必ず取り戻して見せる。親友を。そしてわたしの理想を――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アダム

「ふむ‥‥やはりね」

 

「間違いないね、これは」

 

「あったみたいだ、何かが‥‥」

 

「まあ、いいさ。信じて待つだけだよ僕はね。さて、すまないね、待たせてしまって」

 

白を基調とした衣服を身に纏った男は、後方にいるローブ姿の人間たちに話しかける。

 

「くッ、錬金術師協会、局長、アダム・ヴァイスハウプトー―」

 

「まさか、本人がこんな辺境の地までやってくるとは‥‥」

 

たじろぐ錬金術師たちに対しアダムは鋭い目線で睨みつける。

 

「ここで、何かを復元した品物を受け取るつもりだったのだろう。アークとその使者と結託して」

 

「だけど残念だね。君たちは捕縛される、この場で」

 

「‥‥フ、全てお見通しというわけか」

 

「だが、バリュエル光明結社の力をなめてもらっては困る」

 

すると錬金術師たちはテレポートジェムを割りアルカ・ノイズを召喚する。さらに、バトルレイダーが銃を手にぞろぞろとアダムを取り囲む。

 

「いくら錬金術師の長とはいえ、所詮は人間」

 

「この大軍団を、一度も触れずに対処できるかな」

 

自信満々な様子の錬金術師にアダムは懐かしそうに感じる。

 

「人間か‥‥。久方ぶりだよ、そう呼ばれたのは」

 

「いいだろう。少しだけ見せてあげるよ。錬金術師協会、統制局長である、僕の力を――」

 

 

 

 

 

 

‥‥僅か数分にも満たない時間で数的有利を取っていた大軍団は壊滅した。

まるで飴細工のようにいともたやすく。

 

「な、なにが起きたんだ‥‥」

 

「あれだけの大軍団が‥‥一瞬で‥‥」

 

怖気づく錬金術師たちにアダムは告げる

 

「所詮はこの程度か。運動にもならなかったよ」

 

「悲しいかな。無知というのは」

 

自慢の兵団を殲滅させられたのだから、錬金術師たちは身体を震わせていた。

 

「人間じゃない‥‥。お前は一体なんなんだッ!?」

 

「知っているだろう?君たちの長だよ。ああ、君たちにとっては、元か」

 

「さて、吐いてもらうよ、何もかも全てッ!」

 

アダムは、バリュエル光明結社のモブ錬金術師たちを捕縛しテレポートジェムで協会へと送る。

一方で内心サンジェルマンたちのことを心配していた。

 

(さて、信じて待つとは言ったが、気になるな、少々‥‥。仕方ない、もう一度行くとするか、日本へ――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side S.O.N.G.

 

 

Zeios igalima raizen tron――

 

Various shul shagana tron――

 

 

調と切歌はギアを纏い、ホログラムでできたアルカ・ノイズの群れに立ち向かう。

鎌をブンブン振り回し、アルカ・ノイズを【対鎌・螺Pぅn痛ェる】

 

「シュルシャガナの刃は全てを切り開く無限軌道!目の前の障害も!私達の明日も!」

 

調のスカートが丸鋸と化しスケートのスピンのように回転、【Δ式艶殺アクセル】で切り刻んでいく。

しかしLiNKERも無しにギアを纏っているため全身から電流が走る。

 

「絶対鋭利のイガリマはその気になったら幽霊だって神様だって真っ二つデース!

 

バックファイアの負荷が身体を襲っているのにも関わらず、強がって小型アルカ・ノイズを引き続き切り刻んでいく。

 

一方、マリアとセレナはトレーニングルームへと急いでいた。調と切歌がLiNKERも無しにギアを纏っていることに気づいたからだ。

 

「あの子たち‥‥無茶を重ねてッ!」

 

「暁さん‥‥月読さん‥‥!」

 

「マリアさんッ!」

 

異変に気づいたのか、エルフナインに響、クリスが後に続いていく。

 

「もういいのか!?そっちだって大変だったんだろ!」

 

トレーニングルームでは切歌がバナナノイズをワイヤーで拘束し身動きを封じる。

断頭台のように刃を展開するが、とうとう限界時間に到達してしまい切歌のギアが解除されてしまう。

 

「‥‥ッ!?切ちゃんッ!」

 

そのまま床へ落下していく切歌。

そこへ雅人がトレーニングルームに駆けつけた飛び出し、咄嗟に切歌を受け止める。

調のギアが解除されたところでシュミレーションが終わり、室内は元の空間へと戻る。

 

「LiNKERも無いのにどうしてッ!?」

 

すぐさま到着したマリアは2人に詰め寄る。

 

「わたしたちがLiNKERに頼らなくとも戦えていれば、あんな‥‥」

 

「だからってッ!」

 

心配するクリスを余所に調たちは立ち上がる。

 

「平気‥‥それより訓練の続行を‥‥」

 

「LiNKERに頼らなくてもいいように、適合係数を上昇させなきゃデス‥‥」

 

さっきの戦闘で満身創痍に近い2人に訓練を続行させられるわけがない。

 

「駄目だよ、そんな無茶ッ!一歩間違えば死んじゃうかもしれないんだよッ!?」

 

 

2人の身を案じて引き留めようとする響に調は怒りを募らせる。

 

「経緯もよくわからないままに十分な適合係数を物にした響さんにはわからないッ!」

 

「いつまでもミソッカス扱いは死ななくたって死ぬほどつらくて死にそうデスッ!」

 

流石の雅人も今の発言を見過ごすわけにはいかなかった。

 

「2人ともッ!!」

 

あまり声を荒げたりしない雅人の声にその場の空気が張り詰める。

 

「‥‥もっと自分の身体のことを考えて!残されて悲しむ人がいるのを忘れないでくれ」

 

雅人もアルゴス事変の際に、何もできないのが嫌で亡から借り受けたフォースライザーで仮面ライダー001に変身したことがある。その結果、想像を絶する苦痛に苛まれながら戦うことになった。下手をすれば死にかねないからこそ、今の調と切歌を放っておくわけにはいかないのだ。

 

「「‥‥。」」

 

膠着する空気の中マリアは、静かに告げる。

 

「…やらせてあげて。二人がやり過ぎないように私も一緒に訓練に付き合うから」

 

「わたしも付き合います。苦しい時こそみんなでなら乗り越えられますから」

 

「適合係数じゃなくてこの場のバカ率を引き上げてどうする!」

 

「いつかきっとLiNKERは完成する。だけどそのいつかを待ち続ける程私達の盤面に余裕はないの」

 

するとエルフナインは、肩にベルを乗せて現れる。

 

「方法はあります。リンカーの完成を手繰り寄せる最後のピースを埋めるかもしれない方法が」

 

最後のピースを埋める方法があると聞き一同はどよめき立つ。

 

稀代の天才学者 ウェル博士が送ったデータチップを解析するも、ある一部分が解析できないでいた所があったのだ。

 

「それはLiNKERがシンフォギアを奏者の脳のどの領域に接続し負荷を抑制しているか、です」

 

フィーネやF.I.Sの支援があったとはいえ、使用者に優しいLiNKERを一から自らの手で作り上げたウェル博士は間違いなく天才と言えるだろう。

 

 

「鍵はマリアさんの纏うアガートラームです。特性の一つにエネルギーベクトルの制御があります」

 

実はバルベルデの任務の間、マリアのアガートラームは土壇場にて青白い発光現象を繰り返していた。

さらに訓練の成果か彼女の適合係数は日に日に上昇している。つまり謎の発光現象はその賜物であると考えられる。

「マリアの適合係数はセレナを除いて私達の中でも一番高い数値。それが…」

 

「今までの頑張り、無駄ではなかったわけデスか!」

 

つまりマリアの脳内に残された電気信号を辿れば自ずとLiNKERが作用する場所に辿り着くというわけである。

しかしそうするためにはウェル博士に頭を下げる必要があるが‥‥

 

「――ついてきてください」

 

エルフナインに連れられてやって来た場所には、ヘットギアと謎の装置が置かれている。

 

「エルフナイン、これは?」

 

「ウェル博士の置き土産、ダイレクトフィードバックシステムを錬金技術を応用し、再現してみました」

 

『ダイレクトフィードバックシステム』‥‥かつて未来が神獣鏡を纏った際に使われていた人の脳内に介入する装置である。

 

「対象の脳内に電気信号化した他者の意識を割り込ませることで観測を行います」

 

「つまりそいつで頭の中を覗けるってことか」

 

しかし人の脳は云わば意識が絡み合った複雑な迷宮。最悪の場合、観測者の意識と対象の意識が溶けあい廃人になってしまう危険を十分に孕んでいる。

 

「やるわ」

 

未知の危険性を有していると聞いてもマリアは即決する。

 

「姉さんッ!?」

 

「セレナ、ようやくLiNKER完成の目途が立ちそうなのに見逃す理由はないの。わかってくれるかしら」

 

「でも‥‥危険すぎる」

 

「やけっぱちのマリアデスッ!」

 

「あなたたちがそれを言う?」

 

マリアは再びエルフナインの方を見つめる。

 

「観測者…つまりあなたにもその危険が及ぶのね?」

 

しかしエルフナインも既に覚悟を決めていた。

 

「それが僕にできる戦いです。僕と一緒に戦って下さいマリアさん!」

 

「マリアさん‥‥必ず帰って来てくださいね。こっちのことは俺たちに任せてください」

 

「ええ、必ずLiNKERを完成させてみせるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

~風鳴訃堂邸~

鎌倉にある屋敷にて風鳴訃堂は、息子の風鳴八紘 風鳴弦十郎と会っていた。

先日の風鳴機関の件についてである。

 

「…して夷狄により蹂躙を許したと?」

 

「結果松代の風鳴機関本部は壊滅。大戦時より所蔵してきた機密のほとんどを失うこととなりました」

 

「外患の誘致、及び撃ち退けること叶わなかったのはこちらの落ち度に他ならず…」

 

「‥‥それで以後夷狄に対抗する策はあるのか?」

 

「え?今、なんと――」

 

「だから、以後夷狄に対抗しうる策はあるかと聞いておるのだ」

 

絞られる覚悟でここ鎌倉にやって来ていた弦十郎と八紘は、訃堂の叱りが無いことに思わず戸惑う。

 

「防衛失敗についてお叱りになられないのですか?」

 

「馬鹿者ッ!過ぎ去ったことを責めてもどうにもならぬ、ならばこれから如何して国を防るか考えねばなるまい」

 

「八紘、分かっておろうな?」

 

「はい、国土防衛に関する例の法案の採決を急がせます」

 

「うむ。即時施行せよ」

 

そして老人 風鳴訃堂は部下に風呂敷で包んだ物体をもって来させる。

包みを取り、真っ白で剣のような物体を弦十郎に見せる。

 

「これは‥‥?」

 

「風鳴機関でも解析のつかなかった代物じゃ。機関が壊滅したその日突如として眩い光を放ち輝きを取り戻したのだ」

 

「恐らくは聖遺物の類と思われる、弦十郎よこれを国土防衛の力とせよ。儂が認める、そのためにもかつての夷狄を迎え入れたのだからな」

 

「‥‥分かりました。直ちに開発にあたります」

 

そう言って訃堂が外に出る。

外では翼が木刀で素振りをしていた。

 

「この数年で防人に並ぶ者が増えて来た。もはや風鳴の血は意味をなさぬものかな」

 

「いえ、我らを防人たらしめる血にあらず。その心意気だと信じております」

 

「‥‥ほう」

翼の返答にほくそ笑みながらも訃堂は庭を散策するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side 響 未来 クリス 切歌 調~

 

「切ちゃん?心配なのはわかるけど…」

 

「わかってるデス!すべてはわかった上での決断なのデス!」

 

切歌は勢いよく手に持ったクレープを頬張るが、あまり食が進まない。

 

「チョコ明太子味なんて大冒険するから…」

 

「あたしの奢りだ、残すなよ常識人」

 

「これは願掛けなんデス!全部食べられたらマリアとエルフナインの挑戦はきっとうまくいくのデス!」

 

がつがつと明太子味のクレープを頬張っていく。

 

「‥‥」

 

「響?」

 

「あ、なに?」

 

「‥‥溶けてるよ」

 

「うぇ?うぉ…うわッ!」

 

「隣で話を聞いたり溶けたアイスを拭うぐらいはしてあげる。だから何かある時は頼ってよね」

 

「ありがと未来。やっぱり未来は私のひだまりだ」

 

そんな会話をしていると大きなビルのテレビにある光景が映る。

ステファンとソーニャ、それに雪音夫妻がテレビのインタビューに答えていた。

どうやらバルベルデの現状について伝えるために日本に来たらしい。

 

「あ、あれクリスのパパとママだよね。帰ってこれてよかったね」

 

しかしクリスは表情を曇らせていた。どうも未だ過去のことが尾を引いているようだ。

 

「クリスちゃん‥‥」

 

「悩んで下した決断がいつも正しいわけじゃない。それどころか初めから正解がないなんてこともザラにある…」

 

迫られる選択肢を前に人はどうしようもないのだから‥‥

 

 

 

 

 

 

~side バリュエル光明結社~

バリュエル光明結社統制局長イヴ・ヴァイスハウプトはべットの上で本を読んでいた。

ティキも猫のように膝枕してもらい夢心地の気分だった。

 

しかしラセツ達は不満を見せていたが

 

「スピリチュアルの輝きはイグナイトの闇を圧倒。メタルクラスタの乱入で錬金術師幹部との勝利は約束されていた。それを…」

 

「こちとら跡形も無く丸焦げになるとこだったぜ?」

 

「挙句の果てに仕留め損なった訳だが‥‥」

 

「どうつもりか勿論、説明してくださいますよね?局長」

 

「みんな!折角ママが来てくれたんだよ!ギスギスするよりぽかぽかしようよ!」

 

するとイヴは苦笑しながら本を閉じる

 

「せっかく愛娘と会えるものだからつい、いい所見せたくてね、悪かったわ」

 

「「「「‥‥」」」」

 

「でもアズの働きでファウストローブと仮面ライダーは抑制された。当面は安定した行動ができるわよ」

 

するとイヴはティキを連れ、どこかへ向かおうとする。

 

「統制局長。どちらへ?」

 

「ティキが教えてくれたのよ、星の巡りを。実験が成功したのなら本格化させてみましょう」

 

「神の力の具現化をね‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~アカシックドキュメント 著 ●●●~

 

●●●●●は●●●と●●を創り出した。

●●●●●が●●を作りし時、創造主に●●は●●全と見なされ、●●●は●全と見なされた。

 

けれども侮ることなかれ

●●が本性を現した時、地と海は斬り裂かれる。

真名『●●●●●●●』

 

立ちはだかるもの死あるのみ

 

 

・●●●

●●よりも●全とすぎるがために神から見放された者。

黄金を創造せし光は万物を焦がす。

 

●●と並び立てば絶対守護の構え成り

その手が●●に及べばたちどころに●●は滅び去らん。

されど●●●と●●が●●の可能性を信じれば闇から護る盾となるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか。恐らくこれが今年最後の話となるでしょう。
この一年間本小説を応援してくださり本当にありがとうございます!
来年も完結目指して頑張りますのでどうぞよろしくお願い致しますm(―-)m

次回予告
LiNKERの完成を目指すべくマリア達は脳内の記憶を辿り始める。
一方錬金術師たちは再び新型アルカ・ノイズを投入し町を破壊していく。

メタルクラスタの恐怖を前に雅人は‥‥

次回『記憶の深淵 アナタはワタシが護る』

金の煌めきを再び――

本小説版LOST-SONG編、読んでみたい?*XV編後

  • 勿論ッ!
  • う~ん・・・
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