戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~   作:光からの使者

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神の力について調べるべく埼玉県にある調神社へとやってきた一同。
アークマギアを撃退し宮司の世話になっていたが、調は突如ツクヨミと名乗る神と相対することに‥‥!


蒼きウサギとアオガエル

~~side 調~~

不可思議な空間の中で調はただ1人奇妙な繭と対峙していた。

 

「ツクヨミってたしか‥‥」

 

日本に古くから伝わる『夜を統べる神』である。

 

「そんな偉い神様が、わたしに何のようで‥‥?」

 

半信半疑な調にツクヨミが微笑むような声で話す

 

――其方は、あの奇怪な絡繰りから小さき命を救った。よって、褒美を遣わそう。だが‥‥

 

すると突如繭が動き出す。

 

――ただ渡すのでは、つまらぬ。わらわを封じるこの繭を壊してみせよ

 

「壊す…ってどうすればいいの?」

 

――なんでもいい。主が思う力を使って繭と戦うのじゃ‥‥

 

(‥‥わたしの力。それなら――ッ!!)

 

 

Various shul shagana tron――

 

聖詠を唱え、シンフォギアを纏う。

 

「シュルシャガナの刃しかないッ!」

 

 

 

鋸を駆使してツクヨミが封印されている黒い繭を攻撃する調。

反撃こそ受けないものの中々の硬度を誇っている。

 

「はあーーーッ!!」

 

それでもシュルシャガナの刃が少しずつだが、繭を削り徐々に亀裂が入り始める。

 

 

――フフ‥‥そうじゃ、もっと、もっとじゃッ!この忌々しき繭を破壊するのじゃッ!

 

 

――わらわは約束を違えない。破壊の暁には約束通り、そちが欲するものをやろう

 

ツクヨミの言われるがままに繭へ攻撃を続ける調だが、やや疑念を払えないでいた。

 

(封印‥‥もしかしたら、危険なものかもしれない‥‥。でも今のわたしには――)

 

「力を手に入れないと‥‥1人で強くなるには…それしかッ!」

 

 

 

 

~side翼~~

 

『門より出ずる神の力か‥‥』

 

夜になり翼と雅人はタブレット端末で司令に調神社で得た神の力に関する詳細を伝えてていた。

 

「皆のおかげで調神社所蔵の古文書より、いくつかの情報が得られました。敵がレイラインを利用した計画を進めているとしたら、やはり要石かと」

 

要石。ノエルやベアトリーチェとの戦いで幾つかが失われてしまったが、未だレイラインの安全弁として機能している。

 

『神の力をバリュエル光明結社に渡すわけにはいかないッ!必ずや阻止するぞッ!』

 

「無論そのつもりです」

 

続いて亡から回収した素体ヒューマギアについて説明を受ける。

 

『回収したマギアを解析した結果、最期にデータをどこかへ発信していた形跡が見つかりました』

 

「ということは、調神社へマギアをけしかけたのは証拠隠滅のためではなく‥‥最初からデータ収集が目的?」

 

『先日のプロテクトビースト討伐で、こちらの戦力を改めて調べ直す必要があると判断したと思われます。引き続き調査を試みますが、くれぐれもご注意ください』

 

「わかりました」

 

そう言って雅人は通信を終える。

 

(一体何を企んでいるだ‥‥アーク‥‥)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side調~~

しばらく経ち、とうとう調は、ツクヨミが封じられている繭を破壊した。

 

「はあ‥‥はあ‥‥」

 

――よくぞ封印を破ってくれたの‥‥。やはりわらわの見込んだ通りじゃ

 

繭から解放されたツクヨミの姿を見て調は問いかける。

 

「あなたは‥‥本当に神様なの?どうして封印なんて‥‥」

 

――わらわは正真正銘の神様じゃぞ?それよりもほれ、約束の褒美じゃ。受け取るがよい

 

「え――」

 

 

ツクヨミが手を翳すと、シュルシャガナのギアが変化し三日月やウサギに似た姿のギアとなる

 

――どうじゃ?新たな力を手に入れた感想は?

 

ギアが変化したことに困惑する調。それもそのはずこれが仮に『デュオレリック』だとすれば聖遺物同士の反発で従来通り暴走してしまう。だが、今の調には反発どころかシュルシャガナとツクヨミの力が素直に受け入れているのだ。

 

「どうして‥‥聖遺物同士の反発がないの?ここが貴方の領域だから?」

 

――反発じゃと、一体なんのことじゃ?わらわは約束通り力を与えただけのこと

 

色々と疑問に思うことはあれど調はツクヨミに気になっていたことを聞く。

 

「‥‥どうしてわたしに力を貸してくれるの?」

 

――主は、わらわの眷属を助けてくれた

 

「眷属…?」

 

――神社にいたであろう?

 

 

マギアに襲われていた二匹の特別なウサギのことを調は思い出す。

 

「もしかして‥‥」

 

――さぁ、行くがよい。主を待つ人がおるじゃろう」

 

「うん、力を貸してくれてありがとう」

 

――フフ、対価は既に貰っておる。おお、そうじゃ伝え忘れるところじゃった

 

「どうしたの?」

 

――主よ、わらわの代わりに、あの宮司に礼を言ってくれぬか。眷属諸々世話になっているのでな。

  それと、困った時は神頼みでなくとも、誰かに打ち明けた方がいいじゃろう。

 

 

「‥‥わかった」

 

――よろしく頼むぞ

 

 

 

そう言い残すと調の意識が覚醒する。

 

 

 

 

 

布団の上に目覚めた調。その手には勾玉のような物が握られていた。

 

(これが‥‥ツクヨミと引きわせてくれたんだ‥‥)

 

ふと見ると空いた扉からあのウサギたちが駆け出していく。

 

「待ってッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side 調 宮司~~

勾玉を手にウサギを追うも姿を見失ってしまう調。すると‥‥

 

「おやおや、こんな夜更けに散歩とは、何か悩み事ですかな?」

 

「あ、宮司さん‥‥これ…」

 

調はウサギから渡された勾玉を宮司に見せる

 

「おや、何故これが貴方の手に…?」

 

「これって一体どのようなものなんですか?」

 

「これは『八尺瓊勾玉』と言いましてな。この国に伝わる、3種の神器の1つです」

 

『天叢雲剣』は、須佐之男命、『八咫の鏡』は天照大御神、そして『八尺瓊勾玉』がツクヨミの象徴とされている。

 

「たしか、神社本庁より厳重に保管していたはずですが‥‥」

 

「起きたら、手の中にあって‥‥近くにウサギさんたちが居たんです」

 

調の眼を見た宮司は、彼女が嘘をついていないことを察してくれた。

 

「もしかしたら、神様に気に居られたのかもしれませんなぁ」

 

宮司はお堂に向けて二礼二拍手をする。

 

「若い方には馴染みのない作法ですかな?」

 

「うん‥‥なんか、めんどくさい」

 

 

調も宮司に続き見様見真似で2礼2拍手を行う。

 

「しきたりや決まり事、誰かに合わせなきゃいけないってよくわからない‥‥」

 

「合わせたくても、合わせらえない。わたしは狭い世界での関係しか知らない。でも‥‥心の引け目でできた壁が大切な人たちを遠ざけてしまう‥‥。きっと、親友までも‥‥」

 

調の独白に宮司は告げる。

 

「貴女は良い人だ」

 

「良い‥‥人…?私が?なら、どうしてわたしの中に壁があるの?」

 

 

「壁を崩して打ち解けることは確かに良いことかもしれません。ですが、壁とは何も拒絶するためだけにあるものではないと、そう思いますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side イヴ ティキ リーパー~~

夜景を眺めながら風呂に入るイヴとティキ。のんびりしているとティキがイヴに向けて言う。

 

「ねぇッ!あたし人間になりたいッ!」

 

「藪から棒にどうしたの?ティキ?」

 

「神の力を手に入れたら、人間の女の子になりたいのッ!おしゃれして、美味しいご飯を食べて、ふかふかのベットで寝てみたいのッ!」

 

「あ。あとね、ママ――」

 

 

 

やや興奮気味に話すティキであったが、急に落ち着いたように話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女、本物のママ(イヴ・ヴァイスハウプト)じゃないでしょう?

 

 

 

くつろいでいたイヴは、表情を一変させティキに問いかける。

 

「‥‥いつから気づいていたのかしら?」

 

「本当は、最初から違和感はあったわ。いつまでもパパ(アダム)(サンジェルマンたち)に会わせてくれなかったからでも、それは300年間も眠ってたせいだって言い聞かせてた。でも、生贄の話を聞いた時確信したのよ。貴方はママじゃないって」

 

「どうして私が、本当のイヴではないと言い切れるのかしら?」

 

 

「だって…ママは‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

家族(ラセツたち)を傷つけて、笑っていられるような人じゃないもんッ!!

 

 

 

 

 

「その話、聞かせてもらおうか偽物さんよぉ‥‥」

 

一連の話を聞いていたリーパーが姿を現し、イヴの首筋にナイフを突き立てる。

 

「偽物‥‥?まぁ、あくまでガワ(身体)は本物よ」

 

「それに、聞いていないとは言わせないわよ。あなたたち全員生贄にすることは当初の路線どおりなんだから」

 

「そんなの聞いてねぇよッ!!」

 

動脈目掛けてナイフを突き刺すも、障壁に阻まれて、腕を掴まれ投げ飛ばされる。

辛うじて手摺に捕まり、体制を立て直す

 

「てめえは一体誰だッ!!何を目的にしているッ!!」

 

「神の力は、忠臣が持つのに相応しい…ッ!」

 

(忠臣だと…?)

 

【ジュエルドライバーッ!】

 

Deathッ!

 

「嵌装ッ!!」

 

 

 

【ビーストライズッ!】

 

ベランダから飛び降りると共に、リーパーの身体を蛇が巻き付きながら登り、頭へかぶりつきプロテクトビーストへと変身する。

 

【Killing Viper!】

 

Death is the end of an equal visit to everyone(死は誰にも平等に訪れる終わりである)

 

装甲を分解・再構築させ、大蛇のライダモデルを生み出すと、頭に乗って道路を猛スピードで滑走する。

 

「リーパー逃げてッ!ラセツに伝えてぇッ!!」

 

「無駄なのにねぇ。まぁ、後はシンフォギアたちに任せましょうか」

 

 

 

 

 

『ラセツ‥‥!アルセーヌッ!!』

 

「チィ‥‥妨害されるよなぁ‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~sideS.O.N.G.~~

 

『新川越バイパスを猛スピードで北上中ッ!』

 

『付近への被害甚大ッ!このまま住宅地に差し掛かることがあれば‥‥ッ!!』

 

「了解です。対応しますッ!」

 

「皆さんどちらへ?」

 

一同が宮司を見ると背後では調が、どこかへ走り出していた。

 

「師匠!調ちゃんがッ!」

 

『先走らずに、ヘリの到着を待て』

 

すると、境内にアルカノイズが沢山現れる。

 

「行かせないつもりかッ!!」

 

 

木の陰でテレポートジェムを握りアズがほくそ笑む。

 

「お膳立ては完了。せいぜい掌で踊ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side 錬金術師~~

 

同じ頃錬金術師たちにも弦十郎からの連絡が伝わっていた。

 

「プレラーティ、頼めるか?」

 

「ああ、勿論なワケダ」

 

「お願いするわ」

 

ファウストローブを纏いプレラーティはけん玉を車輪のように走らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side 調、翼、プレラーティ~~

1人、調は禁月輪で高速道路を駆け抜けていた。

 

「シュルシャガナなら追いつけるッ!」

 

「高軌道を誇るのは、お前1人ではないぞッ!」

 

「そういうワケダ」

 

加速させ、猛スピードで駆けるリーパーの元に辿り着く

 

「何を企み、どこに向かうッ!」

 

「てめえらなんざ、お呼びでないんだよッ!!」

 

真空波を飛ばし、距離を引き離すリーパーだが、余程余裕がないのか周りにお構いなく突き進む。

 

 

「ユニゾンだ月読ッ!イグナイトとのダブルブーストマニューバでまくり上げるぞッ!」

 

「ユニゾンは‥‥できません‥‥」

 

「月読‥‥!」

 

「切ちゃんは‥‥やれてる。誰とでも、でも、わたしは切ちゃんじゃないと‥‥ッ!!」

 

「人と接し方が分からない以上、1人で強くなるしかないんですッ!」

 

苦しんでいた調に対し翼は語り始める。

 

「心に壁を持っているのだな月読は」

 

「わたしも、かつて危うく友を失いそうになり、二度と失わぬようと誓った心が壁となり目を塞いだことがある」

 

「天羽…奏さんとの…」

 

「月読の壁もただ相手を隔てる壁ではない。相手を想っての距離感だ」

 

「思ってこその距離感‥‥」

 

切歌に心配をかけさせたくないからこそ、調は1人で悩んでいた。相手を想っていたからこそ壁が出来ていたのだ。

 

「それはきっと月読の優しさなのだろうな」

 

「優しさ‥‥・」

 

(相手を想う、優しさか‥‥)

 

装者たちの前方を走るプレラーティにもその言葉は刺さっていた。

 

(ラピスが壊れた我々を置いていこうとしたのも、強がっていたのもサンジェルマンなりの優しさだったワケダ‥‥。私ともあろうものが数百年過ごしていたというのにすっかり失念していたワケダ)

 

 

「チィッ!!」

 

3人は真空波を交わしながら、進んでいく。

 

「優しいのは周りのみんなです。だからこうして、気遣ってもらえる。私はみんなの優しさに応えたいッ!

 

「何をごちゃごちゃとぉ‥‥全員纏めて内蔵ぶちまけてやるッ!」

 

業を煮やしたリーパーはジュエルドライバーのボタンを押す。

 

 

 

――エンヴィー・オブ・ビーストォォォッ! 

 

 

The devil slashes and creates a tragedy (悪魔が斬り裂き、惨劇を生む)

 

リーパーの装甲が不気味に変化していくにつれ、滑走している大蛇も醜く変化し、頭が三つに別れただけとどまらず尻尾にも新たな頭が生まれる。

 

新しく生えた頭から毒液を、カッターのように放ちトンネルの監視カメラを破壊、爆発の衝撃で炎に包まれる。

 

 

「フンッ!ざまあみやが―――」

 

 

 

 

ダインスレイフッ!

 

 

イグナイトを解放した2人がプレラーティと共に加速していく。

 

「まずいワケダ‥‥ッ!」

 

標識を見るとまもなく連続カーブに差し掛かる。

 

「このままでは、住宅地にッ!」

 

「いざ、尋常にッ!!」

 

翼はバイクを大蛇の横へと寄せる。

 

「邪魔だてをッ!」

 

右側の頭が翼を喰おうとするが、すかさず調が左から禁月輪で体当たりする。

 

「動きに合わせて来たかッ!!」

 

尾の頭で対処しようとするが、プレラーティのけん玉の先が蛇の口を塞ぎ3方向から挟み込む。

 

「神の力、そんなものは作らせないッ!」

 

「それはこっちだって同じだッ!!」

 

リーパーは4つの頭に指示し、3人へ一斉に毒液カッターを雨のように降らせる。

 

「これでは、うかつに近づけないぞ‥‥ッ!」

 

「2人とも、私に任せてッ!!」

 

「月読?」

 

「何をするつもりなワケダ?」

 

(今こそ応えて、ツクヨミッ!!)

 

調が念じるとイグナイトの色を残しつつギアが八尺瓊勾玉ギアへと変化する。

 

「その姿は‥‥ッ!」

 

「わたしもデュオレリックに成功したんです。だから、わたしに任せてッ!」

 

 

毒の斬撃の雨へ向かって調は直進する。

 

「馬鹿がッ!自ら死にきたかッ!!」

 

「そんなの当たらないッ!」

 

なんと調には一発も斬撃が命中しなかった。まるで初めから知っていたかのように

 

蛇達が何度打ってもかすりもしないのだ。

 

「次はこっちの番ッ!」

 

調が鋸を放つ。リーパーは避けようとするが、尾の頭に命中し切り落とす。

 

「これならどうだッ!!」

 

集約させた3つの頭より、毒液を壁のようにする。

 

「行く道を閉ざすかッ!」

 

「そんなのは切り開けばいいッ!!」

 

丸鋸を連発し、高速道路の壁を砕いて3台が乗れるジャンプ台を構築する。

ジャンプ台に乗って飛んだ翼と調目掛けて左右の首をけしかけるが‥‥

 

「プレラーティさんッ!

 

「お呼びなワケダッ!」

上からプレラーティの乗るけん玉が覆いかぶさり左右の首を踏み潰す。

 

「プレラーティ‥‥貴様あぁッ!」

 

やむを得ず鎌で翼と調を払いのける。

 

「こっちで調整する、一気に行くワケダッ!」

 

「了解、駆けぬけるぞッ!」

 

一気に駆け出した3人はそれぞれの乗り物を変化させる。

 

 

調の『非常Σ式 禁月輪』を変化させたホイールを後輪、プレラーティのけん玉のホイールを前輪にしてブレードを展開した翼のバイクがけん玉の先と接続し巨大な車【智式・風月ノ疾走】となって疾走する。

 

「こんなところで‥‥死ねるかあああああッ!」

 

負けじとリーパーもジュエルドライバーをさらに押し込み必殺技を繰り出す。

 

【キリリング・オーナメントッ!】

 

もう一度再構築して、巨大な蟒蛇となって丸呑みにしようと突っ込む。

 

 

――今を生き抜く為 出会ったと感じた

 

 

――教えてくれた

 

 

――わたしも教わった

 

 

――調べ鳴るこの絆爆ぜよぉぉおおおおおッ!

 

 

ラセツ‥‥ラセツゥゥゥゥッ!!

 

 

 

一瞬【智式・風月ノ疾走】を飲みこむが勢いを殺せず蛇は砕け散る。

 

 

腹から飛び出した3人は互いの無事を確認し合う。

 

「勝てたの…?」

 

「ああ…2人で掴んだ勝利だ」

 

「私を忘れないで欲しいワケだが‥‥」

 

 

こうして2人目のプロテクトビースト『切り裂きジャック』のリーパーを撃破したのであった‥‥

 

 

 

~sideバリュエル光明結社~~

夜中、鏡写しのオリオン座に位置する神社にてラセツは儀式の準備を進めていた。

 

「ラセツ様」

振り返ると電話を持ったアズが立っている。

 

「アズ‥‥一体何のようだ?」

 

「ティキ様よりお電話でございます」

 

そう言われて受話器を取るとティキが震えた声で話し始める。

 

『リーパーが‥‥轢かれて、死んじゃった…ッ!ペシャンコになっちゃった…ッ!!』

 

「ッ‥‥!」

 

ショックでラセツの身体が強張っているろティキに代わりイヴが電話に出る。

 

『報告にあった通りよ。‥‥残念だわ』

 

「…どうして‥‥黙って逝ったの‥‥」

 

『急いで帰還して欲しい。連中に儀式のことを気取られないうちにね』

 

「トドロキに続いて‥‥リーパーまで‥‥」

 

長い間結社の幹部として共にあり続けた2人が死んだことを受け、ラセツの眼には1筋の涙が零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~sideS.O.N.G.~~

夜が更け、晴れやかな朝日が辺りを包む。

 

「「「「「「お世話になりましたッ!」」」」」」」

 

「いやいや、お役に立ちましたかな」

 

「とても参考になったのデスッ!」

 

「お前は読み始めてすぐ寝ちまっただろうに‥‥」

 

装者たちが宮司と話している傍ら、翼とマリアは弦十郎と通信していた。

 

「では、あの錬金術師が向かう先には―ー」

 

『鏡写しのオリオン座を形成する神社。レイポイントが存在していた』

 

ますます『神の力』が絵空事とは思えなくなってしまう。

 

『対策の打ちどころかもしれんな‥‥』

 

 

「皆さん良ければ、また調神社にいらっしゃい。この老いぼれが生きている間に」

 

「神社ジョーク…笑えない…。あ、そうだ。宮司さん、これ」

 

調は宮司に八尺瓊勾玉を返す。

 

「ツクヨミがウサギさんのことありがとうって」

 

「おや、そうですか。であれば、これを」

 

そう言って宮司は調にウサギが描かれたお守りを渡す。

 

 

 

 

 

「「「「「ありがとうございました」」」」」」

 

 

各々が車に向かう中、切歌は神社の鳥居に掘られた名前を眺める。

 

「やっぱり、こんなの絶対調(つき)なんて読めないデスよ‥‥」

 

「切ちゃんッ!置いてっちゃうよッ!」

 

「わかってるデスよッ!」

 

車やバイクが調神社から遠ざかっていくのを宮司と数珠を付けた2匹のウサギたちが見守る。

 

 

「長い間生きていると、良いことが起きるのかもしれませんなぁ」

 

 

そう言うと宮司はウサギたちを抱え境内へと戻っていく。

 

「さて、ウサギさんたちも食べますかな?出来立てほやほやのキッシュですぞ」

 

宮司の言葉にウサギも喜ぶ。

 

 

 

 

ウサギを祀る『調神社』は、今日も平穏なのでした




設定集
『八尺瓊勾玉』ツクヨミの象徴である聖遺物。ツクヨミに認められた調はデュオレリック『八尺瓊勾玉ギア』を発現し、特徴である予知能力でリーパーの猛攻から守り切った。

解決後は引き続き、神社本庁の言伝で調神社が預かることになった。

・エンヴィーオブビースト
リーパーの奥の手『嫉妬の獣』
この姿になると、蛇が4つ首に増え毒液をカッターのように飛ばすことができる。
元が切り裂きジャックであるため、4人の中では斬撃に特化している。

本小説版LOST-SONG編、読んでみたい?*XV編後

  • 勿論ッ!
  • う~ん・・・
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