雄英体育祭まであと一日。最後の調整をと思っていた三崎だったが、両親が趣味でやっている花屋。用事があるとかで店番を任されてしまっていた。
なんで俺がこんなことを……
そう内心でぼやきながら意外と真面目に仕事をする三崎。
「あの~……」
「いらっしゃいませぇぇぇっ!」
大きな声で笑顔で客に応える。が、客が見えず、すぐ下を見ると子どもが立っていた。
金色のショートカットで中性的な少年だった。格好もユニセックスな服装なため、どちらかと性別を聞かれたら迷うかもしれない。
「あのぅ……ぼく、ほしいものがあって……」
「おう、どれだよ」
「シロタエギクです。ありますか?」
「ちょっと待ってろ……鉢植えに小さいのが一つあるな。500円だな」
少年は小学生が良く使っていそうなマジックテープの財布を開いて、止まっていた。
「どうしたんだ? 買うのか? 買わねぇのか?」
「あ……おかね……たりない」
「足りない? それじゃあ、売れねぇよ。こっちも店番任せられてるんでね。きっちり商売しねぇと。欲しいもんがあるならちゃんと金を貯めてきな」
「ためてたんだけど……なくなっちゃったみたい……」
「なくなったって……自分の金なら使い道ぐらい覚えてるだろ」
「わかんないよ。きのうまで朔のばんだったもの」
「朔のばん?」
「朔はおねえちゃんだよ。このおさいふ、きのうまで朔がつかってた」
「要するにその財布を姉弟二人で共有しているわけか?」
「うん」
「それでお前が貯めてた金をねえちゃんが使いこんじまったと。ひでぇ、姉ちゃんだな」
茶化した風に言う三崎。財布の共有がどうして行われているのか甚だ疑問だが、あえてつっこむ必要もない。それぞれ家庭の事情というやつもあるのだろう。
「……ううん、いいの。どうせ、朔のたんじょうびにプレゼントをかうつもりだったから」
「誕生日?」
「ふたごだから……ぼくのたんじょうびでもあるんだけど……」
「誕生日か……」
特別何か誕生日に思い入れがあるわけでもないが、子どもが誰かのために何かをしようとしていることに水を差すのは気が引けた。そんなに高い物でもないし……
「仕方なねぇな。まけてやるよ」
「ほんとにいいの!?」
「あぁ。姉ちゃんによろしくな」
「うん! ありがとう!」
少年は花開いた様な笑顔を浮かべた。
ビニールポットに移し替えられた、シロタエギクを手渡す。シロタエギクはその名の通り菊に似た形の白い茎と葉があり、小さな黄色い花を咲かせる。花言葉は、穏やか、あなたを支える。
「ぼくは伊織っていうんだ。たりないぶん、きっとかえすからね」
「おう。金のことは気にすんな」
「おにいちゃん。ほんとにありがとう!」
「気を付けて帰れよ」
伊織は小走りで帰っていき、見えなくなりそうなところで三崎に手を振っていた。三崎は小さく手を振り返した。
そして、雄英体育祭当日。
それぞれが控室で準備を整えようとしている中、三崎は控室のある建物に入る前に呼び止められていた。それも7人の女子に。
「なんだ、お前ら?」
「私はヒーロー科一年B組の拳藤一佳。あんたが三崎亮?」
その中を代表してなのか、オレンジ色の髪をサイドテールにした女子が話しかけてきた。
1年B組ということは、他の女子たちもそういうことだろう。
「そうだけど……」
「よくも千草を泣かせたね」
「はぁ?」
誰かを泣かせた記憶なんて……と思ったが、思い当たる節は当然ながらあった。普段、日下と呼んでいたために下の名前を意識したことがなかった。
「ちっ、てめぇらにゃ関係ねぇだろ」
「大アリよ! 私たちの仲間を泣かせたんだから。ここに来たのはあんたに宣戦布告するためよ」
B組女子達は怒り心頭と言った感じだ。一部、表情が見えないものもいるが、共通の目的でここに来たのだろう。
「ハッ! 面白れぇ! てめぇらまとめて返り討ちにしてやるよ」
「言ったわね。必ず報いを受けさせてやるから」
それだけ残し、B組の面々は去って行った。
B組の控室へと向かう女子たち。
「私、あの方がそんなに悪い人には思えないのですが」
と、茨の様な髪をした少女。塩崎茨は言う。
実際、詳しい話を日下から聞いたわけではなかった。ただ、B組の中で姉後肌である拳藤を頼って日下が相談し、それに乗ったはいいが、うまいアドバイスが思い浮かばず、他のB組の面々に聞いた拳藤によって、B組女子全員に日下がA組の三崎という人物が気になっていることが伝わってしまったのである。それによってアドバイスした拳藤であったが、後日、日下が泣きながらに三崎を怒らせてしまったと相談したことから、この事態に発展した。
「あの口の悪さじゃ、そうは思えないけど」
「ね」
それに反論するのは、ウェーブのかかった緑がかった黒髪の少女、取蔭切奈。そして、それに同意する、「ん」とか「ね」とかしか喋らない黒髪の少女、小大唯。
「爆豪クン? という人、口ワルイ、ヒアしたヨ」
角が生えた片言で喋る少女、角取ポニーが、まだまだ日本語がわからないので聞く。
「あれは口が悪いというより、怖い」
と、白髪の少女でいつも幽霊のようなポーズを取っている柳レイ子。
「とてもヒーロー志望とは思えないよねー」
長い髪で目が隠れているキノコを思わせる少女、小森希乃子。
段々と話がずれていく。
「塩崎さん。それで、どうして三崎は悪い人に見えないの?」
「いくつかありますが、一番大きいのは以前、街でお見掛けしたんです」
「何を?」
「その三崎さんが、何故か店番をしていたらしくそこに来た子どもが、お金が足りなくて困っていたんです。最初こそ、冷たくしていた様なんですが少し話をした後に、結局売ってあげたみたいで。その子、笑顔でお礼を言っていたんです」
B組の面々は意外だ、と共通した思いを抱いていた。
「それにヒーローを志す方ですし、日下さんが好意を寄せる方でもあるのですから」
控室の扉が勢いよく開かれた。
「べ、別に三崎さんとはそんなのじゃありませんから!!」
日下であった。
「あれ? 聞こえてた?」
「丸聞こえですよ!! 確かに、三崎さんはぶっきらぼうな様で意外と優しいところがあるというか……ちょっと、みなさんニヤニヤしないでください!!」
女子達は、日下をからかって遊んでいたが、B組男子は、日下から好意を向けられていると言う三崎の話を聞いて、勝手にヘイトを高ぶらせていた。どこかのブドウほどではないが、モテない男の妬みである。B組の打倒A組に変わりはないが、爆豪と違い、本人と全く関係ないところでヘイトを買う三崎であった。
今後出せるかもわからないのに朔望出してみたり、B組との因縁じみたものを書いてみたりしていますが、実は先の展開に関してはほとんど何も考えていません。
なんとなくぼんやりした程度の考えはありますけど、メモ書きも何もしていないです。とりあえず、次回も更にキャラが増えます。活躍するかは知りません。障害物競走はまだいいけど、騎馬戦とかマジでどうしよ。
三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)
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日下千草(アトリ)
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倉本智香(揺光)
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久保萌(タビー)
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芦戸三奈
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拳藤一佳