戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~ 作:光からの使者
ついにメタルクラスタホッパーの暴走を克服した雅人。クリスも雪音夫妻の応援もあり新たなデュオレリック『ネフシュタンギア』を発現、戦況を回復させる。
さらに、愚者の石による対消滅バリアフィールドによって守られたイグナイト同士の絆のユニゾンで幹部トドロキを撃破した。
一方雅人も仮面ライダールシファーに変身したアズを想いの力で撃破するのであった‥‥
side S.O.N.G.
S.O.N.Gのトレーニングルームにてエルフナインはマリアとクリスに頭を下げていた。
「ごめんなさいッ!対消滅の際に生じる反動のせいでメンテナンスになってしまって‥‥」
深々と謝るエルフナインにマリアとクリスは怒るどころか、むしろ笑顔で接していた。
「謝らないで。むしろ急ごしらえでよくやってくれて本当にありがとう」
「それに、抱え込んでたものがすっきりできたしな」
「反動汚染の除去を急ぎますッ!」
頑張るエルフナインの髪をクリスはわしゃわしゃと撫でる。
「頼りになるちびっこだ」
「クリスさんだって…」
「ん?あたしは、十分大きいぞ?」
一方、雅人は了子、亡と一緒に3人のやり取りを見つめていた。
「とにかく、これでプロテクトビーストには負けないしアズの相手もどうにかなりそうですね」
雅人がそういうと了子は椅子に座りながらうんと背伸びをする。
「そうよねぇーー、やっと私も落ち着けるわ‥‥」
背伸びを終えると同時に大きな欠伸をする了子。目の下に少しの隅でできていた。
「了子さん、眠そうですが大丈夫ですか?」
「うん‥‥?まぁ、3日間くらい徹夜だったけど大丈夫だと思うわよ?」
「3日間ッ!?」
驚く間もなく亡が事情を説明する。
「今回プログライズホッパーブレードを製作するにあたり、ナスターシャ教授、ウェル博士にキャロルさんたちの意見を纏めてくださったのは紛れもなく了子さんです」
「ただ…フィーネとの人格切り替えでここ3日間ぶっ続けで研究していたみたいなんですよ。私も休んだ方がいいって言ったのですが‥‥」
「そんなことしてたら間に合わなかったわ。だからこそ今、こうしてプログライズホッパーブレードが完成したようなものよ」
「多分、私と同じようなタイプのキャロルちゃんも今頃寝てるんじゃない?」
~side チフォージュ・シャトー~
「あれ、マスターはどうしたんだゾ?」
「マスターは派手に休息をとっている最中だ」
「ふーん‥‥まぁ、マスター最近お疲れでしたから、ちょうどいいんじゃないですか?」
「ええ、そっとしておきましょう」
~side S.O.N.G.~
「頭上がらないですねぇ‥‥」
「全くですよ」
そんな話をしつつもトレーニングルームの映像を見る。
トレーニングルームでは調と翼がシュミレーションで再現されたアルカノイズを相手に連携の訓練を行っていた
「呼吸を合わせろ、月読ッ!」
翼は、回転しながら迫るオタマジャクシ型アルカノイズを調へ蹴り飛ばす。
「速いッ!?きゃああッ!」
対応が間に合わず吹き飛ばされる調。
「大丈夫か、月読?」
「切ちゃんとなら‥‥合わせられるのに‥‥」
「調君は、翼のリードでも合わせられずか‥‥」
内心焦る調は丸鋸を飛ばしアルカノイズを切り刻んでいると‥‥・
「微力ながら、お手伝いしますよ」
竜巻と共に、緒川慎二が姿を見せる。
「緒川‥‥さん‥‥!」
「その技前は飛騨忍軍の流れを汲んでいる‥‥連携しなければ影すら捕らえられぬぞッ!」
「調ッ!無限軌道で市中引き回しデスよッ!」
「うんッ!」
アームドギアを展開し、ツインテール部分の大きな丸鋸2振りを躊躇いなく振り回すが、軽やかに躱す。
「隙だらけッ!」
着地したタイミングを狙い丸鋸を足先にセットした急降下キックを繰り出すもこれも即座に躱される。
「嘘ッ!?」
「追いかけてばかりでは追いつけませんよ」
ますます焦る調はヨーヨーを飛ばす。それでも残像にすら充てることが出来ない。
(切ちゃんは‥‥やれてる…誰と組んでも。でも私は‥‥切ちゃんじゃないと‥‥ッ!)
「連携だ月読ッ!動きを封じるためにッ!」
「だったら面で制圧ッ!逃がさないッ!」
飛びあがり上から丸のことを無差別に撃ちだす調。
「駄目デス調ッ!むしろ逃がさないとッ!」
撃ちだした丸鋸の1つが緒川を捉え、切断してしまう。
その様子に亡以外の面々が目を見張る。
「どえらい事故デス‥‥」
しかし切断された緒川の身体が煙に包まれ、スーツの上着を着せた丸太へと変わっていた。
「思わず、空蝉を使ってしまいました」
(思わず、ですか‥‥移動する様子は捉えることが出来たのに‥‥。というか、ヒューマギアの高性能カメラでも追いつけないというのは‥‥本当に忍びの枠に収まってるのでしょうか?)
亡が訝しんでいるのはさておき、緒川は調に告げる。
「力はあります。あとはその使い方だけです」
シュミレーションが終わると、シュルシャガナは解除され調は両膝を着く。
同じく訓練していた響や切歌たちが心配する中、翼はどこか悔しそうな様子の調を見つめる。
(‥‥あれは、いつかのわたしだ)
装者たちのユニゾンパターンを全て試したものの、調だけが連携のフォニックゲインの引き上げに失敗しているという結果となった。
ギアの特徴、相性を含め、切歌とのユニゾンが多かったが故に、最大の攻撃とも脆い弱点とも言えてしまう
「思わぬ落とし穴だったな」
すると内閣府の八紘から司令室へ通信が入る。
「八紘兄貴、何かあったのか?」
『ああ、神社本庁を通じて情報の提供だ。」
――曰く神出づる門の伝承
バリュエル光明結社が狙う神の力にまつわる物とされる。
「どうしますか司令?」
弦十郎は訓練室の様子を見ながら判断していた。
「気分転換も、必要かもしれんな‥‥」
~side 装者&ライダー~
情報の提供が申し出されたのは、埼玉県にある『調神社』という場所である。
レイライン上にあるだけでなく、神出ずる門に関する情報があるとするならば、逆転の一手を打てる可能性があるのだ。
そんな空気はさておき、運転席、助手席の後ろでお菓子の袋を開ける切歌。
パリパリと美味しそうに頬張る。
「特訓直後だってのにやけに元気だな」
「照れるデスよぉ、褒め殺すつもりデスか?」
「いや、たぶんそれ褒めてないと思うよ切歌ちゃん‥‥」
「あたしも腹減っちまったな、切歌あたしにも少しもらえないか?」
「勿論良いデスよッ!ささ、どうぞデスッ!」
「ありがとな!」
「ちょっと、奏さんまで‥‥」
賑わう車内だが、調は別のことを思い出していた
side調
—―F.I.Sに保護されて間もない頃、わたしは初めて切ちゃんと出会った‥‥
『これ、何て読むのデスか?』
『‥‥月読調だって』
『しらべ‥‥やじろべえみたいで、いかすデスッ!』
――わたしは本当の名前を知らない、思い出せない。
――たしか切ちゃんもあの時‥‥
『あたしの誕生日もここに来た日にされたデスッ!似た者同士仲良くするデスッ!』
昔のことを思い出していると心配した切歌は調に聞く。
「調。調ッ!もしかして鋸じゃないから車酔いデスか?」
「ううん…ッ!なんでもない」
切歌に心配を掛けまいとする調の様子をバイクで並走する翼は見ていた。
(翼さん‥‥?)
同じくライズホッパーで並走する雅人も不自然そうに眺めていた‥‥
~~調神社境内~~
神社に到達した一同は、他の神社とは一風変わったところに興味深々であった‥‥
「おおーーーッ!ここの神社、狛犬じゃなくてウサギがいるのデスッ!」
「ウサギさんがいっぱいッ!」
「かわいいッ!!」
面々がウサギと戯れていると、何やら慌てている様子のウサギが跳ねてくる。
「どうしたの?」
調がそのウサギに話しかけると、ついて来てほしいかのように駆けだす。
連れられるまま調もウサギの後を追う。
「調?」
「どこに行くんだ月読」
一同も導かれるようについていくと、そこには異様な光景が広がっていた。
神社の庭で宮司と思われる老人が2体のアークマギアたちに襲われているのである。
襲い掛かっているエカルタイプの牙を宮司は辛うじて庭帚で防いでいる。
一方、もう一体のアークマギア・ガエルタイプは首元に数珠を付けた白いウサギと茶色のウサギの2頭と戦っていた。
ぴょんぴょん跳ねまわるウサギたちに振り回されるマギアであったが、白い方のウサギの脚を掴むとその大きな口で噛みつき痛めつけている。
さらに相方を助けるべくポコポコとガエルタイプを叩く茶色いウサギを、鬱陶しく思ったのか平然と蹴り飛ばした。
「‥‥許せないッ!!!」
そう言うと調はギアペンダントを握る。
――Various shul shagana tron
ギアを纏った調は真っ先に丸鋸を飛ばし、アークマギアを吹っ飛ばす。
そこに同じくギアを纏った装者と変身したライダーたちも駆けつけた。
「大丈夫ですかッ!」
「ええ…間一髪のところでした」
「急いで神社の本堂に避難するデスよッ!」
宮司がマギアから解放されたウサギたちと共に避難、その一方で調はアームドギアを、雅人はプログライズホッパーブレードを構えアークマギアに立ち向かう。
口腔から小型のカエル型爆弾『コガエルボマー』を放つマギアに対し、調は【α式・百輪廻】で全て相殺する。
ぴょこぴょこと跳ね回わりながら、調へ迫るアークマギアを相手に脚部のローラーを上手く使い華麗に立ち回る。
「ゲコォォッ!」
「斬り刻んであげる…ッ!!」
捕食しようと飛び込んできたアークマギアを巨大な2枚の回転鋸で迎撃、頭部ごと両断する。
綺麗に真っ二つに割れたマギアの身体はショートを引き起こし爆発四散するのであった。
これまで戦って来た強敵たちに比べれば、アークマギアなど今更苦戦する相手ではない。
同じく身軽に動くエカルタイプをクラスターセルで封じ、自慢の牙を削り取る。
さらにプログライズホッパーブレードをメタルライザーにスキャンさせる。
ファイナルライズ!
ファイナルストラシュッ!
クラスターセルを剣先に纏わせ、マギアの胴体を一閃する。
斬られたアークマギアエカルタイプの姿は、マギアの装甲が剥がされ、ヒューマギアの素体が露わとなる。
プログライズホッパーブレードに内蔵されているヒューマギア復元装置「プログレストレーター」。
これはアークに接続されたヒューマギアを元に戻すことができるのである。
「もしもし、亡さん。調神社でアークマギア2体と交戦、そのうち一体の鹵獲に成功しました」
『わかりました。情報部にも協力を仰ぎ、回収に向かわせます』
雅人は連絡を切り、動かなくなった素体ヒューマギアを見つめる。
(本当なら、このヒューマギアも誰かのために動いていた筈なのかなぁ‥‥)
ただ人を襲うためだけに、アークによって作られ、破壊される。
そんなアークマギアたちの在り方を雅人は、どこか哀れに感じるのであった‥‥
アークマギアたちの襲撃を退けた一同は先ほど助けた宮司にお礼を言われていた
「いやぁ、皆さんが来てくださったお陰でこの老いぼれの命が助かりました。本当に感謝しています」
すると老人は、一同を一瞥する。
「話には伺ってましたが、皆さんお若いことで。みなさんを見ていると事故で亡くなった娘夫婦の孫を思い出しますよ」
「生きていれば、ちょうど皆さんぐらいの年頃でしてな‥‥」
「‥‥ん?おいおい、あたしら上から下まで割とばらけた年齢だぞ?いい加減なことぬかしやがってッ!」
「はいはい、クリス落ち着けって、流石に冗談だろ」
「勿論ですとも、小粋な神社ジョーク。円滑な人付き合いには必要不可欠な作法です」
「初対面ではありますが、これで少しは打ち解けたのではないかと」
「むしろ不信感が万里の長城を築くってのはどういうこった‥‥」
げんなりするクリスを奏が宥めつつも、宮司は皆を中へ招待する。
「それでは早速本題に入りましょう。皆さんは氷川神社群というのはご存じですかな?」
宮司が広げた古い地図には、赤い線と点で結ばれた印が描かれていた。
「これは‥‥オリオン座ッ!?」
「正しくはここ、つき神社を含む周辺7つの氷川神社により描かれた、『鏡写しのオリオン座』とでも言いましょうか」
代々受け継がれている伝承では、鼓星の神門、この門より神の力がいずるとされている。
推測、結論ではあるものの、神の力を狙うバリュエル光明結社の狙いと多くの部分が合致しており、無視はできない。
「神いずる門‥‥」
すると室内に響のお腹の虫が鳴った。
「けたたましいのデス‥‥」
「あははは!響のお腹は正直者みたいだな」
「わ、わたしはいたって真面目なのですが…私のお腹の中に獣が居ましてですね‥‥」
「では、晩御飯の支度をしましょうか。私の焼いたキッシュは絶品ですよ」
「そこは和食だろッ!神社らしく」
クリスがツッコミに徹している中雅人は、マリアに聞く
「‥‥マリアさん、キッシュってどんな料理なんですか?」
「フランスの家庭料理で、ピザに似た食べ物よ」
「マリア姉さん、よく知ってるね」
「仕事でよく食べてたから、印象に残ってるわ」
すると宮司はキッシュや様々な料理を持ってくる。
「ささ、皆さんどうぞお召し上がりください」
「「「「「いただきますッ!」」」」」
~~side 調~~
「う、う‥‥ん‥‥」
宮司のキャッシュを始めとした料理を堪能し、史料を漁っているうちに眠っていたのだろうか。
調は意識を取り戻す。
「ここは‥‥?」
一面、見渡しても霧がかかったような白さの空間。自分が何処にいるのかもわからない様子であった。
「さっきまで神社の中に居たはずなのに‥‥」
すると辺りから人の声が響き始める。
――こっちじゃ‥‥早く来るが良い…
声に引き寄せられるかの如く声の方向へ歩き出す調。
そして、歩いてしばらくすると夜の祠のような場所に出る。
「…ここは、それに――」
調の前には背中に三日月を背負い両腕の生えた黒い球体が佇んでいる。
――よくぞわらわの領域へ来たな
「あなたは、誰なの?」
――わらわはツクヨミ。夜に属するものじゃ
~sideバリュエル光明結社~~
「あの脳筋馬鹿が‥‥勝手に死にやがって‥‥」
ホテルの展望台にてリーパーは悪態をつきつつも自分のグラスにワインを注ぎ、もう一つのワイングラスと乾杯する。
自身の傷を癒していた時、リーパーはトドロキ、アルセーヌのやり取りを聞いていた。
『局長は大祭壇設置に足りない生命エネルギーを我々から補充するつもりらしい』
『仲間に犠牲を強いるやり方を初め、これまでの奴の動きには少々違和感を感じていた。だが最初はラセツの言っていた通り娘を失った悲しみによる変化だと思っていたのだが‥‥・』
『どうやら、その考えは違うかもしれない。局長は私たちに何か重大な秘密を隠しているかもな‥‥ティキも密かに感づいているだろう。あくまで、只の女怪盗の勘だがな』
2人のやり取りを思い出しリーパーはふと笑う。
「俺たち3人、あの詐欺師どもと同じく、後から女になったというのにかっこつけてくれちゃって」
「まぁ、それでも十分確かめてみる価値はありそうだな」
――イギリスを騒がせた大悪党『切り裂きジャック』様の腕の見せ何処だ
~side錬金術師~~
同じく氷川神社群を探索している3人の錬金術師。
だが、サンジェルマンの表情はどこか暗そうであった。
「サンジェルマン、大丈夫なワケダ?」
「ッ‥‥ええ…」
ハッとプレラーティに返事するサンジェルマン。その様子を彼女は心配していた。
「‥‥本当に大丈夫なのか?無理をしなくても‥‥「大丈夫だといっているだろッ!」
「‥‥すまない、言い過ぎた」
一瞬で辺りの雰囲気は気まずくなる中、プレラーティはどうしてもサンジェルマンのことが気がかりで仕方がなかったのだ。
ラピスが壊された時は、確かにサンジェルマンに対しイラつき不満を募らせたこともあった。
だが、それ以上に不安でしかたがないのだ。
決別した親友と争い、家族を救ってくれた恩人が敵として立ちはだかっている。
平然さを保っているように見えて、内心相当動揺している筈だ。
(全く‥‥彼女が苦しんでいるというのに、和らげることすらできないとは‥‥。我ながら恥ずかしいワケダ)
――あの装者たちなら、彼女へ掛けるべき言葉を知ってるかもしれないな‥‥
そう心でぼやきながらプレラーティは夜空を見上げるのであった‥‥
本小説版LOST-SONG編、読んでみたい?*XV編後
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勿論ッ!
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う~ん・・・