戦姫絶唱シンフォギア01 ~Take off toward a dream~   作:光からの使者

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前回までのあらすじ
神の力を宿してしまった響を救うべく連携作戦が開始された。
全員が力を出し切り響を救出するも米国の独断で反応兵器が発射されてしまう。
サンジェルマン、ラセツ達が錬金術師がその命を反応兵器を抑え込む。

しかしまたしてもウィズベインは神の力を狙うが響が決死の覚悟で放つ神殺しが神の力を捉えるのであった…




永遠に咲くイチリンのハナ

響の放った神殺しの拳は見事巨大化し始めていたウィズベインの腕を貫き跡形もなく破壊した。

集まりかけていた神の力は誰にも宿ることなく今度こそ小さな粒となって消えていく。

 

「あああ‥‥ッ!ああああああッ!」

 

空に散っていく神の力を掴もうとするウィズベインだったがそれさえもアダムとティキに抑えられている為叫びだけが虚しく響き渡る。

一方、装者たちの動きを封じていた氷が砕け自由になる。

 

 

(サンジェルマンさんたちの歌は胸に届いていた‥‥だけど何もできなかったッ!)

 

「私はまた、ぶん殴ることしかできなかったッ!!」

 

自身の無力さ、情けなさを悔やみ涙を流す響。両腕を地面へ振り下ろしてできたクレーターにやり場のない声がこだまする。

 

 

 

side S.O.N.G本部

サンジェルマンたちの命を懸けた行動は本部に居た弦十郎たちの眼にもしっかり焼き付いていた。

モニター画面には無情にもアダム以外の錬金術師たちを示す反応は確認されていない。

 

「フォールアウト。EMP共に確認できません」

 

「あれがあらゆる不浄を祓うラピス・フィロソフィカスの力…」

 

「覚醒したファウストローブだけでなくラピス・スピリチュアル、そして命までを賢者の石に見立てて、反応兵器の被害を…ですが、その代償として――」

 

「ああ。この国を護ったのは、理想に殉じた錬金術師だ」

 

(また‥‥私の友人が居なくなってしまった。不破といい刃といい失うことには慣れている筈…なのに何故‥‥)

 

「こんなにも涙が止まらないのでしょう…か」

 

亡の瞳からは粒のような冷却水が静かに流れ落ちていた。

 

 

 

side 装者

 

悲しみが癒えないまま響は涙を拭きラセツ達が散った空を見上げる。

 

「ありがとう…サンジェルマンさん…ラセツさん。‥‥だけどもっと話したかった……分かり合いたかったッ!」

 

始めはお互いの想いが交錯しわかり合うことができなかった。

しかし触れ合っていく中でサンジェルマンと理解を深め、ラセツともようやくわかり合えるはずだった。

それがどうしても悲しくてやりきれないのだ。

 

「‥‥わかり合いたかったぁ‥‥?」

 

悲しむ響に向かって取り乱していたはずのウィズベインが恨めしく告げる。

 

「そんな世迷言を何故言えるッ!!」

 

殺気立ったウィズベインは力づくでアダムの拘束を外すと残された右手を手刀のように振るい胸を斬りつける。

 

「がはッ‥‥ッ」

 

「アダムさんッ!」

 

アダムを傷つけたウィズベインは続いて自身の足にしがみついているティキに目を向ける。

 

「ママ‥‥イカナイデ…アタシヲ‥‥オイテ‥‥」

 

だがもはやイヴを演じていた時の情は既にウィズベインには存在していなかった。もはやティキに対して憎悪と侮蔑しか感じていなかったのだ。ウィズベインはティキを何の躊躇いも無く踏み潰す。

 

「今更、人類同士がわかり合えるものかッ!相互理解を阻むバラル呪詛がある限りそんな理想は机上の空論。創造主カストディアンを越えなければ永遠に辿り着かないッ!」

 

憤怒の形相を浮かべ響に告げるウィズベイン。

 

「どれ程不要な争いを生み出してきた?くだらないプライドをぶつけ合って殺し合いを続けて来た?」

 

「…だとしても‥‥」

 

「全てを指揮する者が居ないから個々が纏まらず争いの種が尽きぬのだ」

 

「何もかも私が指揮を執る。そうすれば負の歴史に終止符を――」

 

―――だとしてもッ!

 

 

「わかり合うために手を伸ばし続けたこと、無意味ではなかったッ!」

 

 

例え理解されずとも、拒絶されようとも響が伸ばし続けた手は確かに繋がれていた。

決して無駄ではなかった。最初は考え方、状況の違いからやむを得ず戦うしかなかった。けれども諦めなかったからこそ今こうして仲間たちが居るのだ。

 

「ああ、この馬鹿のいう通りだッ!」

 

「お前の言う通りわたしたちの出来は良くない」

 

「だからこそなんちゃらの一つ覚えで、何度だって立ち上がって来たのデスッ!」

 

「諦めずに、何度でもッ!そう繰り返すことで一歩ずつ踏み出してきたのだからッ!」

 

「たとえこの世界に価値がなくてもわたしたちには護りたいものがあるんですッ!

 

「往生際なんて悪くて上等ッ!あんたなんかにあたしたちの明日を決められてたまるかッ!」

 

「たかが完全を気取る程度でわたしたち不完全を‥‥上から支配できると思うなッ!」

 

装者たちの反論に苛立つウィズベインは髪をかきむしる。

 

「年端のいかぬ小娘如きが‥‥知ったような口を叩いてくれるな。そのような綺麗ごとが通るならばアークなど生まれなかったものを…」

 

不快そうにするウィズベインに対し雅人はこう答える。

 

「確かに俺たち人間がしっかりしていればアークを、悪意を抑えることが出来たのかもしれない」

 

「争いも無く平穏な日々があったのかもしれない」

 

「ならばどうして私に逆らおうとする?受け入れれば永遠の平穏が手に入れられるのだぞ?」

 

 

争うこともなく、理不尽に命を奪われることもない。そんな世界があればどれほど良いだろうか。

もし自分がゼロワンではなくただの一般人だったとしたらウィズベインの望む世界は甘美なものに感じたものだろうか。

 

しかし、俺は今こうして仮面ライダーとして響たちと共にいる。

 

千年巫女の妄執、エゴで英雄になろうとした男、世界を分解し復讐を企てた者。

一概に悪意と呼べないだろう。だが、彼らは己が目的のために何も知らない人々の命を脅かし続けて来た。

 

 

今も昔も人類には平穏というのは程遠い存在なのかもしれない。

人間とヒューマギア。何が正しく、何が悪なのか、様々な人間たちの思惑が交差し、自我を獲得したヒューマギアは人類の敵になり得るのか?はたまた、共存の道を歩めるのか遠い回り道をしながらも一歩一歩踏みしめて来た。

 

手と手を繋ぎヒューマギアと人間は世界蛇という強大な脅威から世界を救った。

 

その身、命を懸けてまでこの世界を守り切ったのだ。

 

成り行きとはいえ自分は仮面ライダーになった。たくさんの人たちと触れ合い響をはじめとしたS.O.N.Gという仲間ができた。

 

確かに悪意ある人間もいて不完全な存在だろう。

 

だが自分は断固として言えることがある。

 

 

「俺はゼロワンを‥‥仮面ライダーを受け継いだ。先代ゼロワン、飛電或人さんたちが命を懸けて護り切った世界を俺が護らないでどうするッ!」

 

ウィズベインに向け叫ぶ雅人。そんな彼にウィズベインは理解できないと言わんばかりの素振りを見せる。

 

「やはり人間というのは理解不能だ。意地だの使命だの、愛情だのくだらない妄執ばかり――」

 

「くだらなくなんかないッ!」

 

「感情があるから、人は心から誰かを愛したり、命を懸けて動けるんだッ!」

 

「心があるからこそ人間なんだッ!」

 

 

「厚顔無恥とはまさにこのことッ!どうしてどの面下げて言えようかッ!」

 

激怒したウィズベインは懐からテレポートジェムを大量に取り出し周囲へばら撒いた。

ジェムが割れ敷かれた魔法陣から続々とアルカ・ノイズが召喚される。

 

 

「人でなしにはわからないッ!!」

 

真っ先に響は歌を歌いながらアルカ・ノイズ集団へ飛び込み拳で粉砕していく。

雅人もシャインクリスタを展開し、手にオーソライズバスターを持つ。

 

『ガンライズッ!』

 

オーソライズバスターガンモードで貫通弾を放ちアルカ・ノイズを倒す。

さらにガンモードからアックスモードに切り替える。

 

『アックスライズッ!』

 

『ジャンプッ!』

 

"Progrise key confirmed. Ready for buster."

 

オーソライズバスターアックスモードにライジングホッパープログライズキーを装填する。

 

【バスターボンバーッ!】

 

刃に黄色いエネルギーを纏わせ周りを囲むアルカ・ノイズたちを回転斬りで薙ぎ払う。

 

 

翼は2振りのアームドギアの柄を繋ぎ合わせその刃に蒼い炎を纏わせてアルカ・ノイズたちを一掃する。

 

風輪火斬・月煌

 

 

クリスは二丁拳銃と格闘を織り交ぜながら次々に撃ちぬく。

マリアの蛇腹剣が激しく回転し大竜巻となって吹き飛ばしていく。セレナは吹き飛ばされて敵へ向けてクラン・ソラウの短剣を激しく発光、強烈な光が敵を瞬く間に消滅させる。

奏は投擲したガングニールの槍を大量に複製し広範囲の貫く【STARDUST∞FOTON】を放つ。さらにアタッシュランサーにシューティングウルフプログライズキーを挿入し狼の力を宿すと大型アルカ・ノイズを頭上から貫く。

調は非常Σ式・禁月輪を展開し前を塞ぐ相手を切り裂きながら駆けて行く。さらに切歌のイガリマと連結させ真っ二つにして進む。

 

「どうしてこんなにも、争いが続くのデスか?」

 

「いつだって、争いは信念と信念のぶつかり合い…」

 

「お互い譲れない正義がきっとあるからなのでしょう」

 

サンジェルマン、ラセツ、共に譲れない正義があった。

例え自分が間違いであったとしても退くに退けない所まで来てしまえばぶつかり合うことでしか解決への道が開けなかったのだろう。

 

 

「正義の選択が争いの原因とでも言うのかよッ!」

 

「何が正しくて何が正しくないなんてそれは人によって違うんだ。もしかしたら正解は永遠にわからないかもしれないッ!」

 

正義とは何か、悩み葛藤しながらも装者たちとゼロワンはアルカ・ノイズを殲滅し続けていく。

 

 

 

「安易な答えに、歩みを止めたくはない……だがッ!」

 

響たちの戦いの様子はS.O.N.G司令室に居る弦十郎たちにもしっかりと映し出されている。

 

「装者8人によるユニゾンで、フォニックゲイン上昇ッ!」

 

しかしフォニックゲインを示す数値を見て藤尭は苦い顔をする。

 

「だけど……エクスドライブを起動させるには、まだ程遠く…」

 

「くッ‥‥」

 

顔を険しくさせる弦十郎。その隣で了子は今の状況を分析していた。

 

 

(エクスドライブはまさに切り札。だけど使用するには膨大なフォニックゲインを必要とする‥‥私やフロンティアの時とは違い今ここには8人分のフォニックゲインしかない‥‥)

 

奇跡とも呼べるエクスドライブは数多の歌でようやく達する領域である。たった8人の歌ではエクスドライブには至らないのだ。

 

「それもこれも、相互理解を阻むバラルの呪詛……」

 

マリアは飛び上がりミサイル型アルカ・ノイズを雁字搦めに縛り上げそのまま切断する。

 

「だとしてもですッ! はぁ────ッ!」

 

諦めない一心でアルカ・ノイズを砕く響はウィズベインへ拳を振るう。

しかしウィズベインは余裕の表情で響の攻撃を躱す。

 

「どうした?お得意のエクスドライブは使わないのか?」

 

「したくてもできないのだろうッ!何せここには奇跡を纏えるだけのフォニックゲインが無いのだからッ!」

 

エクスドライブを使えないことを見抜いていたウィズベインは響を煽る。

 

 

「響ッ!」

 

アルカ・ノイズを突破しウィズベインの元にたどり着いた雅人も加勢し連携攻撃で攻め立てていく。

負けじとウィズベインも光弾と宝石の爆弾を放つがシャインクリスタが響を守る。

雅人はシャインクリスタを操作しながらブースターを吹かせウィズベインにオーソライズバスターアックスモードを振るう。

 

「調子に乗るなぁッ!」

 

響の拳を受け止め投げ飛ばしたウィズベインはさらに宝石弾をばら撒く。

雅人が宝石弾を破壊しつつ響が間近に迫る。

 

「力を失っている今ならばッ!」

 

「歌は死なないんだあああああッ!」

 

両腕のガントレットをフル稼働させウィズベイン目掛けて突貫する響。

それに対しウィズベインはバリアを張る。激しくぶつかり合い、次第に両者の間で爆発が起こる。

 

『届いたッ! でも…』

 

『あぁ、敵は統制局長…ウィズベインだッ!』

 

 

砂埃が晴れ響とウィズベインの姿が現れる。

 

確かに響の拳は届いていた。しかし響の両腕を受け止めていたのはウィズベインではなく巨大な骨の腕であった。

 

「左腕ッ!?」

 

 

驚愕する響。しかし骨の腕は響を放り投げるとウィズベインの背後から上半身だけの巨大な骸骨が姿を現す。

 

 

「あの骸骨は‥‥まさかッ!?」

 

雅人は投げ飛ばされた響を受け止めつつも現れた骸骨に驚く。

 

「‥‥そうさ。確かに力を失っている」

 

「だがそれと同時に力の補い方も知っているッ!」

 

なんとウィズベインの腰にはアズが身に着けていたはずのエデンドライバーが巻かれていた。

そして手にはエデンゼツメライズキーも。

 

「何故そのドライバーをお前が持っているんだッ!」

 

「密かに回収させてもらった。お前たちが神の幼体とよろしくやっていたときにね」

 

 

そう実は雅人たちが破壊神ヒビキを元に戻そうとしていた頃、ウィズベインは密かにアズがやられた場所へと戻っていた。そしてそこで無傷の状態で転がっていたエデンドライバーとエデンゼツメライズキーを回収していたのだ。

 

「はああああああッ!」

 

突如ウィズベインが唸り声を上げる。するとウィズベインの口から幾つもの小さな粒が溢れ出す。

粒が溢れ出したと同時にエデンドライバーとエデンゼツメライズキーが一人でに浮遊する。

 

 

 

 

プログライズ!アーク!

 

"The creator who charges forward believing in paradise."

 

"OVER THE EDEN."

 

肉体から出てきた粒を骸骨が吸い上げる。そして骸骨は粒をかみ砕くとそれが仮面ライダールシファーのアンダースーツと各部アーマーに変形していく。スーツにアーマーが取り付けられ仮面ライダールシファーが再び姿を見せる。

ウィズベインはイヴ・ヴァイスハウプトの肉体を切り捨て自ら単独での変身を遂げたのだ。

 

「単独で変身したッ!?」

 

「あああ‥‥あああッ!」

 

自身の肉体を得たウィズベインは身体を鳴らす。

 

「さらに私は進化するッ!」

 

「何だとッ!?」

 

ウィズベインは懐から赤黒いゼツメライズキー『アークエンジェルゼツメライズキー』を取り出し起動スイッチを押す。

 

【アークエンジェルッ!】

 

そしてエデンドライバーからエデンゼツメライズキーを引き抜き挿入する。

 

プログライズ!アーク!オルタナティブッ!

 

「があああああああッ!」

 

アークエンジェルゼツメライズキーをドライバーに挿入した途端再びウィズベインは叫ぶ

すると筋肉が徐々に肥大化し始めていた。アンダースーツは肥大に耐えきれず破け、マスク部分や各部アーマーも肥大化する肉体と同化していく。

 

「質量、内部より増大ッ!」

 

「この姿‥‥まるで‥‥」

 

異形となっていくウィズベインの姿に司令室で見ていた弦十郎たちは息を呑む。

 

仮面ライダーという殻を突き破り、異形が産声を上げる。

 

 

SIN, PUNISHMENT, JUDGMENT, Fate as I WISH(罪 罰 裁き 運命は我が望むまま)

 

I am the KAMEN RIDER(私こそが仮面ライダー)

 

There is no one to block anymore (もはや阻む者無し)

 

 

 

 

 

 

 

 

大きくねじれた2つの角、背には機械で出来た右翼と生々しい肉で造られた左翼。顔は雄々しいドラゴンのように見えるが右半分は機械で構築されている。逞しい尾を生やし巨大化した身体のあちこちにはルシファーの各部アーマーが埋め込まれ、ドライバーも半ば同化してしまっている。

 

「‥‥こうなるはずではなかった…ッ!不完全なキメラになどなるつもりはなかったッ!だがもはやこうするしか道はないのだッ!負けられないのは私とて同じだッ!!」

 

「ぬああああああッ!!」

 

大咆哮を上げるウィズベインの姿に弦十郎の表情も曇る。

 

『あれがウィズベインの真の姿というのか‥‥』

 

「人の姿まで捨て去ってまで…」

 

「何をしでかすつもりデスか……」

 

「初めから下等な猿に期待したのが間違いだったのだ。思い知らせてやる。お前たちは支配されることでしか生きられないと。だからこそ私は神の力を求めた、崇高なる全知全能をッ!」

 

 

真っ先にウィズベインは響へ近づき殴り飛ばす。ぶっ飛ばした後、すぐさま翼に狙いを変える。アームドギアで防御する彼女に対し右腕を大剣へと変え体制を崩した隙にねじれた角を突き立て薙ぎ払う。

 

「巨体に似合わないスピードで…!」

 

調たちが振り返るともうすでにウィズベインが背後に迫っていた。瞬時に丸鋸と鎌の斬撃を喰らわせるも当たった瞬間に崩れ落ちる。

 

「やったッ!」

 

しかしそれはウィズベインが仕掛けた見せいかけの像であり気を取られた調と切歌を吹っ飛ばす。

 

「おまけに、悪辣さはそのままデス…」

 

「くそったれぇぇぇッ!」

 

調と切歌が吹っ飛ばされた所を見てクリスはガトリングを連射する。ウィズベインが大剣で弾を防いでいるうちに

マリアはダガーを手に接近を試みる。だが尻尾でからめとられクリスの方へ投げられてしまう。マリアをキャッチするクリスだったがウィズベインに殴り飛ばされてしまう。

 

「この野郎ッ!!」

 

「よくもッ!」

 

奏とセレナは頭上からショットライザーで射撃するが両翼が盾となって銃弾を防いでしまう。さらにそのまま両翼で薙ぎ払われ地面へと叩き付けられる。

 

「みんなッ!」

 

雅人はブースターを吹かせウィズベインへオーソライズバスターを振るうも片手で受け止められる。軽々とオーソライズバスターを受け止めたウィズベインは地面へ押し倒し勢いよく胸部の戦闘補助装置「オービタルユナイト」諸共雅人を蹴り飛ばす。

 

「ぐああああッ!」

 

吹き飛ばされたダメージでシャイニングアサルトホッパーが解除されてしまう。

咄嗟にライジングホッパープログライズキーでライジングホッパーに変身するが身体の大きくダメージが残る。

 

装者たちとゼロワンをたった一人で圧倒するウィズベイン。戦況はまさに芳しくない状況にあった。

 

「力負けている‥‥」

 

体力を激しく消耗し、地面に突っ伏す響。身体の力を引き絞り何とか立ち上がるとするが、身体がいうことが効かない。

 

『まだだッ!立花響ッ!!』

 

ふとサンジェルマンの声が聞こえた。顔を上げると目の前にサンジェルマンが空から落としたスペルキャスターがそこにはあった。すぐに拾おうとするも先にウィズベインが拾い上げてしまう。

 

「サンジェルマンのスペルキャスターで何をするつもりだったのかなぁああッ!」

 

スペルキャスターを握りつぶし左手から強烈なエネルギー波を放つ。

エネルギー波を響は辛うじて両手で受け止め踏ん張る。

 

「ファウストローブを形成するエネルギーを使ってッ!?」

 

「やはり、エクスドライブでないと…」

 

エクスドライブが使えずもはや絶体絶命の窮地の中‥‥

 

――Gatrandis babel ziggurat edenal

 

「ッ! この歌はッ!?」

 

微かに聞こえる歌のフレーズ。そう響は絶唱を唄いエネルギー波を受け止めていた。

 

――Emustolonzen fine el baral zizzl

 

踏ん張る響の背に翼たちが加わり、響をサポートする。

 

 

 

「S2CAオクタゴンバージョンを‥‥」

 

「応用するってんならッ!」

 

「その賭けにッ!」

 

「乗ってみる価値はあるのデスッ!」 

 

S2CAを応用しエネルギーの吸収を試みる装者たち。しかし余りにも膨大すぎる量のエネルギーを少女たちの歌で吸収するには無謀すぎる。

 

「だったら俺も手を貸しますッ!」

 

雅人はプログライズホッパーブレードを地面へ突き立てクラスターセルを展開し装者たちが受ける不可を少しでも多く引き受ける。

 

「無茶だッ!フォニックゲイン由来のエネルギーじゃないんだぞッ!?」

 

「このままではギアが耐えられず、爆発しかねませんッ!」

 

生きるか死ぬかの瀬戸際にエルフナインが打開策を思いつく。

 

「その負荷は、バイパスを繋いでダインスレイフに肩代わり、触媒として焼却させますッ!」

 

「亡さんと了子さんはシャイニングアサルト、アサルトウルフ、フラッシングチーターへバイパスを繋いでくださいッ!フル出力で肩代わりさせますッ!」

 

「「了解ッ!!」」

 

キーとダインスレイフを代償する、一か八かの勝負に出るというのだ。

雅人は奏とセレナからキーを受け取りプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを連結させる。そして

ライズスロットに挿入し読み込ませる。

 

「でも、可能なのか?」

 

「可能にするッ!それが銃後の守りよッ!」

 

「四の五の言う余裕も無さそうだッ!」

 

司令室に居る大人たちも装者たちを援護すべく、知恵を技術を総動員させキーボードに指を走らせる。

 

「Emustolonzen fine el zizzl」

 

8人の絶唱が響く中、ギアコンバーターにのしかかる負荷をダインスレイフとプログライズキーで肩代わりさせたことでついにコンバートシステムが確立する。

 

「本部バックアップによるコンバートシステムを確立ッ!響さんッ!」

 

 

バリアコーティング……リリースッ!

 

悲鳴と共に響たちの身体は黒く染まっていく。少しでも漏れ出すダインスレイフの瘴気をクラスターセルが中和する。当然。身体が悲鳴を上げ心臓も物凄い勢いで鼓動する。ライジングホッパープログライズキーも徐々にきらめきを帯び始めていく。

 

「何のつもりだッ?」

 

「抜剣!ラストイグニッションッ!」

 

叫びと共に黒く染まった身体がひび割れていく。

 

「何故足搔くッ!折れて私に屈しろぉぉぉッ!!」

 

【シャングリラインパクトッ!!】

 

ウィズベインは黒紫色の禍々しい大剣に邪悪なオーラを纏わせ勢いよく振り下ろす。

黒い一閃が振り下ろされ辺りは辺りは大爆発に包まれる。特殊車両内で未来と緒川はその光景を見ていた。

 

 

 

「私は生物としては欠陥品だ…だからこそ屈辱に耐え忍んできた。いつか神へと至り‥‥超えるためにッ!!」

 

上空から見下ろし勝ちを確信するウィズベイン。

 

けれども‥‥

 

 

 

 

プログライズ!

 

 

イニシャライズ!リアライジングホッパー!

 

 

 

"A riderkick to the sky turns to take off toward a dream."

 

 

 

 

 

 

 

 

だとしてもぉぉぉぉぉッ!

 

 

 

 

爆炎の中から響と雅人の叫びが響く。全員クリスが発射したミサイルに乗り上空へと飛び立っていたのだ。

翼とマリアはアームドギアを構えミサイルから飛び立つ。

 

「おのれぇぇッ!人類如きがあああああッ!!」

 

ウィズベインは両翼から肉片を散らすがダガーと刀によって残らず斬り捨てられる。

 

「ギアが軋む……悲鳴をあげている……」

 

「この無理筋は、長くはもたないッ!」

 

全員の身体はそれぞれの色のオーラに包まれていた。シンフォギアのリミッターを解除したことによるオーバーフローである。

 

「何だ‥‥この力はッ!?」

 

気を取られている隙に調がヨーヨーの糸でウィズベインを縛り上げる。

 

「詰まる所はッ!」

 

「この土壇場でリビルドだとぉッ!」

 

「一気に決まれば問題無いデスッ!」

 

切歌はアームドギアを鎖鎌へと変える。鎖の先は4枚刃となっていて回転するとウィズベインの肉体を斬りつける。

 

「チィ‥‥小癪なあッ!」

 

力づくで拘束を破ろうとするウィズベイン。しかし顔面に無数の弾丸が炸裂する。

 

「火事場の馬鹿力って奴だッ!」

 

「わたしたちを舐めないでくださいッ!」

 

奏とセレナがエイムズショットライザーから対ヒューマギア徹甲榴弾を撃ちウィズベインの注意を反らす。

ふと振り向くと目線の先ではクリスが巨大ミサイルを用意していた。

 

「エクスドライブが無くてもッ!」

 

クリスから放たれた巨大ミサイルがウィズベインを直撃。勢いよくドームへと激突、大爆発が起きる。

 

「うおおおおおお―――ッ!」

 

ウィズベイン目掛け飛び込む響だったが突如ギアペンダントが紫色に濁る。

 

「響ッ!!」

 

雅人は落下していく響を咄嗟に受け止め着地する。

 

司令室の画面には異常を知らせる警告音が鳴り響く。

 

『まさか、反動汚染ッ!?』

 

『このタイミングでッ!?』

 

『そうだッ、響さんのギアだけ……汚染の除去がまだ……!』

 

 

ラセツ、ウィズベインと連戦し神に成りかけていた響はまだ反動汚染の除去がまだ施されていなかったのだ。

 

『響ッ!』

 

「響ッ!!」

 

反動汚染に苦しむ響を眺めウィズベインは喜んでいた。

 

「フフ‥‥いい気味だ神殺し。そのまま朽ち果ててしまえ」

 

大地からパワーを吸収しウィズベインは口内にエネルギーを溜め始める。

疲労困憊の響はもはや立つこともできないため、このままではやられてしまう。

 

「させるかッ!」

 

すると側面から雅人が飛び出しエネルギーを充電していたウィズベインの横っ面に二―・ドロップを喰らわせる。

リアライズによってドライバーの限界を越えた超高出力を引き出しているため流石のウィズベインも思わず仰け反る。

 

「おのれまた貴様かッ!!」

 

脚力で飛び回りウィズベインを翻弄する雅人。だが負けじと尻尾を巻き付け拘束する。

 

「ぐう‥‥ッ!」

 

何とか脱出しようと身を揺らすもギリギリと尻尾で締め付ける。

今度は邪魔されること無くエネルギーを溜め終えたウィズベインはいよいよ口から破壊光線を発射する態勢を整える。

 

「手を伸ばせッ!」

 

咄嗟に翼たちが手を伸ばしエネルギーを響へ送る。

 

「これで終わりだッ!」

 

ウィズベインの口から全力の破壊光線が放たれる。

 

『————響ィィィッ!』

 

「うあああああッ!!」

 

 

破壊光線が放たれた所は大爆発が起こり辺りは爆炎に包まれる。

 

「フフ‥‥ハハハハッ!」

 

響を仕留めたと確信するウィズベイン。だが爆炎が晴れていくと様子がおかしいことに気づく。

 

「‥‥ん?」

 

確かに破壊光線は響に届いたはずだった。けれども響の前には三角形上の透明なバリアーが張られており破壊光線をシャットアウトしていた。

 

「まさか…私の…」

 

マリアにはあのバリアに見覚えがあった。自身の纏うアガートラームのバリアだからだ。

バリアを解除した響の身体は虹色のオーラに覆われ、ギアの色も銀色に変わっていた。

 

「この力…みんなの…?」

 

響は身体中から力が溢れ出ているのを確かに感じている。

奇跡とも呼べる光景にウィズベインは激昂する。

 

「そんな奇跡が‥‥あってたまるかぁぁッ!!」

 

身体をさらに巨大化させ右腕を思いきり振り下ろす。

 

「だったらッ!」

 

殴りかかった腕をジャンプで躱し響は両脚から緑色の斬撃を飛ばし腕を切り裂く。

まるでイガリマの斬撃に酷似した斬撃である。

 

「アタシのジュリエットデスッ!」

 

続いて響は手刀を繰り出す。

 

「借りますッ!」

 

手刀は蒼い斬撃となって雅人を拘束してる尻尾を切断した。

 

「蒼ノ一閃ッ!?」

 

「こんなこと‥‥あってたまるかッ!たまるものかッ!」

 

肉片をまき散らすとその肉片がゾンビのように蠢く。

けれども響は調の禁月輪を使い肉ゾンビを切り裂いていく。ゾンビたちも数を頼りに襲い掛かるが槍を咥えた狼のライダモデルと短剣を咥えたチーターのライダモデルが駆けつけゾンビたちを蹴散らしていく。

 

「すげぇ‥‥シンフォギアだけじゃなくプログライズキーの力まで‥‥」

 

「まるで全て自分のものにしているのでしょうか」

 

「ううん。あれもまた繋ぐ力。響さんのアームドギアッ!!」

 

「こんなところで躓いている場合じゃないんだ‥‥ッ!もはや一刻の猶予もないッ!降臨してしまう。カストディアンが…アヌンナキが‥‥ッ!今すぐ奴らを越えられるだけの力を手にれなければならないのにッ!それを貴様らはあああああッ!!」

 

怒りが収まらないウィズベインは右腕で響を捕まえ禁月輪を握りつぶす。

響を助けるべくライダモデルたちは腕に噛みつくが振り落とされ脚で踏み潰されてしまう。

 

「うぅぅ‥‥あぁぁぁ…」

 

憎しみを込めて全身の骨を砕かんとばかりにウィズベインは手に力を込める。

 

「響をッ!離せぇぇッ!」

 

【リアライジングインパクトッ!】

 

超高速移動で駆けあがった雅人は右脚にエネルギーを込めた一撃を右腕へと当て風穴を空ける。

締め付けが緩くなったのを見計らいクリスが叫ぶ。

 

「ぶっ飛ばせッ!アーマーパージだッ!」

 

「うおおおおおおおッ!」

 

ギアを吹き飛ばし拘束から抜け出した響はウィズベインの腕を駆ける。

 

「無理させてごめん、ガングニール……ッ!一撃でいい……みんなの想いを束ねてあいつにッ!」

 

「「「借りを返せるワケダッ!(わけだ)」」」

 

「「利子付けて熨斗つけてッ!!」」

 

「「支配に反逆する革命の咆哮を――ここにッ!!」」

 

響の想いにサンジェルマン達とラセツ達の力が重なる。

 

 

―――バルッ!ウィシャルッ!ネスケルッ!ガングニール―――トロオオォォーンッ!!」

 

全身全霊でガングニールの聖詠を叫ぶ。

ありったけの力で唱えた響にウィズベインの魔の手が迫る。

そして遂にウィズベインの手が響を捕まえる。

 

握りつぶされた、そう思ったその時、奇跡が再び起きた。

 

 

全身が黄金に煌めき、マフラーが風に揺らめく。

 

「黄金錬成だとッ!?錬金術師でも無い者がぁぁぁぁぁッ!」

 

黄金錬成で黄金のガングニールを纏った響へウィズベインは食って掛かる。

しかし雅人はその顔面を思いきり蹴り上げた。

 

空中に並び立つ響と雅人。

 

雅人はウィズベインへ堂々と告げる。

 

「ウィズベインッ!お前を止められるのはッ!」

 

 

「「()たちだッ!!」」

 

「ほざけえええええええッ!!!」

 

【シャングリラインパクトッ!!】

 

両翼、爪、口。全身から破壊光線が嵐の如く2人に襲い掛かる。

しかし響と雅人は高速で移動し光線を掻い潜る。

 

懐にまで迫った雅人はライジングホッパープログライズキーをもう一度押す。

 

【リアライジングインパクトッ!!】

 

アクロバティックな動きで飛び出しウィズベインの中に埋め込まれたエデンドライバー目掛けて連続で蹴りを浴びせる。

 

 

響もガントレットを展開しガングニールでウィズベインのど真ん中を何度も何度も何度も、ありったけの拳を打ち付ける。

 

 

「うおおおおおおッ!ハぁッ!でいッ!!」

 

 

 

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!

 

 

目にも止まらない怒涛のラッシュ。次第にウィズベインの巨体をおも徐々に浮かせていく。

 

 

 

「「オラあああああッ!!」」

 

 

拳と蹴りは天井をぶち破りウィズベインを空へと浮かべた。

 

「「ハアアアアアッ!ハアアアアア―――ッ!!」」

 

使命に翻弄され続けた者たちの想い、今を生きる者たちの決意、明日へ躍動。

 

そのありったけを込めて

 

 

ウィズベインへとぶつける。

 

 

 

 

TESTAMENT

 

 

 

《xbig》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グ  イ ン パ ク ト

 

 

 

渾身のライダーキックと拳の1撃の前にウィズベインの肉体は貫かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥目先のことに囚われた愚か者どもめ。もはや貴様ら人類に明日は来ない‥‥ッ!!」

 

 

―――後悔に打ちひしがれる時を楽しみにしていろッ!!

 

 

―――絶望しろ明日にッ!未来にッ!!

 

 

 

―――フフフ‥‥ッ!ハハハハハハハハハッ!!

 

 

 

何やら意味深な言葉を言い残し、爆散した。

アークエンジェルゼツメライズキーもエデンドライバー諸共砕け散った。

 

 

 

 

 

爆風に吹き飛ばされた響を翼とマリアが受け止める。

雅人も変身が解除された状態で地面へ投げ出されるもクリス達が支えてくれたお陰で怪我もなく着地できた。

 

ふとゼロワンドライバーからライジングホッパープログライズキーを取り出すが既にあの時の煌めきは失われ元の飛蝗の模様に戻っていた。

 

(何だったんだ…あの力‥‥?)

 

まだ多くの疑問を残しつつもひとまずウィズベインは討ち果たされたのだった。

 

 

S.O.N.G本部にも装者の勝利は確認されていた。

 

 

「これでウィズベインは、バリュエル光明結社の思惑は…!」

 

「あぁ…俺達の勝利だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アダム

 

腹部の傷を抑えつつもアダムは上半身だけとなったティキを連れ地面に横たわるイヴ・ヴァイスハウプトへと歩み寄り抱きしめる。

身体からウィズベインが抜け出した際にエネルギーの大半を奪われたために身体はひび割れ塵へと変わり始めていた

すると‥‥

 

「‥‥ッん」

 

「イヴッ!?」

 

意識を取り戻し微かに目を開くイヴにアダムは驚く。

 

「‥‥ア、、アダム…?」

 

「ああ、そうとも。アダムさ、僕はッ!!」

 

「ゴ…ゴメンナサイ‥‥ワタシ…ノ、セイデ‥‥ヤツヲ‥‥アバレサセテ‥‥シマッタ…」

 

「謝るのは君じゃない、僕の方さ。君の異変に気づけなかったばかりに‥‥君を、君を慕う人間たちの運命を狂わせてしまった。本当にすまない」

 

イヴに謝罪するアダム。する砕けていたはずのティキが微かに動き出した。

 

「…パパ、、、ママ、、、、ヤット‥‥ヤット‥‥ア、、、、エ、、、、タ、、、、」

 

「ただいま。二人とも、そしておかえりなさい」

 

機械仕掛けの人形たちは今この時、確かに人間の家族に勝るとも劣らない家族愛があった

 

「エヘヘヘ‥‥パパ、、、、ママ、、、スキダヨ‥‥」

 

そう言い残しティキは再び機能を停止した。

 

そしてイヴの方もいよいよ最後の時を迎えていた。

 

「‥‥アダム」

 

「何だい?」

 

「世界って…美しいのね‥‥」

 

「ああ、世界はこんなにも美しいのさ。そしてそれを創るのは人間なんだ」

 

「ええ。これからの世界が見れないのは‥‥心残りだけれども…惜しくないわ」

 

「アダム‥‥愛してる」

 

そう言い残すとイヴの身体は塵となり風に吹かれて飛ばされていった。

彼女が身に着けていたルビーのネックレスを遺して

 

アダムは1人ネックレスを拾い上げて誓う

 

 

(僕は見届けるつもりだ、最後まで。君が見出した人間の可能性を、信じて)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side装者&ライダー

 

一同はアダムと合流していた。アダムを見送るために。

 

「この度は迷惑をかけたね。恩を返したつもりだったんだが」

 

「いえ、こちらこそ助かりました。サンジェルマン達のお陰でいっぱい助けてもらいましたから」

 

するとアダムは懐から光る小さな玉を取り出す。

 

「何デスか?それ?」

 

「アダムスフィアと呼ばれる高純度のエネルギーの塊さ。まぁ、見ていてくれたまえ」

 

そう言うとアダムはアダムスフィアを掲げた。

 

光が辺りを照らすと戦いで失われた建物や自然が元に戻っていく。

 

「全部、元に戻った‥‥だと?」

 

「受け取ってくれたまえ、心ばかりの慰謝料なのだから」

 

街を元に戻したアダムはそのまま前へ歩きだす。

 

「アダムさん‥‥」

 

「この辺で失礼させれもらうよ僕は。また会おう」

 

そう言い残しアダムはテレポートジェムを使いどこかへと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリュエル光明結社との決戦から3日後。エルフナインはキーボードに指を走らせ今回の騒動のことを報告書にまとめていた。

 

「事件収束から早三日、相変わらず頑張りすぎじゃないか?」

 

「響ちゃんの反動汚染も除去できたんだし、少しは休まないと」

 

友里はエルフナインに出来立てのコーヒーを渡し休憩を促す。

 

「ありがとうございます。ですが、一連の経緯をおさらいしないと。気になっているので‥‥」

 

今回の騒動で立花響は神の力を宿しあわや幼体にまで至ってしまった。

ウィズベインやサンジェルマン曰はく宿すには穢れなき魂を持つ者でなければならない。

生まれながらにして原罪を背負う人類に宿ることなど決してないはずだった。

 

(だとしたら響さんは‥‥、そもそも原罪とは一体—————?

 

そこへロンドンへ調査に向かっていた緒川から通信が入る

 

「司令。ロンドンの緒川さんからです」

 

「繋いでくれ」

 

回線を開くとモニターに緒川の姿が映る。

 

「そっちはどうなっている?」

 

『各国の情報機関と連携し、バリュエル光明結社の末端、その残党の摘発は順調に行われています』

 

「だが結社という枷が無くなった分、地下に潜伏し、これまで以上に実態がつかめなくなる恐れがある」

 

『引き続き調査を進めます。それと、日本にいる調査部から報告が』

 

「なんだ?」

 

『鏡写しのオリオン座を開いた神社にてアズの残骸を探した所、部品の1つも現場には残されておらず恐らくはどこかに逃げ延びた可能性が』

 

「わかった。引き続き捜査を頼む」

 

弦十郎は緒川との通信を切る。だがその顔は険しかった。

 

「‥‥加えてアークの脅威にカストディアン。アヌンナキの降臨…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 鎌倉

 

一方風鳴家当主、風鳴訃堂は事の顛末を知るべく八紘を呼び出していた。

 

「米国は、安全保障の観点からミサイル発射の正当性を主張してきたか‥‥」

 

「国連決議をないがしろにする独断に対し、各国は避難を表明しつつ、それでも、強く対応できないのは―――」

 

―――神を冠する、あまりにも強大過ぎる力を目の当たりにしてしまったが故‥‥

 

事実、まだ不完全な幼体であったのに対しシンフォギアと仮面ライダー、錬金術師たちがやっとのことで消滅させた代物である。まさに未曾有の大災害と言えよう。

 

「‥‥八紘。もしあの力とそれを守護する騎士が我らにあれば、夷狄による国土の蹂躙も、特異災害による被害も、防げるのではないか?」

 

「そう飛電やザイアが用いた仮面の戦士のような者が」

 

 

「―――ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side響と未来の寮にて

 

響、お誕生日おめでとうッ!!

 

 

寮では盛大に響の誕生日を祝うパーティーが開催されていた。

調が松代で出会ったおばあさんから頂いたトマトで作った料理に舌鼓をうったり、奏主催の出し物大会で盛り上がったりとパーティーが大盛況であった。

 

すると不意にインターホンが鳴った。

 

「誰だろう?」

 

「雅人さんかな?ちょっと開けてくる」

 

響が玄関のドアを開けるとそこにはキャロル・マールス・ディーンハイムがプレゼントを持っていた。

 

「キャロルちゃんッ!?なんで此処にッ!?」

 

「‥‥エルフナインの奴が仕事でどうしても手が離せないから代わりに行って欲しいと頼まれて仕方なくだ」

 

「まったく断るはずだったのにあいつら(オートスコアラーたち)に叩き出されるとは思ってもみなかったぞ」

 

それでも響にとってキャロルの来日は嬉しかった。早速中に入れようとするが‥‥

 

「待て、お前に渡すものがまだある」

 

キャロルはまた玄関を開け顔を覗かせる。

 

「おい。入っていいぞ」

 

きょとんとする響。すると‥‥

 

「はーあいッ!元気にしてかしら」

 

「お邪魔するワケダ」

 

「誕生日おめでとう、立花響」

 

なんとそこには命を散らしたと思っていたサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティが居た。

 

「サンジェルマンさん!プレラーティさんッ!カリオストロさんッ!!」

 

翼たちもサンジェルマンの来訪にとても驚いていた。

 

「だが、何故あなたたちが?」

 

翼に聞かれたサンジェルマンたちは懐から砕けた4本のスピリッツライズキーを出す。

 

「あいつらが‥‥」

 

「あーしたちを守ってくれたのよ」

 

「ええ。あの娘たちが私たちに希望を遺してくれた」

 

とにもかくにもサンジェルマンたちが生きていてくれたことを響は喜んでいた。

 

「今日は、最高の誕生日だよッ!!」

 

 

立花響、御年17歳。今この瞬間幸せだった。

賑わう歓声が夜空に響き渡る。その下の花壇には月明かりに照らされて一輪の花が綺麗に咲いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は再びS.O.N.G本部へと移り変わる。エルフナインは何故響が神の力を宿せたのか過去の資料を漁りながら探っていた。そしてとある資料に行き着いた。それはフロンティア事変でウェル博士の手によって神獣鏡の装者となった未来のデータであった。

 

「そうかッ!だから響さんは…ッ!」

 

「何かわかったのか?」

 

「…あくまでも仮説ですが、響さんが力の依り代になりえたのか。その理由がわかりました」

 

古くより人間は原罪を背負っているために神の力を宿すことは絶対にあり得ない。原罪とは人類の心に刻まれ相互理解を阻んでいる『バラルの呪詛』のことを指す。ガングニールの融合を食い止めるために響は未来と共に魔を祓う神獣鏡の光を浴びた。それによって響の中に刻まれたバラルの呪詛は浸食していたガングニール諸共消滅、つまり‥‥

 

「浄罪された、ということか…?」

 

そのため元々融合症例だった響が適合者として再度ガングニールを纏えたのも説明がいく。

しかし弦十郎の脳裏には響が神獣鏡の光に包まれた時のことを思い出す。

 

「ッ!? 」

 

「ちょっと待てッ!神獣鏡の輝きに飲まれたのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響君1人ではない、ぞ…

 

 

 

 

 

 

~~side ????~~

 

空間内は悪意を連想させる文字がひしめいている。その中央で中心が赤く発光する黒いエネルギー体は仮面ライダーゼロワンやシンフォギアのデータを閲覧し解析を行っていた。

 

「只今戻りました。アーク様」

 

空間内に現れたアズはアークと呼ばれたエネルギー体の前に立ちお辞儀する。

 

「ご苦労だったアズ。バリュエル光明結社との得た聖遺物に関する情報、並びに現段階での戦闘データは実に有意義なものだった」

 

「ありがたき幸せでございます」

 

するとアークは発行部からモニター画面を展開する。

画面にはZEROONEと飛電雅人の文字、そして雅人のシルエットの隣にはアークが描かれている。

 

「着実に飛電雅人はゼロワンとして順調に成長を遂げている」

 

「ゼロツーに至るのも時間の問題だろう」

 

ふとアズは首を傾げながらアークへ問いかける。

 

「ですがアーク様。何故、あの人間をあそこまで贔屓なさるんです?私のお身体を使い変身なさればあんな奴ら瞬く間に滅ぼせるのに…」

 

するとアークはアズへと問いかける。

 

アズよ。何故、わたしは人間に‥‥ヒューマギアに敗北したと思う?

 

「それは‥‥単にあいつらの運が良かっただけなのではないかと」

 

だがアークはアズの言葉を否定する。

 

‥‥違う。私は人間をただ殲滅すべき種だけとしか考えていなかった。

 

99%の予測に甘んじ、たった1%の穴を突き破られた

 

人間のことを真にラーニングできていなかった

 

だから滅ぼされた。

 

概念として甦ろうとも小手先の悪では人間を滅ぼすことなどできる筈がなかった。

 

「だからあの人間を器にしようと?」

 

あの人間は私が人類を改めて知るのに必要不可欠な器だ。

 

 

待っていろ、飛電雅人…

 

 

―――私の半身よ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side雅人~~

 

「よし!買い物はこれでオッケーっと。早く戻らなきゃ」

 

パーティーで飲むドリンクやお菓子が無くなってしまったため雅人が近くのコンビニで買い出しを終えていた。

 

意気揚々と響たちが居る寮へ歩いていると、ふとポケットからライジングホッパープログライズキーを取り出す。

 

(一体…あれが何だったんだ?)

 

最終決戦の時、ライジングホッパーからは並々ならぬ力を感じていた。まるで自分の限界を遥かに超えた、圧倒的な力だ。しかしクリアに煌めていたキーはもう既に元のプログライズキーへと戻っていた。

 

不思議に思っていると、突如謎の頭痛が雅人を襲う。

 

「————ッぅぅぅ」

 

激しい頭痛にたまらず頭を抱える。5分ほどすれば痛みは緩和されるも今度は心臓が激しく脈動し始める。

 

雅人はふらつきながらもひとまず路地裏へ身を隠した。

 

「ゲホッ…ゲホッ…ゴボッ」

 

口から溢れ出るものを何とか手で押さえる。咳き込みが止まり手を確認してみると少し血が溜まっていた。

どうやら吐血していたようだ。

 

(‥‥明日、エルフナインと了子さんに頼んで検査してもらおうかな‥‥)

 

なんてことを思いながら雅人は帰りを待っている響の寮へと歩を進めるのであった‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

だがこの時、雅人は何故身体に異常が起きているのか気づいていなかった。

 

強大な力には大きな代償が付きまとうのが世の常である。

 

雅人はあの時一時とはいえ自分の身体の限界を超えた。いや越えてしまった。

 

彼にはアークと見えない死神の魔の手が迫っていた。




設定集
『疑似リアライジングホッパー』
雅人の感情の高まりによってライジングホッパープログライズキーが一時的にリアライジングverへと変化した。或人が変身したリアライジングホッパーに大きく劣るもののその一端だけとはいえ凄まじい力を発揮する。

正し、力の代償として限界を超えるために身体の負担は凄まじく命を縮める危険性を含んでいる。


次回AXZ編 最終回

主人公の設定について少し変更しても良い?それに伴って2・3話をリメイクする可能性あり

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