戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~   作:光からの使者

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イヴ・ヴァイスハウプトの野望を止めるべく挑む一同。しかしイヴはティキを破壊兵器ディバインウエポンへと変えてしまう。圧倒的な力の前に絶体絶命に陥るが、アダムの乱入によって辛うじてディバインウエポンを倒す。本性を現したイヴ…いやウィズベインはゼツメライズキーに力を宿そうとするが、なんと響に神の力が宿ってしまった‥‥


永遠に灯す輝き

神の力を宿した響は巨大な繭となってビルとビルの間に胎動していた。

その光景にウィズベインは狼狽していた。

 

「最悪だ‥‥何もかも台無しじゃないか‥‥ッ!私の理想郷計画がッ!!」

 

「だが、諦めんぞ。今度こそ神の力を」

 

悔しがりながらも諦めきれないウィズベインは錬金術でどこかへと姿を消す。

 

「立花響‥‥お前は一体…?」

 

side雅人

 

「はぁ…はぁ…」

 

疲労に苛まれながらも何とか立ち上がる雅人。光の粒子をぶち破った反動で変身は解除されてしまっていた。

シェイクハンディングガングニールプログライズキーも出力オーバーしたためにキーがドライバーから外れ、多少だが煙を出している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side S.O.N.G

 

 

『立花響が神の力と称されるエネルギーに取り込まれてから48時間が超過。国連での協議は最終段階。間もなく日本への武力介入が決議される見込みだ』

 

『そうなるとお前達S.O.N.G.は国連指示の下先陣を切らねばならないだろう、さらに状況が状況であるため事態の収拾に反応兵器の使用も考えられる』

 

八紘からの報告に弦十郎は驚く。

 

「反応兵器!?あの中には響君が!!」

 

反応兵器‥‥所謂、核兵器だ。

 

『無論、そんな暴挙を許すつもりはない』

 

『だが世界規模の災害に発展しかねない異常状態に米国政府の鼻息は荒い』

 

緊迫した状況に弦十郎は苦い顔をする。

 

 

「消し飛ばされた軍事衛星が口実を与えてしまったのか!」

 

『引き続き局面打開に尽力してほしい。それがこちらの交渉カードになり得るのだ』

 

「わかった。すまない…兄貴」

 

「気にするな弦。私も最善を尽くすつもりだ」

 

そう言って八紘は通信を切る。

八紘からの報告からもわかる通り事態は芳しくない。

 

「まさか、今度はうちがバルベルデと同じ状況になるなんてねぇ」

 

いつも明るく振舞う了子でさえそんな気にはなれなかった。

 

「あのサナギ状の物体の中に響さんの生体反応を確認しています、おそらくは神殺しの力が融合を食い止めていると思われますが…それもいつまでもつか…」

 

「時間が稼げてるうちに対策を!」

 

「彼女…達?」

 

不思議に思っている中司令室の扉が開き未来が現れる。

 

「響があの中にいるんですね?

 

どうやったら響を助けられるんですか?」

 

「これを使います」

 

そう言ってエルフナインはLiNKERを注入する注射器を取り出す。

 

「LiNKER?でも色が違いますね?」

 

「ANTI LiNKER…!?」

 

「LiNKERとアンチLiNKERは表裏一体。LiNKERを完成させた今アンチLiNKERも精製可能です」

 

「でも適合係数を引き下げるアンチLiNKERを使ってどうやって?」

 

 

するとエルフナインはディバインウエポンとヨナルデパズトーリの画像を出す。

 

「ヨナルデパストーリとディバインウェポン、どちらも依代にエネルギーを纏って固着させたもの…まるでシンフォギアと同じメカニズムだと思いませんか?」

 

「ッ!?」

 

「ってことはAntiLiNKERで響から神の力をひん剥けるだなッ!」

 

「はい。そのために」

 

そしてエルフナインは作業を終えたギアコンバーターを用意する。

「亡さんと了子さんのおかけで予定よりも早く反動汚染の除去完了。いつでも作戦に投入可能です!」

 

 

「あの…私達にもできることがあれば…」

 

「君はこの作戦のエースインザホール、切り札だ!」

 

困惑する未来を余所に弦十郎は…

 

「そして‥‥」

 

 

 

 

 

「協力者に失礼だ。銃を下げろ!」

 

応接間に移動する一同。そこでは黒服の男たちがサンジェルマン、アダム、ラセツに銃を突き付けていた。

 

「し、しかし‥‥」

 

「何かあったとしても俺が動きづらくなるだけだ」

 

そう言い弦十郎は黒服たちを退かせる。

 

「情報は役に立ったのかしら?」

 

「賢者の石の技術なくしてこの短期間に汚染の除去はできませんでした。ありがとうございます!」

 

「嗚呼。だが、すまない。ガングニールプログライズキーはオーバーヒートしていて再使用にはかなりの時間がかかるだろう」

 

雅人の使っていたシェイクハンディングガングニールプログライズキーは神殺しの力を酷使したため出力に回路が耐え切れずオーバーヒートしてしまい現在冷却状態になっている。

 

 

「いえ、謝ることないですよ。俺が無理に使ったせいなんですから」

 

 「それで我々への協力についてだが…」

 

「構わないよ、非常時だ。だけどね‥‥」

 

「‥‥すまない。手を取るわけには‥‥」

 

すると‥‥

 

『司令!』

 

「どうしたッ!」

 

「鎌倉から直接通信がッ!」

 

モニターの画面が訃堂に切り替わる。

 

『護国災害派遣法を適用した』

 

「まさか立花を第二種特異災害認定したのですか!?」

 

「はあぁッ!?」

 

【護国災害派遣法】とはノイズ災害を始め相次ぐ超常による有事に即応することを目的とした法律である。

つまり今の立花響を超常災害と見なし法律を適応させたのだ。

 

「此度の有事、聖遺物起因の災害に対し無制限に火器を投入可能となっておる。対象を速やかに殺処分しなければならん」

 

「ですが現在救助手段を講じており…」

 

「儚きかな、国連の介入を許すつもりか。介入の次は反応兵器の行使だ。国はおろか民も燃えるぞ」

 

「待ってください!響は特異災害なんかじゃありません!私の…友達です!」

 

「国を守るのが風鳴ならば鬼子の私は友を!人を防人ます!」

 

 

「‥‥。」

「翼ッ!その身体に流れる血を知らんか」

 

 

 

「知る者か!私に流れているのは、共に過ごした仲間の歌だけだッ!」

 

 

画面に映る訃堂へ向け翼は、はっきりと己の覚悟を伝えた。

 

 

「ぬぅ‥‥」

 

 

「指令!響ちゃんの周辺に攻撃部隊の展開を確認!」

 

「作戦開始は2時間後、選択された正義は覆さん。あの娘を助けるならば成しとげてみせよ」

 

そう言い訃堂は通信を切る。

 

(あの親父が翼に反抗されて大人しくしているなんてなぁ。‥‥まるで試されているような気分だ)

 

通信が切られるまで翼は画面を睨む一方で弦十郎はどこか訃堂に対し違和感を感じていると再び友里から通信が入る。

 

「司令、響ちゃんの周囲に攻撃部隊の展開が確認されましたッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方響が取りこまれている繭の周囲を何両もの自衛隊の戦車が取り囲んでいる。

そして繭目掛けて砲撃を始めてしまう。

 

『次いで第二波、攻撃開始。』

 

『第二波、攻撃開始ッ!』

 

隊長格の指示に従い再び繭目掛けて砲撃が行われる。

全弾命中すると同時に繭に大きな亀裂が入る。

 

 

『全弾命中ッ!……対象の外殻部に亀裂確認ッ!効果ありッ!」

 

 

『彼らは知らされていないのか…!?あの中に人が取りこまれているんだぞ…!」

 

 

『このままでは響ちゃんが‥‥ッ!』

 

 

深刻化する事態にモニターから映像を見ていた一同は焦る。

そんなことはお構いなしに自衛隊隊長は次の攻撃指示に移ろうとしていた。

 

『第3次攻撃用‥‥『待ってくださいッ!』

 

 

『あれは‥‥ッ!?』

 

3度目の砲撃を行おうとしていた矢先繭に異変が生じた。

外殻部の亀裂がさらに大きくなり何かが突き破って外に飛び出そうとしているのだ。

 

「アアアアアアアァァァッ!!」

 

ついに黄金のエネルギーと共に巨人が繭を突き破り誕生してしまった。

人の面影を残しながら白い身体に赤いラインの入った姿。そして胸の中心にはコアのような突起物。さながら某特撮ヒーローが現実に飛び出してきた迫力である。

 

神の力を取り込み疑似的な神となった響、【破壊神ヒビキ】は呻りと雄叫びと共に自分を攻撃した自衛隊目掛け口から破壊光線を放つ。

 

『まさか…ッ!あの攻撃が覚醒を速めてしまったのかッ!?』

 

 

荒ぶる響は再び破壊光線を吐きながら周囲を薙ぎ払おうとする。

 

「いくわよ、セレナッ!」

 

「はいッ!姉さんッ!!」

 

マリアとセレナは咄嗟に自分たちのアームドギアで光の盾を創り出し光線を受け止めるも、防ぎ切れず吹き飛ばさえてしまう。

 

「うああああ――ッ!」

 

「きゃあああ――ッ!」

 

寸でのところで調と切歌が吹き飛ばされたマリアとセレナを受け止める。

 

「大丈夫ッ!? マリアッ!セレナッ!」

 

「あのデタラメな強さは…何だかとっても響さんデスよッ!」

 

「この戦場はこちらで預かる。撤退されよッ!

 

翼は自衛隊に撤退を促すが‥‥

 

「国連直轄の先遣隊か。我らは日本政府の指揮下にある。撤退命令は受けていないッ!」

 

意地でも撤退するつもりのない自衛隊。すると斬撃とクラスターセルが戦車の砲塔を滅茶苦茶にする。

 

ファウストローブを纏ったサンジェルマン。

 

プロテクトビーストを展開するラセツ。

 

投げた帽子を受け止め被るアダム・ヴァイスハウプト。

 

そして雅人はシャイニングアサルトホッパーとなってログライズホッパーブレードを構える。

 

「理由が必要なら‥‥くれてやる」

 

「死にたくなければ大人しく下がれッ!」

 

「力を‥貸してくれるのかッ?」

 

「えぇ。元々乗り掛かった舟だもの、最後まで付き合うわ。そうでしょう、ラセツ?」

 

「‥‥自分が蒔いた種は自分で刈り取る。ただそれだけよ」

 

今までの行いに対する罪悪感からかラセツは少しくらい表情を浮かべていた。

一方アダムは錬金術を使い緑色の光を雅人に浴びせる。すると、重度の疲労に襲われていた雅人の身体が軽くなる。

 

 

「良いだろう、これで。少しなら癒えたはずだ疲労が」

 

「ありがとうございます、アダムさん。おかげで少し楽になります。」

 

けれどもアダムは雅人の身体を懸念していた。

 

「でも無理は禁物だよ。ただでさえ成長が著しいのだから、君は」

 

アダム曰はく、雅人を襲っていた謎の疲労感は彼の潜在能力を引き出し続けたことで発生したことが原因のようだ。これまで戦闘を行うたびにゼロワンドライバーは衛星ゼムによってデータを更新し続けていた。データが更新される毎に雅人の身体も適応すべくどんどん成長していった。しかしこの数週間で激しい戦闘を行ったことでやがて成長に適応が追いついておらず、シャイニングホッパー程ではないものの力の前借り状態に陥っていた。

 

さらにメタルクラスタホッパーに搭載されている筋力増強装置「ホッパーフォース」で超人的な力を引き出していたが、それを力を前借りしている状態で何度も使用していたため身体には当然負荷が掛かりその結果謎の疲労感を生み出していたというわけである。

 

「えぇ、無論そのつもりはありません。無理をしてやられては元も子もないですから」

 

「‥‥そうかい。したからね、忠告は」

 

自衛隊の戦車たちが退くと特殊車両隊が到着する。

 

「特殊車両隊、現着。司令いつでも行けます!」

 

「よぉし!響くんのバースデーパーティーを始めるぞッ!」

 

 

 

 

 

 

「グルルルルゥゥゥッ!!」

 

唸り声をあげる破壊神ヒビキにメンバーはそれぞれ構える。

 

「まずは動きを封じるッ!」

 

翼の合図で全員一斉にヒビキ目掛けて走り出す。

 

「じゃじゃ馬ならしだッ!」

まずは牽制がわりにクリス、サンジェルマンが巨大な身体へ弾丸を浴びせる

 

「はああぁッ!」

 

影縫い

 

 

すかさず飛び上がった翼は複製した天羽々斬を雨のように降らせ、ヒビキの影を地面と縫い合わせ動きを封じる。

しかしヒビキは力ずくで身をよじり影縫いを破ってしまう。

 

「やはり対人戦技では効果は望めぬか…!」

 

「だけどこの隙は無駄にはしないッ!」

 

マリアは3本の短剣を束ね光の布のような物を形成する。さらにセレナの短剣も変化させ繋ぎ合わせてヒビキの身体に巻き付け拘束する。

 

拘束され暴れるヒビキの足元にはラセツと奏がスタンバイしていた。

 

【テリトリー!】

 

奏はトラッピングスパイダープログライズキーをアタッシュショットガンに装填する。

 

"Progrise key confirmed. Ready to utilize."

スパイダーズアビリティッ!

 

 

「でりゃあああッ!」

 

トラッピングカバンショットッ!

 

砲身から力強く発射されたクモの巣状のエネルギー弾はヒビキの両足に引っ付き動きを封じる。

 

(天羽奏の持つガングニールにも神の殺しの力は宿っているが…。もし神殺しの力が作用したら立花響の命まで奪いかねない‥‥)

 

「神殺しの力があてにできない以上、これしかないッ!」

 

ラセツも脛へ斬撃を当てダメージを蓄積させる。

 

それでも暴れ続けるヒビキに苦戦するマリア。そんな彼女の背中に装者たちが集まる。

 

「姉さん!」

 

「マリア!私たちの力を」

 

「束ねるデスッ!」

 

クリス、翼、奏、雅人も加わりマリアに協力する。

 

「一人ではないッ!」

 

「あたしたちがいるッ!」

 

「だから戻ってきてッ!」」

 

雅人は最後尾ながらも推進器「シャイニンググラディエイター」をフル稼働させ肩と背部の放出口から発行粒子を吹き出す。

ヒビキの動きが鈍くなった隙を突き翼は声を上げる

 

「今です、緒川さんッ!」

 

『心得てますッ!!』

 

特殊車両からケーブルが発射されヒビキの身体に突き刺さる。ケーブルからはAntiLiNKERが流し込まれる。

ANTILiNKERが効いているのかヒビキが苦しみ始める。

 

『アンチリンカー命中!注入を開始!』

 

『対象より計測される適合係数、急速低下!』

 

『ヒビキちゃん‥‥』

 

『弦、間もなく国連の協議が終了する。結果は日本の…立花響の状況次第だ!』

 

『人事は尽くす!尽している!』

 

『情勢は圧倒的に不利だ!このままでは個人を標的に反応兵器が使われかねないッ!』

 

『響君‥‥』

 

 

苦しみ続けるヒビキの頭部が蒼い炎を灯し始める。すると口から再び破壊光線が放たれる。それも特殊車両隊が居る方向である。

 

 

「不味いッ!?」

 

「このままじゃあッ!」

 

「任せたまえ。僕にッ!!」

 

すかさずアダムが結界を張り破壊光線から特殊車両隊を護る。

 

「通さないよ。ここから先にはッ!」

 

 

「すまない。助かった!」

 

「ありがとう!」

 

暴れるヒビキは拘束を無理矢理引きちぎり攻撃し始める。

 

「繋いだ手を振り払うことがお前のやりたかったことか!立花響!」

 

「私たちに伸ばしたあの手は嘘だったのかッ!目を覚ませ!」

 

雅人、ラセツ、サンジェルマンが装者たちの前に立ち攻撃を受け止める。

シャインクリスタとクラスターセルがで防御を堅くしているがそれでも激しい攻撃が繰り広げられる。

 

『神の力に備わる防御機構…アンチLiNKERの理をリアルタイムで書き換えて…!』

 

『適合係数数値反転!急上昇します!』

 

『ああ。そこまでの予測はついている。だから!』

 

 

――響ぃぃぃッ!!

 

 

 

未来の声が発せられた途端暴れていたヒビキの動きが止まった。

 

『響ちゃんの活動、止まりました!』

 

『適合係数の上昇によって融合深度が増している今ならば電気信号化された未来さんの声は依代となっている響さんに捻じ込まれるはずです!』

 

 

――今日は響の誕生日なんだよ…なのに…

 

 

————なのに響がいないなんておかしいよ!

 

コアの中枢で眠る響に未来の声が響き渡る。

どこか懐かしく、暖かいその声に響は目を覚ます

 

「呼んでいる…この声、、、、、」

 

――響。お誕生日おめでとう。ううん。この気持ちはきっとありがとう、かな。響が同じ世界に生まれて来てくれたから私は誰かと並んで走れるようになったんだよ

 

 

「…未来…?」

 

――誰かとなら一人では届かないゴールに届くって気づかせてくれた

 

「はッ‥‥未来ッ!」

 

 

――わたしの陽だまりッ!

 

――響。私のおひさまッ!

 

 

 

 

 

未来と響が共鳴したその瞬間、ヒビキのコアが割れ中から響が降りてくる。

 

「響!信じてたッ!」

 

響を迎えに未来は車両から駆けだす。

S.O.N.G本部でも響の帰還を確認していた。

 

『響ちゃんは無事です!生きています!』

 

『よかったぁ‥‥よかったわ…響ちゃん』

 

了子も思わず涙する。

 

すると八紘からの通信が入る。

 

『こちらでも状況を確認している!国連による武力介入は先程否決された。

 

『これまでお前達が築いてきたS.O.N.G.の功績の大きさに加え、斯波田事務次官が蕎麦にならったコシの強さで交渉を続けてくれたおかげだ』

 

『人は繋がる…一つになれる』

 

『そうだ。反応兵器は使われない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side鎌倉

 

『よくやった、時代の担い手たちよ。これで儂の役目も―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場にいた、映像を見ていた全員が歓喜し喜びを分かち合っていた。

恐怖や憎しみに囚われず国という垣根を超えわかり合えたと思っていた。

 

 

―――思っていた筈だった‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side S.O.N.G

 

突如、艦内に非常アラートが鳴り響いた。

 

『太平洋沖より発射された高速の飛翔体を確認!これは…』

 

『撃ったのか!?まさか‥‥米国政府が独断でッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 米国某所

 

「悪く思わないでくれ。そも我が国の成り立ちは、人が神秘に満ちた時代からの独立に端を発しっている。これ以上この世界に必要悪を生み出さないため、この鉄槌は人類による人類のための新世界秩序の構築になくてはならないのだ」

 

 

 

 

 

side 日本

 

『迎撃準備!』

 

『この距離では間に合いません!着弾まで推定330秒!』

 

『ぬぅぅぅぅ‥‥ッ!!」

 

時同じくして訃堂の顔は鬼の如く顔をしかめる。

握った拳から血が流れるほどに

 

「だったらこっちで斬り飛ばすデス!」

 

「駄目!下手に爆発させたらあたり一面が焦土に!むこう永遠に汚されてしまう!」

 

「だけど、このままじゃみんなまとめて吹き飛んじまうッ!」

 

「くそぉぉ‥‥ッ!!」

 

雅人はメタルクラスタホッパーで迎撃しようと考えるもいくらクラスターセルといえども有害物質までを喰い尽くすことが出来ない。例え自分が受け止めようとしても周囲が汚染されてしまったら意味がないのだ。

 

 

 

もはや打つ手なしかと誰が思われたその時‥‥

 

「私はこの瞬間のために生きながらえてきたのかもしれんな」

 

サンジェルマンとラセツが空へ飛びミサイルと対峙する。

 

「二人でやれるかしら‥‥?いや…愚問だったわ。だとしても、よ」

 

ラピス・フィロスフィカス、ラピス・スピリチュアルを輝かせる錬金術師たちは唄い出す。

すると、今まで姿を消していたカリオストロとプレラーティが姿を見せる。

 

「それだけじゃないわ」

 

「え?」

 

ラセツが振り向くとそこには死んだはずのトドロキ、リーパー、アルセーヌがプロテクトビーストを纏って居たのだ。

 

「待たせてすまなかった」

 

「寂しいこと言うんじゃないの」

 

「我らも助太刀するぞ」

 

「お前たちッ!!」

 

一同に会した3人の錬金術師と4匹の守護獣たちは反応兵器へ立ち向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今まで騙していてすまなかったラセツ。実はどうも局長が怪しいと睨んだ我はあえて死んだふりをしていたんだ」

 

「俺もそんなトドロキに救われてな。そこで真実を打ち明けて機会を伺ってたのさ」

 

「私たちも死を偽装し同じくイヴを疑っていたカリオストロ、プレラーティと上手く協定を結べないかと思って手紙を残した」

 

「で今まで姿を隠していたのは一矢報いるための錬成を一緒に進めていたワケダ」

 

リーパーはラセツに小瓶を渡す。プレラーティもサンジェルマンに銃弾を渡す。

即座に理解した2人は薬を塗り、銃弾を装填する。

さらに剣を変形させスペルキャスターと連結させ弾丸を放つ。

 

弾丸は反応兵器とぶつかり爆発を起こす。

 

 

『反応兵器、起爆!』

 

『衝撃の到達予測!これは…』

 

『これも‥‥賢者の石…ッ!』

 

ラピス・フィロソフィカスの銃弾とラピス・スピリチュアルの刃薬。二つの錬金術でコーティングした一発が起爆を抑えていた。。

 

(現時点で最高純度の輝き…つまりは私の最高傑作なわけだ!)

 

(呪詛の解除に始まったラピスの研究開発がやっと誰かの為に…)

 

(本音言うとアイツにブチ込みたい未練はあるけどね。でも驚いた。いつの間にあの子達と手を取り合ったの?)

 

(そうだな…いつの間にだろうか)

 

『エネルギー内圧、さらに増大!』

 

『このままでは持ちこたえれれません!』

 

――チィ‥‥あと一押し足りないか‥‥

 

――どうするよ?このままじゃあ俺たちどころかサンジェルマン達消えちまうぞ!

 

――それだけはさせられない。命を燃やしてでも守りたい者があるッ!付き合ってくれるか?

 

 

「「「勿論ッ!」」」

 

 

「くッ‥‥押されているワケダ‥‥」

 

「でもここは断じて通さない」

 

「死を灯すことでしか明日を描けなかった私にはぁぁあ!!」

 

最後の力を振り絞ろうとしたサンジェルマンの手をラセツが抑える。

 

「ラセツ‥‥?」

 

「サンジェルマン、貴方は死を灯すことでしか明日と描けなかった言った。だけどそれは違うわ」

 

――だって貴女の明日は、私たちが永遠の輝きを灯すからッ!

 

するとプロテクトビーストたちは自身のスピリッツライズキーをジュエルドライバーから取り外す。そして、キーをサンジェルマン達のラピスへと挿し込み力を加え始める。

 

「よし!接続完了だッ!」

 

「こっちも魔力回路の準備はできているッ!」

 

激しく、熱く、スピリッツライズキーから大きな魔力がラピスへと注がれていく。

 

「こ、これって――ラピス・スピリチュアルの力ッ!?」

 

「回路を通じて大量の魔力が、どんどん流れ込んでくるワケダッ!」

 

ラピス・フィロソフィカスが激しく鼓動すると、サンジェルマン達のファウストローブが突如変化を遂げる。

 

カリオストロは装甲やグローブが強化・展開され、プレラーティはローブとけん玉に派手な装飾が加えられていた。そしてサンジェルマンも後ろで束ねていた髪が縦ツインロールになったばかりかより騎士らしい甲冑を身に纏っている。

 

2つのラピスによって進化したファウストローブ【ファウストローブTypeⅡ】が誕生したのだった。

 

「な、なんなの!?これって――ファウストローブッ!?」

 

「もう一つのラピスの力を受けて変化したというワケダッ!?」

 

しかし全エネルギーをサンジェルマンたちに託した為に4人の身体は透けて消滅しようとしていた。

 

「私‥‥達、、には‥‥これしか、、、、できなかった‥‥」

 

「後は‥‥お願い‥‥サン、、、ジェル、、、マン‥‥」

 

ラセツたちの想いを託されたサンジェルマンはラセツ達の方を向く。

 

「‥‥ありがとう。みんな」

 

「そして。‥‥すまない。迷惑をかけた」

 

謝るサンジェルマンの肩をカリオストロとプレラーティは軽く叩く。

 

「迷惑、だなんてあの子たちが思ってるわけないでしょ?」

 

「力を託された以上、我々が何とかしなければならないワケダ」

 

「…そうね。それが今の私たちにできることだもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファウストローブTypeⅡを纏った3人は反応兵器を前に静かに語りあう

 

「2人とも。今の私があるのは、あなたたちのお陰よ」

 

「それを言うならあーしだって同じことよ?だってサンジェルマンのおかげでこーんなに魅力的に成れたんだもん」

 

「わたしも心行くまで研究を進めていられるのは、サンジェルマンのおかげなワケダ」

 

2人からの告白にサンジェルマンは微笑む。

 

「そうか…そうね。仲間だもの」

 

「そゆこと」

 

「なワケダ」

 

(私は本当に良き友を、仲間を得た。これが永い時の中で得た至高の秘宝だったのね――)

 

そしてサンジェルマンは意を決し声高らかに叫ぶ。

 

「今こそ決着をつけるッ!」

 

「往くわよ2人とも!錬金術師の力を示すためにッ!」

 

「成し遂げよう!錬金術師の矜持と理想を顕すためにッ!

 

サンジェルマンの叫びにカリオストロとプレラーティも頷く。

 

「ええ。サンジェルマンと一緒なら」

 

「どこまでも行けるワケダッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ー永輝—エイヴィガ―ブントー】

 

 

尚も膨張し続ける反応兵器のエネルギー。もはや一刻も争えない程の大きさにまでなっていた。

 

「「「はあああああ―――ッ」」」

 

ファウストローブTypeⅡの出力を最大レベルまで引き出し、全身全霊の力を込めて爆発を圧縮していく。

魔力が黄金の膜となって反応兵器を包み込んでいく。

 

 

「明日を灯すことができるのは死ばかりではなかった。至宝の友たちがいるからこそ、生があるからこそ、明日を永遠に灯すことができるんだッ!!」

 

 

するとラピス・フィロソフィカスと融合していた4本のスピリッツライズキーが1つとなってサンジェルマンの手に握られる。

 

「今こそ‥‥手を取り合おうッ!!」

 

融合したスピリッツライズキーをスペルキャスターに装填する。

 

 

 

―――これが、私たちの――輝きだああああァァッ!!!

 

 

サンジェルマンはスペルキャスターの引き金を引き渾身の銃弾を放つ。放たれた銃弾からはキーに模られた獣たちが飛び出しエネルギーへと向かって行く。すると最高純度の魔力と共鳴し、獣たちの姿がみるみるうちに変わっていく。

 

【銀の毒蛇】は尾から亀を生み出し【玄武】へ

 

【真紅の竜】はその身を蒼色へ変え、【青龍】になる。

 

【橙の狐】は体毛を白くさせ、体格・表情が雄々しく変わり白き虎【白虎】に変わる。

 

 

かつては大罪を司った獣たちだが、ファウストローブTypeⅡの高純度の魔力によって浄化され正真正銘の守護獣

『4神』へと進化したのだ。

 

4神たちは爆発の四方を囲み、魔力を注ぎ浄化していく。

 

4神の連携によって爆発は圧縮していきついには光の粒となって浄化された。

 

 

 

 

 

 

浄化し終えた後、守護獣たちは踵を返し姿を消してしまった。

同時にファウストローブTypeⅡもいつの間にか元の姿に戻っていた。

 

「付き合わせてしまったわね」

 

「良いものが見れたから気にしていないワケダ」

 

「いいもの?」

 

「サンジェルマン、笑ってる」

 

カリオストロに言われ、サンジェルマンは今自分が笑っていることに気づく。

そしてつきものがとれた、さわやかな表情でラセツ達を見る。

 

「あなた達も付き合ってくれてありがとう」

 

ラセツ達も身体が消えかけながらも微笑んでいた。

 

「こちらこそ、ありがとう。もう思い残すことは何もないわ」

 

ついにはリーパー、アルセーヌ、トドロキの身体は光の粒子となって消えてしまった。

 

「死にたくない、と思ってたけどね。こんな最期も悪くないわ」

 

消えゆく身体でラセツはサンジェルマンの側へより耳元で囁く。

 

 

 

――今度こそ、貴女の御側でお仕えしたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――天使様()

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言い残し、ラセツは消滅した。

 

「‥‥傍にいてくれたのね。貴方は‥‥・」

 

ラセツの死を看取り、サンジェルマンは瞳から一滴の涙を流す。

 

けれどもサンジェルマンたちもフルパワーを使いきったことで天から墜ちていく。

 

 

 

天から3つの星が墜ちていった‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

side S.O.N.G

 

「全く‥‥言ったじゃないか。無理をするなと‥‥」

 

サンジェルマンたちを見届けたアダムは涙を堪えつつ、深々と帽子を被る。

 

「錬金術師‥‥理想を追い求める者‥‥」

 

しかし感傷に浸っている暇はない。

 

「後は分離した神の力を――」

 

 

「———お膳立てありがとうね。貴女たち」

 

空の空間を割り、姿を消していたウィズベインが現れ引きちぎった腕に神の力を宿す。

 

「ウィズベインッ!!」

 

「神の力は頂くぞぉ‥‥今度こそッ!!」

 

「止めるぞッ!!」

 

一斉に装者たちが駆け出すが、ウィズベインはサファイアとダイヤモンドを出す。

 

「邪魔されてたまるかぁッ!!」

 

ウィズベインは砕いたサファイアとダイヤモンドの欠片を投げつける。

 

サファイアが渦潮となって装者たちを包み込み、ダイヤモンドの欠片で渦潮を凍らせ装者たちの身動きを封じる。

 

「「だとしてもぉッ!」」

 

唯一邪魔されなかった響と雅人が立ち上がる。

雅人は響を背に乗せブースターを吹かせて巨大化していく腕へと迫る。

 

「お前たちを近づかせてたまるかッ!!」

 

響たちを追い払おうと錬金術を展開するウィズベインだが‥‥

 

「ママノイケズ‥‥ダイテクレナイカラ‥‥アタシガダイチャウ‥‥ッ!」

 

ウィズベインの脚にティキが抱きつき邪魔をする。

 

「ええい!離せッ!!」

 

ティキを振り落とそうとするが、ティキはがっちり抱きしめて離さない。

 

「この人形がぁぁぁッ!!」

 

ウィズベインは力任せにティキの頭を踏み砕こうとするが‥‥

 

「もうさせないよ、邪魔立てはッ!!」

 

すかさずアダムが加勢しウィズベインを羽交い絞めする。

 

「行きたまえ!今の内にッ!」

 

2人に手間取っている間にも雅人は響を乗せ腕目掛けて近づいていく。

 

「やめろッ!決して都合のいい力ではないッ!2千年の歳月で積み重なった呪いを背負うことになるんだぞッ!?」

 

しかしそんなの構うことなく猛スピードで迫る。

 

「いけぇ響ぃッ!!」

 

雅人の背から飛び立った響はガングニールのガントレットを展開し突き進む。

 

―――わたしは 歌で―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ぶん殴るッ!!

 

 

 

 

 

勢いよく繰り出された響の拳は神の力を纏った腕をぶち抜き跡形も無く消滅させるのであった‥‥‥




・設定
【大罪の獣から真の守護獣へ】

ラピス・フィロソフィカスとラピス・スピリチュアル。2つのラピスの力が共鳴し、さらにファウストローブTypeⅡによって増幅した結果罪を犯してきた獣はついに本当のプロテクトビースト【守護獣】へと至った。

奇蹟がそれとも必然か。4神たちは生きとし生ける者の未来を明るく灯し続ける。

【ファウストローブTypeⅡ】
XDイベントシナリオ【アルケミックオーダー】で登場した強化形態。
本来は膨大な魔力を宿すアダムスフィアによって至った姿だが、今作では代わりにラセツ達のスピリッツライズキーを媒体として発動させた。イメージとしてはオーズタジャドルコンボ最終回verに近い。

主人公の設定について少し変更しても良い?それに伴って2・3話をリメイクする可能性あり

  • 全然あり
  • このままでいい
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