一回戦第三試合
『普通科、赤髪の問題児!? 倉本智香!』
『対』
『スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!』
「問題児……ねぇ。否定はしないけど」
倉本は、呟く。
自身の喧嘩っ早さには、自覚はある。普通科のクラスメイトは卑屈な人間が多い。ヒーロー科を目指したが落ちて普通科に受かったという事実がその要因である。心操の様に転科するために必死になれる者がいない。あわよくば程度の想いしか持たない。その態度にイラついてしまうのだ。この場に居ては自分も腐ってしまいそうだ、と。
「コレが終わったら飯とかどうよ?」
上鳴は、倉本の事情など知らず声をかける。倉本の容姿は美少女と言って相違ない。勝気な瞳とその荒々しさを表すような赤髪であるが、小柄で可愛らしいと言っても良い。
「俺でよけりゃ慰めるよ」
倉本が障害物競走の時に一時首位近くにも居たことから身体能力の高いことはわかっている。しかし、ヒーロー科に居ないのは、戦闘に置いては何かしらに不安があると上鳴は見ていた。かと言って、油断するつもりはない。
「多分、この勝負一瞬で終わっから」
『STRAT!!』
上鳴は一気に放電する。倉本は瞬時に2本の短剣を取り出し、地面に突き刺す。上鳴が放電した電気は、刀身に流れていき分散されていた。
「ウェッ!?」
「あんた、アタシがヒーロー科に落ちて普通科に入った……とか思ったんじゃないでしょうね?」
図星。雄英高校に入ろうとする大半の生徒はそれが目的なので、普通科に入っているのは特にそういう傾向があるのは間違いない。
「それとヒーローになれそうにないからヒーロー科を選ばなかったとかでもないからね。私が雄英高校に入ったのは全て、この体育祭でトップを取ること……正確にはガチバトルで一番になること! 私が目指しているのは武の究極! アリーナの宮皇!」
それを聞いた観客はざわつく。アリーナは、個性を使った闘いの場。法的には限りなく黒に近いグレーな場所で、ヴィラン予備軍の溜まり場ともされている。賭博の場でもあり、黒い噂の絶えない所である。それでも存在が許されているのは、大量の税金と政治献金。アリーナでの個性使用によるガス抜きが、犯罪発生率低下に効果が出ているとされているためだった。
「ヒーローになる気なんて最初からないから、ヒーロー科を受けなかったんだよ。それでも雄英を選んだのはヒーロー科の強いやつと戦えると思ったから。そう思ってたんだけど、アンタは期待外れね」
「ウェ、ウェ……そんなことウェイ!」
開幕全力放電のために、急激にアホ化が進んでいた上鳴。語彙がほぼウェイになっていた。
「……強い個性の癖して、情けない男だね」
瞬時に距離を詰める倉本。その速度は、アホ化している上鳴にはとても捉えられるものではなかった。正気であったとしても捉えられたかどうか。その瞬間的な速度は、観客席で見ていた一部プロヒーローでさえ見失うほどだった。最後に放電で牽制しようとするもそれよりも速く、剣の柄で後頭部を殴られていた。その一撃で上鳴は気絶した。
『瞬殺! あえてもう一度言おう。瞬・殺!』
倉本の個性は双剣士。短剣を取り出す個性。三崎と同質の個性だ。取り出せる武器の種類が三崎より少ない故に下位互換と言える。しかし、その素の身体能力は三崎より上だ。
観戦していた緑谷は、ぶつぶつと呟きながらノートにメモを取っていく。
上鳴に対して、八百万でも似たような対策は打てるだろうが、『創造』の個性の速度ではとても間に合うものでもない。武器を取り出す速度と瞬時に選択した判断力が優れていればこその動きだった。
武器を取り出せる以外は、無個性とほぼ変わらないはずだが、それでも上鳴を完封してみせた。個性抜きの試合をしたら、1年生の中でほぼ確実に1位になるのではないかと思わせる身体能力だ。さすがに格闘とするのならば尾白に分がありそうではある。
一回戦第四試合
飯田 対 発目
この二人の試合は、発目のサポートアイテムのPRの場となった。飯田は、発目に乗せられてサポートアイテムをフル装備。発目はそれを解説しながら、観客席で見ているであろうサポート会社にアピール。自身の個性『ズーム』でも確認。全て解説し終えた後、自ら場外に降りた。
結果は飯田の勝利になるが、発目はやりたいことをやりきったので勝負で言えば発目の勝ちだろう。飯田は終始、宣伝のための人柱にされたわけである。これがプロヒーローへのアピールになるかと言えば厳しいかもしれない。しかし、この試合によって本人の馬鹿が付きそうなぐらいの生真面目さが伝わり、ヒーロー一家の生まれでもあるために元々の注目度もそれなりにあったから心配はいらないのかもしれない。
一回戦第五試合
『ピンクの酸性少女 芦戸三奈!』
『対』
『凶悪な面の割に意外にフェミニスト? 三崎亮!』
「なに勝手なこと言ってんだ……あの教師は……」
プレゼント・マイクによる三崎の紹介を聞いて、芦戸は何かを思い出したように言う。
「三崎って、障害物競争の時、B組の子助けたんだってね」
「ん? あぁ」
「その子のこと、好きなの?」
「そんなんじゃねぇよ」
『START!』
三崎は双剣を出して構える。
芦戸は、もっと三崎が狼狽えると思っていたのだが、軽くあしらわれてしまった。
「えぇー、つまんない」
「くだらねぇこと喋ってねぇで、かかってこいよ」
三崎は、芦戸の発言はなんとなく予想が付いていた。如何にも陽キャが言いそうな、頭が沸いた発言だ。陽キャ云々というよりも、恋に恋するお年頃な少女の恋バナしたい衝動でしかないのだが、三崎からすれば鼻で笑ってしまう様なくだらない話題だ。
「ぶー。ケチ」
「何がケチなんだよ……」
ちょっと理解に苦しむ反応である。ある意味で日下以上のお花畑かもしれない。
「私が勝ったら根掘り葉掘り聞かせてもらうからね」
「別に聞かせるようなことなんてないが……いいぜ! お前がそれでやる気になるんならな!」
芦戸は、走って距離を詰める。1Aの中でも高い身体能力を持つ彼女の動きは速く鋭い。しかし、肝心の酸は遠くに飛ばすことができない。懐に入られる前に対処する方が懸命だろう。
三崎は持っていた、双剣を芦戸に投げつけた。
「きゃっ、危ない!」
「安心しろ。刃引きはしてある」
と、言いつつも投げられた双剣はしっかりと地面に突き刺さっていた。直接当たれば、それなりの怪我を負っていただろう。
「そぉら!!」
今度は大剣を取り出し、芦戸めがけて振り下ろす。
「ちょっ、ちょぉお!!」
芦戸は間一髪避けたが、大剣が地面を砕く際に生じる衝撃波を感じた。最早、剣というよりは鈍器だ。大剣が当たった部分はクレーターの様に小さな窪みができあがっていた。
「ひ、ひぇええ」
マジに殺しに来ていないかと不安になる芦戸。酸で溶かすことも考えたが、一瞬でこの大剣を無力化するほどの酸を出して自身の肌もそうだが、三崎の無事も大丈夫か不安であった。
次は大剣の横なぎが迫っていた。
「骨破砕!」
遠心力も利用した薙ぎ払い。ただ腕力だけで振るよりも速く威力も高まる。しかし、その分外した際の隙も大きい。それが普通だ。
芦戸はそう思っていた。だからこそ振り切った状態を見て、その隙に懐に飛び込んでアッパーで決めるつもりだった。だが、次の逆側からの横なぎが既に迫っていた。
『直撃ぃい!!』
最初に遠心力の勢いがのっていた一撃程の威力はないが、それでも人を吹っ飛ばすには十分すぎる威力だった。
芦戸は地面を転がりながら、場外手前で止まる。三崎は追い打ちをかける様に短剣を眼前の床に突き刺した。
「ひっ!」
「まだ続けるか?」
「こ、降参します……」
芦戸対三崎はもうちょいなんかあってもよかった気はしたんですが、この時点で芦戸はまだアシッドベールとかその辺の技を使えないはずなので、三崎が簡単に勝ってしまいました。アンケもそんなに投票されてないしいいかな……と。別にそんな影響はされていないはずだけど、割り切る理由にはなってますね。
三崎(ハセヲ)とくっつくヒロイン誰がいいですか?(なお下の選択肢ほどエタる確率が上がる。そして、アンケート通りにするとは言ってない)
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日下千草(アトリ)
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倉本智香(揺光)
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久保萌(タビー)
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芦戸三奈
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拳藤一佳