.hack//G.U. THE HERO   作:天城恭助

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割とすぐ書けてたんですが、これでいいかな?どうしようかなと迷ってたら一ヵ月ほど経ってしまいました。


障害物競走

1-Aの控室。

 

「おぉ、やっと戻って来たか! 三崎君! もうそろそろ入場だぞ!」

「何してたん?」

「あぁ、ちょっとな」

 

 言葉を濁して、はぐらかす。麗日はそこまで気にしていたわけではなかったらしく、追及してくることはなかった。

 

 

 そして、入場間近のこの時に轟が緑谷に宣戦布告とばかりにお前には勝つと宣言する。緑谷はそれに対して、自分も勝ちに行くと宣言した。轟が何故オールマイトを気にして、緑谷にその様な事を言ったのかは、三崎にとってはどうでもいいことであったが、少しばかりの苛立ちは感じた。自身の力を未だにクラスメイトに見せたことがないせいだろうが、クラスメイトの中での注目度は低い。実技を見学していた限りでは、実力で轟と爆豪が頭一つ抜けている。だが、三崎はそれに負けているとは思っていない。憑神に覚醒した今の自分なら何者が相手でも絶対に負けることはない。そういう自信があった。憑神は、AIDAなどの異常な存在のみに使用するようにと八咫に止められてはいるが、三崎は使いたいときに使いたいように使うと決めていた。相手になめられっぱなしでいるぐらいなら憑神の一撃で黙らせる腹積もりだ。

 

 

 入場の時を迎え、プレゼントマイクが派手にナレーションする。A組は先日のヴィラン襲撃を退けた件からも注目度抜群。例年であれば3年のステージが最も盛り上がるが、今年に限って言えば恐らく1年ステージの方が盛り上がりを見せている。

 

 クラスごとに整列し、主審であるミッドナイトが選手宣誓をする生徒、爆豪を呼ぶ。

 爆豪はポケットに手を突っ込んだまま壇上に上がる。

 

「せんせー、俺が一位になる」

 

 他の生徒からのブーイング。あんなことを言えば当たり前である。

 

「せめてはねの良い踏み台になってくれ」

 

 三崎は、この前の一件からも見てなんとなくわかった。態度が悪いのはいつも通りだが、ヘイトを集めて敵を増やし、自身を追い込み、強さを求めているが故の行動だ。三崎は不満を爆豪に投げ込む生徒たちばかりの中で、独りニヤリと笑った。

 

 

「それじゃあ、早速第一種目行きましょう」

 

 競技場にある大きな電光掲示板にルーレットの様に表示される。

 

「いわゆる予選よ。毎年ここで多くの者が涙を飲むわ! さて運命の第一種目! 今年は……」

 

 そして、電光掲示板に文字が止まる。

 

「コレ!!」

 

 障害物競走。

 

「計11クラスでの総当たりレースよ! コースはこのスタジアムの外周約4キロ!」

 

 ルールはコースさえ守っていれば何をしても構わない。

 ヒーローを目指す者たちの祭典の上、全国中継されているためにヴィランの様なことをする者はそうはいないだろうが、そのルールでいいのだろうか。

 

「さあさあ位置につきまくりなさい」

 

 すぐにスタートシグナルが動き出す。そして、全てのシグナルの明かりが消えた。

 

 

「スタート!!」

 

 

 一気にスタートゲートに人が駆け込むが、狭いために一気に通り抜けることができない。それを見抜いたものたちはすぐに前へと抜けた。一番前へと抜けた轟は、凍結を使用しながら進むことで妨害に動いた。

 A組は凍結に引っかかることなく、全員が突破した。事前に知識があったことが大きかった。他の実力者たちも避けることができていた。

 三崎は、体力温存と情報収集を兼ねて後ろの集団に付くことにした。

 

 

『さぁ、いきなり障害物だ! まずは手始め……第一関門ロボ・インフェルノ!!』

 

 プレゼントマイクの実況。それが知らせたのはヒーロー科の入試でも使われた仮想ヴィランだった。

 轟はその仮想ヴィランを一瞬で氷漬けにして抜けた。しかも、後続の妨害のために不安定な状態で凍らせていた。

 

『1-A轟! 攻略と妨害を一度に! こいつぁ、シヴィー!! すげぇな! って、おい! あいつ……あいつら誰だ!? 轟に並んでんぞ!?』

 

 一抜けかと思われた轟の横に並び、追い越している者が二人居た。

 

「なかなかやるじゃん。色男」

 

 そこに居たのは、赤髪のショートカットの女子だった。

 

「……」

 

 さらに横を無言ですり抜けたのは一ノ瀬薫であった。

 

『普通科の一ノ瀬薫と倉本智香だな』

 

 相澤は、手元の資料に目を落としながら話す。

 

『うぇ!? 何で知ってんの!?」

『別に知っているわけじゃない。ただ、普通科の問題児ってことで、何度か聞き覚えがあるだけだ』

『問題児って、何やったんだ?』

『一ノ瀬が不登校。倉本が喧嘩だな』

『いや、なんで容姿も知ってんだよ』

『ここにあるからな、資料が……』

『いや、もーOK!! その調子で解説頼むぜ!!』

 

 後続もどんどん第一関門を突破していく。しかし、三崎は、立ち止まっていた。日下が少しばかり気になっていた。轟の凍結は他のB組の助力で何とか抜け出したようだが、ロボの前でも縮まって動けなくなっていた。さすがに完全に戦意を失っている仲間までは助け舟を出せないB組。仮想ヴィランの質量は、人が死にかねないかと思われるほど巨大なものだ。その攻撃が、日下に向けられていた。

 

「ちっ!」

 

 巨大なロボの拳が日下に当たる前に、三崎が救い出していた。

 

『カックィイイ!! A組三崎! B組の日下を助けたぁ!蹴落としのサバイバル上等のこの場で人助けなんてやるぅ!』

『勝負の最中の今じゃ、そんなに褒められたことではないがな。あまり三崎らしくない感じもするが』

 

「み、三崎さん!?」

「こんなとこで躓くぐらいならヒーローなんてやめちまえ!!」

「……!」

 

 日下は三崎の叱責に涙目になってしまう。その様子に三崎は戸惑ってしまった。以前、言ったことの手前合わせる顔もない。

 

「……お前にも、これぐらい乗り越える力ぐらいあんだろ。俺は先に行く」

 

 三崎は変身の個性を使って、姿を人形の様な姿へ変える。憑神ではない方の変身だ。普通に走っていてはもう先頭に追い付くのは無理だ。

 

「あの! 三崎さん!」

「なんだ?」

「ごめんなさい……」

 

 それは助けてもらったことに対してか、先日のことに関してかはわからなかった。だが、どちらにしても

 

「謝んな。お前の正しさはお前が証明するしかない」

 

 自分は正しくはないことを承知で、復讐を為そうとしている。きっとお題目だけなら日下の方がずっと立派だ。それが本当に良いことかは別にして、理想としては自分の目的よりはずっとマシだ。それでも復讐を止めるつもりはないが。

 しかし、それなら何故自分は日下を助けたのか。志乃と容姿が重なるから……きっと、それだけだ。だが、それでは自分は志乃の容姿しか見てこなかったのだろうか、と嫌な気持ちに苛まれる。

 

「クソッ」

 

 

 

 

 

『オイオイ、第一関門チョロイってよ! んじゃ、第二はどうさ!? 落ちればアウト! それが嫌なら這いずりな! ザ・フォール!』

 

 かなり深い溝だった。岩場には、綱だけがかけられている。だが、空中を飛べる者には関係がない。

 轟がトップに変わりないが、爆豪がそれに追いつこうとしていた。

 三崎は、変身の個性によって反重力の様な動きで音もなく移動する。その速度で第二関門をものともせずに、抜ける。

 

『空飛べんのはずりぃな!』

『別にずるではないだろ』

『というか、あいつ誰?』

『お前、さっきまで見てただろ』

 

 三崎亮は、変身の個性と武器を取り出す個性の二つを持つ。かなり変わった個性だ。

 

 普通科の二人はここでペースダウンしていた。二人ともその気になれば、一気に駆け抜けることもできそうな気もしたが、三崎は構わずに抜く。少なくとも一ノ瀬は碑文使いだと聞いているので、自身と似たような変身の個性を持っていることは間違いない。そして、その変身の個性を使う碑文使い達は今のところ全員浮遊して移動する。一ノ瀬が例外の可能性も無きにしも非ずだが、恐らく全員で8名のはずの碑文使いのうち4名に共通する能力なので違うことは考えずらい。

 

 

 

『……そして、早くも最終関門! かくしてその実態は――一面地雷原! 怒りのアフガンだ! 地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ! 目と脚、酷使しろ!」

 

 

『ちなみに地雷、威力は大したことねぇが音と見た目は派手だから、失禁必至だぜ!』

『人によるだろ』

 

 実況が何か下品なことを言っているが、全国放送でそんなこと言っていいのか。

 

 

 

 

 地雷原は、先頭に居るほど地雷を気にしなければならない。轟と言えど、あまり慣れる様なものではないために減速を強いられていた。

 

「俺は関係ねー!!」

 

 爆豪は、爆発によって空を飛べるために足に地を付けることがない。よって地雷を気にする必要がまるでない。

 

「奇遇だな。俺も関係ないぜ」

 

 そして、巨大な影。その巨体を飛ばす、三崎も先頭に追い付いていた。

 

「てめぇ、誰だ!?」

「……まぁ、誰にも見せたことはなかったからな。先に行かせてもらうぜ」

「待てや! コラ!!」

 

 爆豪が三崎の腕を掴む。しかし、変身した三崎の膂力の前には意味をなさなかった。簡単に振り払われる。それでも爆豪がそのまま引きはがされることはなかった。轟も同様である。氷柱を伸ばして三崎の動きを止めに入るが、それに捕まることもなかった。

 

 BOOOOOOM!!

 

『後方で大爆発!? 何だ、あの威力!? 偶然か、故意か――A組緑谷爆風で猛追ーー!?』

 

 プレゼントマイクの言葉通り、ロボの残骸を利用して爆風をその身に受けて、先頭まで飛んできた。

 

『つーか! 抜いたああ!!』

 

 緑谷は三崎の頭上をも超えて前に出ていた。

 

「デク! 俺の前を行くんじゃねぇ!!」

 

 爆豪は、緑谷を先に行かせないために自身の個性の爆発で加速する。

 

「後ろを気にしてる場合じゃねぇ……!」

 

 轟は、自身の個性で地面を凍らせて地雷を気にせず走るための道を造った。

 

「面白れぇ!!」

 

 三崎はただ加速し、ゴールを目指す。

 

 緑谷は爆発の勢いがなくなり減速し、地面に激突しそうになったがロボの残骸を地面に叩きつけて、地雷を爆発させた。その爆発によって、轟、爆豪、三崎の動きは一瞬足止めされ、緑谷はその爆発によって更に前へと進んだ。

 

 

 

 そして、最初にゴールテープを切ったのは――

 

 

『さぁさぁ、序盤の展開から誰が予想できた!? 今一番にスタジアムへ還ってきたその男――緑谷出久の存在を!!』

 

 

「……一位は逃したか。まぁ、ガチ戦闘じゃねぇからいいか」

 

 三崎は呟く。悔しさがないと言えば嘘になるが、予選さえ勝ち進めばこの場は良い。重要なのは、経験を積むこと。雄英体育祭は、例年最後はタイマンだ。

 

 

「予選通過は上位44名! そして次からいよいよ本選よ! ここからは取材陣も白熱してくるよ! 気張りなさい!」

 

 

 三崎亮、第一種目――第2位。

三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)

  • 日下千草(アトリ)
  • 倉本智香(揺光)
  • 久保萌(タビー)
  • 芦戸三奈
  • 拳藤一佳
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