.hack//G.U. THE HERO   作:天城恭助

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珍しく連投しております。お気を付けください。

 過去話パート2。もっと後に書こうとも思ったのですが、これ以降おそらく書くタイミングがないのでここで投稿。読み飛ばしても多分、問題ないです。
 いつも通りに.hackの話を無理やりヒロアカに押し込めただけですがね。正直、この辺りの.hack関係の話は実はそんなに詳しくはないです。でも書いてて結構楽しかったです。


幕間 始まりの日

 これは、この物語の発端。彼らが知る由もない知られざる話である。

 

 ハロルド・ヒューイックは、天才であった。彼が生まれたころには既に、個性持ちの方が多数派となっている時分であった。そんな中で、彼は無個性として誕生した。しかし、その天才ぶりは生半の個性持ちなどより圧倒的に優れた力だと言えた。それは自他共に認める事実であった。そんな彼が個性について研究をするようになったのは、無意識にコンプレックスになっていたのか……それは彼のみぞ知ることである。

 

 彼は、将来はいずれほぼ100%の人間が個性を持つだろうことを確信していたが、同時に個性を持つ者のが完全に100%になることもないだろうと考えていた。そして、個性を持っていたにしても自身の望まない形、望まれない力、気付くこともできないような異質、あるいは小さな力。そんな問題を抱えることは、想像に難くなかった。

 ヒーローという存在が、ヴィランを退治するそんな世の中は対処療法であって、根本の解決には至らないと。だからこそ、全ての人間が個性を扱え、自身の望む形に変化させ、制御を可能とする手段が必要だと考えた。自身ならきっとそれらを可能にすることができると信じていた。しかし、その様な手段がそう簡単に見つかるはずもなく年月だけが過ぎ去っていく。周りの研究者たちの視線も天才に期待する目から冷ややかな視線へと変わっていくのも当然であった。

 

 彼は、途方に暮れ人の視線を避けて研究室の外へと出かけることが増えた。そして、ある時、一人の女性を見つけた。一目惚れであった。研究以外のことに興味を持てたのは、とても久しぶりであった。彼は、柄にもなく彼女をナンパしに行った。慣れないこと故に拙い喋り、たどたどしい言葉、とても天才と呼ばれた男には見えなかった。彼にとって幸いだったのは、その女性が聡明な人であったことである。笑いながらハロルドの言葉を受け止めた。立ち話もなんだからと近くの喫茶店へと入った。

 

 

 彼女の名は、エマ・ウィーラントと言った。彼女と会話を重ねたハロルドは、彼女への愛を募らせていった。そして、会話を重ねていくうちに彼らが互いに無個性であることを知った。しかし、互いにその個性がなくとも自分自身にはそれに負けないモノがあると語った。ハロルドは自身の頭脳である。エマは、自身の夢である。夜に見る方の夢である。

 ハロルドは意外に思った。彼女もまた自身と同じように自身の知性にこそ自信があるものだと思っていたからだった。

 彼女は、その夢に夢とは思えないほどのリアリティを感じていた。これは人々に広めたいとそれを基に叙事詩をしたためていた。その叙事詩のタイトルは『黄昏の碑文(Epitaph of the Twilligt)』。彼女にとってその叙事詩は、架空の出来事などではなく、自分の知りえないどこか遠くで実際に起きた出来事なのだと、そう語った。

 ハロルドはそれを興味深く思った。この聡明な女性が、そこまで語るモノ。夢が実際にどこがで起きていたという荒唐無稽な話。エマはその話をしたのは初めてではなかったが、誰も信じる者はいなかった。エマの書く叙事詩を面白いという人はたくさんいたが、そのファンタジーな物語が実際にあったことと信じる者がいるはずもなかった。

 しかし、ハロルドはその言葉を信じた。きっと、それこそがエマの個性なのだと。誰も知らない世界を観測する個性なのだと。

 ハロルドは、エマにその叙事詩を読ませてほしいと頼んだ。エマは、それを快諾した。

 

 ハロルドは、黄昏の碑文を熟読した。そして、同時に考えていた。この世界が本当にあるとして、ただ一人が観測できる世界の存在を証明することができるのか。熟考はしたものの、結論は初めからわかっていた。不可能であると。ハロルドは絶望した。天才ともてはやされようと自分には成し遂げたいことが何一つとして成し遂げられていない。

 

 ハロルドは、黄昏の碑文に描かれた世界を証明する方法はないかと自身の研究をつづけながら考え続けた。研究とは未知を既知へと変えるためのものだ。不可能が可能になることを起こすのが当たり前の世界。彼に諦めるという選択肢はなかった。幸い、彼にはエマとの逢瀬という癒しができていた。

 彼女との会話は気持ちが弾む。馬鹿な人たちと話す苛立ちがない。幸せとはこういうものかと実感するほどに多幸感があった。しばらく後にハロルドは、エマと交際するようになった。しかし、自身の研究とエマの世界の証明はいくら時が経とうと進展をみせることはなかった。

 

 ある時、個性に関する論文を読み漁っているときに、無個性に共通している身体的特徴についての論文を見つけた。まだ、絶対にあっているとは言えないモノだったが、その論文における研究においては9割の精度で当たっていた。その論文に自分を照らし合わせてみると、自身には全く当てはまらなかった。今まで自分を無個性だと思っていたが、何かしらの個性を持っているのかもしれない。しかし、気付けない程度の個性など大したものではないだろう。それにこの論文が絶対にあっているとも言えない。なんとなく、この話をエマにも共有すると、エマも無個性の特徴に当てはまらないとのことだった。

 

 その時、ハロルドの頭の中で何かのピースがはまった様な感覚があった。やはり、エマはこことは違う世界を観測しているのではないかと。もしかしたら、自分も何か観測できない何かに関係する個性なのではないかと。突飛で飛躍した考えだと、論理的でないと、否定する自分もいたが、研究は時にそういう考えが必要だと検証した。

 今まで考えもしなかった、自分には何かしらの個性が存在していることを探すのは、正に暗中模索だった。そして何を思ったのかハロルドは、来る日も来る日も黄昏の碑文を読み続けた。エマとは違うだろうが、それこそ夢に見るほどに読み込んだ。

 そして、彼はついに異世界への扉を開けた。

 ハロルドの個性は、異世界への道を創ることだった。そして、今まで自身の個性に気付けないのも当然だった。その異世界の子細を知らなければ、その道を開くことはできないのだから。ハロルドが自分の個性に気付くことができたのはエマが居ればこそだった。同時に、これがエマが観測した世界の証明にもなった。この喜びをエマに伝えようと早速連絡を取ろうとしたが、電話が繋がることはなかった。一抹の不安を感じながらも夜が更けていたこともあり、その日は床に就いた。

 

 翌日、ハロルドには信じられない一報が届くことになった。エマが交通事故に遭い亡くなったとのことだった。ハロルドは悲嘆にくれた。ようやく彼女が焦がれた世界に繋がれたのにその直後に彼女が居なくなってしまった。そして、彼はこの世界から姿を消した。

 

 

 数年の月日が流れ、ハロルドは日本に居た。この時、ハロルドにはある目的ができていた。エマとの子どもが欲しい。既に彼女がこの世にいない中でどうするか。彼女が焦がれた世界を基に新たな命を創ろう。自分という天才と聡明な彼女に相応しい個性を持った子を。そのために再びこの世界で研究をしなければいけない。研究をするためには環境とお金が必要だ。理論は、異世界を放浪する過程で組み立て終えていた。後は、実践するだけ。

 

そして、彼は番匠谷淳と出会った。




次回から雄英体育祭の話に入っていきます。ようやくって感じですね。
ここでちょっと、.hack//G.U.風の次回予告入れてみます。なお、テキトーに書いているので本編にその台詞が出るとは限りません。



『せんせー、俺が一位になる』

『毎年、ここで多くの者が涙を飲むわ!!』

『はっ! 誰が相手でも憑神なんて使うかよ!』

『君の力じゃないか!』

『俺は右だけで……』

『お前は最高傑作なんだぞ!』

『君は……欅?』
『はい、オールマイト。あなたのファンです』

『君たちには最低限の活躍をしてもらわねば困る』

『俺は……ここにいる!!』

三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)

  • 日下千草(アトリ)
  • 倉本智香(揺光)
  • 久保萌(タビー)
  • 芦戸三奈
  • 拳藤一佳
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