戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~ 作:光からの使者
司令による無双を経て、クリス達は再び両親たちと会う。
そこへ本気を出しプロテクトビーストからラースオブビーストへ変貌したトドロキが現れる。
追い詰められる中、フィーネの助けもあってクリスと雅人は雪音夫妻を追う。
一方プログライズホッパーブレード完成まで大手を掛けていた亡の前に、なんと秘書型ヒューマギアイズが現れるのであった‥‥
~side 亡 イズ~
ホログラムとして突如現れたイズに亡は動揺を隠せずにいた。
何しろ世界蛇との戦いで飛電或人と共に人工知能ゼアはこの世から消えてしまったのだから‥‥
「イズ、何故あなたが…?」
『確かに世界蛇が出現した日を最後にボディやメモリーを損壊してしまいました。ですが‥‥』
『ゼアのデータが内包されているセントラルメモリーのバックアップが奇跡的に残存していました』
――ある日偶然にも人間に拾われたデータは幾つもの人間の手に渡りました。何人もの技術者が復元しようと夢破れましたが、或人様の夢であった『人々を笑顔にする』と同じ意思を持つ方が現れたのです。
――その技術者は、2040年代においてオーパーツとも呼ばれる聖遺物を組み込み機能を復活させました。
――しかし完全な起動の前に騒動が起き、私は再び眠りについてしまいました‥‥
――それでも意思を継いだ方々からの想いの歌を受け再起動することに成功したのです。
『そしてすぐさま衛星ゼムにアクセスし、ホログラムとなって現れた…というワケです』
話を聞いていた亡は唖然としていたが、イズは亡に告げる。
『不足していたフォニックゲインのデータを込めました。これを私に貸してくださいませんか?』
イズからの提案に驚く亡。しかし彼女はイズの提案を受けるつもりであった‥‥
「‥‥わかった、正し条件がある」
首を傾げるイズに亡は言う
「歌姫たちと共に悪意と戦っている男がいる。彼はかつての飛電或人と同じくアークの脅威に晒されながらも必死に明日へ飛び立とうとしているんだッ!」
「どうか‥‥飛電雅人を‥‥助けて欲しい。お願いだ」
亡の熱意はイズの心にも響き渡る
『勿論です。私は社長秘書です。社長の夢を後世へ残すことも秘書の仕事ですから』
そういうとホログラムが消え、プログライズホッパーブレードも同時に転送される。
「頼みましたよ‥‥イズ‥‥」
~side 雅人~
「くッ‥‥!クリスと両親はどこに行ったんだッ!」
同じく建物を探し回る雅人。しかしどこを探しても3人の姿が見当たらない。
(何か嫌な予感がする‥‥早くしないと取り返しのつかないことになりそうな気が‥‥)
すると衛星ゼムから送られたマップに新たな反応が起きる。
とあるフロアに3人の人間の反応があるからだ。
すぐポイントに向かうとそこは何もないただの壁であった。
「ただの…壁だよな…?どうして反応が?」
困惑する雅人であったが覚悟を決める。
「でも男は度胸ッ!当たって砕けろだッ!」
勢いよく壁に向かって突っ込むと、中は衛星ゼムと似た空間が広がっていた‥‥・
~side クリス、雅人~
「何だ?」
両親と対峙したクリスはふと振り返ると派手に突っ込み、勢い余って転倒する雅人の姿があった。
「おいッ!何やってんだよ雅人ッ!」
やれやれとクリスは手を貸し雅人を立ち上がらせる。
「君も‥‥来てしまったんだね。雅人君」
2人を前に雅律とソネットは改まった様子を見せる
「‥‥教えてくれ『人工知能ゼア』ってなんだ?」
「『人工知能ゼア』。これは24年前、人自らの手で造られた通信衛星、ゼアのバックアップ。もといあらゆる事態を予測する演算システムです」
「世界を巻き込む大異変の時に失われましたが、小さなパーツとして残存していた‥‥。飛電インテリジェンスは復興と共にこれを発見したが、ライダーシステム、ヒューマギアの技術を悪用させない為に一人の技術者にデータを託したんだ」
「その技術者が‥‥ミーナ・スクルディア。君のお母さんなんだよ、雅人君」
かつてアルゴス事変の首謀者『ジャンヌ』の狂行を止めるべく、時代を越えて協力してくれた第一人者である。
あまりの事実にクリスと雅人は呆然とする。
「ちょっとまてッ!雅人の親は行方知れずなんじゃなかったのかッ!」
クリスは驚きのあまり雅人の胸倉を掴む激しく揺さぶる
「マッテマッテ‥‥クビがとれる‥‥ッ!」
「彼女との出会いは全くの偶然でした」
――同じ紛争に苦しむ人々を救うという目的があった私たちは知り合い、親交関係になっていきました。
――僕たちの運命が変わったあの日。ミーナさんは咄嗟に僕たちを突き飛ばして爆弾の直撃を防いだ。
――これは後からソーニャに聞きましたが、重傷を負っていた私と夫を背負い避難キャンプに送り届けたそうです。自分も少なからず怪我をしているというのに‥‥
――そして彼女がどこかに去る時、ゼアの全記録と自分について記されたデータチップを託したのです
――自分が行方知れずの息子を探すために、ボランティアへ参加していたことへの謝罪を込めて
「‥‥何でミーナさん、いや俺の母さんはお二人にゼアを?」
「『人工知能ゼア』は人の手で造られたものですが、幾多のラーニングを経て何十億もの予測を可能としました」
「ミーナさんは、ゼアを修復するために足りない回路を完全聖遺物『デウスの歯車』を組みこむことで回復させたようです」
「『デウスの歯車』?」
「『デウスの歯車』の正体、それは、必ず結論へ導く演算装置でした」
この装置があればあらゆる事態を予測し、デウスの歯車によって強制終了。つまり中断させることができるのだ。戦争を仕掛けようとしても未然に予測し、ひいては二度と動かないよう国のインターネット機能を掌握することだってできてしまうのだ。
人間は情報に左右されやすい。ネットで国規模の混乱が起きれば戦争どころではないのだ
しかし2人は腑に落ちない点があった‥‥
それはデウスの歯車が完全聖遺物ということである
聖遺物である以上、起動しなくては意味がないのだ。
「その聖遺物がどうやって起動したんだ?」
「歌の力です」
「そうか‥‥ッ!!」
「フォニックゲイン…ッ!」
ミーナが独自に調べ上げていたことがデータチップに記録されており、高純度の歌エネルギーによって起動すると。
雅律曰はく、自分たちも無理だと思っていた所、妻 ソネットの歌に反応したのだ。
(まさか、あたしに装者の資格があったように‥‥ママにも‥‥)
(聖遺物の適正が遺伝するなんて‥‥そんなことがあり得るのか‥‥)
「僕たちやクリスがバラバラになったあの紛争も、元とは言えば当時のドイツ軍が聖遺物の確保を目的とした内乱によって引き起こされたものでした‥‥」
「そして、バルベルデの軍事政権を支えていたバリュエル光明結社‥‥」
「争いの種を撒く者たちは‥‥誰かが倒さねばならない…ッ!」
「そういうことだったのか‥‥」
「勿論、あの者たち以外に危害を加えるつもりはありません」
情報操作で撹乱させ、戦争への意識を別のことに向けさせれば、兵器の売買や聖遺物の輸出入が出来なくなる。それでも続けるというのならもっと大きなダメージを与えるつもりだという
雅律も、ソネットも苦渋の上でゼアを使うしかないと決めていたのだ。
実の娘や若者たちが戦争によって苦しい想いをしない。真の平和を創るために‥‥
「‥‥こうしてる間にもあの子たちが危ないわ。早く『ゼア』の起動をッ!」
「ああ、今こそ争いを終わらせるんだッ!」
「‥‥‥‥‥させない」
クリスは銃口を雅律とソネットに向けた。
「クリスッ!?」
「お願いだ‥‥あたしに引き金を引かせないでくれ‥‥」
銃口を向けながらもクリスの声と身体は震えていた。
辛そうで、今にも折れてしまいそうな様子で立ちながら‥‥
「ごめんなさい、クリス。でも‥‥これしか他に方法はないの‥‥」
「クリスだってわかる筈だ。戦争の苦しむが、傷ついていく人々を目の当たりにする辛さがッ!」
「わかるよ‥‥わからない訳ないだろ‥‥あたしだって戦争は大っ嫌いだッ!」
「でもそんな力を使っても争いは無くならないッ!むしろ火種が増えるだけだッ!」
そしてクリスは、ついにあのことを打ち明け始めた
「‥‥あたしは昔ノイズを自由に操る聖遺物を使ったことがある」
フィーネに拾われ、命令のままに『ソロモンの杖』を使いノイズを使役していた過去のことだ
世界から戦争を失くしたかった、争いを失くしたかった、その一心で杖を振るっていた
だが、それの過程で多くの人間が犠牲になり、炭の塊となって消えてしまった‥‥
強大な力を持っても、何も変えられなかったのだ。
それどころか、杖を悪用され新たな争いの火種になってしまったこともある。
「本当に平和を目指すなら、力に頼ったものじゃダメなんだ‥‥」
「頼むよ‥‥あたしと同じ間違いを犯さないでくれ‥‥」
クリスの想いは両親である2人にとって痛いほど理解しているのだ。
それでも人が傷つき、苦しみ、血を流す光景を見たくないその思いが強かった。
「‥‥でも、もうこれしか方法がないんだ‥‥人工知能だって正しく使えば‥‥」
すると、クリスの身体と声がさらに震え出す
「‥‥歌は‥‥、どうしたんだよ‥‥」
「え?」
――『歌で世界を平和にする』って夢はどうしたんだよッ!
「覚えてて‥‥くれたのか‥‥」
「そんな兵器を使うことが…2人の夢なのかよッ!違うだろ…本当は…」
本当の夢を‥‥諦めないでくれよッ!
「お願いだから‥‥」
「ステファンから聞いたよ。今までずっと人助けしてきたって‥‥。とっても凄いよ。でも、夢は捨てないでほしかった‥‥」
クリスの説得を受けて雅律、ソネットは申し訳なく感じていた。
「私たちは‥‥危うく、過ちを犯すところだった‥‥」
「ごめんなさい」
すると2人の表情にはどこか暗い表情が消えていた
「『歌で世界を平和に』か…。何年ぶりだろうかその言葉を聞いたのは」
「クリスのお陰で思い出すことができたわ、私たちの本当の夢を」
「「ありがとう」」
「ああッ!」
「よかったな、クリス‥‥」
ゼアの使用を思いとどまった2人はクリスと雅人に尋ねる。
「そうだッ!外で暴れている結社の幹部はッ!?」
「それは、あたしたちに任せとけッ!必ずなんとかしてみせるからッ!」
「私も、私たちも戦います。ゼアに頼らず、私たちにできる戦いをッ!」
「お願いします。とりあえずここから出ましょう」
一同が空間から出ようとすると、突如警報が鳴り始める
「何者かが侵入をッ!」
「へぇー、こんなところに隠してたんだ」
ルシファーと同じドライバーを腰に巻いたアズが姿を見せる。
「ッ!てめぇはッ!」
「アズッ!」
「どうしてこの場所がッ!」
アズは淡々と語り出す。
「『ゼア』が残ってたなんてアーク様が通りで警戒するわけだ」
「まさか、ハッキングされてッ!?」
「理解が早くて助かるわ」
「てめえに『ゼア』は渡さないッ!」
戦闘態勢に入った2人を余所にアズは雪音夫妻に尋ねる
「一応聞くけど、ゼアを復元した技術者は今どこにいるの?」
「既に行方が分からなくなってる、もう何年も前の話だ」
「そう、まぁいいわ。みんなまとめて始末してあげる」
「うるせぇ!」
クリスが手にしたガトリング砲を放つも、アズは冷静にエデンゼツメライズキーを構える。
ルシファー!
「変身!」
プログライズ!
アーク!
赤黒い瞳を持つ巨大な骸骨がアズを抱きしめたと思えば、頭からかぶりつき仮面ライダールシファーへと変身させる。
The creator who charges forward believing in paradise.
"OVER THE EDEN."
「さぁて、絶滅の時間だよッ!」
アズがクリスと雅人目掛けて襲い来る。
「こいつで――どうだッ!」
「せりゃああッ!」
【カバンストラシュッ!】
ガトリングとアタッシュカリバーの同時攻撃がルシファーに直撃するも、破損した箇所がすぐさま再生されてしまう。
「何度やっても無駄だよ。異端技術によって新生したルシファーに不覚はないからねッ!」
「んなもん…再生速度を上回れば…」
しかし、ネフシュタンから放たれるレーザー砲によって苦戦を強いられる。
さらに周囲をアルカノイズたちが取り囲む。
「いつの間にッ!?」
「こっちとしてはあんまり時間を掛けたくないんだよね~だから、さっさとやられろッ!」
ギアがあるクリスやアルカノイズ対策が施されている雅人ならともかく、2人が触れてしまったら助からない。
その事を察してか雅律とソネットは2人に言う
「私たちのことは良いから逃げてくれッ!」
「どうか、あなたたちだけでもッ!」
「置いて逃げるまねなんてできませんッ!お二人は絶対に護りますッ!」
001はルシファーに格闘戦を仕掛けるが、これまでの戦いのデータをラーニングし、エデンよりも高いスペックを誇る相手に真っ向から捻じ伏せられてしまう。
(強い‥‥ッ!やっぱり、メタルクラスタを使うしか‥‥ないのか?)
強大な相手に対抗するにはメタルクラスタホッパープログライズキーを使うしか道がない。
しかしメタルクラスタホッパーには暴走の危険性が付きまとう。
クリスもそれを察したのか雅人の方を見つめる
「おいッ!まさか、そいつを使うつもりなのかッ!?」
「…ああ」
一瞬動揺をみせるクリスだったが、即座に表情を変える。
「なら、あたしは止めない。必ず戻ってこいよ」
「わかってるさッ!」
ゼロワンドライバー
――エブリバディジャンプッ!
――オーソライズッ!プログライズッ!
「変身ッ!」
メタルライズ!
Secret material! 飛電メタル!
メタルクラスタホッパー!
It's High Quality."
悪意の蝗に蝕まれ、痛みと共にメタルクラスタホッパーへと変身した雅人。
俯きながら、ゆっくりとルシファーへ歩いていく。
全員が固唾を飲んで見守る中、変身に反応し、ゼアから剣が生成される。
【プログライズ ホッパー ブレードッ!】
生成された剣はまるで意思を持つかのように、メタルクラスタホッパーの元へ飛び出す。
メタルクラスタも近づく存在を検知し掴みかかる。
~side 雅人~~
暗く、淀んだ空間に美しく 透き通った歌が響く。
――
―――
――
――
――Seilien coffin airget-lamh tron
――Zeios igalima raizen tron
――Various shul shagana tron
――Seilien coffin claidheamh soluis tron
8つの歌が、雅人にまとわりついていた負の言葉を振り払い、瞬く間にプログライズホッパーブレードとしての形を造りあげる。
そして雅人の身体を包み込み、浮上しようとする。
逃がさん‥‥ッ!
浮上する雅人を捕らえるべく、どす黒い泥の波が巨大な人型となって襲い掛かる。
凄まじい勢いで迫る
脱出まであと僅かなのだが、このままでは捕まってしまう。
すると‥‥
一際強く輝く2つの光がアークへ向かって行く。
あまりの眩しさに全貌は見れなかったが、ゼロワンらしき姿を目視した。
あちらもそれに気づいたのか、一瞥するもすぐに視線をアークに戻す。
2つの光がアークを抑えたことによって雅人は悪意の空間から離脱するのであった‥‥
~~side????~~~
「久しぶりだな、アーク」
お前たちも、私のように蘇ったのか?
「いいえ、私たちはあくまでもデータで再現された存在に過ぎません。ですが、この方が貴方にとっては都合が悪いでしょう」
何故、再び私の邪魔をする。償いのつもりか
「ああ、悪意と向き合うって誓ったのに、あの子たちに引き継がせてしまったのは俺の責任でもある」
「だから、お前を止めに来た。アークッ!」
やはり理解不能だ‥‥。だが、私は今、お前たちを消してしまわねばならないッ!
巨大な人型から等身大に戻ったアークに2つの光は叫ぶ
「お前を止められるのはッ!」
~side 雅人~~
意識がアークからゼムに移った雅人。メタルクラスタホッパーを構築する装甲から禍々しいクラスターセルが散っていく。そして飛蝗たちはプログライズホッパーブレードに集まっていく。
「‥‥あっ!?身体が‥‥自由に動くッ!」
暴走せずに人間らしく動く姿に、クリスの安堵の表情を見せる。
「…たくッ心配かけさせやがって‥‥」
「そんな馬鹿な‥‥ッ!?アーク様の支配から逃れるなんて…あり得ないッ!」
雅人は完成したプログライズホッパーブレードを見つめる。
「皆のお陰だ‥‥ありがとう」
「ヒューマギア無くして、その剣はできる筈がないッ!一体何をしたッ!」
怒声交じりの声で話すアズに雅人は答える
「正直、俺にもわからない。でも‥‥俺を支えてくれた人たちがいたからだッ!」
「アズ、お前を止められるのはただ1人‥‥」
・イズ
01本編同様、ゼアのバックアップと1つになっており聖遺物の起動と共にメモリーを後続機のゼムと同調。ホログラムとして現れた
・????
同じく人工知能ゼアに保存されていたデータを基に復元された。
肉体は消えてしまったものの心は絶えてはいなかった。
01本編との相違点
・ゼアの破壊が世界蛇によるものでアークにハッキングされていない。
・アークゼロに敗北したとき、迅が亡の拘束から逃れゼロワンドライバーとともに社長を救出。
・滅との共闘時に、抜け出した人工知能アークをゼロツービックバンで破壊した。
後は本編通りである。
・『プログライズホッパーブレード』
基本的な機能は原作同様。それに加え、聖遺物の第一人者である櫻井了子による設計、ナスターシャ教授のフォニックゲインの原理・応用 ウェル博士のLiNKER知識による負荷軽減、キャロルの想い出からフォニックゲインを抽出する技術を施すなどの強化を受けている。
当然、ノイズは斬れるし、アークの悪意を浄化することが出来る。
また、装者たちの連携も兼ねて、錬金術による改造でフォニックゲインに反応し威力を増すことができる。
本小説版LOST-SONG編、読んでみたい?*XV編後
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勿論ッ!
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う~ん・・・