.hack//G.U. THE HERO   作:天城恭助

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前回、敵連合側の描写入れるの忘れていたので今回に入れました。
それと、.hackの原作と同じところをカットというかダイジェストというか、あっさり描写にしたりしています。でも、今回おまけを書いているのですが、それも原作ほぼまんまです。でも、結構好きなところなので書きました。今回は全体的に飛ばし見でもいいかもしれません。


雄英体育祭まで2週間

 敵連合が雄英高校を襲った翌日。当の敵連合の頭目である死柄木弔は苛立ちを抑えられずにいた。

 

「どういうことだ! オールマイトは健在のままじゃないか!!」

 

 新聞を投げ捨てて怒りをぶちまける。

 

『見通しが甘かったね』

 

 電話がAFOと繋がっていた。

 

『うむ。脳無も回収できなかったようだしな。肝心のAIDAも除去されてしまったようだ』

 

 AFOにドクターと呼ばれている人物が、軽く文句を言う。 

 

「そうだ。お前、あれはオールマイトでも絶対に倒せないと言っていたじゃないか!」

 

 弔が指差し叫んだ先のバーカウンターに座っていたのは、オーヴァンだった。

 

「その通り。絶対にオールマイトには倒せない。倒せるのはデータドレインを使える者だけ。つまり、その場にデータドレインが使える者が居たということだな」

「はぁ? お前、データドレインは世界でも限られたやつにしか使えないとも言ってただろ。それが、偶々そこに居たっていうのか?」

「そうでなければ、雄英高校は既にこの世にはないよ」

「……ちっ」

 

『あれらに関して僕も詳しいことは知らないよ。ドクターも知らないってことだし、君も教えてくれないしね』

 

「切り札を簡単に教えるほど俺は甘くないよ。互いに利用しあえる関係が、望ましいからね。教えてしまったら、簡単に切り捨てられてしまいそうだ」

 

『おや、まだ信用してくれないのかい?』

 

「俺は曲がりなりにもヒーローであるからね。最も、今はヴィランとそう変わらないか」

「お前、結局、何がしたいんだよ」

「前にも言った通り、黄昏の鍵さ」

「だから何なんだよ、それは!」

 

『黄昏の碑文』

 

 オーヴァンは表情を変えなかったが、明らかにAFOのその言葉に反応した。

 

『未完成の叙事詩なんだってね。興味深かったよ。何せ、何時ぞやの事件の犯人たちにそっくりなのが出てたからね。君の言う黄昏の鍵もちょっと書いてあったよ。と言っても、未完成だからか、詳しいことは何も書いてなかったけどね』

 

「さすがは……と、言ったところかな。でも、結局のところは黄昏の碑文も関係はない。俺が黄昏の碑文を気に入っている。それだけの話さ」

 

『おっと……もう少し、君が慌てるところが見れると思ったんだけど、そう上手くはいかないみたいだね』

 

 死柄木弔は完全に話題に置いて行かれていた。そのことにイライラし、首をかきむしる。

 それを察したのか、AFOは弔に語り掛けた。

 

『弔、学ぶんだ。この男を上手く利用できるくらいに成長しなさい。今度こそ、君という恐怖を世に知らしめるんだ』

 

 

 成長……Glow Upか。

 オーヴァンは内心で一人呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 三崎は、臨時休校の日、パイに呼び出された。憑神に慣れるための訓練である。山奥にて微弱なAIDA反応を検知しており、それを倒していった。途中、登山客がAIDAに巻き込まれそうになり、それをパイが庇い感染するというハプニングもあったが、三崎の憑神によって事なきを得た。

 

 

 そして、臨時休校を終えて学校が再開した雄英高校。

 その日には、相澤は復帰していた。包帯をぐるぐるに巻かれミイラの様になっていたが。

 

「先生、無事だったのですね!」

「無事、言うんかなぁ。アレ……」

「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

 

 戦いという言葉に以前のヴィランの恐怖が一瞬過るが。

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

「クソ学校っぽいのきたあああ!!」

 

 

 ヴィランに侵入されたという事実がありながら開催が決定されたのは、逆に開催することで危機管理体制が盤石であることを示すためであるらしい。

 雄英体育祭は、ヒーローたちがスカウト目的で観に来るイベントである。それを中止するのは、年三回しかないチャンスを潰す行為であり、受け入れられないということだ。

 

 昼休み、クラスメイト達は雄英体育祭の話題で盛り上がっていた。目立てば一気にプロヒーローへの道が開けてくるため、盛り上がるのが普通である。しかし、三崎にはあまり興味がなかった。雄英体育祭後には、職場体験があり、その職場体験に行ける場所の中には指名をしてくれた事務所がある。三崎は、体育祭のリザルトの如何を問わず指名すると八咫から通達されていた。最も「指名してもおかしくない程度には活躍してもらわねば困る」とも言われていたが。詰まるところ、モチベーションも何もないのだ。三爪痕のことしか頭になく、将来ヒーローになりたいという想いすら薄い。クラスメイトとの温度差をはっきりと感じていた。

 

 食堂に行く最中、麗日のヒーローを目指す理由を緑谷、飯田と共に聞いた。言ってしまえば、両親に楽をさせてやりたい。ということだった。自身が徹頭徹尾自分のためであるのに対して、麗日は誰かのためにヒーローをやろうとしている。それが、少しばかり心にひっかかていた。

 

「三崎君は、どうしてヒーローを目指そうと思ったの?」

「俺か? 俺にはどうしてもこ……捕まえたいヴィランが居るだけだ。だから、最悪ヒーローにならなくてもいいんだ」

 

 復讐心丸出しで、殺したいなんて言いそうになってしまった。爆豪が常日頃から殺すとは口にしているが、誰もそれを本気で言っているとは思っていないだろう。三崎は内心で爆豪の口の悪さには引いていた。しかし、自身の本音に近しいものを感じ親近感の様なものも感じていた。

 

「おお! 緑谷少年がいた!」

 

 そこでオールマイトが来た。そのまま緑谷を連れて昼食に行ってしまった。

 何故、呼び出されたんだろう。と、二人は疑問を抱いていたようだが、三崎はなんとなくは知っていた。緑谷はオールマイトの秘密を知っていた。それこそ三崎より何か深い部分を知っているのだろう。三崎はそこを探ろうとも思わなかった。興味がなかったからだ。

 

「ところで、三崎君。君が捕まえたいというヴィランの名を聞いても?」

「……三爪痕だ」

「三爪痕……聞いたことないね。飯田君は?」

「俺も聞いたことないな」

「三爪痕は、誰も姿を見たことがない。わかっていることは、犯行現場に三角形の傷痕を残すこと。被害者は行方不明になること。それだけだ」

 

 三崎自身は会っていたが、余計なことを言って話を拗らせるのも面倒なので言わなかった。

 

「もし、何か情報があったら教えてくれ。ネットに載ってることは大体調べ尽くしたけど、新しい書き込みもあるかもしれないからな。できたら、他の奴にも伝えといてくれ」

 

 麗日と飯田の二人は快く引き受けた。そして、数日後にはクラスメイト全体に三崎が三爪痕というヴィランを探しているという話が広まっていた。

 

 

 放課後、1-Aの教室前にたくさんの人だかりができていた。

 

「何事だぁ!?」

「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」

「敵情視察だろ。ザコ。ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてぇんだろ。意味ねェから、どけ。モブ共」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!」

 

 爆豪の口の悪さは今に始まったことじゃない。三崎も正直同じようなことを思ってしまっていた。

 

「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ」

 

 人混みの中から紫色の髪をした男が前に出てきた。

 

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「あぁ!?」

「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったて奴、結構いるんだ。知ってた?」

 

 ヒーローを志すものが多いのは現代社会でヒーローが多いことからもわかることだ。その人気が衰える様子は見えそうもない。

 

「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ」

 

 ヒーロー科の実技試験は対ロボットであるために対人とは勝手が違う。体育祭の方がより複雑な状況への対応力が求められるはず。それ故にヒーロー科編入の話があるというのは、至極合理的な話だ。

 

「敵情視察? 少なくともおれは、調子に乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー、宣戦布告をしに来たつもり」

 

 その後、ヒーロー科B組からも文句が飛んできた。

 爆豪は気にせず帰ろうと動く。

 

「待てコラ。どうしてくれんだ。おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねぇか!」

「関係ねぇよ……」

「はぁ!?」

「上に上がりゃ関係ねぇ」

 

 爆豪らしい、シンプルな答えだ。切島はその言葉で納得してしまっているし、常闇も理解を示した。上鳴は、ただ敵を増やしただけだ、と騒いでいた。

 

「別にいいんじゃねぇの」

「はぁ!? 何がだよ!?」

「雄英高校の校訓なんだろ。Puls ultraってやつがさ。それなら、自分で作って超えるのもありだろ。超える壁が多けりゃ、その分強くなれる機会も増える」

 

 困難を超えることこそ成長の早道。できれば、実戦が好ましいが、それはなかなか難しい。しかし、実戦でなかろうと自身の将来がかかったものであれば必死さも増す。それが嫌悪する相手なら猶更だ。そういう意味で体育祭は良い機会だ。そう思えば、三崎もモチベーションが上がってくるのを感じられた。

 

「でもよぉ。間違いなく面倒なことになるぜ」

「ヒーローになるだけなら別にここじゃなくてもよかっただろ。ここに来たのは、トップヒーローになるため。違うか? なら、あいつの言う通り上に上がることを目指すべきだ」

 

 実はまるでトップヒーローになりたいと思っていない三崎であったが、爆豪のおかげで自身のモチベーションを見つけることができたので軽くフォローを入れることにした。

 

「なるほど……」

 

 あの態度は爆豪のいつもの態度であるので、元々嫌われていたというわけでもないのだが、爆豪の言動に少しばかりの理解が得られたようだ。

 

 三崎は帰ろうと席から立ちあがると、人混みの中に見覚えのある男が居た。

 

「あいつは……!?」

 

 AIDAと共にいた男だ。その時は見失って、その後AIDAに襲われかけたところをクーンこと香住智成に助けられた。

 走って追いかけるが、見失ってしまった。

 

「あいつ……雄英生だったのか……?」

 

 少なくともヒーロー科ではないはずだ。1年の階に居たために学年はおそらく同じ。

 

「一体何者なんだ?」

 

 八咫なら何か知っているかもしれないと、連絡を入れて、特徴や以前ロストグラウンドで見かけたことを伝えた。

 

『一ノ瀬薫だな。我々の監視対象の一人だ」

 

 やはり八咫は知っていた。

 

「やっぱり、AIDA関係か?」

『AIDAもそうだが、彼は碑文使いだ』

「何?」

『接触を図ったことも何度かあるのだが、避けられていてね。雄英生ということもあって、校長にも話をしたこともあるが、あまり登校もしておらず、会いに行った日も登校していなかった』

「ヒーロー科に入れなかったから……か?」

『それはないな。確かにヒーロー科を受けてはいたが、実技試験で彼は試験会場を歩き回っただけで何もしていない。当然ながら結果は0点で不合格だ』

「なんだ、それ?」

『私としても理由が知りたいところだよ。あぁ、それと彼が体育祭に参加するようなら君には彼との対話を頼みたい』

「はぁ? なんで俺がそんなことをしなきゃなんねぇんだ」

『君は我々の持つ情報が欲しいのだろう? 協力しないのであれば、三爪痕に関する情報は教えられないな』

「……わかったよ。やりゃいいんだろ」

『よろしい。それではよろしく頼む」

 

 ブツリ、と電話が切られる。

 

「面倒なことになりそうだな……」

 

 体育祭とはまた別のところで何かがありそうだとそんな予感がしていた。

 

 

 

 

おまけ

 

 

 その日の夜、一通のメールが届いた。

 

「緑谷から?」

 

 そのメールによると、ネットの掲示板に三爪痕の話題が出ているのだそうだ。あの2人から三爪痕の話を聞いて早速情報を送ってくれたようだ。

 確かにそのネット掲示板には三爪痕の話題が上がっていた。というより、それを載せた人物がプロジェクト『G・U』の長として三爪痕に話したいことがある。とのことだった。

 G.U.の長。八咫が長となっている「レイヴン」という組織は表向きの名でそれとは別に裏向きの「G.U.」という名がある。

 八咫がこれを書いたのだとしたら一体何のつもりなのか。

 指定された場所は、以前三崎が三爪痕と遭遇した聖堂であった。時間もないのですぐさま聖堂に向かった。

 

 

 

 廃墟と化した聖堂に明かりなどはなく、月明りだけが光源となっていた。聖堂は天井が崩れ、月明かりが大量に入ってくるためそこまで視界は悪くなかった。

 奥まで進むと台座の上に誰かが立っていた。

 

「ふっふっふっふ。まんまと罠にかかったな、三爪痕! ここであったが百年目。神妙にお縄を頂戴しろ!」

「誰だ?!」

「ふんっ! 悪党に名乗る名前などないわ! たぁっ!!」

 

 高く飛び上がりその姿が月明かりに照らされる。金ぴかである。頭の先から足の先まで金ぴか。その鎧がもし金であるなら馬鹿みたいに高そうな上に重そうである。しかし、そいつはそんな鎧を付けているとは思えないほどの高さまでジャンプした。

 そして、一回宙返りして着地する。

 

「鈍き俊足のドーベルマン、ぴろし3! ただいま参上!!」

 

 ポーズを決め、キランと、効果音まで口にした。実際、歯は白く手入れがされている様なのが若干苛立たしかった。

 

「……名乗ってるじゃん」

「……」

 

 数秒の沈黙が訪れた。

 

「それとさ、俺、三爪痕じゃないから」

「どわーっはっはっは。いやぁ、失敗失敗。てっきり貴殿が三爪痕かと思ったのだが」

「あんた、どうして奴を追っているんだ?」

「……ふむ。これは例え話として聞いてほしいのだが、ある建設会社に一人のデザイナーがいたと思いたまえ。その男は自分のデザインに絶対の自信を持っていた。建てられた建物で使われた自身のデザインを堪能していた。ところが、ある日男は信じられないものを目にする。自分の作成した超流麗凄艶究極デザインに醜い三角形の傷痕が刻み込まれていたのだ! 何という冒涜! 何という暴挙! 復讐の鬼と化した彼は、その犯人を突き止めるべく掲示板を利用した巧みなトラップを用意したのだ!」

「……それって、例え話?」

「そうだ。例え話として聞いてくれと、そう言っている」

「三爪痕はあんたが相手できる奴じゃねぇ。危ねぇから、ヒーローにまかせて追っかけるのはやめとけよ」

 

 ぴろし3は、首を振って否定する。

 

「問答無用! 私はヤツを捕まえるまでは止まらないぞ! 貴殿も三爪痕を探しているのか?」

「……まぁな」

「ふむ……」

「なぁ、他に傷痕がある場所があったら教えてくれないか?」

「ふぅむ……一見ドス黒く濁っているが……その奥に正義の輝きを秘めているように見えないこともないその瞳……! よかろう! 良き目をした人よ! 貴殿と私は志を共にする者のようだ!」

「……は?」

「三爪痕の探索の同志と認め、この命果てるまで……共に闘うことを誓おう!」

「……はぁ?」

 

 ぴろし3は、連絡先を押し付けてきた。

 

「まぁ、いいや。で、プロジェクト『G・U』の長ってどゆこと?」

「ん? 貴殿も私のサークルに入りたいのか? だが、絵が上手いことが条件だぞ。何しろ『グラフィック・うまい』で『G・U』だからな」

「八咫ってヤツ、知ってるか?」

「誰だね、それは?」

「いや、もういいや」

「そうか。では、私はまた策を練るとしよう」

 

 そして、ぴろし3がまた不可解なポーズを取る。

 

 

「旅路の果てまでも! 頭上に星々の輝きのあらんことを! じゅばっち!」

 

 そして、飛び上がる様な動作をするがそのまま飛んで行く様なことはなく走り去っていった。

 

「なんか……変なモンを見ちまった……帰って寝よ」




次回はオリジナルの話……でもないです。
でも、どうやって入れようかとずっと悩んでいたエピソードなのでちゃんと入れたいと思います。
正直、一ノ瀬ことエンデュランスもどのタイミングでどこにどうだそうかとめっちゃ迷ってました。後は、朔望ですかね。そんで、揺光も出したいです。雄英体育祭で、この3人をだそうかと考えています。
まぁ、.hack側の年齢とかはあまり深く考えないことにしました。できれば、寄せたいと思っていましたがかなり無理がありました。でも、話を続けて書きたいので考えないようにしました。

三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)

  • 日下千草(アトリ)
  • 倉本智香(揺光)
  • 久保萌(タビー)
  • 芦戸三奈
  • 拳藤一佳
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