.hack//G.U. THE HERO   作:天城恭助

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とっても書きたかったエピソード。世界観がゲームではなく、現実になっているのでどう言い換えた物かと頭を悩ませました。



雄英体育祭まで1週間

 休日のある朝の早朝。三崎の携帯に電話がかかってきた。三崎は寝ぼけた目をこすりながら通話ボタンを押す。

 

「もしもし」

『あ、あの、三崎亮さんの携帯でよろしかったでしょうか?!』

「ん? 日下か?」

『そそそ、そうです。あ、あの、そのぉ……えーっと』

「……早くしてくれ。眠いんだよ」

 

 欠伸をしつつ、言葉を返す。

 

『ちょっ、ちょっと待ってください。その心の準備が……』

 

 何か言い淀んでいるが、三崎は寝ぼけた頭で何も頭が回っていない。

 

「切るぞ」

『す、すみません! その、今日、一緒に特訓しませんか!?」

「特訓? 俺とお前、二人でか?」

『そ、そうです!」

「いいぞ」

『ほ、本当ですか!? それじゃ、メールで場所と時間を伝えますね!」

「あぁ」

 

 電話が切られて、三崎は再び布団にもぐる。

 特訓か……あいつと二人で……

 

「はぁ!?」

 

 一気に目が覚めた。

 なんで俺となんだ……B組の誰かとやればいいのにわざわざ自分を選ぶ理由がわからなかった。同じ碑文使いという縁があるとはいえ、それ以外何かを共有しているわけでもない。

 日下千草は七尾志乃に非常によく似ている。他人とは思えないほどに。それが、複雑な気分にさせる。日下を見ると志乃との記憶を呼び起こさせ幸せな気分になるのと同時にそれを奪った三爪痕への憎悪も増す。そして、日下と志乃の違いが違和感をもたらし不快な気分になる。ただの別人であるにも関わらずそういう感情を抱いてしまう自分にも嫌悪感を抱いてしまう。

 しかし、寝ぼけていたとはいえ約束してしまった。約束を破ることは気が引ける。

 

「仕方ねぇ……か」

 

 再び携帯が震え、メールの着信を知らせた。場所と日時を確認し、動きやすい服装に着替える。そして、待ち合わせ場所に向かった。

 待ち合わせ場所であった駅には既に日下が居た。

 

「よう」

「おはようございます。三崎さん」

「お前、その恰好……」

 

 フリルがついた女の子らしい服装であった。確かにその服装は似合っていると言えた。

 

「私……何か変ですか?」

「別に変じゃねぇよ。ただお前、それで特訓するのか?」

「ちゃんと着替え、持ってきてますよ」

「そりゃそうか」

 

 今の恰好で動き回られるのは色々と困る。フリフリの衣装にスカートでは、きっと目のやり場に困る。汗で濡れれば……それ以上は考えないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 日下に連れられて、山にやってきた。ハイキングコースである。

 

「……」

「三崎さん? どうしました?」

「ホントに特訓しに来たんだよな?」

「そうですよ。ほら、行きましょう!」

 

 山道をただ歩く。日下はとてもご機嫌な様子である。

 

「今日はとてもいい天気ですね。ピクニック日和です!」

「おい」

「あはは。そうですよね。今日の目的は特訓でした」

 

 

 

 こいつ、特訓する気ゼロだ……

 

 

 

 一体、日下は何を思ってこんなことをしているのか。

 

「ここ、とっても景色がいいんです。人も少なくて、私のおススメスポットなんですよ」

「へぇ……」

「あの……退屈ですか?」

「ん? まぁ、そんなことはねぇよ」

 

 わざわざ仲を悪くする様なことを言う必要はない。だが、正直な話、もうすでに帰りたくはなっていた。これなら一人で筋トレでもしてた方が有意義だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついに山頂である。別段、高い山ではない上に、道も整えられていたために疲れるような道ではなかった。これでは山というよりかは丘だ。確かに家族連れが来る分には悪くない場所かもしれない。しかし、特訓に来る場所としてはぬる過ぎた。

 

「ここでお昼にしましょう。私、お弁当持って来たんですよ! 一緒に食べましょう!」

「はぁ」

 

 思わずため息をついてしまった。主目的からどんどん離れていくことに単純にイラついていた。

 

「三崎さん?」

「あぁ、ありがとう。もらうよ」

 

 日下はブルーシートを広げ、弁当箱を並べる。

 彩の良い手作り弁当だった。おそらくは、気合を入れて作ったことがうかがえる。

 

「どうぞ、お茶です」

「あぁ」

 

 水筒から紙コップにお茶を入れて三崎に渡す日下。三崎はそれを受け取りただ見つめていた。

 

「三崎さんはどうしてヒーローになろうと思ったんですか?」

「……別になんでもいいだろ」

「私はですね。榊さんっていうプロヒーローに憧れてヒーローになろうって思ったんです」

 

 日下は、榊について色々語った。月の樹という組織に属していること。平和を願う立派な人であること。その志に感銘を受けたこと。三崎は興味がなかったので話半分に聞き流していたが。

 

「私、思うんです。ヒーローって、ヴィランを倒すことばかり注目されがちだけど、人を助けることこそが本分だって」

「ヴィランを倒すことだって、人助けだろ」

「でも、ヴィランだって人です。暴力を暴力で抑えつけたって、同じことの繰り返しにしかならないと思うんです」

「それは違うだろ。何せオールマイトっていう実例が居る。№1ヒーロー様の圧倒的な力が犯罪率を低下させているっていう実例がな」

「そのオールマイトの力を超えるヴィランが現れたら、どうなるんでしょう」

「それは……」

 

 もし、オールマイトを超えるヴィランが現れたのなら社会は混乱することだろう。誰でも簡単に想像がつくことだ。誰もそれを考えないのはそれほどまでにオールマイトは多くの人々に信頼されているからだ。平和の象徴と呼ばれるほどであることからもそれがわかる。

 

「私、争うことって嫌いです。レスキューポイントのこともあって、なんとか雄英高校に受かることができましたけど、私ってどんくさくて勝負ごとに勝てたことがないんですよね。だから、負けた時のつらさはわかるんです」

「体育祭はそれでどうすんだよ」

「だから、迷っているんです。私はヒーローに強さは必要ないと思っている。だけど、世の中はそうは思っていない。強さのないヒーローなんて誰も必要としてくれない」

 

 強くなければ守れないのだから当然だ。ヴィランという脅威を打ち倒す強さがヒーローには必須だ。

 

「当たり前だろ。強くなけりゃ、守れないんだから」

「でも、傷つきます。私も闘っている相手もその人を想う見知らぬ誰かも」

「なら、お前はどうするんだ?」

「それは……まだ、どうしたらいいのかわかりません。でも、強さにばかり気を取られたら助けるべき人の声も聞き逃してしまいそうで……ちょっと立ち止まって綺麗な景色に心を洗われたり、そういうことも大事なことだって思うんです」

「くっアハハ……! もう、無理。限界」

 

 三崎の中で我慢ができなくなった。志乃と同じ顔で……

 

「バッカじゃねぇの、お前。ヒーローに強さがなくて務まるかよ!」

 

 三崎は日下に詰め寄った。

 

「お前は、ヴィランを気遣って倒せなかったことを言い訳にそのヴィランによって増える犠牲に目をつぶるのか!? ヴィランを気遣う必要も余裕もヒーローにあるもんか!」

 

 三崎の豹変ぶりに日下は怯えた。

 

「そのヴィランだって自分の欲望を満たそうとしているただの外道なんだよ!! そのヴィランを叩き潰すために力を求めて何が悪い! 答えろよ! どこが悪いか言ってみろ!」

「そんな……」

「……帰れ」

「え?」

「まぎらわしいんだよ、お前は! 二度と俺の前に姿を見せるな!!」

 

 日下は涙を流しながら走り去っていった。

 三崎は、日下が見えなくなったところで独り呟く。

 

「くそっ……志乃の顔で『立ち止まれ』なんて言うなよ……」

 

 三崎はその場で立ち尽くした。




 その場に広げられたブルーシートとか、弁当とかはどう描写したものかと思って、その後どうなったのか書いていません。流石に放置するのもどうなんでしょう?かと言って、ここで書くと雰囲気が壊れてしまいそうなので省きました。次回に何かしら書いておけばいいんですかね?
 後、もうちょいキレた時の台詞を長く喋らせたかったけど、思いつきませんでした。
G.U.本編の櫻井さんの「ポリゴンにテクスチャ貼っただけのただの偽物なんだよ!」ってとこの台詞好きなんですよね。同じ感じでもうちょい長い台詞にしたかったです。

三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)

  • 日下千草(アトリ)
  • 倉本智香(揺光)
  • 久保萌(タビー)
  • 芦戸三奈
  • 拳藤一佳
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